芦花と幼馴染   作:キイカ

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姫の奇策にのる鷹

 

 

 

 数分もないお空の旅、眼下にはぼちぼち雑魚たちが見えてくる頃。

 高速ライドだとめっちゃ弓矢が飛んでくるから避けないといけないんだよね。まあ、自前の翼だから避けれないこともないんだけど、射程的な都合で降りた方がよろしいのだ。

 

「ROKA、そろそろ準備してね」

「はーい、いつでも〜」

「おっけー、いくよー!」

 

 声をかけたら、準備はオッケーのようで。

 それならと一気に下降。

 打ち上がった弓矢を下から通り抜け、軍団の真ん中ら辺に着々。

 そっと芦花を降ろして彼女はそのままネイルを振り回して雑魚処理。

 僕も両手の銃をマシンガンモードで薙ぎ払い、囲っていたやつらを蹴散らした。

 ウルトを貯めつつ、櫓に向かおう。

 周りを片付けて進もうとした刹那。

 

「──うおっ!?」

「アキくん!?」

 

 一瞬の悪寒。

 直感頼りに首を左に傾けたら、頭が元あったところを掠めるように弓矢が通り過ぎていった。

 こっわ、あと少し遅かったら終わってた。

 反射的に飛んできた方向を見たら、竹林の隙間から後退していく特徴的なアバターが見えた。

 地雷系ファッションと着物を合わせたような衣服、乃依さんだ。

 

「威嚇射撃だとしても精度えぐすぎ」

「ネイルで防げるかなぁ」

「威力高そうだから怪しいね。流してくれたら助かるんだけど」

 

 追いかけたいところは山々だけど、先に櫓を撮るのが先決かな。

 どちらにしても、また狙われるんだけど。

 

「僕の前に出ないようにね、狙われたらやばい」

「ん、守ってね」

「任せて」

 

 自信はないけど、そんな気は見せないように笑ってみる。

 芦花も気付いてない、と思ったけどこれバレてるな。苦笑いだし。

 まあ仕方ない。目を慣らして相殺出来るようにしていかないとね。

 雑魚を倒しつつ、時折飛んでくる強弓をなんとか避けたりネイルで流してもらったり。相殺はちょっとまだ無理かも。どこから飛んでくるのか分かってないから厳しい。

 数発打っては場所を移動してるから姿が見えないのだ。

 まーじでやりづらい。もっと驕ってほしいですよまったく。

 なんとか櫓前の牛鬼に到着。

 

「倒したいところだけど……」

「倒した隙狙われるよね」

 

 確実に倒したタイミングで撃たれるのは確実。

 でも、倒さないといけない。

 ひゃージレンマ〜。が、迷ってる時間はない。

 トップレーンの酒寄さん達も接敵したみたいだけど、劣勢のようだ。

 あれ、よく見たら着ぐるみ脱いでる。

 

「いろP着ぐるみ脱いだみたい」

「あれヒットボックス大きかったからね」

「それだけ本気ってことか。なら」

「もう切る?」

「うん、出し惜しみしてられない」

 

 彼女たちがやる気なら、僕も頑張らないと。

 息を合わせづらくなるけど、やられる前にやる! 

 ウルト1段階発動、スピード勝負だ! 

 あえて連結機構は使わずに、ショットガンを連射して蜂の巣にしていく。

 順調に体力は削れてるけど、思ってるより妨害の矢が飛んでこない。

 狙いをすましてるのかな? よーく見とかないと。

 

「これで、終わり! ……っ!?」

「うそっ!?」

 

 最後の一撃を叩き込み、牛鬼を落としたコンマ1フレームもないくらいのタイミング。

 僕も芦花も反応できない隙間のタイミングに弓矢が飛んできた。

 回避も反撃も出来ない。

 甘んじて受けるしかなかったそれは、よりにもよってスタン効果のある鈍足矢だった。

 

『あーっと! 乃依の鈍足連射が襲いかかる!』

『これはもう逃げられませんね』

 

「うっ、ぎっ、狙い、えぐ」

「私、当たって、ないけど、動け、ないみた、い」

 

 僕に当たった鈍足矢が、HIYOKUの効果か芦花にも反映される。

 纏めて足止めを喰らってしまった僕らは、隙間で撃たれた矢が櫓を取るのを見ていることしかできなかった。

 そして、そのまま削り切られホームに押し返されてしまった。

 

 

 

『櫓を2つとも取ってコールド! これは鮮やか!』

『いろPとかぐやも悪くない! でも、黒鬼ツヨスンギ!』

 

「うがぁー! 負けたー! くやじぃー!」

「まだ1ラウンド目でしょ? ほら、次どうするの?」

「ごめん、ぼこぼこにされました」

「乃依さん凄かったよ」

 

 酒寄さん達も帝さんに討ち取られ1ラウンド目は敗北。

 力の差を見せつけられたようで悔しいが、これが現実的な彼我の実力差だ。

 奇策でもなんでも使って逆転しないと。

 酒寄さんに宥められていたかぐやが、床を転がるのをやめ空を見上げた。

 その視線の先には、青く細長い生き物が。

 

「ねぇ、彩葉、あれってさ──」

 

 かぐやが口にした作戦は中々意表をつくものだった。

 でも、試す価値はある。

 なによりやられっぱなしは気に食わないしね! 

 

「いいよ、僕も賛成」

「じゃあ私もー」

「えー、多数決じゃもう決まりじゃん。いいけどさ」

「よーし、帝ぶっとばーす!」

「狙いは別でしょうに……」

 

 作戦が決まり、再度やる気に満ちてきたかぐやを、微笑ましげに僕と芦花は見守る。

 しょげてるよりもこれくらい弾けてる方が似合うなって思った。

 

「さてと、今度はお礼参りしないとね」

「うん、私達だって出来るところ、皆に見てもらわないと」

 

 僕らは顔を見合わせ、ニヤリと笑った。

 

 

 

 2ラウンド目開始。

 作戦通りかぐやと酒寄さんはトップレーンへ。

 今回は芦花は自前の芦毛の馬に騎乗して、ボトムレーンに向かう。

 僕は……しっかり見守ってます。

 動くのは、かぐやに合わせてだ。

 マップを見ながら、向こうが接敵するのを待つ。

 同時に芦花と離れないように注意する。

 もうすぐ接敵、3、2、1。

 今! 

 

『アキ! 今行くよ!』

「おーけー! じゃ僕も──」

 

 ──急(・)降(・)下(・)を始める。

 空に飛んでいた青くて細長い生物──レプトケファルスっていうらしい──に乗っていたかぐやが、トップレーンからボトムレーンへと空を横断する。

 2Dマップに上下情報がないことを上手く使った作戦だ。

 そして、それは自前で飛べる僕にも適用できて。

 芦花に合わせて飛んでいた──正確には芦花のアイコンの遥か上空を飛んでいた。

 乃依さんからしたらマップでは僕がいるはずなのに見当たらなくて困惑したかもしれない。

 案外気にしてないかもだけど、現状芦花が激しい弓の攻勢に追われてないところを見ると警戒してるようだ。

 作戦通り、ならばここからは僕の仕事だ。

 かぐやがこちらのレーンの牛鬼に上空から落下しながら強烈な一撃を叩き込んだ瞬間。

 無防備になったかぐやを乃依さんが丘の上からウルトで狙ってるのが視界に入った。

 マップのアイコンが急速に近づいてきたことに気づいた乃依さんが、空を見て驚愕の表情を浮かべた。

 そして、ウルトをこちらに向けようとして──。

 

「──僕の方が、速かったですね」

「ぴえん」

 

 ──先に2丁のショットガンでばらばらに撃ち抜いた。

 制御を失ったウルトが見当違いの方向に飛んでいき爆発するのを見送る。

 混乱に乗じて芦花が櫓も取ってくれた。

 僕は2人と合流してそのまま本丸を目指す。

 トップレーンでは酒寄さんが粘って時間を稼いでくれてたけど、残念ながら櫓は取られてしまった。

 後は時間との勝負。ミドルを進む雷さんに本丸は託して帝さんはこちらに戻ってくるようだ。酒寄さんはそのまま倒されてしまったようで、本丸に向かっている雷さんを止めに行くみたいだ。

 なるほど、こっちで足止めしないといけなそうだ。

 そして、本丸前僕ら3人と帝さんが対峙した。

 

「かぐや、行っちゃって。足止めはこっちでする」

「おけまる! アキよろしく!」

「ROKA! サポよろしく!」

「はーい!」

 

 突撃するかぐやを援護する形で僕ら2人が追いかける。

 かぐやを倒してそのまま僕らも吹っ飛ばそうと突っ込んでくる帝さん。

 階段前で激しい銃撃戦が行われる。

 彼の撃つ玉は真っ直ぐで、見切りやすい。僕でも撃ち落とせる。

 しかし、近接戦を強いられると部が悪すぎる。

 マシンガンで弾幕貼りながら、ライフル弾で相殺を行う。

 寄られそうになったら芦花のネイルで牽制して、距離を詰めさせない。

 

「……ひゅー、やるねぇ。めっちゃ息合ってる」

「伊達に幼馴染やってないん、でね!」

「甘く見ないでください!」

「おぉー、こわこわ。ま、これくらいじゃないと張り合いないよなぁ!」

 

 多少の被弾は想定したのかマシンガンの弾幕の中を突っ込んできた。

 ライフル弾は的確に弾いてるあたり分かってる。

 やば、さすがにこれ以上は持たんて! かぐや早く! 

 仕方なく階段に寄りながら両方ともショットガンで被弾を増やしに行く。

 マシンガンの圧では足りないし、ライフル弾の密度では弱い。

 これなら、どちらもちょうど良いと思った。

 が、帝さんはそんなの屁でもないように剣で切り払いながら進んでくる。

 

「嘘でしょショットガンもこんなに払われる!?」

「プロを舐めないで欲しいな!」

「ぎえっ」

 

 止めきれず、懐に入られる。

 やられる! 

 そう思った瞬間、体が不自然に後ろに下がった。

 おかげでなんとか致命傷2歩前くらいですんだ。

 振り向けば、幼馴染が僕の翼を強引に引き寄せていた。

 

「あぶな……助かったよ」

「これくらいしかね。ほら、立て直して」

「うん、まだですよ、帝さん」

「ふーん。彼女さんも中々やるねぇ。今のはもらったと思ったんだけど」

「目の前でみすみすやらせるわけないでしょう」

 

 階段上にまで下がる羽目にはなったけど、距離を取れた。

 そして、時間稼ぎも成功した。

 背後で黒鬼側の城が爆発する音がする。

 

「おめでとう、君らの勝ちだ」

「……はぁ〜〜キツかった」

「プロって、すごいね」

 

 力が抜けてその場にへたり込む僕ら。

 金棒を肩に担いだ彼は、にこりと笑って待機場はワープしていった。

 僕らも3ラウンド目に向けて作戦会議するために、自陣に戻った。

 

 

 

「で、どうする?」

 

 2ラウンド目を逆電して、ついに最終ラウンド。

 さっきまでかぐやが帝さんを煽ってたけど、なんか帝さんが新しい扉を発見した(新解釈の登場だ)って言ってて怪訝な顔をしてしまった。

 そんな謎の相手チームとの対話もすぐに終わり、次のセットのお話へ。

 

「んー、奇策は通じないだろうし、凸るしかないね!」

「もうちょい、作戦とか……ないか」

「変えたくるならボトムに乃依さんと雷さんがくるかな」

「たぶんそうかもね。トップは変わらずだと思う」

「なら、どうやってあの2人を破るか」

 

 そういえばさっきのセット、酒寄さんが短い時間ながら健闘して雷さんを落としてくれた。

 これで雷さんと乃依さんは残機が2ずつ。帝さんだけ3だ。

 僕らは酒寄さんを除いて2、酒寄さんだけ1だ。

 なんとか雷さんたちの残機を使い果たさせないと、こちらに勝ち目がない。

 相打ち覚悟で頑張ればいけないこともないかな? 

 でもその場合はかぐやと酒寄さんに残りを託すことになる。

 助っ人枠だけどそれでよいものか。

 

「トップの帝は頑張るからさ、ボトムレーンの2人倒してきてよ!」

「無茶言うなぁ、でもそれしかないか」

「いけるかな?」

「相打ちに持ってけたら上々じゃないかな」

 

 いざとなったら奥の手がある。

 というか、切らざるを得ないけど。反動やばいから出来たらあんまり使いたくはない。

 でも、出し惜しみして酒寄さん達に迷惑をかけるのはダメ。

 なら、やるしかないよね。

 

「とりあえずやれるだけやるから、ダメだったらよろしく」

「おっけー! まかしとき! かぐやたちならいけるっしょ!」

「頼もしいね」

「その根拠のない勝機はどこから来るのやら」

 

 雰囲気は落ち着きすぎず硬すぎずいい感じ。

 さぁ、泣いても笑っても最終ラウンドだ! 

 

 

 







残機の数合わせが大変すぎる……。
もう少し描写してくれ本編。
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