芦花と幼馴染   作:キイカ

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ほのぼのしたい(2回目)
今更ながら原作の1年前なのでみおちゃんがいたら原作時間で先輩呼びできなそうなことに気づいたので修正しました。
名無しの後輩ちゃんです。
過去のみおちゃん出現回も修正してあります。


バイト先凸!?

 

 

 

 季節は冬の前。11月頭。

 僕と酒寄さんはバイト先のカフェで働いていた。

 長めのハロウィンフェアということで、カボチャを使ったフェアが行われているのを店員として知っていた。

 で、それはいつも仲良くしているメンバーにも共有済みだったわけで。

 本日平日の学校終わりのバイトにて。

 

「いらっしゃいま……わぁ」

「来ちゃった」

「来ちゃいました〜」

「よっ」

 

 とりあえず守は蹴り出してよろしいですか? ダメ? そう……。

 まあ、芦花真実守が、バイト先に襲来してきたわけでして。

 うん、来そうだなとは思ってたけど、ほんとに来るとは。

 とりあえず酒寄さんに対応投げよっと。

 

「酒寄さーん」

「はーい、ただいまご案な……げっ」

「げっ、ってひどいなぁ」

「急に来ちゃってごめんね?」

「3人入れますか?」

「荒鷹く……いないし。押し付けられたか。仕方なし……ご案内しまーす。3名様ご来店です!」

「いらっしゃいませー!」

 

 しれっと逃げた僕はキッチンへ。

 といっても作るのはそんなに難しくないものを覚えてるので、今回のフェアのやつはわからない。

 まあ、なんかやることがあればーって。

 

「荒鷹さん、知り合いですか?」

「うん。酒寄さんも同じく、学校で仲良くしてるメンツ」

「なるほど! じゃあ私も気をつけますぅ!」

「うん、それはいいけど、転ばないでね」

「はいぃ……あっ!」

 

 僕より後から入った同い年の後輩ちゃんから話しかけられて、早速気をつけるままなく転びそうになった。

 咄嗟に腕を掴んじゃったけど、力入りすぎてないかな? 

 

「大丈夫?」

「はい! いつもご迷惑をかけてすみません!」

「うん、とりあえず落ち着いてね」

 

 元気なのはいいんだけど、突っ走りがちなんだよねこの子。

 酒寄さんが今まで面倒を見てたらしいけど、目が離せないタイプの子で困っちゃう。

 気付いたら転けそうになってるし、水はこぼしかけるし、配膳も間違えかけるし。

 でも、持ち前の元気さでへこたれても持ち直すのは良いところかも。

 

「さてさて、ご注文は〜っと」

 

 皆がいるうちはキッチンにこもらせてもらおーっと。

 

 

 

「荒鷹くんこれ、6卓様に!」

「はい店長、6卓行きます」

 

 店長に渡された料理(フェアのカボチャを使ったパイ)を持って、届け先はー……あ。

 

「や〜っと来たね?」

「キッチンに逃げただろ」

「や、そんなことはございませんよ? こちらご注文の品です。それではごゆっくりー」

「あ、今そんな忙しくないでしょ、逃げるな!」

「いやいや、仕事中なので……あ、くそ先回りされた」

 

 キッチン側を見たら酒寄さんがしっしっとこちらを追い払うような動作をしている。

 向こうの仕事を取られてしまったか。

 仕方なし、しばらくこのおしゃべり好きなお客様と戯れるしかないか。

 

「で、なにが聞きたいんでしょうか?」

「なんか、たかちーが敬語使ってるの新鮮かも〜」

「ちょっと身震いが……」

「お客様? 寒いようでしたらあちらにあったかくなれるオーブンがごさいますよ?」

「人を焼くな!」

「それともぐるぐる巻きにして震えが止まるようにした方がよろしいですか?」

「簀巻きにすな!」

「この店員さん荒っぽくな〜い?」

「お客様も一緒に巻きましょうか?」

「やめな〜?」

 

 親友への対応なんてこのくらい雑でよし。

 なんならその彼女もこのくらいでよし! 

 で、入って来ない幼馴染さんは? 

 

「アキくんの制服姿、似合ってるね」

「…………うっす。ありがとうございます」

「ちょっと〜反応違いすぎない?」

「お黙りくださいまし。バカップル様」

「バカップルではないでしょ〜!?」

「今さっきまでお互いに食べさせあっておいてどの方が言うのでしょうか?」

「「むぐっ」」

 

 遠目で見てても分かるって。

 最近は慣れて来たのか赤面することも少なくなって、なんだか熟年夫婦感出てきてますけど。

 別にいいけど、公共の場ではもう少し抑えた方がよろしくてよ? 

 

「この2人は平常運転だからおいといて。アキくんオススメとかないの?」

「オススメ? ここどれも美味しいからなぁ。うーん、芦花だったら……これとか」

「これ? じゃあ、これください」

「あ、分かりました。しばらくお待ちください」

 

 芦花は2人をおいといていつも通りで助かる。

 まあ、ブレることの方が少ないけどね。

 で、そんな彼女は僕のオススメを注文と。

 んー、これなら僕でも作れるんだよなぁ。

 聞いてみよ。

 

 

 

「お待たせしましたーこちらご注文の品です」

「わぁ、美味しそう! ありがと!」

「いえいえ。ごゆっくりどうぞー」

 

 料理を置いたらいそいそと撤退。

 さすがに感想まで聞いてたらバレかねない。

 

「おやー? 随分と早足で帰ってきたねぇ」

「うるさい。酒寄さんもキッチン出来れば分かるよ!」

「や、さすがにこれ以上の仕事は……いやでも時給上がるならありか?」

「うん、唆しといてなんだけどごめん。さすがにやめといた方がよろしいかと」

 

 これでキッチンまで覚えてたら、そのうちワンオペで全部やりかねない。

 今でもオーブン入れるだけとかのめちゃ簡単なものはたまにやってるから、本格的にキッチンに入り始めたらさすがにちょっと。

 負担増えすぎだし、高校生の覚える仕事の量ではないでしょう。

 ということで、キッチン入りは阻止しております。

 時給は、それ以外であげてくださいな。

 

「にしても、キッチンに来てあれは僕が作りたいですだなんて、やるじゃん」

「やめー。ちょい恥ずかしかったんだから」

「別に隠すことでもないでしょ?」

「だからと言って僕が作りましたって堂々と言うのもどうかと思うからね」

「気にしないと思うけどねぇ」

 

 それはそうかもだけどね。

 個人的な心持ちの問題ですよー。

 さてさて、構ってられるのも今のうち。

 そろそろ夜の大波が来るから気を引き締めないと。

 

 

 

「「お疲れ様でしたー」」

 

 僕と酒寄さんは、無事退勤。

 あのあと、怒涛のお客様ラッシュをなんとか捌ききり、みおちゃんのミスもフォローしつつ営業を終わらせた。

 芦花たちは気付いたらいなくなってた。

 酒寄さんも気付いてなかったので、みおちゃんが会計したのかな? 

 

「さー帰ろ帰ろ」

「帰ったら予習と復習進めないと」

「もう勉強モードになってる……」

 

 着替えを済ませ、賄いを持ってお店の外へ。

 

「やっほー。お疲れ様」

「お疲れ〜い」

「乙ー」

「わ、3人とも、待っててくれたの?」

「あの新人っぽい子? が2人の終わり時間教えてくれたからね〜」

 

 みおちゃんめ。しれっと僕らの退勤時間をバラすとは策士だ。

 冬も近くなって気温も下がって来てるから、外で待つのはそろそろキツくなってくるころだ。

 帰ってくれても良かったのに。

 僕と酒寄さんがそんな気持ちで見ているのがバレてしまったようで。

 

「いいじゃ〜ん。たまにはみんなでわちゃわちゃして帰ろうぜ〜」

「そーそー。たまには夜のお散歩もいいでしょ?」

「ってことだよ」

「まったく。高校生なんだから、気をつけないといけないのにね」

「アキくんもでしょーが」

「さいでした」

 

 どうせ遅い時間に出歩きたいだけでしょうに。

 いやまあ気持ちはわかるけど。夜遅い時間に歩くのってなんかワクワクするよね。

 とはいえそこに控えめに言っても美少女と言って差し支えないタイプの子が2人待ってたのはどうなんでしょうね。

 守がいるとはいえ、この前芦花がナンパ……やば思い出してムカついてきた。

 まあ、そういう奴がいないとも思えないしね。

 

「ちゃんと目を光らせてた?」

「当たり前よ。綾紬さんがナンパされた話は俺も聞いてんだから」

「そりゃどーも。なんかあったら……」

「分かってっからそんな怖い顔すんな」

 

 おっと、失敬失敬。

 その辺はこの親友はよく分かってるので心配はないかな。

 一応の確認はするけどね、一応ね。

 

「さてさて、どうでしたか、うちのバイト先は」

「良かったよ。俺もここでバイトしよっかな」

「えー、却下」

「なんでだよ!」

 

 女子3人が前を歩き始めたので、その後ろをついていく。

 守との会話はそのまま継続だ。

 

「なんでって、そりゃなんか、気恥ずかしいと言うか」

「それは俺もだが?」

「あとは、確実に真実が見に来て守が使い物にならなくなるのが想像できる」

「うっ、それは……でも仕事だしさすがに」

「ちゃんと否定できないならやめとけ」

「ぐぬぬ」

 

 いやまあどこに行っても、真実は絶対来るとは思うけど。

 そう考えたらむしろうちの方がいいのかも? 

 迷惑被るのが僕と酒寄さんならリカバリーは出来るし。

 

「んー、まあ本気なら面接来れば。その代わりしばらく先輩呼びだな」

「まじぃ? 荒鷹先輩かぁ」

「うわ、ちょっと背筋震えた」

「おい、どういう意味だ」

 

 後輩ちゃんに呼ばれる分にはまあ分かるけど、あれでもあの子も同い年か。

 んんー、でも守に先輩呼びされるのはちょっとなぁ。

 うん、考えないようにしよう。めんどい。

 

「まあ、好きにしなよ。キッチンはあるから料理もできるしね」

「あーそこは家で最近練習してるから。バイトは単に小遣い稼ぎかな」

「そうなの? なら配信は?」

「さすがにお前みたいには出来ないかな。俺ああいうプレイが出来るほど上手くはないし、そこまでのやる気もないしさ」

 

 それもそうか。

 僕が続けてるのも、中学の時からの積み重ねだし、研究はしてるけどプロを目指してるわけでもなし。

 小遣い稼ぎ……と呼ぶにはファンが多いかもだけど、本職にするほどではない。と、思ってはいる。

 芦花とか真実くらい人気ならありだとは思うけどね。

 男のライバーで人気を出すなら、もっと魅せプとか出来ないとだし。

 

「僕とたまに配信でコラボとかしてその分のお布施もらうとかはいいんじゃない?」

「いや別にそう言うの目的で配信に参加してるわけじゃないし。なんなら荒鷹のプレイにお布施してもらってるんだから、そこはちゃんと受け取れよ」

「守がいいならいいけどさ。守宛になんかきたらその額でふじゅ〜送るわ」

「そんなことがあればな」

 

 ありそうだけどなぁ。

 上手くなってきてるし、彼女持ちってことでいじりやすくもあってわりと親しみやすそうだけどね。

 てか、それを言ったら酒寄さんもライバーとかやればいいのにね。

 あの上手さなら絶対人気出るのに。

 多忙すぎて余裕ないって言ってるから仕方ないけど。もったいない気もするよね。

 

「じゃ、皆またね」

 

 なんて話してるうちに気付いたら酒寄さんの住むアパートに着いていた。

 階段を登る彼女の後ろ姿でハッと我に帰った。

 やば、逃げられる! 

 

「逃がさないよ?」

「ちっ、今日はバレないかと思ってたのに」

「そうはいかないよね。はい、今日の」

「受け取らないという選択肢があります」

「いいえ、ありません。押し付けます」

 

 押し付け、撤退! 

 速やかに離脱ですよ! 

 

「あ、こら! 逃げるな!」

「またねー!」

 

 しれっと先に離れる。

 3人も怪訝な顔はしてるけど、いつものやりとりだと気付いてくれた。

 

「たかちーもようやるね」

「もはや義務みたいになってるよ」

「アキくんは自分で食べてないの?」

「いや? 休憩とかあとは、自分でお金出したりで食べてるよ?」

 

 いやそれ賄いの意味……って、声が真実から聞こえたけど、聞こえませーん。

 お客さんに聞かれた時に説明できないのは不味いからね。一通り休憩時間で食べて、あとは時々自分で買ってるよ。

 

「たかちーがいいなら何も言わないけどさ。なんか不思議なことしてるよね」

「あー、まあね〜」

「……」

 

 芦花がぎこちなく笑ってる。

 うん、バレてる気はする。

 でも、芦花だけじゃないから僕もぎこちなくなっちゃう。

 ヤチヨに頼まれてるとは流石に言えないし。

 こんなに的確に酒寄さんくらいしかいない頼みをしてくるヤチヨは、一体何を思って僕に頼んだのやら。

 謎が深まるなぁ。ヤチヨ道は深い……のか? 

 

 

 

 途中で真実達とも別れ、芦花と2人歩く。

 空は曇ってるのか月が見えない。

 なんとなくではぼやけた光が見えるからあの辺かなって感じはするけどね。

 

「ありがとね」

「ん? それはなんの感謝?」

「私が頼んだから、彩葉に押し付けるように賄い渡してくれてるんでしょ?」

「んー、まあそうだね。お弁当は無理でも賄いならなんとかいけそうだったからこう言う形にはなりました」

「うん、だからありがと」

 

 別にいいのに。

 なんて。芦花はそれでも気にするんだろうから、受け取っとくよー。

 

「どーも。ま、効果はあるのか分かんないけどね」

「ん、ちょっと前より顔色は良いかも? でも、余裕ができた分より追い込んでる気もする……プラマイなんとも言えないって感じ」

「んー、残念だ」

 

 そう、お弁当のおかずアタックやら、賄い押し付けで改善されたかと思ってたけど、余裕が出来た分をさらに追い込みに回してるみたいであんまり変わってない気がする。

 目の下の隈も変わらず、顔色こそ悪くはないけど、それでもちょっと青白いというか、元気な人の顔色には残念ながら。

 芦花が伝授した化粧技術? で誤魔化してるからあんまりバレてないみたいだけど、僕ら身内にはバレバレだ。

 昼休みに寝かせてみる目論見は、頑固に勉強をしたがる酒寄さんの前に敗北。

 睡眠不足が1番不安なんですけど。

 いっそ眠くなるように満腹にしてあげるのが1番かもだけど、そこまで行くにはそれこそちゃんとしたお弁当じゃないと。

 それは受け取ってはくれないだろうから、どうしようもない。

 

「困ったねぇ」

「ね。どうしたらいいのかなぁ」

 

 ぼんやり空を見上げた芦花の横顔は、綺麗で、儚くて。

 いいなぁ、と思ってしまう。

 こんだけ心配してもらってる酒寄さんが、羨ましい。

 でも、僕も心配してるから何もいえない。

 いつか体を壊して、目の前からいなくなる。

 そんな遠い昔の親友みたいな結末にはなってほしくない。

 

「難しいね」

「ね、難しい」

 

 幼馴染と2人、僕らは頑張りすぎる友達に思いを馳せた。

 

 

 







ほのぼの……?
3
(こっそりカウント修正しましたごめんなさい)
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