芦花と幼馴染   作:キイカ

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22時に更新してるのでそちらを読んでなければそちらからどうぞー
初手真美視点途中から主人公に戻ります
あと、主人公の親友に名前がつきました(今話から)


階段はゆっくり登ろう

 

 

 

 次の日の朝、私はいつも通り校門の前で2人を待っていた。

 昨日の放課後の一件のあと芦花とはコンビニに寄って甘いものを奢ってあげた。

 メンタルに来た時は甘いものがいいからね! 

 というのは芦花だけじゃなく自分のためだったかもしれないけど。

 あの時のたかちーの表情は今まで一度も見たことがなかった。

 芦花が告白されてること自体はたぶん察してたと思う。今になって思えば。

 それがあった次の日はちょっといつもよりテンションが低い気がした。というか芦花の手前いつも通りであろうとしてたように思えた。

 それが今回うっかりバレてしまったから。

 私が上手く隠せなかったから、いやでもああいうことが起きてしまった以上今回は助けられたのかもしれない。

 もしこれで芦花の心に深い傷が残ろうものなら私も悲しくなってしまう。

 もっと強く止めておけば良かったと。ついてあって断るのを手伝えば良かったと。

 そういう意味ではたかちーのお陰でなんとかなった。

 でも、あの顔は、あの瞳は……大丈夫なのかな。

 ちょっと不安になってしまう。私も見ていたことには気づいているはず。彼がなんというかわからなくて不安が残る。

 そう2人が来るのを待ちながら考えていたとき。

 

「……お、おはようございます! 諌山さん!」

「っ!? お、はよう? えっと……ハトカワくんだっけ」

鳩河守(ハトカワマモル)です! 覚えてくれてて嬉しいです!」

「流石に3年間クラス一緒だから覚えてるよ。珍しいね、鳩河くんから話しかけてくるなんて、どうしたの?」

 

 不意にかけられた声で意識が現実に戻ってきた。

 ちょっと大きめの声でびっくりしたけど、声の主はクラスメートの鳩河くんだった。

 3年間クラスが一緒で、確かたかちーの親友ポジだったかな。私たちといない時はよく彼といるのを見かける。

 唯一たかちーが自分から親友だと言って憚らない相手だから、珍しいなと思って記憶の隅ら辺にいたのだ。

 

「えっと、その、なんというか、まあ、諌山さんがすごい悩んでるように見えましたので」

「……へぇ、よく見てるね。あと呼びづらいだろうから呼び捨てでもいいよ?」

「いえいえそんな! 諌山さんでいかせてくださいお願いします!」

「そ、そうなの、鳩河くんがそれでいいなら」

「むしろ俺の方こそ呼び捨てでいいですよ! はとかわぁ!って雑に呼んじゃってください!」

「急に呼べるわけないでしょ〜もう」

 

 ずいぶん面白い人だなって話して思った。さすがたかちーの親友やってるだけはあるね。

 なんというかたかちーって、芦花以外のことに興味がなさすぎて、というか持たなすぎて友達が少ないのだ。

 3年間クラスで見てきたけど、たぶん彼以外で親しい人を見たことがない。なんなら私と芦花と彼以外でよく話す人までいないんじゃなかろうか。

 別にコミュ力がないわけではないと思うんだけど、たかちーが自分から話しかけにいくことがないのだ。必要にかられなければ。

 あとは話しかけられても2、3言で終わっていたり。話を続ける気もなさそうだったし。

 なのに芦花とはいくらでも話せている。謎だ。どういう考えなんだろうか。

 

「それで諌山さんは朝からなにに悩んでるのですか? 俺でよければ聞かせてください」

「え〜、鳩河くん意外と押し強いねぇ。流せたと思ってたんだけど」

「いやいや、さすがにいつもの諌山さんの感じじゃなかったからわかりますよ……あ」

「いつも……?」

「なんでもないです気にしないでくださいあれですあれあのその普段荒鷹とか綾紬さんとかと話してる時の表情と比べてってことですはいそれだけです」

 

 急な早口にちょっとびっくりしちゃった。

 でも鳩河くん意外と人を見てる。

 たしかに今の私の顔は2人(芦花とたかちー)と話してる時よりかは幾分か暗いとは思う。自覚はあった。

 でも他の人にバレるほどではないと思ってたのだけど。

 やっぱり私隠し事下手なのでは? 

 

「う、うん。分かったから落ち着こっか。まあ悩んでるのは確かだよ」

「それは、いったいどんなことです? 解決できるかは分かりませんけど、相談には乗れますよ?」

「……優しいなぁ。ずいぶん親身になってくれるね?」

「えっ、あの、えっと、まあ…………親友の、友達なんで? やっぱり気になるじゃないですか」

 

 めちゃ親身になってくれる鳩河くんの優しさが身に沁みます。

 正直悩んでも答えは出ないというか、とりあえず芦花以外で誰かに話したかったからとても助かる。

 たかちーの親友という点で話が伝わらないか不安ではあるけど、でも親友だからこそ大丈夫かなとも思いたい。私と芦花みたいにね。

 

「……人通り多いし、歩きながらはなそっか」

「わかりました!」

 

 私は2人を待つのをやめ、昨日みたく鳩河くんを連れて歩きながら昨日のことを相談するのだった。

 

 

 

 

「おはよー、あれ珍しい組み合わせだね」

「おはよーほんとだ。2人ってそんなに仲良かったっけ?」

「おはよー、まあちょっとね」

「おはようございます、挨拶してちょっとお話してただけですよ」

 

 今日も芦花と2人で登校。校門に真実がいないのでおや? と思っていたら先に教室で2人で話しているではないですか。

 珍しいこともあるもんだ。あんだけ話しかけるの躊躇ってた我が親友くんが、1つも2つもも階段飛ばしてるじゃないですか。今日はお赤飯かな。

 

「ふーん。あ。真実?」

「ヒャイッ! なんでしょうか!」

「や、取って食うわけじゃないんだからそんなに驚かなくても」

 

 ちょっとお話ししたいことがあるから話しかけたらこの反応。

 確実に昨日の()()だって気づいてるな? 

 

「あとでよろしい?」

「……は〜い」

「? なにかあったの?」

「んーん。なんでもないよ今度のカフェで聞きたいことがあったから」

「ふーん?」

 

 釘刺すだけだし別にチャットアプリでもいいんだけど、まあ一応直接の方がなんとなくいいかなって。

 チャットアプリだとメッセージ残るしね。

 

「今度のカフェ?」

「ん? あぁ、今度3人でカフェ行くんだよ。お、どうせなら守も来る?」

「え。それって荒鷹と諌山さんと綾紬さんの3人?」

「うん」

「あまりにも恐れ多いというか、俺の心がもたないというか」

「じゃあ行かない?」

「行きたいです。同席させていただいてもよろしいでしょうか」

 

 だってさと、芦花と真美に視線で話を振ったら芦花は笑顔でオッケーって指でサイン出してる。可愛い。

 真実はフリーズしてたけど芦花がもう一度話しかけたら「いいよ! 私も鳩河くんともっと話してみたいし」という返答があった。

 守、顔溶けかけてるぞ。人には見せられない顔になるぞ。

 

「じゃあ来週土曜日空けといてね」

「命に変えても空けます」

「そんなに!?」

「はい!」

「えぇ……」

 

 芦花と真実がちょっと引いてて面白かった。

 我が親友にようやく春の訪れがきそうでなによりです。まだ秋の終わりだけど。

 

「というわけで真実しゅーごー」

「は〜い……」

 

 とまあ話がいい感じのタイミングだったので真実を連行。

 と言っても昨日のことは芦花には絶対に言わないでねと言うだけで。

 別に真実には怒ってないんだけど……。

 

「本当に怒ってないの?」

「なんでよ。真実悪くないじゃん。あれはアイツが悪いだけだし」

「そうだけど……もっと早くから私がついていればー、とか。もっと早くに教えてくれればー、とかないの?」

 

 あーそういうこと? 罪悪感みたいなので心持ちが良くないから、どうせなら罰して欲しい的な? 

 別に真実のおかげであの場にいれたわけだし。全部結果論だし。別に気にしなくてもいいんだけどな。

 

「んー、真実は芦花の大事な親友だからさ。きっと真実なりに芦花を思ってのことだったろうから」

「それは……そうだけど」

「じゃあいいよ。芦花を思って行動してくれたなら僕はそれでいい」

「でも……」

「僕がいいって言ってるの。芦花だってあああうやつがいないと思ってるわけじゃないし、今回はあーいうことが起きてしまっただけ」

 

 誰も悪くない。だから気にしないで。こるからも芦花を思って動いて欲しい。

 そう伝えてみると、真実もちょっと飲み込むのに時間はかかっていたけど最終的には納得したらしい。

 

「わかった。あの件は秘密にしとく。それでいいんだよね?」

「うん。金輪際関わらないようには言ってあるから、あとは大丈夫」

「うん、じゃあ戻ろっか」

 

 お話は終わり。こんな辛気臭い話よりも芦花の話が聞きたいし話したい。

 面倒臭いけどたぶんアイツ以外は最近芦花に告白してるやつはいないらしいし、中学生のうちはもう安泰かな。

 我が幼馴染ながらモテすぎて大変だねぇ。まあ、変なやつは寄り付かせないけど。

 

 

 

 

「そういえば芦花、昨日は大丈夫だったの?」

「あー、真実に甘いもの奢ってもらっちゃった」

「良かったね。持つべきものは友だね」

「うん、真実と会えて良かった」

 

 朝の通学路で話していた時に芦花がこう言ってくれていたから、僕としても真実を困らせたくないし、芦花のためにも真実には元気でいて欲しい。

 だから今まで隠していたのはチャラにしておく。

 もし何かあってからだったら……どうかなぁ。

 

 

 

 

 

 荒鷹が諌山さんを連れて行ってから俺は綾紬さんと2人になってしまった。

 俺の心は諌山さんに一直線だけど、綾紬さんはとても美人だ。だから2人きり、というには周りに級友が多いけど、ちょっと縮こまってしまう。

 

「あ、そういえば綾紬って呼びづらくない? 芦花でいいよ?」

「いやいや、さすがに下の名前で呼ぶのはあまりにも恐れ多いというか、なんというか」

 

 たぶん荒鷹が……やめとこ考えるの。怖すぎる。

 綾紬さんもさすが諌山さんの友達なだけあってとても優しいし気遣いできて素晴らしいんだけど、出来ればそういうのは荒鷹だけにしといて欲しい。

 荒鷹に何されるかわかったもんじゃない。

 

「そう? 私の苗字長いし呼びづらいと思うんだけどなぁ」

「でも綺麗じゃないですか。あやつむぎって」

「そう? ありがと」

 

 おっとこれはやばい奴だ。

 ふと寒気を感じて振り返れば荒鷹がちょうど戻ってきていた。

 終わったかも。

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