芦花と幼馴染   作:キイカ

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踊ってるシーンのろかまみ可愛いですよね。
もちろんいろかぐも可愛いんですが。


踊る少女たち

 

 

 

 ある日の昼下がり。かぐやが「ショート用に踊ってる動画撮りたい!」とか言うから撮影のために集まることになった。

 酒寄さんが断固拒否してたけど、かぐやの上目遣いおねだりに屈して一応動画を撮ることにはなったようだ。

 まあ、本当にあげれるのかは不明だけどね。ツクヨミでのライブですら狐の着ぐるみを来てるんだから、現実でなんて絶対無理そうだ。

 芦花と真実はその辺はそこまで気にしないらしい。この前のメイク動画も芦花は普通に顔出ししてたし、真実もタピオカラーメンの時は顔出ししていた。

 僕も気にはしないタイプではあるけど、男女のコラボとかってやっぱそれぞれのちょっとガチ目の方々が燃やしやすいから躊躇しちゃうよね。

 僕個人としては3人とコラボするのは全然いいんだけども。守は顔出しはしない方が良さそうだけど、そこは本人次第かな。

 

「で、今回もカメラマンに徹しますよっと」

「まあ妥当だな」

「アキも守も踊ろうよ〜、楽しいよ?」

「絵面がちょっとね……可愛い子たちの中にむさい男共は入らない方が映えるのですよ」

「えぇ〜!? なにそれ〜!」

 

 そもそもアイドルだとかそういうのじゃない現実男子の踊りとか誰得ですかな。

 皆で踊る盆踊りやらフォークダンスみたいな注目が集まらないならまだしも、こういうのって踊ってる人がもろに動画の再生とかに影響しちゃうからね。

 僕らは黒子に徹しますよ〜。

 

「ぶーぶー。彩葉たちもなんか言ってよー。2人とも踊る気なさそうだよ?」

「いやまあ、私も2人に賛成というか、さすがにいきなり男子交えるのはリスクがすごいと思うよ」

「芦花に同じく〜。せめて別のところでコラボとかしてるならまだしもね〜」

「私も踊る気はないんだけどね……まあこういうのはやりたい人がやればいいんじゃない?」

「おぉ、おねだり断れなかった酒寄さんがそれ言うんだ」

「やかましい。投稿しないならまあ、やってもいいかなって思っただけだし。決してやりたかったわけじゃないし」

 

 はいはい、そういうことにしておきますねー。

 そんでまあ味方を得れなかったかぐやがぶー垂れ始めましたが、そこは保護者の活により軌道修正。

 とりあえず何を踊るのか4人で決めることになった。

 といってもかぐやは特に何も考えてなかったようで、なんとなく踊りたい! って思ったらしい。

 うん、かぐやらしいね。

 じゃあ流行りのやつ? ってなっても、なんか違うとのこと。

 どうせなら可愛いくて、個性的にしたいなんて言い始めた。

 注文の多いお姫様だこと。

 

「なんかないの〜?」

「んなこと言われてもね、僕らにそんなアイデアがあると?」

「ないの? あてになんないなー」

「酷い言い草。保護者にクレーム入れなきゃ」

「保護者やめい。私もそういうのは詳しくないから、何も言えないけどね」

 

 戦力外が3人。

 はてさて、芦花たちは? 

 

「んー、私もそういうのは分かんないなぁ。動画見たりはするけど、そこまで意識とかしてなかったし」

「わたしも〜。どちらかといえば食い気の方が強いので〜」

 

 戦力外が5人に増えました。

 そもそも今から踊るにも振り付け覚えられないのではと言う問題に気づいた。

 

「振り付け、覚える時間ないのでは」

「確かに」

「言われてみればそうだね」

「みんなでやるなら揃える時間とかもいるしね〜」

「じゃあ無理じゃん! うぇ〜!? どーしよー!?」

 

 計画ご破産ですかまさかの。

 いっそのこと踊りじゃなくてそれぞれなんか適当にポーズ取ってけばそれっぽくなるのでは。

 ほどほどに動きをつけたりして。

 

「4人で自分の思う可愛いポーズを適当な動きと一緒にやるのは?」

「1人1人考えてポーズするの? いいかもね」

「各々自信のあるポーズですか、戦いが始まる……!」

「え゛、可愛い、ポーズ……?」

「それさいよー! みんな考えて!」

 

 若干1名固まってる人いるけど大丈夫だろうか。

 まあ、酒寄さんにもそういうことをする時がいつか来るかもしれないし来ないかもしれないから今のうちに練習ってことで。適当だけど。

 かぐやが採用したので、4人は少々考える時間に。

 男子はカメラの担当について話し合い。

 

「どっちやる?」

「僕はどっちでもいいけど、芦花の動画は後でほしい」

「なら俺は真実の欲しい」

「とりあえず僕やるから、データは送ろう」

「持つべきは理解のある親友だな」

 

 僕らは固く手を握った。

 利害の一致? そもそもやらなくともなにかを失うとかないんだけどね。

 強いて言うなら、踊ってるのを集中して見れないくらいか。

 む、思ったよりももったいない気がしてきた。が、まあやるって言ったしちゃんとやり切るか。

 

「決まったかーい」

「私はOK」

「わたしもいけるよ〜ん」

「かぐやはいつでも!」

「わ、私はまだ!」

 

 やっぱ酒寄さんは煮詰まってる様子。

 さすがに可愛いポーズ考えてねなんて、すぐに出すのは相当自分に自信を持ってる人じゃないとね。もとい自分の魅せ方が分かってないと。

 酒寄さんはそういう自信はないみたいだから、難しいみたい。

 芦花たちもいつも言ってるし、クラスの人たちも酒寄さん可愛いしすごいってよく言ってるんだけどね。本人がお世辞としてしか受け取らないから、全く効果がないのだ。

 やれやれ、もったいないね。芦花と同じくらい可愛いとは思うんだけどね。

 

「よーし、始めよー! トップバッターは!?」

「じゃあわたし〜」

「なら次は私やる」

「じゃあかぐや3番目〜♪」

「え゛、私トリ?」

 

 そういうことで。

 サクッと決まった(1人意思関係なし)。

 こういうのは言ったもん勝ちみたいなところあるしね。

 オオトリやらされるくらいなら早めに行くのがいいかなって、真実は思ってそう。芦花は最初と最後じゃなければって感じかな。

 かぐやは流れで言ったな。

 酒寄さんは確実にタイミング逃してるな。たぶんまだポーズのこと考えてたんだろうね。

 さてさて、それでは動画撮影タイムの始まり始まり〜。

 まずはトップバッター真実から。

 

「いくよ〜」

 

 胸元の前でハートを用意した真実はそれを両手のピースに変えながら片足あげてスマイル。

 おっと、隣で見ていた守がしゃがみ込んだぞ。効果は抜群かな? 

 そのままくるっと回ってあっかんべ〜してきた。

 おぉ、守が無言で親指立ててる。急所にも当たったのかな。

 

「ど〜よ」

「彼氏さんがノックダウンしたよ」

「感想は〜?」

「……最高」

「いぇ〜い」

 

 バカップルがよ。完全に2人の世界じゃないか、幸せになってね。

 こいつらは放っておいて、お次は芦花。

 

「やるね」

 

 キリッとした顔で、両の手の人差し指で、口角を上げて笑顔を作ったと思ったら、ちょっと顔をの角度を変えて、笑顔はそのまま指は添えるだけにっこり。うひょ〜可愛い〜! 

 からの小首をかしげて片足あげて、完璧なウィンクとあざとい舌ぺろ。う゛っ。

 

「アキくんどう?」

「可愛い以外なにも言えない」

「ありがと」

「嘘でしょ、明らかに一瞬白目向いてたのに一瞬で帰ってきた……!?」

「こいつ、出来る!」

 

 一瞬意識が三途の川を渡った気がしたけど、親友に蹴り返されました。どうもありがとう、情けないエンドになりそうで危なかったです。

 それはさておき可愛いの暴力でこちらを殴るのは辞めてね? 心臓が足りないよ? 替えないからね? 

 

「芦花やるじゃ〜ん」

「真実こそ小悪魔チックで可愛かった〜」

 

 健闘を讃えあう感じになってますけど、どちらも被害が甚大です。もう少し手心をですね? 

 

「次かぐや! ちゃんと撮ってね!」

 

 あ、はい。

 現実に引き戻されてしまった。

 

「いくよー!」

 

 かぐやは両手を頬に添えて、上半身を揺らして最後にふにゃりとした笑み。おお、幼なげな雰囲気、可愛いじゃん。

 からの両手をピースに変えて、ニヤリとした笑顔。悪童感できて来ましたね。

 

「どやー!」

「ちゃんと可愛かったよ」

「でしょー! かぐやは可愛いんだよ!」

「かぐやちゃんかわいー」

「かわい〜さすが〜」

 

 太鼓持ちみたいになってら。

 でも実際可愛かったのは事実だしね。

 そこの酒寄さんがおねだりくらった時みたいな顔になってるし。ちゃんと効いてるみたいだよやったね。

 さあ、最後は期待のかかった酒寄さん! 

 なにをするのか! 

 

「ほんとにやらなきゃダメ……?」

「ダメー!」

「わたしたちもやったしねぇ」

「ねー。彩葉だけ逃げるのはずるいかな?」

「ぐぬぬ」

 

 覚悟を決めなされ。ここに逃げ場はないですよ? 

 

「やればいいんでしょ! やれば! いくよ!」

 

 お、覚悟決まったか? 

 酒寄さんは後ろを向いてスタート。

 ぴょんと飛びながらこちらを振り返って、両の手を猫の手みたいにして、そのまま空を掻くようなそぶりとともに困ったような笑顔を浮かべている。

 そして、めちゃ顔を赤くしながら両の手を頭の上に兎の耳を模して振りながら「ぴょんぴょん」と呟いた。

 わぁお。

 これは…………。

 

「彩葉……」

「酒寄さん……」

「……なによ、文句ある?」

「いや、むしろ、なんというか」

「振り切ったね〜」

「はい、可愛さ振り切ってますね」

「彩葉めっちゃ可愛かった〜〜!!」

「だぁぁぁっっっ!!! ひっつくな! 暑い! 恥ずかしい! 顔見るな!」

 

 想像してるよりも可愛いポーズ決めてきてびっくりした。

 特に最後の完全に照れた顔の兎の真似は、かぐやでなくとも心を撃ち抜かれてしまうでしょう。

 よかった先に芦花に撃ち抜かれてて。危うく惚れるところだったぜ。

 守も紙一重で回避したみたい。でも可愛いとは思った様子。真実が捲れて……ないな。あれはさすがに可愛いがすぎると思ったのかな? 

 

「彩葉やればできるじゃ〜ん」

「もっと可愛いところ見せてよー」

「彩葉可愛い! もっとやろ?」

「やだ! もうやらない! あと絶対あげないでよ! 絶対!」

「おぉ、荒ぶってらっしゃる」

「荒寄さん?」

「混ぜるな」

 

 もう誰か分かんないじゃんそれは。

 守もボケるようになったなぁ。昔はフリーズしてボケはおろか反応もできなかったのに。成長かこれが。

 

「で、皆の撮れたけどどうするの?」

「彩葉のだけ抜いてあげようかな。ろか、まみ、いーい?」

 

 当初の予定通り、動画は撮れたけどめっちゃ個人的なことを言うなら芦花が可愛すぎてあんまりあげてほしくないお気持ちがあります。

 でも、こんだけ可愛いんだから、あげてもっと芦花を見て欲しい気持ちも……。

 ぐぬぬ、前もこんなお気持ちになったばかりでは。

 

「んー、恥ずかしいからパスしたいな」

「わたしも〜。やってからちょっと恥ずかしくなっちった〜」

「じゃあしょうがないね〜。今回は没ということで!」

 

 およ? 2人に断られたならもう少し粘るかと思ったんだけど、意外とすんなり諦めたな。

 

「かぐやにしては諦め早くない?」

「ん? あー、だってねぇ、2人とも他の人には見せたくなさそうな顔してたしね!」

「そういう機微分かるんだね」

「きび? よく分かんないけど、仲の良い人には見せれても、他の人には見せたくない表情があるってことでしょ? それなら仕方ないよねーって」

 

 お、おお。かぐやが大人っぽいこと言ってる。

 いつの間にやら成長してしちゃってまあ。

 

「てなわけで、今回は終了! どっか行く〜?」

「切り替えはやっ」

「いいね〜近くのタルトの美味しいお店あるよ〜」

「いこいこー」

 

 かぐよ切り替えに驚いていると、それに合わせた真実が何やら近場の良いお店を知ってるようで、芦花もそれに乗って行く流れに。

 しかし、酒寄さんが難しい顔をしていて? 

 

「私この後バイトだから帰るね」

「えぇ〜彩葉も一緒いこーよー!」

「バイトのが大事! じゃあ皆またね」

「彩葉帰るならかぐやも帰る〜みんなばいばーい」

 

 あれま、バイトがあったのか。

 かぐやも酒寄さんと一緒にご帰宅。

 この場には中学の時からの4人が残った。

 

「どーする?」

「行ってもいいんじゃない?」

「いこ〜」

「真実案内よろしくー」

 

 おけれっちごー♪ と真実の先導で僕らは当初の予定通りタルトのお店に向かった。

 道中で守に撮った真実のデータは送ったよ。

 静かに親指立てられたので、僕も返しておきました。

 

「なにしてるのアキくん」

「え、あー、守と遊んでる?」

「なにそれ。あ、さっきの動画私にもちょうだい?」

「ん、いいよー。送っとくね。真実もいるよね」

「もち〜。かぐやと彩葉にも送っとけば?」

「かぐやはともかく、酒寄さんいるかなぁ」

「一応ね、いちお〜」

 

 確かに僕が持っておくのも変な話だしね。

 2人にも送っておこう。

 というか、グループにあげればいい話か。

 時間はかかるけど、皆の分をあげときましょ。

 

「アキくんさっきの本当に可愛かった?」

「どしたの芦花、そんなに気になったの?」

「まあ、せっかく気合い入れたポーズだったし?」

「もちろんめっちゃくちゃ可愛かったし、正直動画アップしなくて良かったなって思ってたり」

「そうなの?」

 

 そりゃあね。

 あんな可愛い芦花は独り占めしたいと思うのも無理はないと思いますよ? 

 守も真実の動画には同じ意見だと思うしね。

 

「芦花の良いところが広がるのはいいけど、ちょっとだけ複雑な気持ちもあるからね」

「アキくんもそういう気持ちあるんだね」

「僕も人間なので? もちろんあるよ」

 

 例えば、嫉妬(皆に可愛いところを見せたくない)だとか、羨望(可愛い幼馴染がいて羨ましいだろう)だとか、独占欲(芦花を人気にしたくない)だとか、顕示欲(芦花にもっと人気になって欲しい)だとかね。あんまり綺麗ではないけれども。

 大元にあるのは芦花が好き過ぎてっていう気持ちだけどね。あんまし暗い方には派生しないように心がけないとね。人間1度落ちたらどんどん落ちかねないからね。

 

「アキくんも悩んでるんだね?」

「そりゃね、幼馴染がこうも可愛いと大変ですよ」

「わー、お世辞で褒めるの良くないなー」

「お世辞じゃないんだけどね」

「はいはい、そういうことにしてあげる」

 

 むう、相変わらず受け取ってくれないし。

 さっきは普通に受け取ってくれたのに、こういうときのは全部流すんだから。

 そんなにお世辞に聞こえるのかな。ちょっと悲しみ。

 でも、こういうやりとりも割と好きだから、我ながら手に負えないね。

 難儀なやつだよ、まったく。

 

「ほらー、おいてくよ〜」

「やば、いつのまにか置いてかれてるじゃん」

「アキくん、いそご!」

 

 幼馴染と話してたら、いつの間にやら親友2人に置いてかれていた。

 なんかニヤニヤしてる気がするし、追いかけて問い詰めねば! 

 

 

 







踊る芦花に焼かれるアキくんであった。
概ね現実でのTikTokみたいなところのポーズですが、そこから派生というかさらに可愛くなるやうにお祈りしながら継ぎ足しました。
きっと可愛さが伝わると信じて!
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