芦花と幼馴染   作:キイカ

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ようやくあれこれ進みそうです


体育祭スタート!

 

 

 

 7月下旬。それまで練習してきた体育祭の本番が始まる。

 とはいえ普通にリレーしたり綱引きしたり騎馬戦したりとド派手なものではないけどね。

 無事真実と守を二人三脚に叩き込んだり、芦花と酒寄さんもついでに組ませたり。僕? 綱引きと玉入れとかでお茶濁しですよー。

 借りもの競走は、なんと5人全員出ることになってしまった。逃げられなかったよ。

 バイトに体育祭の練習にと体を酷使してる酒寄さんの体調が気になるところですが、意外と元気そうなので安心。

 あ、お弁当は体育祭仕様でしこたま作ってきたので安心してください。

 たくさん食べる真実にも負けないようにしましたのでね! まあ運動するのでちょい不安は残ってます。

 

「さー、張り切ってこ〜!」

「やる気もりもりだね真実」

「そりゃあ頑張った後のご飯は美味しいからね!」

「いつも通りだったわ」

 

 いつもよりやる気に満ち溢れている真実に、芦花がなぜか問いかけたらそう返していた。

 いや、これほんとに弁当足りるかな? だいぶ不安になってきたよ? 

 酒寄さんの分もちゃんと残るよね……? 

 

「競技出てる時間以外は休んでていいなんて、体育祭は楽な時間ね!」

「ここにはバイト戦士でおかしい人もいますね」

「ブッ」

 

 確かにバイトに比べれば拘束時間が長いだけで疲れないかもだけど、その思考はやばいと思います。

 守も冷静に突っ込んでるんじゃないよ。吹いちゃったじゃん。

 

「まあ、基本的には観戦メインだしのんびりしよー」

「彩葉は何出るんだっけ」

「リレーと二人三脚と借りものね」

「相方よろしくね」

 

「諌山さん、今日は頑張りましょう!」

「お〜! がんばろっ、鳩河くん!」

 

「みなさん気合いが入ってるようでよろしいですね」

「アキくんも、借りものは頑張ってよ? みんなで出るんだから勝つよ!」

「分かってるよー。芦花こそ、転んだりして怪我しないでね?」

「もちろん!」

 

 各々出る競技への気合いを高めて臨む。

 僕と芦花には密かな目標がある。

 

「今回でもっと距離縮まればいいね」

「ね、練習でも良い感じだったから本番が楽しみ!」

 

 それはもちろん守と真実のこと。

 練習を見守ってた時もいい感じに楽しくやれてたし、守がめちゃ赤面しててそれに釣られたのか、真実も顔を赤くしてたりしたから結構良い感じになってきてると思う。

 ここは体育祭マジックとやらを期待しても良い時なんでは? 

 

「借りもの競走も楽しみだね!」

「面白いの引けたらいいけど、出来れば僕は普通のがいいなぁ」

「えー、どうせならアキくんが面白いネタ引っ張るところみたいな」

「やめてよ本当に来たらどうするのさ」

 

 ほんとにやめて欲しい。これで輝いてる人とか引いて物理的に頭とか光ってる人連れてくるとかやったら、僕終わりだが? 絶対やらないけどさ。

 とまあ、楽しみと一抹の不安を持って体育祭は始まった。

 

 

 

 僕らに関わる最初の競技は、二人三脚だ。その前に綱引きとかあったけど、割愛ですね。誰も興味ないでしょこんなの。手痛い。

 

 先に走るのは、我らが密かに背中を押している真美と守だ。

 

「頑張れー! 守ー! 

 真美も転ばないようにねー!」

 

 僕は自分のクラスの席から声援を飛ばす。

 2人もキラッキラの笑顔で手を振ってくれた。

 練習の時はあんなに照れ照れ恥ずかしそうな顔してたのに、本番になると2人とも肝が座ったのか真面目な顔しちゃって。

 なかなか良い絵面ですね! 

 

 スタートの合図とともに2人が走り出した。いい感じの滑り出し。

 息を合わせてスムーズに走れている。

 他の組も悪くはないけど、あの2人よりかはやや遅いかな? 

 そのまま後続を追い付かせることなく1着でゴールイン! 

 仲良くハイタッチまでしてこれはこれは、素晴らしいですね! 

 

 続いて酒寄さんと芦花の出番だ。

 

「芦花ー頑張れー! 

 酒寄さーん、倒れないようにー!」

 

 この2人は仲の良さも相まって練習も危ないところもなく、運動神経もいい酒寄さんと、体型管理やら健康のために普段から運動をしている芦花の組み合わせは非常に速かった。

 それこそ練習なんていらなかったのではと思うくらいには。

 本番、スタートの合図とともに走り出した2人はあっという間に1番を奪い去り、たぶんどの組よりも速くゴールした。

 あまりにも早くてもはや普通に徒競走なのではと思ってしまった。

 2人もハイタッチ、仲良さそうでなにより。

 

「おかえりー、みんな一着おめでとー!」

「いやー、こんなに上手く走れるとは思わなかったわ」

「わたしと鳩河くんの相性が良かったのかもね!」

「諌山さん……そうですね!」

 

 競技を終えて帰ってきた2人はそれはもう仲良さそうにお互いを褒めている。走りやすかったとか、息があってやりやすかったとか、お互いペースを合わせれたとか。熱々かな? 。

 で、もう1組はというと。

 

「彩葉ありがと! おかげでめちゃ速かったね!」

「いやいや、芦花があんなに動けるとは思ってなかったから! 私も結構早く走ったけど着いてきてくれたおかげだよ!」

 

 やー素晴らしきかな友情。どちらも青春って感じですね。

 片方は友情を超えそうな予感もひしひしとしてますけどね! 

 

「次の競技が終わったらお昼だね」

「次は誰も出ないんでしょ? のんびり観戦しましょ」

「そうですね、ちゃんとクラスメイトの応援しましょう!」

「お〜!」

「私ちょっと飲み物買ってくるね」

「じゃあ僕も行くよ」

「おっけー、一緒に行こアキくん」

 

 次の競技は騎馬戦、誰も出ないのでのんびり観戦タイムだ。

 芦花の飲み物を買いに行くのに僕もついていく。

 喉が渇いたし、ちょっと話したいこともあったし。

 

「何買うの?」

「お茶でいいかな、芦花は?」

「私もお茶かな」

 

 校内の自販機に向かって歩きながら話す。

 

「いやー守と真実だいぶいい感じじゃない?」

「ね! 近いうちにあるかもね!」

「酒寄さんももうちょい余裕とかあればね」

 

 話題は僕らが密かにくっつけようとしている2人のことだ。

 酒寄さんはその辺鈍いのか気づいてない模様なので、同盟には入れませんでした。

 

「彩葉には悪いけど、あんまり当てにならなそうだからね」

「自分のことで手一杯だから、仕方ないんじゃない?」

「私たちのサポートで、2人の背中を押してあげなきゃね」

 

 今までこっそり手を回して2人きりにしたり唆して映画見に行かせたりした甲斐があったね。

 

「真実の好きそうなお店教えたり」

「守の好きな映画を一緒に行ってみればって言ったり」

「真実好みの服装とかも教えたなぁ」

「僕も守が好きな食べ物とかも教えたよ」

 

 いろいろ裏で根回ししまくってたのだ僕らは。

 こっそり芦花と結託してあれこれするの楽しかったから、いいんだけどね! 

 なんて話してるうちに自販機についた。

 

「僕これ買うけど芦花は?」

「あ、じゃあ私も」

「はーい、どうぞ」

「えー、お金払うよー」

「いいよこれくらい。気にしないでー」

「もー、ありがと」

 

 しれっとお茶を奢りその場で少し飲む。あー、冷たいお茶が染み渡りますねぇ。

 芦花も美味しそうに飲んでる。いけませんね、こんなじっと見るのはよろしくないですよ! 

 

「冷たいお茶最高!」

「だね! よし戻ろっか」

 

 水分補給して、また帰り道にあれこれと話していると、はて人気のないところから話し声が聞こえたような? 

 気になって近づいていくと……。

 あ。

 

「……!」

「どしたの、アキく……!」

「しー」

「うん、しー、だね」

 

 なんと告白現場ではありませんか! 

 全然見覚えない人たちだけど、同い年なのかな? タメで話してる。

 おぉ、男子の方から告白した、で、女の子は……頷いた! 

 目の前で1組のカップルが成立する瞬間を見てしまった。

 

「お、おぉ」

「なんか、すごい悪いことしてる気分だね」

「ね、ここは速やかに退散しちゃおう」

 

 お邪魔虫になる前に僕らは撤退。

 こういう現場を見るのは久しぶりかもしれない。

 僕がいつも仲良くしている芦花も真実も酒寄さんも、皆タイプの違う良さがある。

 芦花はクールで可愛い、真実はふわふわ可愛い、酒寄さんは綺麗系と、三者三様。

 で、かれこれ入学から3ヶ月が経ってますが、実は3人とも10回くらいは告白されてる。なんで知ってるかって言えば、本人以外の2人から口コミがね? 面白い話ですね。

 一度もその現場を見てはないけど、3人の様子は変わってないので誰1人として成功してないですね。

 酒寄さんは勉強にバイトに忙しくてそんな暇はないと断ってるそうだ。

 芦花は今は興味がないと言ってる。まあ、ね。

 真実も最初の方は興味ないと言ってたみたいだけど、途中から気になる人がいるって言い始めたようでニヤニヤしてました。

 一応告白した人はそれとなーく聞き出して、2度目とかないように目を光らせてる。

 中学の二の舞などごめんだ。次は止まれないかもだし。

 

「やー、ああいうの見ちゃうと恋愛って良いものなのかなって思うな」

「ね。自分の気持ちを素直に出せて相手に受け取ってもらえるのって幸せなことだよね」

 

 先ほどの現場を思い出しながら芦花と話す。

 いいなぁ。

 うっかり口から出そうになったので、慌てて口を引き絞る。

 いけないいけない、それは心の内に止めておかないと。

 

「私もそういう人に会えるかな」

「芦花なら会えるよ。大丈夫」

「だといいな。アキくんも会えるといいね」

 

 うん、僕はもう会えたよ。絶対に口にはしないけどね。

 素直に気持ちは出せないけど、芦花の笑顔が見れれば満足なので。

 

「どうしよ、守の告白現場とか見たいような見たくないような」

「えー、私真実が告白されて顔真っ赤にしてそうなとこ見たいかも」

 

 このままだと僕の精神が怪しいので、話題をすり替えた。

 個人的には真実が赤面してるのは見てみたいけど守の赤面はもうお腹いっぱいです。

 

「まあ、もし今日何かあったなら、そっとしておいてあげよう。きっと2人なら僕らに教えてくれるだろうし」

「そうだね、その時は目一杯祝福してあげよ!」

 

 うんうん、それがいいと思う。なんだかんだ僕も守が幸せになるなら嬉しいしね。真実と一緒ならなおさらですよ。

 さてさて、僕らは自分たちの待機場所に戻ってお昼休み前の最後の競技を見終わって。

 ようやくお昼休みだ。

 せっかくなのでレジャーシートを広げて外でお弁当を広げた。

 

「お、おぉ〜こいつは豪華だねぇ」

「ちょっと気合い入りすぎたかも」

「いやいや、残すなんて諌山真美の辞書にはございませんよ?」

「無理しない範囲で食べてね?」

 

 気合の入ったお弁当(唐揚げ、卵焼き、ミートボール、ポテトサラダ、マカロニサラダ、ミニハンバーグ、アスパラ肉巻き、ロールキャベツ、ほうれん草のお浸し、きんぴらごぼう、レンコンの佃煮、おにぎり3種)を前にしてあの真実がちょっと驚いてる。

 うん、自分でも作りすぎだとは思います。朝早くから用意してたからちゃい眠い。

 

「あれ、もしかして、これ私たちの分も?」

「もちろん、特に酒寄さんはしっかり食べれるようにたくさん用意したよ」

「え、すごく申し訳ない……」

「そう思うなら食生活改善してね」

「うっ、痛いところを……」

 

 酒寄さんもびっくりしてますが、こんなに増えたの君のせいだからね? 

 真実だけならこうはなりませんでした。いや、そんなことはないかも。

 

「朝から眠そうだったもんねアキくん」

「うん、流石にこの量を事前に準備してたとしてもちょっと大変でしたね」

「ありがと! さ、早く食べよ!」

 

 芦花に感謝してもらえるなら僕の苦労も報われるってものです。

 

「じゃあ、いただきまーす」

「いただきますっ! からあげもらいっ」

 

 手を合わせて挨拶も半ば、真実は唐揚げにかぶりついてました。はや。

 

「いただきまーす。私卵焼きー」

 

 芦花はいつもの卵焼きからのようで。よし、その顔は今日も好みの感じですね! 

 

「いただきます。俺ハンバーグ貰うわ」

 

 守はハンバーグから。男子っぽいな。まあ肉好きだしね。

 

「いただきます、私おにぎり貰うね」

 

 酒寄さんはおにぎりを1つ手に取り、ゆっくり食べ始めた。おにぎりはシャケと、梅と、昆布でご用意してます。

 彼女のは、シャケかな? めちゃ美味しそうに食べてる。

 

「お米美味しい……」

 

 なんか、涙が見えるような。気のせいだよね? 

 

「たかちーのご飯があれば午後も頑張れるっ!」

「大げさすぎー。真実はご飯が沢山あれば頑張れるでしょ」

「いやいや、それも間違いではないけど! たかちーの美味しいご飯ならもっと頑張れるよってこと!」

「それはどーも」

 

 真実がすごい勢いで食べ進めてる。持参していた弁当なんてあっという間に胃の中に吸い込まれましたね。

 酒寄さんはおにぎり食べつつおかずをあれこれ頬張っては幸せそうに笑ってますね。僕には相変わらず幻の涙が見えるんですけども。

 芦花はマイペースに、でもちゃんとバランスよく食べてます。

 

「アキくん今日も卵焼き美味しいよ」

「よし、芦花がそう言ってくれるなら嬉しいよ」

「最近アキくんの卵焼き食べないとなんか物足りないかもーなんて」

「ウッ、そ、そうなの? もっと頑張るね!」

 

 ちゃんと言葉にして伝えてくれる芦花さん最高です。ちょっと火力高いので控えてもらえると……え、これで控えめ? そうですか僕が紙装甲でした。

 

「荒鷹ー、今度料理教えてくれよ」

「急にどうした」

「いやさ。やっぱ料理できた方がいいなって思って」

「……それは、誰に対して?」

「ぐっ、それを聞くのはずるいと思うが」

「まあ言わなくてもわかってるけどね。それについてはちゃんと教えてやるから気にすんな」

 

 守はあれこれ食べてはうんうん唸ってる。たぶん真実がどれも美味しそうに食べてるから、ちょっと悔しいのだろうね。

 こればっかりは練習あるのみだしね。僕も伊達に10年親の料理を手伝ったり、夜ご飯を作ったりはしてないのですよ? 積み重ね大事! 

 真実の胃袋なら、ちゃんと一点狙いで掴みに行かなきゃね。それをするのは僕じゃないんだから。

 

「頑張れよ、守」

「おうよ。荒鷹よりも美味いって言わせたいからな」

「どれくらいかかるかねぇ」

「それは……わからん」

 

 急に自信無くしちゃったよ。志したなら最後まで貫き通さないとね。

 

「射止めたいなら覚悟しな。半端なやつには真実は任せられないよ?」

「……あぁ。いつまでもお前に背中蹴られてばっかじゃたまらんからな」

「そうそう。早く真実を引き取って、僕の弁当作りを楽にしてくれ」

「おい、私情混じってるだろ」

 

 やー、ねぇ。真実はよく食べるからたくさん作らないとだしなぁ。慣れてはいるけど大変でもあるからね。そこはまあ仕方ないよね。

 守も作り始めたら分かるんじゃない? 

 

「はー。この後の借りもの競走、お題どんなの引くかな」

 

 みんなでわちゃわちゃ弁当を食べながら午後の競技に思いを馳せる。

 借りもの競走は、お題によってはネタ枠から友情枠、はたまた気になる人とかあれば、もう、ね? 

 皆が何引くか、今から楽しみだ! 

 

 

 







借りもの競走はある意味今回の目玉なので次話に持ち越し!
原作開始前に達成しなきゃいけない流れの一つがようやく出来そうです
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