芦花と幼馴染   作:キイカ

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特装版予約できて良かったと心から安堵すると共に1時間で売り切れって何と驚いております


早起きは三文の徳かも?

 

 

 

 芦花と二人でやった勉強会の次の日の朝、僕はいつも通り6時に起床した。

 綾紬家にお邪魔させてもらっていたので、門限とかも問題なし。僕の両親と芦花の両親は仲が良いのだ。なんでも出産した時の病院が同じで、病室も一緒だったとか。

 そんなわけでどちらかの家で遅くまで勉強していても家は隣同士だし親公認なので怒られないのだ。

 おかげで前日22時まで夜ご飯(僕は一度帰った)を挟みつつ、たっぷり理系の勉強を進めれたので、次は社会と細かいところの補足に力を入れようかというお気持ちだ。

 まずはランニング30分から。小学校から続けている朝のルーティンだ。体力作りの意味もあるし、昔のようにまた太ったりしないようにという自戒もある。

 戻ってきたらストレッチをしてシャワーを浴びる。そしたらお弁当作りタイムだ! 

 芦花と真実(食べるのは真実の方が多い)のためにも今日も品目多めに頑張っていこう! 

 

「まずは昨日の残りの肉団子にー、ほうれん草のおひたしー、にんじんと卵の炒め物も入れて……」

 

 芦花は一通り食べてくれるからバランスよく入れておけば良し。

 真実はなんでも食べるけど濃いめの味の方が好きっぽい。

 ちなみに芦花は美容に意識が高いのでどちらかと言えば薄めが好きだそうで。

 でも作ったものは一通り食べて感想くれるからほんと優しい。芦花は優しさでできてるのかもしれない。

 

「今日も卵焼きチャレンジ行きますか!」

 

 卵焼きは欠かせません! というか単純に自分が好きだから入れたいのもあるね。

 まあ好きになったのは芦花が前に作ってくれたからだけども。あれ本当に美味しかった……! 

 綾紬家の卵焼きをマスターするべく隙を見て芦花母に突撃してレシピももらっているけど、それはそれとして。というか、芦花が作ってくれたから美味しいのであって自分で作ってしまったら芦花の卵焼きではないのでまあ綾紬家の卵焼きだなぁって感じ。食べたいのは芦花の卵焼きです。

 芦花は料理もできて完璧だね! と褒めたらめっちゃ謙遜されたけど、こっそり芦花母に聞いたら結構練習してたらしく、それはもう卵焼きパーティだったと。

 それ聞いて内心号泣でした。はい。そりゃ推しが自分のために練習して料理振る舞ってくれるだなんて涙も止まりませんよ。ええ。

 今でも時折練習してきた成果を「感想ちょうだい?」なんて言いながら求められるので顔はにこやかに、心は狂喜乱舞しながらいただいております。誰にもあげないよ。

 芦花が作ってくれたらなんでも好きになれそうで自分が怖いですね。まあなっとしても後悔などしませんが。

 

「芦花の好みはちょい甘めで、どちらかと言えばかた焼きよりかは柔らかく……」

 

 もちろん好みは把握しているので毎日芦花好みの焼き加減を練習してます。八割くらいは確実だけど、たまにちょい硬くなりすぎたり微妙に端が焦げるのは許して欲しいと思ってたり。

 卵焼き難しいんですよまじで。溶き加減、鍋の温度、返すタイミング、追加で入れる卵なら量、あとは隠し味に入れてるはちみつの分量とか。

 毎度計るのは時間がかかっちゃうから、目分量になって久しいけどたまーにミスると仕上がりに露骨に出ちゃうからなぁ。

 

「よし、今日はいい感じ」

 

 今日は成功を納めたぜ。

 あと米はいつも通り自分の分のみでよし。真実もさすがに米までは持ってかないからね。

 もうちょい品目増やしたいな今の所4品目。もう3品目ぐらいほしいな。

 とりあえずブロッコリーさしといて、あとひじきの煮物も入れるか、作り置きあるし。

 あとは、アスパラ肉巻きを入れようかな。そんなに時間食わないしレンチン楽々スタイルでいっちゃえ。

 

「よし、これでいいか」

 

 目標品目達成したのでお弁当作りは終わり! 

 家から学校まで徒歩20分くらい。今から出るとちょい早いかな? でもまあ遅れるよりはいいだろうし、何より早く芦花に会いたいな! 

 

「よし、迎えに行こう!」

 

 もはや小学校から続いている朝のお迎えだ。途中までは芦花が迎えにきてくれていたが、芦花を推し始めたあたりからは自分で迎えにいくようになったのだ。

 もちろん早く会いたいのもある。

 が、それ以上に芦花に自分を起こしてもらうのが申し訳ないと思ってしまう自分がいるのだ。

 

「あれからかれこれ7年くらいか……まあどうでもいいや」

 

 ほんの一瞬だけ奥深くから浮かびかけた幼い頃の記憶を、すぐに芦花の笑顔で沈める。

 どうでもいい。まさしくその通りだ。芦花のおかげでどうでもよくなったのだ。

 芦花に助けてもらったあの日から些細なことなど気にしなくなった。というよりかは芦花以外を考えている暇などいらなくなった。

 芦花のために。芦花がもっと幸せになれるように。芦花の幸せを運んでくれる友達のために。

 それ以外は一切切り捨てたから。

 

「さ、今日もいつも通りで行こうかな」

 

 芦花にはバレないように笑顔の仮面というか、昔の僕から変わってないであろうにこにこフェイスを貼り付け隣の家に向かう。

 ふと気を抜くと、というか芦花と一緒にいない時は表情筋が死んでいるとよく親友に言われている。まあ自覚はあります。ええ。

 でも芦花がいないのにニコニコするのも面倒臭いというか。

 芦花はいてくれるだけで笑顔にしてくれるから最高です。

 

 

 

 チャイムを鳴らす。

 ピンポーンと鳴ったあと、少ししてから家の中からドタバタと音が聞こえてきた。

 

「早いねぇ! おはよう千秋くん!」

「おはようございます、芦花は準備できてますか?」

「もう少しで終わると思うよ? ……って言ってたら来たみたいね」

「おはよーアキくん! 今日ははやくない?」

「いつもより準備が早く終わったから来ちゃいました! まだ時間あるからゆっくりでいいよ?」

 

 芦花母と挨拶を交わして芦花の様子を伺ったところですぐに芦花がきた。

 今日もメイクばっちり最高に可愛い幼馴染です、ありがとうございました。

 時間に余裕はあるのでご飯とか食べてないならゆっくりでいいよーと思ってそう言ったら、荷物も持ってるし準備は終わって感じかも? 

 

「私も昨日早めに寝たから早めに起きちゃったんだー。もう行けるし行こっか!」

「じゃ、行ってきまーす」

「お母さん行ってきまーす」

「行ってらっしゃーい! 気をつけてねー!」

 

 芦花母に挨拶して芦花が隣に来るのを待つ。

 靴を履きとんとんとつま先を地面を蹴るようにして調整している芦花が振り向き、親に元気に挨拶しているのを横目に今日も幼馴染の横顔可愛いなんてこっそり思っておく。

 玄関の閉まる音を背に学校に向けて歩き出す。

 

「あらためておはよ、芦花」

「おはよー、今日もありがとね迎えにきてくれて」

「好きでやってるから気にしないでよ」

 

 通学路をとことこ歩きながら芦花とお話する。

 この朝の登校中のおしゃべりタイムは結構貴重だ。

 というのも芦花は言わずもがな可愛い。しかもとても優しい。さらには周りをよく見ているからかめちゃくちゃ気もきくのだ。完璧すぎでは? 

 なので学校にいると真実は当然として結構友達に囲まれる。

 お昼休みのお弁当タイム以外だと実はそんなに話すタイミングがないのだ。

 授業前の数分とかで話したりはするがこうしてまとめて時間が取れるのは朝とお昼休みと帰り道とかなのだ。

 というか独り占め出来る時間と言ったほうがいいか。学校にいる間は真実が大体いるし、そうでなければ芦花は友達といる。

 朝のこの時間くらいしか2人で話せないのだ。

 とはいえたわいもない話の方が多い。けどそれでも2人で話せるというのはやっぱり大きい! 推しと2人で話せるなんて、普通に考えてご褒美すぎるしね! 

 

「そういえば昨日真実がまた美味しそうなとこ発掘してたね」

「見た見た。昨日パ〜スなんて言ってたのあそこ行くためだったのかまね」

「まあ真実も合格は難しいわけではないからいいんしゃない? お陰で僕はもいいお店知れるわけだし」

 

 まだ中学生ながらにグルメへの探究心は諫山家の中で1番強いらしく、定期的に家族を気になるお店を伝えて連れてってもらっていると本人が言ってた。

 甘やかされてる〜なんて言ってたがほんとのようだ。

 

「まあね〜。あ、真実の話で思い出した。この前投稿してたカフェ、行きたいんだけどアキくんどう?」

「もちろん、芦花のお誘いならなによりも最優先ですよ!」

「も〜、アキくんはすぐそういうこと言うんだから。来週の土曜とかどうかなって思ってるけど、空いてる?」

「ないよ、大丈夫。ちゃーんと空けておくから」

 

 この前投稿してたのは……あれかな、たぶんいろんなフルーツの盛り合わせパフェが人気のところかな? 

 一応一通りチェックはしてるけど、カフェだけでも結構いろいろ投稿されてるから合ってるのかな? 

 

「あそこのフルーツパフェ、美味しそうだなーって思っててね。息抜きに行きたいなーって」

「いいねいいね! 勉強だけじゃキツいし、適度に抜いちゃおう!」

 

 よしよし合ってたみたいだ。てか芦花のお誘いとかとてもとても嬉しい! 

 こうして誘ってくれるのも幼馴染の特権ってやつかもしれないね。まあ真実もあとで誘われるだろうけど、気心知れたメンバーというのはとても楽しみだ。

 

「真実は……聞いてはみるけど、一度行ってるしどうかなぁ」

「真実なら来るでしょー。ほかにも食べてみたいのある! とか言ってね」

「言いそ〜。あとで聞いとくね」

「よろしく〜」

 

 と遊びの予定を組んでるうちに学校が近づいてきた。

 真実はうちとは別方向なので学校の前で合流することがだいたいだ。

 

「おはよ〜! 今日もいつも通りだねぇお二人さん」

「おはよ、真実。それはどういう意味かな?」

「おはよー、そりゃいつも通りじゃない?」

「まあ気づいてないならいいんじゃないかな〜さあ教室にれっちご〜」

「あ、ちょ、真実!? 引っ張んないでよ!?」

 

 校門前で待っていた真実に早々に芦花が連れてかれてしまった。

 まあいつも通りの光景だ。

 そしてこちらも視界の隅で様子見をしていた人に声をかけるとしよう。

 

「おはよう。今日も真実のストーカーかい?」

「ストーカーじゃないわ! 挨拶するタイミング見計らってたんだよ! あとおはよう!」

「それで僕らが来るまで出来てないなら意味ないのでは?」

「正論パンチやめろし。それは綾紬さんの技だろ」

「幼馴染なので〜。僕も覚えました〜」

「こいつぅ」

 

 反対側の校門でチラチラとこちらを見ていた数少ない親友をいじっておく。

 まあ、わかりやすいことではあるけど真実が気になるらしい。

 思春期真っ只中な彼は気になってはいるものの声をかけるのは恥ずかしいそうだ。

 とっとと話しかけて仲良くすればいいのに、なんていつも思っている。

 まあ、それができるほど度胸はないだろうけど。

 

「ほら早く教室行くよ。芦花たちに置いてかれちゃうよ」

「分かってるよ、あー、俺も諫山さんと幼馴染だったらなー」

「諦めてとっとと突撃しなよ。真実ならたぶん優しく受け流してくれるからさ」

「受け流されたらだめでは!?」

「気にしない気にしない。まずは玉砕しよう」

「いや普通に仲良くしたいんだが!」

 

 彼をいじるのはとても楽しい。芦花と話したり勉強したり遊んだりする次の次の次くらいには。いやもうちょい次か? まあいいか。

 でも応援しているのは嘘じゃないよ。

 焦ったいなーとか、真実焚き付けた方が早いか? とか考えて入るけど、下手につつくよりもとりあえずは彼の勇気を待ちたいところ。

 今の所真実にはそれっぽい影は見えないのでまあ大丈夫かなとは思っているけど、あまりにもヘタれてたら引っ叩いてやろうと思ってはいる。

 

「そのための挨拶もできてないんじゃぁねぇ」

「くぅ、ぐうの音もでない」

「ほらいくよー」

「あ、こら、置いてくなー!」

 

 




真美の彼氏って情報ないしオリキャラだそうかなという気持ちと、オリキャラもう1人増やすのはなんだかなぁという気持ちがせめぎ合っております
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