芦花と幼馴染   作:キイカ

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前日12時に更新してます〜
前話の続き
今度は真実視点


親友の幼馴染について

 

 

 

 カフェでの女子会を終えたわたしは、彩葉を連れて長居しやすい某ファミレスへ。

 お財布に優しく、彩葉も注文しやすいところだ。もちろん、払わせる気はないけどね? 

 先について待っていてくれたのであろう、わたしの大好きな彼氏があった。

 

「守くん!」

「真実さん! 今日も可愛いです!」

「えへへ、ありがと」

 

 うへへ、初手でいきなり褒められちゃうと照れちゃいますなぁ。

 付き合ってまだ2週間くらい? もう何ヶ月も付き合ってるくらい好きな気がする〜。

 

「あ、酒寄さんもこんばんわ」

「こんばんわ、私カップルの惚気を聞くために呼ばれた感じ?」

「違うよ〜さっきの芦花の話じゃ分からないところを教えてあげようかなってね」

 

 芦花から見た幼馴染バイアスかかりまくりの視点じゃなくて、わたしと守くんのわりとフラットな視点の情報をお伝えしようかなってね。

 

「1番詳しいのは芦花じゃないの?」

「そりゃまあ幼馴染として昔のこととか細かいとことかはね? でも、中学からはわたしもいたし、守くんも見てたわけで。そういうところは意外と芦花とは違う見え方もあるんですよ〜」

「そういうもんか。鳩河くんもそれで呼ばれたってことね」

「や、僕は夜ご飯食べよって呼ばれただけなんで、そういう話は聞いてないですね」

 

 あ、バレちった。

 別に彩葉と2人でもよかったけど、ちょっと、ちょ〜っとだけ守くんに会いたくてね? 

 

「惚気オーラを感じた……」

「ま、まあ? そういうわけだから、わたしたちから見たたかちーについてもお話ししてしんぜよう!」

 

 そこ、胡散臭そうな目でこっち見ない! 

 守くんはわたしの味方して! 

 

「まあ、とりあえず注文しましょう」

「そうね」

 

 確かに、まだ注文してなかったね。

 

 

 

 そんなこんなでご飯も食べて、ドリンクバーで飲み物を回収してお話の準備万端。

 

「で、芦花の見てる荒鷹くんと真実たちの見てる荒鷹くんはどう違うの?」

「うんうん、まず勉強ね〜」

 

 これは3人で受験勉強してた時のこと。

 芦花が親から電話があってしばらく抜けてた時に聞いたんだけど。

 

「たかちーにさ、なんでそんなに勉強教えれるのって聞いたら、芦花に教えるためって」

「それほんと?」

「うん、あの目はマジだった」

「てか、芦花のいない時との差も激しくない?」

 

 あー、それはねぇ。

 確かに中学の時からそうだったなぁ。

 

「私が会った頃からだったね。芦花がそばにいる時は、ニコニコ。いない時は真顔になるからすぐ」

「そういえば俺と話してる時は基本真顔ですね。でも時折ニコニコしてる時もあったけど」

「それ多分頭の中で芦花のことでも考えてるんじゃない?」

 

 それぐらい芦花を気にかけてるというか。

 芦花にだけはあんまし感情抜け落ちてそうな真顔を見せないようにしてる気がする。

 

「で、わたしだけの時も時たまあったりで、その顔何って聞いたら『芦花がいない時まで笑顔でいる必要ないかなって』ってさ」

「わー、筋金入りのやつ」

「でも荒鷹って綾紬さんに好意とか示してないですよね」

「ん〜、そんなことはないと思うけど〜……守くんほど分かりやすくはないし、なんというか隠してるというか」

 

 正直幼馴染ってだけで勉強を教えれるほど頑張るか? って思ってる。

 そこにあるのは友愛だけではないでしょうと。

 でも、明らかにそこから先に踏み込もうとしないというか。

 露骨な好意は隠し続けてるけど、そこはかとなく滲み出てるというか。でも、それにしては少し重たいような? 

 

「ぶっちゃけわたし守くんがわたしを意識してるの気付いてたよ?」

「え、まじすか」

「うん、だってわたしと話してる時はわかりやすく嬉しそうだったじゃん」

「そりゃまあ好きな人でしたので」

「うっ……ってそうじゃなくて。そういう目線で見ると、たかちーって芦花といる時は大体いつでも嬉しそうじゃん」

「あー、なるほど?」

 

 わたしの目線では芦花がいるといないでは、5割くらいはテンションに差があると思ってます。

 

「そんなに? 私あんまり分かんないんだけど」

「あー、うん、彩葉は分かんないんじゃない? にぶそうだし」

「ひどくない!?」

「否定出来ませんね……俺たちのことも気づいてなかったそうですし」

「ぐっ、援護射撃はずるくない?」

 

 にぶ葉が悪いよね〜。

 芦花の想いにも気付いてないし。はてさて誰かの想いに気付ける日は来るのかな? 

 

「話は逸れたけど、勉強は芦花のため。で、普段どれくらいやってるのって聞いたら、毎日2時間とか? 日によるけど欠かしたことはないって」

「へー、案外普通……いや、いろんな娯楽がある中で毎日勉強してたの?」

「らしい。恩恵に預かっていた身としてはありがたい限りだけど、毎日毎日2時間前後勉強してるのって学生としては真面目だけど、ちょっと末恐ろしいというか」

 

 なんというか、狂気じみてるというか。わざわざ教えるために毎日欠かさず勉強をするなんて常人なら考えないと思う。

 普通に塾行けばいいし。

 こう言っちゃなんだけど、芦花のためなら自分の時間を削ってるようにも見える。

 

「それって今も続けてるのかな」

「たぶん。この前『高2高3の内容の本探してるけど、なんかない?』って聞かれたし」

「え、もうそこまで先取りしようとしてるの?」

「みたい。早くないって思ったけど、たぶん1年の範囲は大体予習済みなんじゃない?」

「えーこわ。私みたいに東大狙いなら分かるけど……」

「どこ目指してるかは分かんない。まあ、普通の大学なら芦花と同じとこじゃない?」

 

 前に中学の先生に芦花と同じとこに行くのを言ったら、苦言溢されたって言ってたし。

 いやまああんだけ勉強教えれてたらそりゃねぇ。

 

「ずっと一緒じゃん」

「ね。でも付き合ってないんだよねあの2人」

「謎が深まる……」

 

 ほんとそれ。

 たかちーにそれとなく聞いたことはあるけど、芦花にはもっと良い人がいると思うからって返された。

 芦花には、誰とも考えてないよーって言われた。

 なんだこの2人、拗れてるのか? 

 

「んで、勉強についてはそんな感じ。芦花にはバラさないように。もし漏らしたら、たぶんたかちーから折檻されます」

「え、折檻?」

「はい、ちょっと昔にたかちーから言わないでねって言われたことをうっかり芦花にこぼしたことがあってね。大したことではなかったから良かったけど、あの時の目はマジだった」

 

 うっ、思い出してもやっばこわ。

 真顔じゃないのがタチが悪い。

 逆にニコニコ笑顔で詰め寄られると背筋が冷えるというか、感情読めないというか。

 黒い瞳がわたしを見下ろしてた。身長差があるだけに余計圧を感じました。

 あれから共犯者みたいな扱いだし。まあ、今ここでさらなる共犯者を増やしましたが。

 道連れだ! 

 

「これ、私たちも仲間にされた感じ?」

「ハメられましたね」

「わはは、運命共同体ってやつ〜」

「こいつめ」

「真実さん……まったく」

 

 へへ、2人なら許してくれると思ってたのでね? 

 まだまだいきましょう! 

 

「お次はお弁当。こっちは単純に芦花に美味しいって思って欲しいから」

「そんなに単純なことなのに、芦花気づいてないの?」

「あの子も自分のことには鈍いからね〜」

 

 告白された相手が知ってようと知らなかろうと、自分に好意を持ってるなんて思ってなかったみたいだし。

 さすがに何度も告白してきた輩からは気付いてたけど。

 んー、目の前のにぶちんとは別ベクトルで面倒な。

 

「分かりやすいのは卵焼きだね。あれ、芦花の好みにばっちし合わせに行ってるし」

「えー、そうなの?」

「うん、弁当始まりたての時に芦花がぽろっと柔らかい方が好きってこぼしてから、ずっとそう」

 

 てか、健康を意識したおかずなのも、芦花が美容系インフルエンサーを始める前からだったし。

 元より綺麗な芦花を健康面でもサポートしてより磨き上げてるんだから、芦花のためでなかったらなんというか。

 

「そんなわけで、たかちーの弁当は芦花を意識して作られています」

「全然芦花の感覚と違うね」

「仕方ないことだと思うけどね。徹底して芦花にはバレないようにしてるし」

「そこまでして隠すことなのかな?」

「さぁ、そこは本人の希望ですし。何考えてるかはわかんない」

 

 嘘。本当はなんでこんなに芦花を思ってるかちょっとだけ聞いた。

 これは2人にも話せないほんとの共犯者としての話。

 

 

 

 中学入りたての頃。

 わたしが芦花と仲良くなった頃はまだ、たかちーにも警戒されてて。

 たかちーではなく荒鷹くんって呼んでた頃だ。

 芦花がわたし以外の友達と帰った時に、たかちーに呼ばれたのだ。

 

「諌山さんってさ、芦花と仲良いよね」

「な、なに急に。まあ、仲良くしたいなって思ってるけど」

「そこに打算とかある?」

「打算? ないよ? 普通に話してて楽しいし、可愛いじゃん? 一緒にいて楽しい人とわたしはいたいし」

「ふーん」

 

 あの頃のたかちーは今ほどわたしに優しくはなかった。

 なんでか知らないけど、周りを牽制してた気がする。

 主に男だけど。一部の女子にもしてたな。

 今思えばその子たちは、芦花の可愛さ綺麗さにあやかろうとしてたのかも? 

 でも、わたしが仲良くなり始めてから、たかちーが意図的にわたしといる時間を増やすように芦花と話したらしい。

 その辺からわたしと芦花は親友なんだけど。

 

「真実ー、ちょっと頼みが」

「なんでしょ〜」

 

 半年ほど経ってから。

 わたしが芦花とよく遊んだり一緒にいたりするようになってから、呼び名が名前になった。わたしもたかちーってあだ名をつけたっけな。

 何やら頼み事をされた。

 

「もし、芦花が告白とかされる場面があったら、できる限りついてあげて」

「なになにどゆこと」

「や、芦花って可愛いじゃん? 綺麗じゃん? 優しいじゃん? そんな芦花だから、もしかしたら変なやつに捕まるかもしれないから」

 

 ずいぶん気にかけてるなーって思ってたけど。

 

「そういう時は助けてあげて欲しい。たぶん、芦花は僕には隠すと思うから」

「なるほど? でも、たかちーはどうするの?」

「僕? まあ、誰か教えて貰えば、次はないようにする」

 

 この時のたかちーは笑ってたけど、あの目は本気だった。

 幸い変なやつは最後の1回以外いなかったけど、ちょっとでも芦花に未練を残そうものならどうなってたやら。

 最後のやつはそういう意味では例外。

 あいつは、全部軽かったから伝えるまでもないかなって思ってたけど、最後の最後でやらかしてくれた。

 ほんと、怖かったな。

 あいつじゃなくて、たかちーが。

 あの場であいつを再起不能にでもするんじゃないかと思ったよね。

 

「よろしくね。真実も共犯者ってやつだ」

「巻き添いくらったし〜。まあ親友のためだしいいよ」

 

 こうしてわたしとたかちーの秘密の芦花防衛戦が出来た。

 高校に入ってからは、告白の回数はそこそこあったけど、そういう変な奴は今の所なし。

 でも、いつ来るかはわかんないからわたしと可能な時は彩葉にも目を光らせてもらってる。当てになってるかは不明だけど。

 それで、なんでそこまで芦花に隠すかってことについて。

 

「そんなの、芦花が知らなくていいことじゃん? どうでもいいことに芦花の大事な時間を割いて欲しくないしね」

「僕の努力も、別に芦花に褒めてほしくてやってるわけではないし。や、褒められたらそりゃ嬉しいけどね」

()()()()()()()()()。それ以外はどうでもいいし」

「あ。2番目には、真実もいるよ? ()()()()()()いてくれるなら、ね」

 

 やー、幼馴染とは思えないってのはこういうこと。

 普通そんな激重感情向けるか? 

 絶対好きだろこれって思って聞いても、違うって言われるし。

 なんなんだこいつ。

 一方通行でこんな矢印向けられてるのに気付かない芦花もどうかと思うけどね! 

 あーでもこれでもたぶんたかちーの本音の全部じゃないんだよなぁ。

 わたし向けに話してるところはあると思うし。

 今となっては背中押してもらって幸せになったので、そろそろ幸せのお裾分けというか、恩返しというか。

 いつまでももらってばかりではいれないのですよ? 

 守くんと一緒になんとかしてたかちーの幸せを見つけたいところではあるけど、果たしてできるんだろうか。

 まずは、ちゃんとあの真っ黒な瞳と対峙するところからかな。

 あれ、吸い込まれそうで怖いんだよね〜。

 

 

 

 

 そんなこんなでわたし達目線でのたかちーの話は終わり。

 

「いや、思ってるより荒鷹くんってやばいやつだったわ」

「言い方〜。でもまあ、間違いではないのがなんとも……」

「でも、荒鷹も悪いやつじゃないですし。なにより綾紬さんを思ってのことですし」

「そうなんだよね。芦花のためってんだからまあギリ許容範囲? いやほんとギリギリだな」

 

 わたし達はファミレスを出て帰り道を歩いている。

 今日の月は三日月かな? 雲が隠してるけど。

 

「まあ、この話は内緒にしてね。ほんとバレるとわたしが危ない」

「う、うん。記憶から消しとくわ」

「大丈夫です、危ない時は一緒です」

 

 うん、そこで覚悟は決めないでほしかったなー。

 あと彩葉は現実逃避しない。ちゃんと共犯者やって。

 

「じゃあ、また今度ね」

「うん、またね彩葉」

「酒寄さん気をつけてくださいねー」

 

 途中で彩葉と別れ守くんと2人きり。

 

「わたしさ、たかちーにも幸せになってほしいんだ」

「俺たちの背中押してくれましたしね」

「うん、なによりたかちーを幸せにできるのって芦花しかいないと思うんだ」

「でも、綾紬さんは手強いですよ?」

「そうなんだよね〜」

 

 親友とその幼馴染は、たぶんびっくりするくらいめんどくさい矢印を向け合ってる。

 それを、なんとかするにはわたしと守くんじゃパワーが足りない。

 もっと、正面からぶつかって、2人を引きずるようなパワーが。

 いつか、そういう人が来てくれたらいいなぁ。

 

 

 

 







一旦の主人公深掘り回
掘り忘れがありそうな気も……あったら別の回でもうちょいやります
ちなみに、主人公がハッピーエンドに辿り着くには金色のお姫様の介入が必要なので、原作始まるまでは進展なしです
真実はキーパーソンではありますけどね
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