芦花と幼馴染   作:キイカ

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プール回継続!
なぜか日刊44位に入ってたみたいです、なぜか全然わからないですがありがとうございます!


幼馴染と過ごす落ち着かない時間

 

 

 

 10分くらい落ち着く時間を経て、芦花と大きな流れるプールに繰り出した。

 持ってきた大きめの浮き輪を膨らまして、彼女はその穴の中に入る。僕は引く役です。

 あ、芦花は上のシアートップスを着たし、パレオも巻いてくれたよ。良かった、肌面積減ったからちょっと安心。

 ……でもほんの少しだけ、もったいないって思う心があったりなかったり。

 誰もいなかったら好きにしてもらって良かったんだけどね。

 今は周りに人がいるから、ちょっと、気にしてしまう。まだ伝えてすらいないのに。

 はぁ、心の狭い男なのかもしれない。

 そんな気持ちまで流れるよう願いながら、プールに入り浮き輪を引いていく。

 夏も真っ盛りだから、気温が高く、その分プールの水が冷たくて気持ちがいい。ついでに頭も冷えてちょうどいいね。

 

「外が暑い分気持ちいいね」

「ね〜、アキくんが引いてくれるから楽ちんですよー。浮き輪に揺られてクラゲな気分かも」

「芦花クラゲ〜って? もうちょいゆらゆらしとく?」

「よろしく頼んだ〜」

「任された〜」

 

 精神も落ち着いてきたので、緩い幼馴染トークも軽快だ。

 浮き輪に捕まる芦花を右に回したり、左に回したり。

 きゃーって言いながら楽しそうに笑顔を浮かべてる幼馴染が非常に可愛いです。

 あまり勢いをつけすぎないように優しく回しながら、時折ぱちりと目があってなんだか楽しくて笑い合ってしまう。

 なんだか、幸せな時間だ。

 

「も〜、アキくん回しすぎ〜。目が回っちゃうよ」

「大丈夫? もうちょい回しとく?」

「本当に回っちゃうから〜」

 

 ふざけ合うのもいつも通り。

 ずっと気にしてたけど、なんだかんだ芦花の調子も昔に戻ってきたように見える。

 それにしてはちょっと攻め攻めな気がしなくもないけどね? 一体何を思って突っ込んできてるのでしょう? 

 

「は〜、たのし。アキくん変わる? 回してあげようか」

「ん〜いいよ。芦花が楽しそうな方がいいかな」

「それなら私にも回させてくれると楽しいんだけどな〜」

「むっ、なら変わるしかないか」

 

 そう言われてしまったら変わるしかないね。

 全然あと30分くらいは芦花のために浮き輪をくるくるし続けようかと思ってたんだけどね。さすがにそれは酔っちゃうか。

 芦花と場所チェンジ。僕はあえて浮き輪に座るスタイルで行く。穴にお尻をはめる状態ね。

 この状態だと下手すればバランス崩して沈むんだけど、まあ大丈夫でしょう。

 なにやりこの方が回してて楽しそうだしね。

 

「よーし、準備はいーい? いくよー?」

「おー、ばっちこーい」

「それー!」

 

 おおおおお? 

 さっきの僕のスピードと変わらないくらいだけど、なんか、思ってるより早いな? 

 景色がぐるんぐるんと素早く変わり、合間合間で芦花の楽しそうな笑顔が映り込む。

 むう、1番見たい景色が見えないのですが。不具合かな? 

 

「なんかよゆーそうだね。もう少し早くしちゃおうかな?」

「え、いやそんなことないけど……」

「えーい!」

「わひゃ〜〜〜!!!」

 

 芦花さ〜〜ん!? 

 かなり早いんですけどぉ!? 

 ぐりんぐりん回されてちょっと視界がぐらついてますがぁ!? 

 あと浮き輪の上でバランス取れなくてちょっと落ちそうで怖いね!? 

 うっかり手を投げ出して芦花にぶつけないようにしてるから、平衡感覚とかどっかいってるね? 

 あ、やば。

 

「あ」

 

 僕がバランスを崩したのと、芦花がそれに気づいたのは同時だった。

 数秒後、無事? 僕は浮き輪から落っこちてプールに沈んだ。

 ごぼがぼあぼぼ。

 プールの水を飲み込まないよう気をつけながらすぐに浮上。

 

「あ、アキくん!? 大丈夫!?」

「ごほっ、げほっ。……うん、大丈夫、ちょーっとバランス崩しちゃった」

「ごめんね……楽しくて回しすぎちゃった」

「芦花が楽しかったならいいよ。でも、スピードは加減してね」

「うん、気をつけるね」

 

 ちょっとしょんぼり気味な幼馴染。そんなに落ち込まなくとも、僕は平気ですよー。

 あー、耳に水が入って変な感じ。

 頭を振って水が出るかな〜。

 

「水入っちゃった?」

「んー、うん。右側だけ」

「もっかい回したら遠心力で出たりして」

「さすがにやめよっか。今落ちたばかりなんだから」

「だめかー」

 

 うん、なかなか攻めるね? そんなところは攻めなくてもいいのでは? 

 一旦プールサイドに上がって、水を出そうと試みる。

 芦花も一緒に上がって隣に座る。浮き輪を抱えて、少しだけ子供っぽさを感じて微笑ましくなったり。

 本人はキョトンとして僕を見てるけどね。かわい。

 ちょっとだけ耳の水と格闘して、なんとか排出。手強かった……。

 

「やっと出たよ〜」

「お疲れ〜。どーする?」

「もうちょい流れよ」

「おっけー流れよ〜」

 

 流れよって言ってるけど動詞ではないんだよな。まあ、適当な会話なのも僕らだしってことで。

 今度は芦花がさっきの僕のように浮き輪に座り、僕がそれを引く。

 先ほどとは打って変わってお互い喋らず、プールの流れに身を委ねて漂っていく。

 ぼんやり上を見ながら浮かんでいたけど、不意に芦花を見るとなぜか視線があった。

 お互いパチパチと瞼を瞬かせているけど、なんだかそれすら面白くて笑ってしまう。

 そこから今度は水の掛け合いが始まって、浮き輪の上の芦花の方が不利で僕は浮き輪を縦に顔以外を狙って優しく攻撃を仕掛けた。

 日差しが暑くてきついからね、冷やしてあげないと。

 芦花も狙ってるとは思えない感じで水をかけてきてる。やっぱり、わざと外してるよね。全然違うところに飛んでるや。

 

「他の人にかけないようにね?」

「もっちろーん。ちゃんとアキくん狙ってるよ?」

「どうだか」

「アキくんこそ、ちょっと優しすぎない? 濡らしてもらってるくらいにしかなってないよ?」

「気のせい気のせい〜」

 

 うっかり顔にかけたりしたら困るからね。

 水に落ちづらいメイクをしてるとは思うけど、それでも今日のために準備してきてくれてるからね。

 そんな無粋な真似はしませんとも。

 はぁ〜、ありがたやありがたや。今日も幼馴染のご尊顔が輝いておりまする。

 

「なんか、アキくんから過剰な気配りを感じたんだけど」

「気のせいじゃない?」

 

 勘も鋭いようでなによりです。

 

「まあいいや。お昼どうする?」

「もちろん、用意してきたよー。出先のご飯も悪くはないんだけどね」

 

 僕が個人的に芦花に僕の作ったご飯を食べてほしい。

 そんな独りよがりなわがままだ。

 でも、なんだかんだ喜んでくれることが多いから、まだ許されてるよね? 

 

「やったー。あ、でも私しかいなかったのにいいの?」

「いいのいいの。これもまた修行的な?」

「ならいっか。アキくんのご飯楽しみ〜」

 

 楽しみにしてもらえるならすごく嬉しいな。

 ちゃんと君を想って作ってきてるからね。

 口に合えば、いいけど。

 毎回作ってても、何度やってもやっぱり直接感想貰えないと安心できないんだよね。

 きっと、彼女なら美味しいって言ってくれると分かってるのに。予想できるのに、安心したがるんだ僕の心が。

 難儀なものですよ、求めて求めてずっと満たされないような感じ。満たされることがあるのか、自分にもわからないけどね。

 ただ、僕は君の笑顔に触れたくてご飯を作ってるのだから。

 プールを揺蕩う僕らは、ぼんやりと空を見上げて時間を溶かしていった。

 

 

 

 時間もお昼時で、お腹も空いてきたのでプールからあがる。

 借りたパラソルに戻り、一緒に用意されてるベンチに横並びで座って持ってきたお弁当を広がる。

 本日はおにぎり3種(梅、しゃけ、昆布)と、ちび唐揚げ、肉団子甘酢がけ、彩り&バランス用サラダ、そしていつもの卵焼きだ。

 今日は芦花と2人なので量はそんなに作ってない。

 僕は普通くらいとして、芦花はたくさんは食べないからね。

 

「わぁ……いつ見てもアキくんのお弁当バランスいいね」

「育ち盛りですのでね。ちゃんともろもろ取れるように考えてきました」

「ありがたや〜。お外で買ったりすると偏りがちだからね」

「そういうのもまたいいんだけどね。今回は用意させていただきましたよっと」

「いつもありがとね」

 

 いえいえ。芦花の笑顔のため、健康のためですので。

 もっと食べてくれても構わないんだけどね? やっぱり女の子だから色々気になるお年頃だからか、食べる量が変わらないんだよね。

 僕としてはもっと増えてもいいんだけど。その方がこの世界における芦花の比重が──やめよ。さすがにあほだ。

 バカな発想はその辺のプールに投げ捨て、いただきますの声を合わせて、おにぎりを食べ始める。

 ……すっぱ。梅だわこれ。

 

「ふふふ、酸っぱそうな顔してるね」

「梅干し引いた……すっぱぁ」

「私ももーらお……んふ、昆布だ。おいし〜」

 

 中身が見えないように握った僕が悪いんだけどさ、なんかロシアンおにぎりみたくなってしまったね。

 ちゃんと2個ずつ用意してるから、運が悪くなければ1個ずつ食べれる……はず。

 どうかなぁ、もう1回引きそうな気がしなくもない。

 

「卵焼きもらうね。さすが、アキくんの卵焼きは綺麗」

「自信作ですので〜。召し上がれ〜?」

「いただきまーす」

 

 今日も自信作ですよ。芦花に作る卵焼きはほんとに、目を瞑ってても作れるんじゃないかってくらい手慣れてきた。

 本当にやるわけじゃないけどね。それくらい慣れた上でもっと綺麗に、美味しくしたいところではあるけど。

 僕も1つ……うん、今日もばっちりだ。

 芦花も花が咲くような幸せそうな顔で食べてくれてる。うれしうれし。

 この顔のために頑張ってきたと言っても過言ではないですな。

 

「やっぱおいしーね。いつ食べてもいつも美味しい」

「まあ? たくさん作ってきましたので?」

「お、鼻が高そうですねアキくんシェフ?」

「シェフはやめてよね。ただ料理の練習してるだけなんだから」

「練習の期間が長過ぎる気がするけど……まあいっか」

 

 あーあー、聞こえなーい。

 芦花の舌にあった料理を作る練習なんだから、いつになっても終わることなんてないんだから。

 新しい料理、普段作らない料理とかも、全部芦花の好みに合わせたい。それくらいには練習が足りないしね。いつまでも精進あるのみです。

 

「もう1個おにぎりもらお……お、今度はしゃけだ」

「しゃけかー。僕も……やった昆布だ」

「梅じゃなくてよかった?」

「いや、嫌いじゃないんだけど、2連続はちょっとね」

 

 自分で握ってるから嫌いじゃないのはほんとだけど。

 さすがに連続で引いたらね、顔がしわしわしちゃう。

 おにぎりを食べながらおかずを口に運ぶ。

 うむ、我ながらどれも良い出来だ。昨日の仕込みも上手く出来てたようでなにより。

 パラソルに遮られてるとはいえ、気温が高いので少しずつ汗が流れてくる。

 持ってきた飲み物を飲んで、芦花にも用意して渡す。

 

「芦花、はい」

「ありがと。ちょうど飲み物欲しかったんだ」

 

 ナイスタイミングでなにより〜。

 なんとはなしに、そのまま芦花の給水シーンを眺める。

 う……流れた汗が首筋を辿って、トップスの所から胸元に……。

 ……ごくり。

 はっ。

 ええい、煩悩よ去れ! 

 なにを邪なことを考えているのだ! 

 芦花に見えないところで自分をつねって正気に戻る。

 とはいえ頬がほんのり赤くなっているような気がしなくもない。ちょっと刺激が強すぎたようです。

 我ながら自分が男なんだなと思ってしまう。いや、そうなんだけどさ、好きな子の些細なことに反応しちゃうのまじで思春期って感じだよね。

 

「……? どしたのアキくん」

「なんでもないよ……うん」

 

 浅ましさを感じて自分の頬を引っ張っていると、不思議そうな顔で芦花に尋ねられた。

 うん、気にしないでほしいな。僕の性別ゆえのしょうもなさに呆れてしまったところです。

 ほどほどにヒリヒリしてきたところで解放。

 お昼を再開しよう。

 しれっと3個目のおにぎりにかぶりついている芦花。いつもは2個だけど今日はお腹が空いてたのかな? 

 あれ、食べてるのしゃけでは? 

 

「それ、しゃけだよね」

「うん、しゃけ」

「てことは……」

 

 これ、梅だよね、絶対。

 ……。

 

「……」

「……っ、顔……ふふふっ」

「……すっぱぁ」

 

 うん、梅だね。

 芦花が楽しそうでなによりだよ。

 あー、僕もしゃけ食べたかったな。

 次作る時はちゃんと中身わかるようにしよ。

 

「アキくん、しゃけ少し食べる?」

「いいの? やったー」

「はい」

「いただきま──!」

 

 やったーうれし〜。

 とか思ってたけど、これ間接キス……。

 いや、芦花が気付いてないなら大丈夫なはず。

 何食わぬ顔でいただけば──。

 

「食べたね? 間接キスだね?」

「……んぐっふ! ごほっごほ……芦花ぁ!?」

 

 ──不意打ちのように告げられてちょっと変なところに入りかけた。

 なんとかすんでのところで耐えたけど、さすがにおこですよ? 

 芦花さん? 覚悟はよろしくて? 

 

「ごめんごめ……あ〜やめて〜ドリンク当てないで〜ちべたーい」

 

 痛いことはしないので、冷たいドリンクを腕とか首筋に当てて冷やしてやる。

 あんなこと言ってるけど顔は満面の笑みだ。

 幼馴染をからかってさぞご満悦でしょうね!? 

 こちとら内心ドッキドキだっていうのにさ!? 

 小悪魔どころか今のは確信犯の悪魔でしょ。やられたわ。

 

「もう、良くないってそういうの」

「ごめんって。アキくん良い反応してくれると思ったからさ」

「むう、遊ばれてる気がします」

「遊んでないよ〜スキンシップだよ〜」

 

 ずいぶん攻めたスキンシップですね? 

 なら、やり返しても問題ないよね? 

 

「じゃあ、芦花もほら。梅、食べとこ?」

「えっ……いや、私は……」

「ろーか」

「……ダメ?」

「だめ」

「うぅ……」

 

 そんな可愛い顔しておねだりしてもダメです。

 一瞬どころかだいぶ心が揺らぎましたが、先ほどの僕の気持ちにもなってもらわないとね。

 さあ、食べるのです! 

 

「ぐぬぬ、押しが強い……あむっ」

 

 お、食べた。

 ……っふ、くく。

 酸っぱそうな顔、それみたことか。

 僕だって酸っぱいなって思いながら食べてたんだから。芦花にも体験してもらわないとね。

 ……でも、なんか。口突き出してるの……。

 

「すっぱぁ…………ん? アキくん? なにかついてる?」

「……へ? あ、いや、なにもないよ」

 

 やばい、自分で仕掛けておきながら自爆するとかバカすぎる。

 でも、艶々とした幼馴染の口元見てたら、さすがにね。

 うん、夏の暑さに頭がやられてきたかな? 思考があっちに行きがちだ。

 落ち着け、平常心だ、へいじょーしん。

 

「アキくん? なんか、顔赤いけど大丈夫?」

「まじ? ……暑いからかな〜食べ終わったらまたプール行こうかな」

「次は向こうにある波のプールとかどう?」

「いいね、浮き輪の上だと転覆しそうだから気をつけないとね」

「さすがに座らないよ!?」

 

 そう? 

 まあ、芦花が沈むくらいなら僕が沈みます。

 波のプールでもちゃんと守るのでご安心ですよ。

 

 

 







そろそろアキくんの精神が削り切れるか……?
ところでキャラコメといろかぐReply、最高すぎましたね……。
いろヤチReplyもほしいと思ってしまうのは強欲ですかね?
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