ようやく出番がきたリヨノさん
8月最終日。
夏休みもあと2日。9月の1日2日は土日で休みが伸びたのだ。
たくさん楽しいことをした。
みんなでボーリングしたり、夏祭りに行って花火を見たり、海に行ったり。
守が宿題終わらなくて泣きついて来たのは、さすがに笑っちゃったけどね。
まあ、なんとかして終わらせましたけども。
そんなわけで今日はバイトもない1日なので、配信しようと思う。
「今日は野良とリスナーさんを交互に選ぶ感じまで行こうかな」
事前告知は済んでる。
時間ももうすぐ。
よし、スマコン装着して、準備完了。
それじゃいこっかな。
「配信始まるよー! 今日も元気にぶっ放してこー! 秋鷹です!」
『トリガーハッピーの時間だ!』
『トリガーハッピーの時間だ!』
「トリガーハッピーの時間だ!」
いつもの挨拶をして早速、今日の流れを説明した。
交互に野良と、リスナーさんとやるので、よろしくねーと。
『今日こそ勝つ!』
『とても面白い武器ができたので、よろしくお願いします』
『リベンジしたい!』
おーおー、みんな盛り上がってるねぇ。
いつもの面白武器の人も、新作引っ提げて来てるし。
今回はどんなのを持ってくるんやら。
とりあえず1戦目は野良からかな。
1戦目野良。
双剣持ち近接。
結果 2-0で勝利。
2戦目リスナー。
刀持ち近接。
結果 2-1で勝利。
3戦目野良。
弓と短剣持ち遠距離メイン。
結果 1-2で敗北。
備考 思いの外近接も上手い人だった。遠距離はそこそこ?
4戦目リスナー。
弓持ち遠距離。
結果1-2で敗北。
備考 慣れて来たリスナーさんで、動きが読まれてた。要練習
5戦目野良。
槍持ち近接。
結果1-2で敗北。
備考 まさか槍ぶん回して弾丸全部弾かれるとは。さすがに近接に持ち込まれたら勝てなかった。
6戦目リスナー。
鎖付きハンマー近接。
結果1-2で敗北。
備考 面白武器の人。1個前の槍持ちの真似でめっちゃ振り回して弾丸弾かれた。しかも鎖があるからそこそこな距離があっても当てたきた。上手い。
7戦目野良。
ハンマー近接。
結果2-0で勝利。
備考 使ってたハンマーが肉球のやつだった。あれって売られてる感じ?
8戦目リスナー。
盾と銃持ち。
結果1-2で敗北。
備考 盾の使い方が上手かった。盾のバッシュで怯まされて撃たれたのはちょっと悔しかった。
9戦目野良。
鉄扇と手裏剣近接? 。
結果1-2で敗北。
備考 あまり見ない武器と組み合わせで驚いた。なんならそれをうまく使いこなしてるのにも。3ゲーム目は惜しいとこまで行ったから次は勝つ。
10戦目リスナー、てか守。
ガンランスと盾。
結果2-1で勝利。
備考 しれっと参戦して来た。強くなってたけど、まだまだかな。頑張れ。
「くっそー。1ゲーム取れたのに!」
「成長してるね〜がんば〜」
『煽り鷹』
『まじで成長してる、今度お手合わせ願いたい』
『あのブースト突撃をうまく当てられたら最後取れたのにね』
ゲーム終了後に守と反省会を開催。
彼の質問に答えたり、リスナーさんから褒められたら煽られたり。
まあ、成長につながるといいですね。
このまま配信見てるわー、と言って彼は退場。
お次は野良か。
誰かなー……ん?
「やっほ〜☆」
「……幻覚?」
「違うよ〜? みんなのヤッチョだよ〜」
……目前には銀色の小さめお姫様。
おててフリフリファンサましまし等身控えめ。
なして?
「ヤチヨって野良でSETSUNAやるんだ」
「そりゃあ管理人ですので? たまには潜っていろいろ神々の視点にもならないとね?」
『ミニヤチヨだ!?』
『レアだ、しかも配信に出るなんて!?』
『ハトモリ:すげー』
『あ、ハトモリさんちっすちっす』
コメント欄も大盛り上がりだ。
そりゃあ管理人のヤチヨのSETSUNAはそんなに機会がないからね。
守は、さては分かってないな?
「たぶん分かってないリア友くんに説明すると、SETSUNAでヤチヨに遭遇する確率は、めちゃ低い。だって、プレイ人口多すぎるから。あと、ヤチヨはあんまりKASSENやらないしね」
「レアキャラなのですよヤッチョは〜。自分で言うのもなんですけどにゃ〜」
『俺かれこれ5年くらいは潜ってるけど会ったことない』
『私も2年くらいはやってるけど同じく』
『俺も』『僕も』『私も』『ヤッチョも!』
『おいなんか混じったぞ』
『ヤチヨがヤチヨに会うわけないでしょうが!』
『ハトモリ:そんなにレアなんだ。すげーな』
『いろ:ずるい……』
お分かりいただけました?
今、強火狐いましたよね? やめてよ? 嫉妬で突撃してくるのは。
で、まあ、マッチしたならやるしかないので。
「よーし、今度も蜂の巣にしてあげる」
「今度は負けないよ〜だ。秋/鷹に分けてあげる!」
『今度は?』
『今度も?』
『説明、してください。今、私は、理性を、無くそうと、しています』
『やばいやつおる』
プラベのマッチの話なので黙秘権〜。
エリアに転送される。
ミニヤチヨだから、小さいヒットボックスでやりづらーい。
カウントが始まる。3、2、1 ……。
0!
今回は突撃はしない。ヤチヨのことなので、バレてそうだから。
初手はマシンガンで牽制。
ヤチヨは、傘を回転させて盾にしながら突撃!
「さすがにバレてるね!」
「ヤッチョのこと甘く見過ぎ〜! 管理人、舐めないでよ、ねっ!」
突撃したままこちらに刺突!
流石に当たりはしないけど、小さいが故に機動力上がってるのか避けた攻撃をそのまま遠心力で振り回して追撃を仕掛けてくる。
回転させた光の刃を纏う傘で、フルスイングとは、危ない歌姫だ。
「あぶなっ!? ほんとにお転婆すぎっ!」
「そう言う一面も、良いんじゃなくて!?」
『それはそう』
『ヤチヨならどんな面も良い』
『ヤチヨ道は奥が深い』
『いろ:ヤチヨ可愛すぎ……』
お転婆歌姫様の一面にファンがクラクラしちゃってるみたいですね。
こっちは、真っ二つにされそうで冷や冷やしてるんですけどね!?
「ちょっと離れてもらっても!」
「遠慮させてもらいまして!」
「しつこい!」
マシンガンで距離を取ろうにも傘の盾で寄られてしまう。
牽制がヒットボックスの小ささと盾の当たり判定の大きさで意味をなさない。
さらに機動力も高めで流してくれないと。
なんとアグレッシブなお姫様でしょう。
とにかく、距離を取りたいな。
「なら、隙を見て吹っ飛ばす!」
「!? なにごとでして!?」
傘で盾を張ったところで接近。
死角になった正面から突撃して、加速の勢いのまま回し蹴り!
銃剣よりも重みを乗せれるので、距離を取る分にはこっちのがいいよね!
「ちょっと!? 女の子に蹴りを入れるのはまずいのではなくて!?」
「お淑やかな女の子はそんな物騒なもの振り回さないのではないかな!?」
小さい体を吹っ飛ばされるヤチヨが、戻る前にライフル弾で追撃。
盾に塞がれるのは分かっている。
近寄らせないようにするのが目的だ。
『おーっと、ここで秋鷹無慈悲に蹴りを入れたぁー!』
『これにはヤチヨファンも激怒』
『いろ:ユルサナイ』
『ヤチヨを蹴るなんて……やばこうふ』
『↑やばいやつおる』
さっきから酒寄さん荒ぶりすぎじゃない?
推しが蹴られて怒るのはわかるけど、それ僕にぶつけないで欲しいかな!?
こちとら必死なんだが!
「やっぱ僕は中遠距離メインなんでね! 近寄らせないよ!」
「むむっ! なら、いけ! チビやちビット!」
「え、なにそれ────嘘でしょぉ!?」
ライフル弾でバシバシ盾を削ってたら、どこからともなくチビやちよ達が小さい傘を持って出て来た。
そしてそのままこっちに突撃してきた!?
いや、ビットはありでもそれはなしでしょ!
「さすがにずるいでしょそれ!?」
「管理人のヤッチョがズルをするとでも!?」
「分身増やすのは1対1じゃないでしょーが!?」
数は5人くらいでそんなでもないけど、より小さくなったヒットボックス。
そのうえ傘の盾つき。しかも分身ヤチヨの機能なので自由自在な動きをしそう。
無理ゲーでは?
「やち〜」
「やちょ〜」
「近いって!」
前から突撃してくる2人を上に飛んで避け。
「ヤチ〜」
「ヤチョ〜」
「囲むなー!」
左右から挟もうとする2人を後ろに下がって。
「わはー」
「わっ、わっ、こっち来ないで〜!?」
下から突っ込んできた最後の1人を上手いこと受け流す。
しかし次から次へと突進してくるチビやちよ達。
回避してもキリがないよ!?
でも、攻撃するのは良心が痛む……。
なんてこと考えてると飛んできたチビやちビット、もといヤチヨたちに纏わりつかれそうになる。
『画面の可愛さが半端ない』
『秋鷹そこ代われ』
『無法だけど可愛いからヨシ』
『いろ:いいなぁ。私も纏わりつかれたい』
『チビやちビットは配布されますか』
僕が逃げ回ってる間にコメント欄は大騒ぎだ。
そりゃ見てる分には最高だろうね!? こっちは大変なんですけど!
追いかけてくるチビやちよ等から逃げつつ、しれっとこっちを狙ってる本体のミニヤチヨからも目を離せない。
これSETSUNA!? SENGOKUと間違ってませんか!?
「なかなかしぶといねぇ。試しに使った時は秒で倒せたのに」
「そりゃこんな無法技使えばねぇ!? ウルトでももう少し手心あるでしょ!」
「この状態のヤッチョのウルトってことで、よろしく☆」
「今言うなぁーーーー!!!!」
ミニヤチヨのウルトってことで納得できるのは見ている視聴者だけだって!
やられてるこっちは溜まったもんじゃないが!?
『ハトモリ:へいへーい。鷹さんビビってるー』
『ハトモリめっちゃ煽るw』
『これが友達との距離感……眩しっ』
『なんか、関係ない奴が焼かれてる……』
あいつ、こんどボッコボコにしてやるっ。
でも、今はこっちをなんとかしないと……あっ、やべ。
「やちょ〜!」
「ヤチ〜!」
「わは〜!」
3人に取りつかれた!?
両羽と右腕に張り付かれて動かし辛くなった。
残りの2人は……横!
「やち〜!」
「ヤチョ〜!」
「いたっ!? あっ、ちょ、突いてくるな!」
両サイドから小さい傘で小突いてくる!
しかもダメージ地味に入ってるし!
ビジュアル的に振り払いづらい! やりづらいことこの上なし!
「こんなちっこくて可愛いのどうやって倒せと!?」
「それが出来ないなら秋鷹の負けだね!」
「なんでもありかよー!」
多勢に無勢。
SETSUNAをやっててそんな言葉を言うことになるとは思わなかったけど、結局小突き回され動きの鈍ったところを本体に縦に割られて敗北。
なんか、めっちゃ悔しいんだけど!?
「WINNER! ヤッチョは無敵! 秋/鷹にしてやりました!」
「酷い目にあった……」
『GG』
『これは勝てない』
『ヤチヨが可愛いのが悪い』
『ヤチヨは悪くないよねぇ』
『いろ:羨ましい』
コメント欄は僕を労う声とヤチヨの可愛さを讃える声でわちゃついてる。
しれっと酒寄さんが羨ましいとか言ってるのが見えたけど、まあうん。変わってくれてもいいんだよ?
いや確かに可愛いし、SETSUNAしてない時なら、全然いいんだけど。
僕もチビやちよは可愛いなと思うし。ミニヤチヨも可愛いしね。
でも、SETSUNA中は、違うじゃん?
「次はやめてよね」
「次は正々堂々正面からかち割ってあげる〜」
「うん、物騒だけどまだマシに思えてきた」
さっきの無法チビやち攻撃に比べれば、ね。
というわけで、第2ラウンド。
カウント0と共にまたも突っ込んでくるヤチヨ。
それを僕は上空に飛んで回避。牽制は今回はなし。
初手からライフル弾で削りに行く。
「ヤッチョのビットが反則なら、空飛ぶのも反則でしょ!」
「デバフ背負ってるんだから文句言わないでよ!? てか、そう言うふうにしたのヤチヨじゃん!」
「そうでした! てへっ?」
『可愛い』
『可愛い』
『空を飛ぶな鷹』
『ハトモリ:飛ぶな飛ぶなー』
『いろ:可愛い……うっ』
味方がいない、だと?
一応このチャンネル僕のなんですけど?
ホームなのにアウェーとはどういうこと。
いやまあツクヨミはヤチヨのホームではあるけども。
ええい、やられっぱなしでいられるか!
「このこのこのこのー!」
「よよよっ! 盾割れちゃう!?」
とにかく連射連射連射で盾を割る!
このまま蜂の巣だ!
「ずっと飛び続けるなら、またビット出すよ!?」
「脅しはずるくない!?」
「空から一方的に撃つのとどっちが!?」
「だからそれを設定したのヤチヨでしょ!?」
なんでルール的にオッケーなものを管理人にダメ出し食らわないといけないんだ!
が、チビやちよビットはダメだ。あれを使われてしまえば勝ち目はない。
また画面が可愛いのに埋められて負けるだけだ。
ぐぬぬ。
「やっと降りて来たね! そんなにビットが怖いかにゃ?」
「あんな反則技で負けさせられる身にもなって欲しいが!?」
地上で射撃戦に移行。
ライフル弾で撃ちまくるのは変わらず。
しかし、ヤチヨが小さいヒットボックスで盾なしで突っ込んでくる。
嘘でしょ、これ全部避けるの!?
「盾なくても避けれるじゃん!」
「ヤッチョも出来るとこ見せとかないとね!」
「これだからしごできAIは!」
本当にギリギリスレスレでライフルを回避して寄ってくる。
いや、これ、無理でしょぉ!?
「嘘じゃん」
「残念、本当だよ〜☆」
傘の範囲内まで寄られた。
割られる!
前に、意地の反撃を!
「こなくそ!?」
「往生際が悪いね!」
ショットガンで相打ち覚悟で発砲!
が、しかし。
それよりも早くヤチヨが傘をフルスイングして僕は今度は横にわられて敗北。
うへぇ、次は通常サイズでお願いします……。
「無念は晴らした! 完!」
「さすがは管理人……ってことにしておこう……」
『ちょっと秋鷹しょげてて草』
『まあ、可哀想だけどこれがヤチヨな良さだし』
『ヤチヨがルールだから諦メロン』
『いろ:いいなぁ、私もヤチヨとやりたいなぁ』
『ハトモリ:おつ〜。どんま〜い』
『また煽ってるよこの友人』
ぐぬぬ、守め、この理不尽味わってみないとわかるまい。
酒寄さんはずっとあんな感じだし、今度会う時詰められそうで怖いわぁ。
「ヤッチョ大満足! 秋鷹は楽しかった?」
「まあ、楽しくはあったよ。さんざん振り回されたけどね」
むふーっ! と鼻息荒めなヤチヨは腰に手を当て満足そうだ。
ボッコボコにされただけだけど、そんなに楽しかったのならおもちゃ冥利には尽きるのかな?
まあ、次は負けないけどね!
……まずはチビやちよビットの対策からだなぁ。
てか、チビやちよが出来るなら、それの芦花版……やめよ、これ以上は良くない。
「よよよ、女の子の無茶振りには笑顔で答えるのが良い男ってものですよ?」
「それは意中の人ならいくらでも……って、それは関係ない話でしょ」
「およ? 秋鷹くんは気になる人がいるのかにゃ?」
「はいはいお姫様はそろそろお城に帰る時間ですよ〜」
しれっと気になる人がどうこうなんて話を投げて来たので強制カット。
これ以上は致命傷になりかねないので、小さなお姫様には退場願おうかな。
この前芦花にやったあれでいこう。
速やかに膝裏と背中に手を回して持ち上げる。
「ちょ、お姫様抱っこだなんて……って、投げる気!?」
「そゆこと! じゃ、またね!」
「よよよーっ!? 強制さらばーい────!?」
思いっきり空に放り投げる。
気を利かせてそのまま退室してくれた。
なんだかんだ引き際は見極めてくれてるようで助かります。
『ヤチヨをお姫様抱っこするのはギルティでは?』
『ミニヤチヨだから、ギリセーフ?』
『しれっと手を振ってたから、合意の上では?』
『策士すぎるなヤチヨ』
ほんとに引っ掻き回された……今の1戦が今日の中で1番疲れたかも……。
疲れたし次の1戦で終わりにしようかな。
次はリスナーさんだっけ。
さてさて、お相手は────今日はツイてないな!?
表示された相手は、リヨノ。
まあ、因縁の相手と言っても良い人だ。
『リヨノさんきちゃー!』
『今日は鷹が狩られるところをたくさん見られるな』
『ヤチヨの次にリヨノさんかぁ。良い引きしてるな』
いや、うん。我ながらどういう引きなんだ?
リヨノさんとの戦績はたしか……15回くらいはやってるはず?
で、
ラウンド自体も2.3回くらいしか取れてない。
ほんとに強い相手だ。たぶんプロなのかなって思ってる。
でも、プロにそんな名前の人いないんだよね。誰なんだろ。
定型文の挨拶で『よろしくお願いします』ときた。
リヨノさんはボイスチャットを入れてないので、毎回こうだ。
コメント欄もいつも通り盛り上がっている。
リヨノさんがくる時はめちゃくちゃ盛り上がる。それはもうお布施もたくさんくるくらいには。
ありがたいけど申し訳なさもある。
リヨノさんが上手いからお布施が来ているのに、リヨノさんにはそれをお返しできないのだ。
試合が終わればすぐに抜けてしまうから話しかけられないし、試合中は何も答えてくれない。
フレンドじゃないからいつくるかも分かんないし。
「まあ、考えても仕方ない! 今日こそは勝ちたい! 行きますよ、リヨノさん!」
第1ラウンドが、始まった。
何度も戦って来たけど、やはりリヨノさんは強かった。
初手空を飛んで距離を取っても、的確に羽を狙って矢を飛ばしてくる。
回避しても、その先が見えてるように次の矢が。
そうして、逃げ場を失い撃ち落とされるのだ。
地面で落ちたらあとはもう、無理だ。
立体的な機動でさえ、避けれないものを横とジャンプ程度の縦の動きで避けれるはずもなく。
ついでに反撃は当たり前のように避けられる。
そりゃもうサクッと1乙ですよ。
「かーっ! リヨノさん強すぎ!」
『さすリヨノさん』
『鷹狩りのプロ』
『鷹を狩ることにおいて他の追随を許さない』
ほんとに勝てない。
正直勝てるビジョンが見えない。
何をしても先回りされてるというか。
先手先手で機先を制されるというか。
ラウンドが取れてたのも初期の頃のまだ戦い慣れてない頃のこと。
最近はめっきり取れなくなった。
ぐぬぅ、強すぎる。
「仕方なし、とりあえず切り替えるかぁ」
未だ道は開けなくとも、進むしかない。
いつか、勝利できると信じて。
第2ラウンド、変わらず劣勢。
初手近寄りつつの飛翔。
ショットガンで攻めるも、サクッと避けられ反撃の弓が羽を掠める。
マシンガンの牽制とショットガンの狙い撃ちで仕掛けるが、全然当たらん。
相殺してるわけでもないのに、こんなに避けられることある?
反撃の弓はぜんぶ鋭くて、当たれば1撃。羽ならともかく体ならさよならだ。
リヨノさんはたぶんスキルを使わず強弓という、弓の最大溜め撃ちだけで戦っている気がする。
なのに、強い。
あれこれ弾を変え空を飛び、トリッキーな動きをしている僕とは違い、シンプルな弓の一矢でこちらを狙い据えてくる。
恐ろしいほど正確な狙いで、だ。
「敵わないなぁ。どれくらいやればそこまで辿り着くのやら」
弓矢と弾の応酬の最中、その高い壁の歴史に思いを馳せる。
弓一本でこれほどの腕前に辿り着くには、相当練習したと思う。
だからこそ、こうやって定期的にきては僕をボッコボコにしていくリヨノさんには感謝の念もある。
だって、
リヨノさんを越えられれば、きっと僕はもっと上手くなれる。
僕は別にKASSENで稼ぐプロを目指しているわけではないけど、好きなことは上手くなりたい。
だかは、リヨノさんに勝ちたい。
「でも、壁が高すぎるのも問題だよね……」
あまりにも高くて涙こぼれそうだけどね!?
はぁ、どうしたものか。
どちらかと言うと劣勢な撃ち合いの最中に、現実の方でスマホが鳴った。
片目で確認すると────芦花?
『アキくん、頑張って!』
トークの内容だけ表示された。
芦花が、応援してくれてる。
芦花が、見てくれてる。
芦花に、無様に1ラウンドも取れないまま負けるところを見せる……?
「そんなの、嫌だね」
別にカッコいいと思って欲しいわけではないけど。
でも、芦花の前では、少しくらいはカッコつけれる自分でいたい!
「なら!」
この時のために、練習してたんだから!
「リヨノさん! 今日こそは、勝つ!」
一段階目を起動。
赤い残光が舞う。
『ウルト切った!』
『鷹がやる気になったか!』
『韋駄天が勝つか鷹狩りが勝つか』
コマンド欄が盛り上がってるのが視界の片隅に入る。
でも、今は捨ておけ。
目の前の的に、集中する!
リヨノさんに残像の羽は通用しない。
でも、連射数の増えたライフル弾なら!
「その強弓でも、威力は削げる!」
飛んでくる矢をライフルで反らし、避ける。
まだ、ウルト抜きでは相殺の成功率は3割。
でも、ウルトありなら6割くらいはできる!
「6割消せるなら、やれる!」
ショットガンとライフル弾で、接近しながら攻める!
寄ればその分だけ次の矢が到達するのも早くなる。
それはウルトの機動力と反射神経でなんとかする!
あとは、詰め寄って、ぶち抜くだけ!
厚みの増した弾幕にリヨノさんが後退を続ける。
そこに追撃を仕掛ける僕。
避けきれないショットガンの掠りダメージが入り始めた。
が、僕も反撃の矢を相殺しきれてないものが掠めてダメージを受ける。
ダメージレースは僕の方が勝ってる。
でも、直撃を喰らえば一瞬でおじゃんだ。
とにかく寄って撃ってプレッシャーをかけ続けろ!
「おりゃー!」
正直、こんだけ追いかけながら撃ちまくってるのになんで落ちないのか不思議で仕方ない。
ついでにバックステップで後退と回避をしてるのになんで正確に反撃の矢が飛んでくるのか。
異次元すぎるでしょ。
でも、普段より前精度が低い!
今がチャンス! 両方ショットガンにして押し潰す!
持ち替えたことでさらに掠りダメを増やす。
もう体力は底が見えてる。
でも、まだ油断はダメだ。カウンターを狙うならこう言う時……!
「うおっ!?」
詰めて、詰めて、ほんの一瞬動きが緩んだその瞬間を的確に狙ったカウンターの一矢が飛んできた。
いつもなら、これを食らって負けてた。
でも、今は。
芦花が見てるから!
「負けられないんだなぁこれが!」
気合いの後ろにのけぞり回避で紙一重。
あぶね、まじで鼻先通り過ぎたが。
すぐに体制を立て直して追撃。
視界にはちょっと驚いた様子のリヨノさん。
あぁ、今までならあれで落ちてたもんね。
今回は、いつもと違ったから。
珍しくもろにショットガンの弾を喰らって体力全損。
僕の勝ちだ!
『うぉーーーー!!!!』
『これはGG』
『すげぇ、あそこから巻き返すのか』
『ハトモリ:まじか、あれ勝つのか』
『いろ:……悔しいけど、あれはすごい』
第2ラウンドの逆転勝利でコメント欄が大湧きだ!
守も酒寄さんもいるし、お布施ももりもりされてる。
いやぁ、芦花のおかげだ。
スマホの方にもトークが来てるみたいだ。
『すごいね』
やば、うれし。
不甲斐ない戦いは見せられないと、気合いを入れた甲斐があった。
けども。
「ちょっと、さすがに疲れたかも……」
『おっと? 秋鷹へばってる?』
『さすがにヤチヨとどんぱちして、その後にリヨノさん連戦はきついっしょ』
『その前に10連戦してるしな』
リヨノさんの前の11戦も相まってけっこー疲れている。
でも、芦花の手前しょうもない戦いはできない。
第3ラウンド、なんとか食らいつかなきゃ……。
そうして始まった第3ラウンドは、初手こそ攻め攻めでいけたものの、後半疲労やらリヨノさんが本調子に戻ってしまい、結局体力を3割削ったところで撃ち抜かれてしまった。
『ナイスゲームだった』
『よくやった』
『もうちょいで勝てそうだな』
「そうだねぇ。リヨノさんありがとうございました」
対戦してくれたリヨノさんに感謝の礼を伝えると、お辞儀して退出した。
はぁ、流石に疲れてしまった。
「今日はこの辺で終わるね。それじゃ、また次の配信で会おうね〜」
『おつたか』
『ゆっくり休めよ秋鷹』
『ハトモリ:乙、よく頑張った』
『いろ:お疲れ様でした』
配信を閉じて、スマコンを外す。
ベッドにそのまま横になる。
疲れた。
ぼんやり天井を見てると、スマホがまた通知を知らせた。
「ん、芦花から?」
『お疲れ様。ちょっとだけお邪魔していい?』
『いいけど、どしたの』
『んー、ちょっとね』
なんだろ、分かんないけど来てくれるなら拒みはしない。
ほんの少ししてインターホンがなったので玄関に移動。
扉を開ければ今日もラフな格好の芦花が。
「やっほー。どしたの?」
「さっきの配信見ててさ? アキくん頑張ってたから花丸あげよっかなって」
「!」
なんと!
負けてしまったのに、花丸もらっちゃっていいんですか!
「そりゃ、めちゃ嬉しいけど最後負けたよ?」
「でも、1ラウンド取れたじゃん。コメント欄見てたら最近取れてなかったみたいだったし。逆転勝利だったらしいじゃん」
「まあ、そうだけど」
「なら、労ってあげよっかなって。いいでしょ?」
にっこり笑顔で言われると、うっ、顔が良い。良すぎる。かわよ。
もちろん、そう言われたら否定なんて出来るはずもなく。
「いただきます」
「そうそう、素直に受け取ってね〜花丸〜」
芦花に見られてるから頑張ったけど、その結果花丸がもらえたなら、頑張った甲斐があったということで!
負けても実りの多い戦いだったな!
その後芦花とうちの冷凍庫に入れといたアイスを一緒に食べてまったりした。
暴れ回るヤチヨと静かに狙い撃つリヨノ。
まるで静と動。
それはさておき、チビやちビットははたしてありなのか。
反則くさいけど、ヤチヨだしいっかなって。
さすがに公式の場では使わないよ!
めちゃ急足で書いたので誤字とかあったら誤字報告お願いします!
(書き上がり時刻5時40分)