なにやら赤バーに……?
ここまで評価してもらえるとは思ってなかったのでありがたい限りです。
本編進めるの頑張ります!
ブラックオニキスとのKASSEN当日。
試合開始よりもだいぶ前に真実と守をツクヨミの僕の家に招待した。
理由はもちろんご報告。
2人には先に知らせておきたかったから。
守には匿ってもらったし、真実にもあれこれ秘密を共有したりして手伝ってもらったしね。
酒寄さんとかぐやは、ギリギリまで練習してるみたいだから後にした。
「やっほ〜来たよ〜」
「よっす」
「悪いね、来てもらっちゃって」
「ありがとー」
縁側にかけてる僕ら2人の出迎えに、真実が早速お? という顔をした。
守もおやって感じではある。
芦花の右手を握ってるから、バレるのもさもありなんって感じではある。
「それで、なんか話したいことがあるとか〜? まあ、その感じだと予想できるけど」
「うん、まあ、察してそうだけどさ。僕ら付き合うことになりました。2人にはちゃんと報告しときたくてね」
「やっとか! おめでとう!」
「長かったねぇ……おめでとっ」
単純にめでたいと喜んでくれる守と、感慨深そうに息を吐いてる真実。出てきた祝福の言葉も、なんだか重たく聞こえるね。
まあ、中学の時から見てる真実からしたら、長いしなんかくっつかないしでモヤついてたのでしょう。
思うところがあっても見守ってくれてたことに感謝しかない。
我らが親友は出来た人なのだ。どっちもね。
「中学から見守ってかれこれ5年かぁ。ほんとようやくって感じだね〜」
「俺も大概かもしれないけど、お前には負けるわ」
守も3年くらいは告白しないでもじもじしてたけど、僕はその5倍はあるからなぁ。何も言えぬ。
親には昨日のうちに一応言ったけど、あやうく赤飯炊かれそうになったから止めた。代わりにちょっとお高いレストランに2家合同で行くことになった。
時間がね、ぎり夜ご飯前だったから素早かったよね。あれよあれよと車に詰められ攫われたもん。
食事の席でもあれこれ詰められ掘り返され、僕ら2人は顔真っ赤でなんとか乗り切った。
その上で次に報告するならこの2人だと思ったわけ。僕ら2人の親友だしね。
「あ! てことはダブルデートとか出来るじゃ〜ん!」
「え。しばらくは2人でゆっくりしたいんだけど」
「なに熟年夫婦みたいなこと言ってんのさ。あ、いや歴的には間違ってないか?」
「やめい」
「夫婦だなんて……」
「そこ照れられるとね? まあでも、間違いでもない、か」
ツクヨミにおいても、僕は芦花に指輪をプレゼントした。
さすがに現実のと同じデザインにはできなかったけど、彼女の左手薬指には銀色の指輪が煌めいている。
真実たちもそれに気付いたようで、驚き半分納得半分の顔だった。
「あ〜、まあそういう可能性もないとは思ってなかったけどね?」
「まじでそこまで行ったのか」
「そりゃもう、僕の大事な人なので」
「ちゃんとプロポーズでした」
「あっま。急にケーキ食べたかと思った」
「おかしいな、ツクヨミに味覚なんてないのに体が甘さを感じている」
どゆこと?
よく分かんないけど2人が「あま、あま……」と呟いてるのをスルー。
僕らは首を傾げて穏やかに笑い合った。
そのままお互い立ち上がる。そろそろ良い時間だし、移動しないとね。
「ほら、そろそろ行こう」
「彩葉たちも待ってるかもね」
「ん、だね。ほら守、行くよ」
「ぁま……はっ。置いてかないでくれよ!」
呆けてる彼氏を置いて真実がワープしていき、守もその後を追いかけていく。
2人だけになった縁側。
「頑張ろうか」
「私は参加できないけど、応援してるね」
「ん〜ヤチヨに頼んで参加できないかなぁ。芦花と一緒がいいな」
「無茶言わないの。3人までなんだから」
むぅ。分かってるけどさ。
どうせなら2人でやりたかったな。
あ、でも、あの機能ならもしかしたら。
ヤチヨに後で相談してみよう。
黙り込んだ僕を小首を傾げて見ていた芦花は、僕がようやく顔を上げたのを見てワープした。
僕もそのあとを追って戦場に向かった。
会場について、特別枠ということで全員試合開始前の待機場にいる。
まあ、真実が黒鬼見たくて酒寄さん経由で頼み込んだらしい。推しだもんね、しょうがない。
酒寄さんは着ぐるみモードでやや気だるげ、かぐやは既に臨戦体制。
真実は憧れの黒鬼を見れるということでなんかドキドキしてそう、そんな彼女の姿に隣の彼氏は微妙に不満げ。仕方ないね。
芦花は僕の隣で気負うことなくほのかに笑みを浮かべている。可愛い。
僕は黒鬼に特に思うことはないので自然体。強いていうなら乃依さんと戦えるから若干テンションは上がってる。
遠距離職では最強とも言える人だからね、頑張らないと。
会場には解説とかあれこれ流れてるけど、興味がないので耳から流れてる。
それよりもまだ黒鬼が来ない方が気になる。そろそろ定刻じゃないかな?
「お?」
「ん?」
なんて思ってたら、なにやらどこかの画面が映し出された。
そこにはどこかの洞窟を虎バイクに乗って突き進む黒鬼の3人が。
そしてそのまま進み続けて壁を壊して────。
『黒鬼、ご来臨────!!!!』
フィールド内にあったらしい洞窟からド派手なエントリーをしてきた。
わぁ、開始前から余興がすごいね。
真実が目をキラキラさせてるよ。芦花は半目だけど。
「お待たせかぐや姫、受けてくれてありがとね」
「どぅおらぁ帝ぉ! 待たせるなんて良い度胸じゃん!」
「あああのっ! わたわわたしっっ、ふぁファンでっ!」
キザな笑みを浮かべながら歩いてくる帝アキラさんに、かぐやが大きめの猫みたい威嚇をしながら寄って行くけど、それよりも真実がキョドりながら突っ込んだことで帝さんの視線が真実に向かった。
「ふ〜ん? まみ、お友達だろうと、手加減できないぜ」
「あっっっ!!! 名前ぇ……」
「真実〜〜!!??」
まさかの名前呼び神ファンサにより真実撃沈。
隣の彼氏が凄い顔で嘆いてら。どんまーい。
てか、ユーザーネームから予測したんだろうけど、ようやるね。そりゃここまで人気になるわ。
「あちらは大変そうですな」
「ね、まあ幸せそうだからいいんじゃない?」
「そちらさんはファンじゃないのかな? ROKAさん」
傍観者でいた僕らにも気付いたようで、帝さんが声をかけてきた。
まあ残念ながら僕らはどちらもファンではない。
ついでに言うなら芦花は彼みたいなタイプは苦手だ。
「ええ、私は違います」
「ばっさり言われちゃったな。お隣の彼は……秋鷹くんじゃないか」
「うぇっ、知られてるんですか」
「あぁ、まあな。それは置いておこう」
芦花がファンではないとあっさり言って、僕もそういうタイプには見えなかったようなので、帝さんは視線をかぐやに戻した。
僕はそちらよりもさっきからじっと見つめてきてる乃依さんの方が気になってる。
なんか、すごい圧を感じるんだけど。なにごと?
「なんか乃依さんに睨まれてる気がする」
「気のせいじゃない?」
「だと思うんだけどね。話したこともないし」
よく分からないけど、放っておくしかない。
試合の説明がされてるうちに、ヤチヨが上から降りてきた。
ちょうどいいや。
「やおよろ〜! 両者とも準備はよきかな〜?」
「ちょーっと、頼みたいことがあるんだけど、よろしい?」
「なにかになにかな?」
「HIYOKUの形式でいいからROKAも参戦出来ないかな」
「アキくん!?」
そう、僕が密かに企んでいたのはHIYOKU形式での参戦だ。
あれなら枠組みとしては2人で1つになるので、ギリギリKASSENのルールには抵触しない、てきなね。
まあ無理は承知だし、通れば御の字なんだけど。
会場はちょっと騒然としてるし、解説の忠犬オタ公さんと乙事照琴さんが前代未聞! とか騒いでいる。
ヤチヨもなにやら驚いた顔はしてるけど、すぐに普段のお澄まし顔でなにやら思考中。
かぐやと酒寄さんもえっ? って顔になってる。まあ言ってなかったしね。
戦力的には元よりプロゲーマー3人には遠く及ばない僕ら3人だから、1人増えても問題はないはず。
黒鬼側にハンデになるとしても、大差はないはず。
さて、どうなるかな?
「………………うん、よし! OK、調整できたから今回は認めましょう! それで、誰と組み合わせるので〜?」
「そりゃもちろん、僕で」
「おぉ、秋鷹とROKAね? うけたま〜ちょっと待ってね〜」
『おぉーっとぉー!? ここでまさかのROKA参戦っ!』
『HIYOKUなんてプレイ人口少ないのによく出してきましたね。相当お互いのコンビネーションに自身ありですかな?』
なにやら空をカタカタとパソコンみたいに叩き始めたヤチヨを見てから、隣から凄い圧を放っている彼女の対応をしますかね。
会場も例のない特殊な形式が認められたことで盛り上がっている。
「アキくん? なんで頼んじゃったのかな?」
芦花がほんのりお怒りあんどたくさん戸惑いで聞いてくる。
答えはさっきも言ったけどね。
「さっき言ったでしょ? 一緒にやりたかったって。ROKA一緒じゃないとやる気が半減しちゃうかも」
「その時はちょーっと怒るよ?」
「それは勘弁。でも、昨日の今日なんだから、一緒にいたいと思うのは許して欲しいな」
怒るよなんて言われたから、隠してないけどもっと分かりやすく本音をぼろり。
「むぅ、ずるい。それ言われたら許すしかないじゃん。私で助けになるかは分かんないけど、よろしくね」
それを聞いた芦花はやれやれと言った顔で諦めてくれた。
そしたら今度はメインのお二人が突撃してきた。
まあ、ですよね。
「なになにいつのまにかおもしろそーなこと考えてんじゃん!」
「えっ、どゆこと? 何があったの?」
「まあ、そういうことで」
「そういうこと〜」
「ちゃんと説明して〜〜!!」
「なるほど? かぐやわかった! おめでと!」
おぉ、かぐやは本当に分かったようだ。
何も伝えてないけど、僕らの雰囲気で察したのかな?
さすが酒寄さんをギリ本気で怒らせないラインで振り回すだけあるね。
その当人は微妙に分かってないみたいだけど。
「ほんとに分かんないの? 彩葉」
「逆になんであんたは分かったのよ」
「ん〜ふいんき?」
「雰囲気ね。そんな雰囲気あって……あぁ────!!!!」
ニコニコと2人のやりとりを眺めている僕ら。
酒寄さんはそんな僕らの、ていうか芦花の左手の薬指に気付いて指差した。
おぉ、よく見てる。
「ゆ、ゆゆ指輪……てことは」
「そゆこと〜」
「うん、そういうこと」
「わー、きれ〜」
「こ、高校生で……? まじ?」
「まじ。現実でも渡してる」
「まままままじか……すご……」
酒寄さんが驚きすぎてフリーズしちゃった。
かぐやは純粋に指輪が綺麗で眺めてる。
でまあ、そんな騒いでたらカメラも僕らに向いちゃうわけで。
芦花の指輪がきらりと光って、観客たちもそれに気付いてドッと盛り上がり始めた。
『ROKAが指輪してるぞー!』
『まじかぁ! 相手は!』
『あの感じだと秋鷹だろ!』
『いつかの配信でも仲良さそうだったもんな!』
『ROKA様ー! お幸せにー!』
『秋鷹ー! ROKA様泣かせたら許さないからー!』
『秋鷹そこ代われー! いややっぱ代わるなー! お前が幸せにしろー!』
『ろ、ROKAに男が……』
『お、この沼は初めてか? ゆっくりしてけよ、いいとこだぞ』
『かこめかこめ、沈めて逃すな!』
『秋鷹さん、少しいいなって思ってたんだけどなぁ……』
『おっとぉ? そっちもあるのか』
『観客たちが大変盛り上がってます! 人の色恋沙汰はやはり人気ですね!』
『急にリア充のいちゃつき見せられて爆発してないですか? 大丈夫でふかね?』
あっちこっちから嫉妬半分祝福半分くらいの言葉が飛んできてもう大変だ。
ヤチヨの調整は終わったみたいだけだ、会場が別方向にヒートアップしちゃってあらあらって感じ。
僕もこんなになるとは思ってなかったのでちょっと引いてる。
まさかコラボ配信結構見られてる感じか? 確かに同時接続多かったけども。
会場でもこんなに知られてるとは。
「なんか、大変なことになっちゃったね」
「これはさすがに想定外」
「かぐや達より目立ってない!?」
「そのつもりはなかったんだけどね……」
「ごめんねかぐやちゃん」
「まあかぐやがもっと目立てば問題なし! おめでたいことは祝福されるべき! 今度ご飯作ってあげる!」
「やったぜ、かぐやのご飯美味しいからね」
「わーい、かぐやちゃん大好きー」
着ぐるみの目をまんまるにしている酒寄さんを尻目に、思ってるより目立ってることを謝っておいた。
こんなになるなんて、誰が予想できたよ。僕も芦花もファン数的にはこの場では少ない方なんだけどね。
黒鬼達もふむ? みたいな顔で眺めてるし。
やめてください芦花はあげませんよ? 僕のです。
「はーい、神々のみなさま落ち着いて〜。今回の主役はかぐやいろPと黒鬼なんでね! なんか熱そうなカップルは一旦置いときましょう!」
「さすがヤチヨ仕切り直しが上手いね」
このままだと埒が開かないと思ったのか、ヤチヨが全体によく響く音量で喋り始めた。
観客たちもヤチヨの声で一旦落ち着きを取り戻していく。
「ほいでは! 準備はよろしくて〜?」
「もちろん」
「いつでもいけるよ!」
「それじゃあ! 世紀の竹取合戦、これにて開幕〜〜!!」
ヤチヨの号令とともに、僕らはそれぞれの陣営にワープ。
した先で相手の城を見据えながら、第1ラウンド開始前に4人で作戦会議をする。
「さてどう行く? 人数的には有利ではあるけど」
「ばーっ! と行ってしゅたたーっ! それでどかーん!」
「いやわかるか」
「うん、分かんない」
「さすがに分かんないかな」
「えーっ!!」
あまりにもアバウトなかぐやの指示に3人揃って困惑。
これじゃ突撃しか出来ないよ……。
「突撃して! 突貫して! 突破!」
「うん、凸だね」
「作戦なのかなそれ」
「頭痛くなってきた……」
突あるのみ! と言わんばかりの2度目の説明に、相変わらずはてなマークが出ている僕と芦花。
酒寄さんは着ぐるみの頭を抱えて項垂れている。
まあ、作戦に関してはあんまり当てにしてない、というかあったところでたぶんこの1戦目は地力が試されるだろうからどうしようもないよね。
「とりあえずかぐやといろでトップいって、僕らはボトムレーン行くよ」
「かぐやが言いたかったのはそういうこと!」
「絶対違うでしょ……」
「まあまあ、とりあえずがんばろ?」
「そうだね、やれることをしよう」
それ! と指差してしたり顔なかぐやに、僕と酒寄さんが半目で応える。
芦花はそんな僕らを宥めながら、士気をあげようとしてくれた。
酒寄さんもなんだかんだ気力を取り戻したようで、いい感じ。
さあ、そろそろスタートだ。
「それじゃ、行こうか」
「そっちはよろしく〜♪」
「任されたー」
「ROKA、頑張ってね」
「いろPもね」
開戦のゴングと共にいろPが大鷹に、かぐやは自前のジェットハンマーでトップレーンに向かっていった。
僕らも向かうか。
いつもなら僕は自前の翼、芦花は芦毛の馬、なんだけど……。
ようやく付き合えたから、かねてから少しやりたかった方法を試そう。
「じゃあ、私たちも行こっか」
「うん、ROKA、僕が連れてってあげる」
「ん? どゆこと?」
「それはね──こういうこと!」
「わっ!」
僕がやりたかったこと。
それは、お姫様抱っこで一緒に飛んでいくこと!
自前の翼もあるし、その方が早いし。なによりもっと近くにいられるしね。
付き合う前はさすがに自重してたけど、いいよね、いいよね?
急に持ち上げられた芦花はびっくりして、そのまま顔を赤くしてるけど、抵抗はなかった。
「重くない?」
「僕の羽よりも軽いよ」
「言い過ぎ、適当言ったでしょ」
「だって、ここツクヨミだし」
「重さ感じないもんね。次はちゃんと現実でね?」
「もち、それじゃ、いくよ?」
「安全に、お願いします」
「もちろん」
陣地から飛び出して、空へと浮かび上がる。
落とさないように最新の注意を払いつつ、ボトムレーンの櫓に向かう。
僕に抱き上げられた芦花は顔を半分くらい隠しながら、僕を見つめている。
「ほんと急なんだから」
「ずっとやってみたくてさ。付き合う前は出来なくてね」
「……まあ、そうだね」
実況している2人がこれまた煽り立てるようなことを言っているのが聞こえたけど、スルー。
今は2人だけの時間ですので。
優雅……かは分かんないけど短いお空の旅を楽しまないとね。
飛びながらマップを確認、お相手は……きたねぇ。
「向こうは乃依さんだ」
「アキくんの憧れの人じゃん」
「憧れというか、強すぎて雲の上というか」
「彩葉達のために頑張ろ?」
「おー!」
相手はそれぞれのレーンに1人ずつ、通称トライデントの形できていた。
解説も言ってるみたいだけど舐めプだね。
まあ、当然ではあるけど。こちらはランクマも大してしてないアマチュア3人とそこそこのが1人。
相手はプロゲーマー3人、こうもなるよね。
どっちかの櫓を取って行かないとなんだけど、まあ僕の方が期待されてるかなぁ。
芦花という大きなサポートも貰ってるし、ここはなんとしても打ち勝たないと。
「さ、2人のために頑張ろうか!」
「うん、後ろは任せて!」
ずっとやりたかったお姫様抱っこでの移動。
羽付ならではですよねぇ。