芦花と幼馴染   作:キイカ

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席替えとすごい人?

 

 

 

 入学式のあった4月は過ぎ去り、高校生としての授業にもほどほどについていけている。

 ほどほどというか、まあ予習と復習してれば問題なし。

 オリエンテーションが一回あって、5人バラバラの班でちょっとした遠足もどきもあったけど、誰とも一緒じゃないなかったので割愛。

 他のみんなは結構クラスメートたちと話せてたんじゃないかな? 

 まあ、変なやつはいないはずだからいいでしょう。

 僕は当たり障りなーく、です。

 で、5月に入って席替えがあった。

 

「あんまり変わった感じしないね」

「ね、鳩河くんが近くに来たくらい?」

「ちょっと疎外感あったんで嬉しいです!」

 

 窓際後ろに僕ら5人が固まりました。素晴らしい。

 壁際に芦花でその隣が酒寄さん。その芦花の後ろに僕、酒依さんの後ろが守。守の後ろに真実だ。

 ちなみに真実の左側はいない。人数的都合でここは空いてるらしい。

 

「やた〜寝てもバレなそうな席ゲット〜」

 

 真実はいい席取れて嬉しそうだ。でもそこは芦花が目を光らせてる。

 

「ちゃんと起きなさい。鳩河くん、ちゃんと起こしてね?」

「頑張ります!」

 

 守がはたして起こせるのかは疑問だけど、まあ大丈夫でしょう。

 別に僕が起こしてもいいわけだし。

 そんなこんなで昼休みは各自の席でそのまま食べるわけだが。

 

「また彩葉それだけ?」

「あんまりお腹減ってなくて……」

「それこの前も聞いたよ〜?」

「うっ」

 

 相変わらず酒寄さんのお昼ご飯は味気ないパン(たぶんめちゃ安いやつ)一つだけ。

 1ヶ月ほど一緒にお昼を食べているが、彼女がこれ以上に食べているところを見たことがない。

 成長期真っ盛りの高校生のご飯としてあまりにも論外では? 

 ほら、グルメインフルエンサーの真実がもうぷんぷんしてるよ。

 

「彩葉〜。ご飯大好きな私の目の前でそんな少ない食事を見せつけてくるとか、私が食べ過ぎだって喧嘩売られてるのかな〜」

「いやいやいや!? そんなことはないよ!? 私があんまり食べる気がないだけであって……」

「いいえ。さすがにそんな少ないご飯じゃ体に悪いよ。ほら今日もアキくんのお弁当もらおうねー」

 

 真実のお怒りを宥めようとしている酒寄さんに追撃するように芦花も苦言を呈している。

 ほんとに少ないなって思うし、もはやわざとなのでは? 

 毎度同じような光景を見せられてるので、なんかしら理由でもあるのかと勘繰ってしまいそうだ。

 

「どうぞー。お好きなものをお食べ」

「えっ、うっ。すみません、今日もありがとうございますぅ」

 

 結局芦花と真実の攻勢には勝てず今日も気まずそうに僕のお弁当を食べている。

 ほんとに申し訳なさそうな顔してるけど、気に病みすぎではと思う。

 ぶっちゃけ今更1人増えたところで誤差だし。真実が少し食べる量減るくらいだから気にならない。

 

「というか、荒鷹くんが作ってるんだよね? いつも思ってたけど、すごくない?」

「ん、なにが?」

「こんだけ色々作ってるところ。しかも味も美味しい」

 

 褒められると照れますなー。全部芦花のために覚えたことだから、ね。

 

「どうもどうも。褒められても明日のおかずは増えないよ?」

「いやそういうわけじゃないんだけど!?」

「たかちーのお弁当は私たちの癒し〜」

「アキくんいつもありがとね。たまには私も何か作ってこようかな」

 

 むむっ! 芦花の料理の予感!? これは是非ともお願いしたいところ。

 

「何作るの? 手伝いいる?」

「大丈夫、私も料理出来ないとね。味の保証は出来ないかもだけど」

 

 ぜーんぜん大丈夫です。芦花が作ってくれるなら、炭でも半生でも美味しくいただきます。たとえ体調を崩してもね! 

 

「え〜、わたしもなんか作ってきた方がいい〜?」

「諌山さんも料理は得意なんですか?」

「食べる専門に見せかけて実はね〜」

 

 お、真実も参戦? 

 真実はグルメインフルエンサーをしているだけあって味覚のセンスが良いので、実は作るのも得意だったりする。

 普段は食べる専門に回りがちだけど、過去に何回か真実が自分で作ったというおかずをもらったことがあるがめちゃ美味かった。

 ここは一つ守にも頑張ってもらおうかな。

 

「じゃあ守もなんか作ってきなよ」

「うぇっ、俺もか?」

「大丈夫〜、丸焦げじゃなければ食べれるよ」

 

 流石にそこまででは、と苦笑いしているけど君中学の調理実習の時、カレー作りでジャガイモの皮剥き失敗しかけてたの見てたからね? 

 まあ、ここは真実に食べさせるものだとして気合を入れてもらおう。

 

「真実は固めの卵焼きが好みだよ」

「……! なんでそんなことを?」

「失敗したと思ったら、ね」

 

 芦花の好みに合わせて作っているけど、昔はまだ上手く作れなくて。

 思いの外固めの卵焼きになったことがあった。

 芦花はちょっと固いねーって言いながら食べてくれた。

 真実が私はこのぐらいの方が好きかも、と言っていたのを覚えてたのだ。

 そんなわけでこの情報は守にプレゼント。上手く使いたまえ。

 

「もしかして私も何か作った方が「酒寄さんは大丈夫」……なんでぇ?」

「いや普段のご飯を思い出してから言ってね」

「や、作れないわけでは……」

 

 たぶん作れるとは思うけど、作ることが負担になりそうな気がしたので。

 他の3人もうんうんと頷いている。

 酒寄さんはガーンとショックを受けたような表情で、自分の持ってきたパンにもそもそと齧り付いた。

 

「私ってそんなメシマズキャラに見えてたのか……完璧女子高生の道のりは遠い……」

 

 しょんぼりした声でよく聞こえなかったけど、メシマズキャラではないとは思うよ、うん。

 普段食べさせてる側だから作ってもらうのは気が引けたり。特に酒寄さんみたいな、自分の昼食すらあまり持ってこない人ならなおさらでしょう。

 そんなわけで酒寄さん以外の4人でおかずを作ることが決定しましたー。

 

「何作る〜わたしは唐揚げにしようかな」

「え、じゃあ俺は卵焼きで」

「えー、私は……ロールキャベツでバランス取ろうかな」

 

 なかなか強いメンツが揃いました。

 これは野菜に振れた方がいいか……? でも肉系もありか。

 むむむ、どうしよ。

 あ、そうだ。

 

「僕はポテトサラダにするね」

「いいね〜バランス良さげじゃ〜ん」

 

 メインが多いので僕は副菜的なところに落ち着こうと思います。

 こういうの大事だよね。

 

「なんか私だけ罪悪感凄いんですけど」

「そう思うなら普段のお昼に弁当でも持ってきてから言いましょう」

「アキくん正論パンチはやめたげてよ」

 

 酒寄さん押し黙ってしまった。

 まあ、次回があればお願いしますってことで。

 というわけでお弁当事情の悲しい酒寄さんではありますが、お勉強事情はすごい子でして。

 今のところ小テストは全部満点に近い点数のみ。

 先生に当てられたところはなんでも答えれる。

 さらに体力測定も男子顔負けの成績。

 挙げ句の果てにはバイトもめっちゃしてるらしい(週5とか)。

 こんな高校生いるのでしょうか。目の前にいました。

 それでいて人当たりもよく、こうして話してみると大変面白い子でして。

 まあ、男子から人気が出るのは当然……というところでしたが、案外僕たち以外に寄ってきてる人はいないみたい。

 

「彩葉ってさ〜、誰かと付き合ったりしないの?」

「私にそんな余裕はないからね。今を生きるので精一杯なのですよ」

「彩葉……」

 

 真実と芦花に挟まれて授業間の休みに聞かれた時はそう答えていた。

 芦花のちょっと気遣わし気な表情が気になったけど、まあ僕も同じような気持ちになったので。

 高校生なりたての子が今を生きるので精一杯ってどういうことだって。

 突っ込みたい気持ちは山々だけど、もう少し打ち解けてからの方が良さげなのでお口チャック。

 踏み込み過ぎは良くないからね。

 そんなわけで頑張り酒寄さんは芦花たちにお任せ。何かあれば頼ってくれると思うし。

 お弁当以外で頼られることがあるかは疑問ではあるけどね。

 

 

 

「そういえば、みんなの得意科目は? 私は数学」

 

 六限目の授業で小テストが帰ってきて結果で一喜一憂していた僕たちに酒寄さんがそう聞いてきた。

 

「わたし国語〜」

「私は英語かな」

「俺は社会ですね」

「僕は一応国語かな」

「意外とばらけてるね。でもみんな点数そこそこ取ってるよねどの小テストも」

「お? どの小テストも高得点の彩葉がそれを言いますか〜?」

 

 みんな文系よりだったりするのだ。

 真実は特に小説文とかはめっちゃ強い。心情を答えよとかの設問は大体取ってる。

 芦花はたぶん美容系のグッズで海外のとかも見てたりするんだろうと思う。

 守は歴史全般が好きらしい。昔の出来事とか割と興味あるんだって。

 僕はまあ小説分読むの楽しいよね。あとは古文とかも好き。

 酒寄さんが数学が得意なのはそれっぽいなと思う。解答が1つの問題の方が好きそう。

 

「そういうのじゃないって。じゃあ逆に苦手科目は?」

「俺英語です。頭に入ってこないんですよね」

 

 根っこの部分からスポーツ系な守はそういうのは苦手なのでしょう。

 

「私は数学かな。公式とかいっぱいあってよく分かんなくなっちゃう」

 

 芦花は数学が苦手。中学の時も結構頭悩ませてたからね。

 

「わたしは社会かな、歴史とか眠くなるんだよね……ふぁ〜あ」

 

 真実は社会、というか歴史。思い出してあくびも出るくらいなので相当ですね。

 

「僕は……これといってないかなぁ」

「ないんですか? 荒鷹くんって勉強好きなタイプ?」

「や、そんなことはないんだけど」

 

 別に勉強が好きなわけでは全然ないけど。とりあえず必要ならひたすら頭に詰め込むし、結果苦手とかどうでも良くなったからね。

 苦手な科目は芦花のために勉強してるうちに全部消え去りました。苦手とか言ってたら教えられないからね! 

 

「アキくんって昔から苦手とかなかったよね」

「中学の時もわたしたちに勉強教えてたからね〜」

「え、教えてた? 荒鷹くんが?」

「うん、アキくんの放課後受験勉強会で乗り切ったからね」

「たかちー様々で〜す」

 

 へへ、中学受験は絶対に芦花たちの面倒を見ると決めてたので頑張らせていただきやした。

 それはもう2年の時にはそれまでの復習は終わらせるなど、あれこれやりましたとも。

 まあ、芦花のためなんで。

 

「……荒鷹くんって、なにもの」

「ただの男子高校生です」

「普通の学生は他人の受験勉強まで面倒見れないと思います」

「出来ちゃったから仕方ないよね」

「出来ちゃったって……そんな軽く言うことでもないでしょうに」

 

 出来ちゃったというか、出来るように努力をしたというか。出来ない自分に価値はないというか、それが僕に必要なことだったというか。

 まあ、自分のためにもなったのでおっけー! ということでここは一つ。

 

「教えてもらっといてなんだけど、それはそうだと思うー」

「真実に同じく」

「俺も同じく」

「ほら、みんな同じこと思ってますよ」

「じゃあ感謝してもらってーなんて」

 

 そゆとこ〜って真実に突っ込まれました。でもなんだかんだ皆ありがとうと言ってくれるので優しい。

 別に軽くはないけど、僕にとって重くはないのでそれだけですね。

 

「はいはいありがとうありがとう。これで十分か?」

「英語助けなくてよい?」

「すみませんでした。助けてくださいお願いします」

 

 教えられるということは、苦手科目の命綱を握るということ。

 つまりは反抗的な親友にはいつでも罰を下せるのだよ、ふっふっふ。

 

「これ、わたしたちも下手なこと言ったら巻き添いなのでは?」

「黙っとこうね」

「これが荒鷹くんの圧政……」

「こらそこ、聞こえてるよ。あと圧政って言い方はどうかと思います」

 

 こそこそ女子3人がお話ししてますが、目の前なので聞こえてるんですよ。

 芦花は例外として真実も気をつけてね。お弁当の量が減るかもしれぬのでね! 

 

「でもたかちーに弱み握られてるから間違い無いのではー?」

「真実はお弁当、鳩河くんは英語、彩葉もお弁当?」

「う、いや、私は別になくても「ほんとに?」……とてもありがたいです」

「となると芦花だけ〜? 反抗できるの」

 

 そういうことになりますね。

 まあ、芦花ならなに言われても大丈夫なんで、反抗にはならないというか。

 

「よし、いざという時は私が止めてあげよー」

「芦花様ありがたや〜」

「ありがたやー」

「これ私も乗らなきゃダメ?」

「いやそんなことはないよ」

 

 芦花が真実と守から仰がれておりますが、ぼくと酒寄さんは白けた目で見守っております。

 芦花が教祖みたいでおもしろ。

 

「でも芦花も数学は苦手でしょ?」

「彩葉がいますのでー。ね?」

「え、うん。全然いいよ?」

 

 あらま、数学は酒寄さんなら取られてしまいましたか。

 ま、それはそれでいいと思うけどね。全部僕がやらなくていいなら負担は減るので。

 

「これからは酒寄さんが先生かな?」

「酒寄せんせーお願いしま〜す」

「しまーす」

「やめてよもう、変なノリばっかりなんだから」

 

 芦花教祖の次は酒寄せんせーが爆誕しました! 

 ほんとに変なノリで話してるとは思うけど、こういう空気感も悪くないよねって思ってたり。

 授業中とかの酒寄さんは隙のない、なんというか余裕ないように見えるから。

 今はもう少しリラックスしてるように見える。

 せっかくの高校生なんだから、勉強だけに注力するのはもったいないし、楽しいことしたいしね! 

 

 

 







各自の得意教科やら苦手教科はそれっぽさ重視です
あと真実の料理得意設定も、グルメインフルエンサーだしあるよねって思ったので
芦花の家事スキルは不明ですが、ここでは割とあれこれこなしております
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