第3ラウンド、1ラウンド目と同じく芦花をお姫様抱っこで移動。
マップを見るとやっぱり雷さんと乃依さんがボトムレーンに来ていた。
トップは変わらずみたい。
櫓を取れればよし、ダメでもどちらかは落としたいところ。
切り札のためにも高速ライドの移動で早々に雑魚狩りをしときたい。
「ROKA、雑魚狩りは多めによろしく」
「うん、おっけー」
芦花と僕のウルトゲージも共有なので、どっちかが貯めればもう片方も使える。
そんなわけで行けるとこまで飛んでその後は櫓に近寄るよりもウルトを貯めることを優先した。
向こうが櫓に近づいたのに合わせてこちらも移動。
雷さんが前に、姿は見えないけど乃依さんも隠れてるだろう。
「さぁ、やろうか」
「乃依さんの矢に気をつけて。たぶん正面の方からだとは思うけど」
「ん、準備は万端だよ」
牛鬼を横目に雷さんと戦闘開始。
彼は扇形の巨大な武器を使う。用途は、振りかぶって殴ったり、盾にしたり、先端部分を砕いて飛ばしてきたり、杖のところで地面を盛り上がらせたり。
中々多彩な技を持っている。
でもどちらかと言えばサポートというか、防御がメインに見える。
そして、防御削りは得意なんで、親友のおかげでね。
「……むっ」
地面を盛り上がらせて僕の銃撃を防ごうとする彼を回り込むように移動してライフルとショットガンで攻撃。
合間に乃依さんの弓が飛んでくるけど、そこは芦花が適宜ネイルで弾いてくれる。
ちゃんと視界に飛んできてる矢を視認できてるからなんとかなってる感じだ。
雷さんも横からくる僕らの攻撃を避けては反撃に砕いた扇の部分を飛ばしてくる。
それらは僕がライフルで相殺してそのまま押し返す。数より質の攻撃だから、ライフルでなんとかできている。
どちらかと言えば優勢寄りだけど、やっぱり乃依さんが気になる。
ばんばん撃ってくるんじゃなくて的確に雷さんの隙を埋めたり、僕らの嫌なタイミングで狙ってくるからやりづらい。
落とせるなら先に落としたいけど、残念ながら無理そうだ。
「このまま雷さん倒して、牛鬼行くよ」
「はーい」
ショットガンの削りで体力は少しずつ減ってきている。
中近距離での射撃戦は、彼にとってあまり有効な武器がなくてやりづらそうだ。
もう少し寄ってきたら扇を振り回してきそうだけど、そこはこちらも寄りすぎないように注意している。
あとは、さっきしれっと一回踏んでやられかけたけど、地雷が埋まってることがある。
おそらく雷さんのスキルなんだろうけど、まじでサポート性能高いね。
戦いながら地雷まで撒いてくるとかこっちからしたら悪魔なんですが。どこに罠があるか分かんないのにタイミング不明の矢も飛んでくる。
こちとらアマチュアもいいとこなんですが? プレイングガチすぎですよ。
とはいえ相性の良さを頼りにガンガン押していけてるから、なんとか。
「ROKA合わせて!」
「任せて!」
「……なるほど」
地面を隆起させる技を避け、飛んできた破片を最短で回避出来た最高の隙。確実に矢も飛んでくるけど、今しかない!
確実に当てるために相手の近接範囲まで接近。芦花には最低限のガードだけ任せて残りはこちらの攻撃枚数に参加してもらう。
僕のライフルとショットガン、そしてネイル弾の3種でここで削り切りたい。
ショットガンの全弾当てられる範囲に入ったところで総攻撃。
打てる限りの連射で、落としに行く。
雷さんも引き戻した盾で受けようとするけど、それすらも粉砕する勢い。
そして援護の矢が飛んでくる。
だけど。
「させないよ!」
芦花のネイルが弾いてくれる。
僕は攻撃以外考えない、防御は芦花頼み。でも、功を奏した。
受け止めきれなかった散弾とライフル弾が、盾をぶち抜いて雷さんの本体を貫通した。
そして、体力を割り切り。
「……お見事」
雷さんを倒すことに成功した。
「よっし」
「アキくん! 牛鬼早く!」
「うん、急ごう!」
勝利に浮かれてる間もない。
トップレーンは今回は意地の攻勢なのか、かぐやたちが有利みたいだ。すげー。
なら、僕らもここは落としたい。
ほったらかしてた牛鬼さんにご挨拶がてらライフル弾の雨をプレゼント。サクッと処理して櫓へ。
というところで、乃依さんの攻撃が激しくなった。
絶え間なく飛んでくる矢の嵐、鈍足連射ではないみたいだけど威力はつよつよ。
ネイルで弾けないと1発おじゃんかも?
芦花のネイルに合わせて総裁を狙うも、成功率は三割といったところ。ウルト1段階目ならもう少しいけそうなんだけど、今はきついね。
倒した直後に足止めを喰らってしまい、1ラウンド目と同じく合間の矢で櫓を取られてしまった。
ぐぬぬ、せっかく倒したのに。
とはいえ今回はまだ僕らは健在。このまま乃依さんも落として残機を削りたいところ。
黒鬼側に進行して、乃依さんと対決だ。
変わらず飛んでくる矢の連射を気合いで相殺しながら突き進む。
そして、防ぎ続けることしばしば、ようやく射手の姿が見えた。
「やっと、その姿を見せてくれましたね」
「やるじゃん、まあ僕はそう簡単にはやらせないよ〜」
弓を構えたまま相対する射手。
はるか格上の彼に、勝たなくてはいけない。
中々厳しい戦いだ。
姿が見えたところでお互いやることは変わらない。こちらは相殺を続けて、向こうは連射を止めない。
でも、こっちはこのままでは攻撃に移れない。芦花のネイル弾だけでは圧が足りなくて軽く避けられてしまうだろうね。でも、僕の攻撃を混ぜるには、相殺頻度が悪すぎる。
現状こっちが不利といったところ。
被弾はなくとも、このままでは埒が開かない。なんなら櫓を取られてる分ミドルから突っ切れるので負ける可能性のが高い。
トップはぼちぼち帝さん落とせそうだけど、そのまま進めるかはびみょいね。
リスポーンした雷さんはミドルを進むと思われる。その方が早いしね。
こっちも手間取ってはいられないんだけど。
「進めなーい!」
「ごめんね、さすがに防ぎきれないみたい」
「いや、ROKAが悪いわけじゃないんだ。僕の精度がね」
全然進めません。
なんなら乃依さんは適宜後退するから変わってないまである。
ダメだー! これじゃあ時間の無駄!
被弾覚悟で行くしかない。
さっきと同じく、被弾覚悟で突撃だ!
「仕方ない、突るよ!」
「わかった!」
ライフル弾2丁で相殺していたのを、ショットガンに両方切り替え、飛んできた矢をギリギリで回避してから接近開始。
散弾撒き散らしながら、距離を詰めていく。
勢いが変わったことに気づいた乃依さんも、後退ではなく回避して反撃をしてくる。
矢が掠め、体力を削られる。直撃こそないけど、じりじり持っていかれている。
でも、距離を詰めた甲斐あってこちらの攻撃も掠めるようになり、削り合いになっている。
後ろに横にぽんぽん飛んでは強烈な矢を飛ばしてくる乃依さん。
あんだけ派手に動いていても正確な狙いはぶれなくて。
こっちは掠めるように避けるのが精一杯です、ひぃん。えぐすぎ。
芦花には被弾してないけど、僕がズタボロに。まあ、それはいい。
でもなんたかんだ削り合いになって3割は減らした。
こっちも同じくらい減ったけど、勢い的には行けそうな感じがする。
ここはもっと近寄って被弾面積増やそう。
今よりもっと寄るために、もっと前に、あちこち跳ね回る乃依さんを追いかける。
気付けば黒鬼側の城もそこそこ近付いていた。
そして、リスポーンした雷さんがこちらに来ていることも。
「まじ? こっちくるとかある?」
「やばいね」
「今2人がかりはキツイって」
このまま合流されればさすがにもう無理。
人数差でなんとか押してるのだから、ここで押し切るしかない。
今までよりもさらに前のめりに突撃。
被弾もやむなし、だ。
寄れば寄るだけ回避は難しくなる。ネイルで弾くにも限度はあるし、そもそも近すぎて間に合わないこともある。
掠めていた矢が、ついに僕の翼をもいでいった。機動力に影響があるけど、問題なし。
ここで、落とせるなら安い費用だ。
なにより、今翼を持っていった瞬間、乃依さんが少しだけ次の矢を構えるのが遅かった。
おそらく僕がもう少し怯むとでも思ったのかな。
残念、こちらはその程度では止まらないのだ。
「貰いました!」
「うっそ〜ん。翼もいだら動揺するでしょ……」
ショットガン2丁の連射で撃ち抜かれ、桜と散っていく乃依さん。
しかし、こちらの体力も残り3割程度。翼を持ってかれたのはまあまあきつかった。
なにより。
「……まだ祭りは終わらん」
「ボス戦連続ぅ……」
「これこそぴえん、だよね」
大ボス2人も倒したのに復活して再度襲ってくるとかどんな悪夢よ。
とはいえまだ相性が良いので、雷さんだけならなんとか。
トップレーンは帝さんを落として櫓を取った模様。そのまま進むようだ。
こっちも再度雷さんと殴り合い。
さっきの戦いとあまり変わらないので割愛。
結果としてはなんとか勝ったけど、時間を稼がれる乃依さんも帝さんもリスポーンした。
で、そうなるとこっちはどちらも本丸に近いんだけど、体力は削られているわけで。
本丸前にて乃依さん帝さん連合と僕ら4人が衝突。
もっかい4人がかりで乃依さんを落としたものの、復帰してきた雷さんと帝さんのコンビで僕ら全員本拠地に叩き返されてしまった。
これで酒寄さん以外は僕らは残機1、酒寄さんは残機がなくなった。
でもこちらも乃依さんと雷さんの残機を削りから、帝さんも2、悪くはないと思う。
リスポーン明け、黒鬼たちは全員ミドルから進んできている。
ならこちらも揃えていこうということで4人で突撃。ミドルにて乱戦スタートだ。
銃弾と剣戟が入り乱れる中、やはり地力の高い黒鬼の方が強く。
残機のない酒寄さんにはほどほどにサポートしてもらい、僕らとかぐやが前に出張っていたけど、そこそこ削れていた帝さんを集中砲火で落とすのが精一杯で、そこで僕と芦花は再度倒されてしまった。
タイミング的にはトップレーンを進めば良い勝負といったところ。
でも。
「今回の主役は僕らじゃないしね」
「うん、なら主役に譲らないと」
僕らの意思は1つ。
だから。
ミドルレーンにて雷さん乃依さんに地雷と弓矢で攻められていた2人のところは駆けつける。
帝さんも向かってきているみたいだけど、僕らの本丸に寄っていた分僕らの方が早かった。
芦花を抱えて空から舞い降りる。
苦戦を強いられていた酒寄さんは苦しげな表情だ。かぐやは悔しげな顔だけど、楽しそう。かぐやらしい。
「ここは僕らに任せてよ」
「主役にはやってもらいたいことがあるしね」
「でも……」
2人の前に降り立ち、僕と芦花は武器を構える。
相対した黒鬼の2人と、視線だけ合わせる。
酒寄さんはここを頼むことに抵抗がありそうだ。
「でもじゃないよ。勝たなきゃなんでしょ?」
「なら、ここは私たちに頼りなよ。ほら」
「「行ってらっしゃい」」
「あっ……」
僕らに背中を押されて、酒寄さんの顔がやる気に満ち溢れていく。
さっきまでとは大違い。
「……うん、ここは2人に任せる! いくよ、かぐや!」
「りょー! アキ、ろか、後はお願い!」
トップレーンに向かうため、2人は本丸へ戻る。
ジャンプ台からトップの櫓は行けるのだ。
その動きをマップで見たのか、帝さんもトップレーンに向かっていく。
そういえば、酒寄さんと帝さんは兄妹だったらしい。途中で言ってたっけ。
なら、これから始まるのは盛大な兄妹喧嘩とも言える。
まあ、仲違いしてるわけではないだろうけどね。
僕らはそこに邪魔が入らないようにここで頑張るだけ。
「さ、気張っていこー」
「受け持ったからには、やりきるよ」
「また君たちか〜」
「……始めよう」
この対面も何度目か。
さすがに正攻法ではもう勝てないかも。
さっきまでのは僕らの情報がないのと、遮二無二突貫してなんとかもぎ取っただけ。
今度は乃依さんもガンガン攻めてくるだろうから、防ぎきれなくなると思う。
だから。
「ROKA、僕の奥の手切るよ。たぶん、負担が分散されると思うけど、ごめん」
「ん、いいよ。全部受け止めてあげる」
隠し持った切り札、その反動はたぶん芦花にも行くと思う。
さっきの鈍足連射が芦花にあたってないにも関わらず効果が反映されたから。
なら、僕のやつも同じかなと。
でも芦花はそんなの関係ないように笑ってくれる。
あぁ……ほんとに嬉しい。
どれだけ重くとも、彼女は僕のことなら受け止めてくれるという安心感。
それだけでこの後の反動のことなど、気にならなくなる。
さぁ、覚悟を決めよう。ここからは、反撃のお時間だ。
「いくよ、これが僕の切り札」
ウルトを発動。
いつもの赤い光ではない。
いつか、一度だけ芦花の前で披露したことがある。
眩く輝く
対面の2人も少しだけ目を見張っている。これは配信では使ってないし情報もないはず。
だからこその切り札。絶対勝ちを拾わないといけない時用のね。
「白の嵐、見せてあげます」
「……これ、あの時のだよね」
やべ、ばれた。
残機合わせに行った結果、鷹くん大暴れ。
相性もあるから許して欲しい、ユルシテユルシテ……。