芦花と幼馴染   作:キイカ

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これまた一瞬のシーン。


皆でカフェでのんびりタイム

 

 

 

 本日は珍しく6人揃ってカフェに向かっております。

 酒寄さんの夏期講習がなく、バイトも今日は夜からにしていたようなので参戦! 

 となると、見目麗しい女子4人と爽やか野郎と僕という絵面になるわけでして。

 

「夏の紫外線ばりに嫉妬の視線を感じる〜夏だね〜」

「いや夏ではないだろそれは」

 

 前方を歩く女子の後ろを僕ら男子2人は歩いている。

 4人から振られる話に参加できる距離にいるから、街行く人の視線がね。

 守はいいとして、やっぱ僕にくるねぇ。

 

「まあどうでもいいね」

「そういうとこお前らしいよな。気にしないところ、普通は気にしそうなもんだけどさ」

「だって、視界の片隅にも入れないような人たちになにを気にしたらいいの? 今だってこうして僕を見てる人のことなんてだーれも見てないのに。寂しいもんだよね、勝手に羨んで嫉妬してるの」

「やめとけ? 敵を作りすぎな?」

「芦花さえいるなら他は別にどうでもよいのです。あ、皆は別だよ」

「極端すぎるなこいつ」

 

 切り捨てておりますゆえに〜。

 それはさておき、本日は有名な注文が呪文みたいになりがちなカフェが目的地です。

 おやつタイムみたいな時間なので、ドリンクと甘いものを少し食べたいなというお気持ちです。

 6人ともなると席を取るのが大変ですが、まあなんとかしましょう。

 お店について、僕と守は席取り。女子たちは注文へ。

 あ、頼んで欲しいものは伝えてあるよ。

 窓際の景色も良さげな良いところを占領。いや、占領って言い方良くないな。

 確保ね、確保。変わんないか。

 

「いい席取れたね」

「でしょ? 窓際の良いところ空いてたんだ」

「おぉ〜いいじゃ〜ん。男どもやるねぇ」

「真実言い方ぁ」

 

 先に注文品が出来た芦花と真実が来た。

 芦花がコーヒー、真実は抹茶のフラペチーノ。あとお盆には真実のと思しきクラブハウスサンドと芦花の頼んだチーズケーキ。それに僕と守のアイスティーが載っている。食べ物は酒寄さん達が持って来てくれるかな。

 

「真実この時間にサンド食べるの?」

「お腹すいちゃったんだよね〜。夜ご飯は食べれるからへーきへーき」

「さすがとしか」

 

 これがグルメインフルエンサーの胃。もう何度目かだけどすごいね。

 そういえばこの前タピオカラーメン? とかいう二郎系のやつも食べに行ってるんだっけ。あれも普通に食べ切ってたらしいし、なんなら全マシマシ? とかいうすごい量のも食べたって聞いたことがあるから、やはりすごい。語彙力なくなったけど。

 上がった動画も見たけど、まあ、なんというか、インパクトがすごい。カラフルで、でも周りにはラーメンの具材があって。情報量が多かったね。

 さすがに芦花はそこまで食べれるほどじゃないから、二郎系とかは行かない。僕もそこまで興味はないので、かぐやに誘われてはいたけどパスした。

 

「うっひょ〜〜!! 景色さいこーじゃん!」

「うるさっ。もうちょい落ち着きなね。でも、景色いいのは確かね」

「良いところ取ったよ、ほらかぐやも座りな」

 

 残った2人も揃ってこちらに来た。飛び出しそうな雰囲気出してたけど、かぐやはなんだかんだ酒寄さんの横からは離れてないのが微笑ましい。

 酒寄さんの持つお盆には、アイスティーといちごのフラペチーノ。いちごがかぐやだな。

 で、あと僕のショートケーキと守のチョコケーキが載っている。お? ブルーベリーのチーズケーキもあるな。これもかぐやかな? 

 代金はそれぞれ出してるけど、酒寄さんの分はおそろくかぐやが出してるようだ。配信がいい感じで、奢らずともかぐやが出せるようになって来たらしい。

 良かった、のかな? 酒寄さん本人はまだ自分のお金ではないしと渋ってそうだけど。一応かぐやは酒寄さんの預かりだから、お金も酒寄さんのものでも間違いはなさそうだけどね。

 

「写真とろ〜! 彩葉〜こっちこっち〜!」

「あっ、ちょ、引っ張らなくても行くから!」

「ろかとまみも!」

「はいはーい」

「は〜いよ」

「じゃ僕らが撮りましょうか」

「あいあいさ」

 

 窓際に並んだ4人を、僕らが撮る。

 かぐやのハイテンションな号令と共に、ポーズやら表情を変えて何枚も撮った。

 ふっふっふ、やっぱ芦花可愛い。写真写りが良すぎるな。カメラ映えする撮り方とか表情が分かってるようで、素晴らしいね。

 これもまた秘蔵の芦花フォルダに……。へへっ。

 

「アキくん?」

「はいなんでしょうか!?」

「笑顔で固まってたけど大丈夫?」

「なんでもないよ? 大丈夫でっす」

 

 あっぶな。今日も最高な幼馴染の様子にやられるところだったよ。いやだいぶ前にやられたまんまではあるけども。

 さてさて? かぐやの投稿用になるかは分かんないけど写真は撮り終えたかと思ったけど、僕らがいないので、今度は自撮りスタイルで皆で固まって撮ることになった。

 こうなると身長の高い僕は必然的にカメラを持つハメになるのだ。前に測った時は179だったけど、最近測ったら180超えてたんだよね。これが成長期ってやつかぁ。こんなに身長あってもスポーツやらないから意味ないかも。まあ、芦花の隣に立つ分には見劣りしない身長ではあるかな? 

 というわけで僕の自撮りテクも否応にでも上がっています。真実に持たせたりすると、僕の腰がね……。歳はとりたくないね、なんて言うとお母さんにどつかれるけど。

 

「はい、ピース」

「いぇ〜い!」

「ぴ〜すっ」

「ピース!」

 

 かぐやの元気なダブルピース、真実の少し気の抜けた、でも自分の可愛いところを理解したゆるピース。

 守は真面目なかんじの普通のピース、酒寄さんはめちゃ照れてるかんじで顔を少し隠している、さっきの写真も恥ずかしそうでしたね。

 で、芦花。

 うん、可愛すぎてね。

 ばっちりウィンク決めながら少し顔を傾けて可愛い角度を見せつけ、横ピースを顔の横に置いてさらにウィンクを強調。極め付けは最高の笑顔。

 はい、ここにノックダウンが1人。

 人生は素晴らしいものでした……なんてね。

 

「どーよ」

「アキ自撮りするとき便利!」

「言い方」

「でも身長高いと撮りやすいし、角度的に盛りやすいからね〜」

「でも便利って言い方は複雑なんですよ」

「まあまあ、助かってるってことで、ね?」

 

 芦花がそういうなら……。

 それはそれとしてさっきの写真は永久保存しとかないと。あれは素晴らしいものです。

 

「さ、食べよ〜」

「ちょっと日向にいすぎて汗かいたかも」

「空調効いててもやっぱ暑かったですね」

「まあ映えのためなら汗の1つや2つ!」

 

 そろそろ待ちきれなくなった真実が着席。酒寄さんもちょい暑そうだ。ハンカチで汗を拭いてる。

 守がそんな酒寄さんに気遣わしげに声をかけて、かぐやがそんなところに映えのためだなんて突撃していく。

 なんとまあ賑やかなこと。

 僕と芦花も2人がけの席に座って買ったドリンクを飲む。あ〜生き返る。

 

「アキくんショートケーキ? 珍しいね、いつもはチーズケーキかチョコケーキなのに」

「たまにはいいかなって。芦花も食べる?」

「いいの?」

「もちろん。食べたいだけ食べていいよ。僕は一口でもあれば満足だし」

「さすがにそれは申し訳ないって。でも、じゃあ少しもらうね」

 

 どうぞー。

 フォークを渡して、ケーキを食べる幼馴染を見ていると、なにやらかぐやがこちらを凝視。なにごと? 

 あ、もういいの? じゃあ僕も……え、フォークそのまま返すって? いやーそれは……はい、なんでもないよ、ありがとうね。……ぐぬぬ、強い。

 で、なぜか真実と守を1度見てからまた凝視。なんじゃい。

 む、ここのショートケーキ、意外と甘さ控えめ? 食べやすいな。ん? なんか芦花顔がほのかに赤い? 気のせいか。

 真実たちも、普通にいちゃついてるけど、なんか視線感じるし。

 なんなら酒寄さんもこっち見てる? なんですかまじで。

 

「これが例のやつ……なるほど」

「かぐや? 芦花たち見て……あー」

「彩葉もわかるの?」

「まぁ、言わんとしてることは」

「じゃあ、彩葉も馬に蹴られないようにする会の仲間だ!」

「なんだそれ」

 

 いや、なんだそれ。

 馬に蹴られないようにする会? なにやってんだ? 

 よく分かんないけど、まあ放っておきましょう。かぐやのことだから勝手に騒いでるだけかもしれないしね。

 ところで真実? 目が合わないと言うか逸らしているのはどうしたんだい? なにかやましいことでもあるのかな? 怒らないから吐いてみ? 今ならロシアンわさび激盛り寿司食べた時の動画で許してあげるよ? 

 

「ヒッ、なんか悪寒が」

「大丈夫か? 冷房当たりすぎた?」

「いや、すごく近いところから悪意が」

「おいこらなにが悪意だ」

「自覚あったんだねなにより」

「守、ちょっと彼女借りていい?」

「俺のだからダメでーす」

「ちっ。これだからバカップルは」

「見せつけられてるこっちの身にもなれ」

 

 なんのこと? 

 別に何かを見せつけたような気はしないんだけど。

 まあいっか。

 甘味やらサンドやらを食べ終えて、しばしの食休みタイム。

 かぐやが僕と芦花の膝に転がって来た。いやこんな狭いところで横になろうとすな。

 

「うぇ〜い、膝貸して……ろかはやらかいけど、アキかたーい」

「当たり前でしょうが、男だぞ」

 

 頭の方を芦花に、腰らへんを僕の膝らへんに預けている体制だ。靴をしれっと脱いで行儀の悪さも目立つ完全なリラックスモード。なんて悪童。

 ちょっと保護者さん? 回収してもらっても……って、うたたねしとる。

 日頃の疲れってやつかな。仕方なし。そっとしておきましょう。

 となると、かぐやの相手は僕らかぁ。

 

「わたしたち飲み物追加で買ってくる〜」

「じゃよろしく」

 

 真実たちも巻き込もうとしたら、しれっと逃げられた。

 こいつら、危機感知能力高いな? 

 

「ねーねー、ろかー。どーしたらもっとろかみたいにキレイになれる?」

 

 見上げた先の芦花の顔を眩しげに眺めながら、かぐやが急に尋ねた。

 芦花は膝の上のかぐやの髪を優しく梳いてあげながら、少し考えてる。

 

「ん〜、かぐやちゃんは今でもお肌つるつるだし、髪の毛もさらさらキラキラで綺麗だよ?」

「でもでもろかみたいにもっと可愛くなりたーい!」

「あ、私のこと可愛いって思ってくれてるんだ」

 

 なんでそこ知らなかった風なの? 可愛いが? めちゃくちゃ周知の事実だが? 

 

「? うん、ろかはめっちゃ可愛いよ? ね、アキ」

 

 おっとぉ? 急にパスが来たぞ? 

 不意打ちは良くないって教わらなかったのかい? 教わってなさそうだね、うん。

 

「んんん!? 急にきたね。まあ、うん、芦花は最高に可愛いよ」

「ほら、アキも言ってるよ?」

「アキくんはいつも褒めてくれるからね」

「でも嬉しいでしょ? 可愛いって言われるの」

「うっ、それは、まあ、その、そう、だけど……」

「だって! アキ!」

 

 この悪童、好き勝手しおってからに。

 いや別に僕の芦花への褒め言葉は100%本気なんですけど、大体流されるしね。

 でも、嬉しいんだ……そっかぁ。

 やば、ちょっとニヤついたかも、平常心だ。落ち着こう。

 

「アキはさ、まみとか彩葉とかには可愛いって言わないの?」

「え、まあ、うーん。真実は守がいるから言わないな、昔は何回か言った気もするけど、最近はないね。酒寄さんは可愛いよりかはクールな感じがする。まあ、可愛いって思う人もいると思うよ、感性はそれぞれだしね」

「ふ〜ん。かぐやはっ!?」

「可愛いんじゃない?」

「てきと〜! ろかは?」

「可愛い」

「扱いちが〜う!」

「あったりまえじゃん。幼馴染だし……」

 

 最愛だしとは、さすがに言わないけど。

 いやそもそもここにいる皆可愛いんだけどね? それを口にするのは良くないんですよ。

 この歳にもなると、可愛いって言うだけであっちゃこっちゃからいろいろ言われかねないのです。

 芦花? 例外。というか、真実を言って何が悪い。

 そんなわけで幼馴染以外への可愛いとかそういうのは極力濁します。

 

「幼馴染って、そんなに大事なものなの? てか、幼馴染ってなに?」

「幼馴染が大事っていうか、まあ……それは置いておこう。幼馴染っていうのは、昔から付き合いのある人ってのが分かりやすいかな?」

「昔ってどれくらい?」

「人によるけど、僕らはそれこそ生まれた時からだね。もう17年目に突入したか」

「そういえばそんなに経つんだね。時が経つのは早いね」

「生まれた時から!? そんなに!? それは大事になるね!」

「もちろん人によっては幼馴染といっても途中で疎遠になったりすることもあると思うよ」

「今となっては疎遠になるなんて考えられないけどね。アキくんがいないの考えられないし」

 

 いやそれは僕のセリフなんだけども。幼馴染として、ずっと一緒にいたからね。

 僕としても疎遠だなんてそんなことは絶対ないけどね。

 芦花が離れない限り、僕はずっと彼女のそばにいるつもりだし。

 もう十数年いるんだ、今更僕らの仲は引き裂けないと思う。

 

「そっかぁ〜。そうなんだぁ。ろかとアキはそんなに長く一緒にいるんだね。じゃあさ、2人はどれくらい仲良いの?」

「え゛っ」

「……んっ?」

 

 なんて? 

 

「2人はそれだけ長く一緒にいるんでしょ? じゃあ付き合って1年? らしい真実たちよりも仲良いんじゃないの?」

「ん゛ん゛ん゛」

「……………………」

 

 えっとぉ、あのぉ。

 答えが、見つからないと言うか。

 いや、答えはあるんだけど、例が付き合ってる2人になってしまいますと、僕らの関係はそれ以上にしか見えなくなってしまいましてぇ。

 でも、そんな関係ではなくてですね。

 あの、芦花さん、お願いだから目を閉じて僕の答え次第ですみたいな顔しないで? 

 頼むから一緒に悩んで? 1人にしないで? 

 

「ねーねーアキー、教えてよ〜」

 

 頼むから芦花にも振ってくれ……! 

 なぜ僕を狙い撃ちにするんだこいつは! 

 ええい、無難な回答を考えろ! 

 こんなところでよく分からないまま流されて答えを出すのは絶対にダメだ! 

 

「………………そうだねぇ」

「おっ?」

 

 非常に本意ではないけども、いったんの回答というか。

 誤魔化しにしかならないけども。

 あと芦花? 耳だけちょっとピクピクしてるの明らかに答えは気になってるでしょ。

 あれ、てかピアスしてない。いつの間に? 

 

「幼馴染で、親友で、ほとんど家族みたいなもの、って言うのが近いかな」

「幼馴染で親友でほとんど家族……むずかしーね」

「言葉にするのが難しい関係もあるんだよ、人間にはね」

「その言い方、かぐや向けすぎない?」

「今はギリ大丈夫っしょ」

「綱渡り〜! まあ、大丈夫だと思うけどね! そっか、そういう感じなんだね〜」

 

 ご満足いただけたようでなによりです。

 ところで、隣の幼馴染が少し怒気を発してるように感じるんですがなぜでしょうか。

 僕なにも悪いことしてないはずなんですけど。

 

「あ、かぐやも飲み物欲しい! 彩葉! 行くよ!」

「うぇあっ!? なに!? えちょなになに〜!!!」

 

 かぐやに叩き起こされ酒寄さんが引きずられて行った。

 嵐じゃん可哀想。

 で、残されてしまった僕ら2人なんですが。

 

「芦花さん? なして怒ってるんです?」

「怒ってないよ別に」

 

 その言い方は怒ってますよね! 

 なんで? 本当に理由がわからないんだけど? 

 

「僕が悪いなら謝る……けども、理由が分からないんだけど」

「んー、別にアキくんが悪いというか、私にもよくわからないというか。そっとしといて」

「え、えぇ〜。わかったけども」

 

 どういうことなんですかね。

 いまだに真実たちは帰ってこないし、幼馴染は黙り込んじゃったし。

 誰か空気変えてくれ〜!!!!

 

 

 







アキくんの関係性の言葉になぜかむくれる芦花さん。
何を、求めてたんですかなぁ(すっとぼけ)
なお、この後はみんな戻って来て普通におしゃべりして解散したよ。
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