芦花と幼馴染   作:キイカ

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決着!そして……?

 

 

 

 先ほどの対面と同じ状況、違うのはこちらがウルトを切ったこと。

 それだけでさっきよりも優勢を取れている。

 ウルトなしで3割程度の相殺頻度だったのが、第2段階まで切ったことで7割程度まで上昇。

 それプラス威力も上昇したので雷さんへの圧も強くなった。乃依さんの援護射撃もあまり怖くはない。といってもノーガードで受けれるほどではないからそこは安心できない。

 3割まで減らした撃ち漏らしを、芦花に弾いてもらっているのでね。彼女が捌ききれなかったらこちらを掠めていくのだ。

 そしてなにより、このウルトには制限時間がある。大体10分もないくらいの。

 自損スピードが早いので、悠長に戦ってはいられないのだ。掠めたりして体力を削られればさらに時間がなくなる。

 今も撃ち合いが始まってから体力バーに目に見えて隙間ができている。

 向こうもそれに気付いているだろうから攻撃の手を止めないのだろう。

 自損していくだけなら、放っておかれても仕方ないんだけどそこはお相手もプロなので、そんなつまらない絵面は却下だろうね。

 勝負はこちらが相手をぶち抜くか、相手が先に削り切るかぶち当てるか。

 中々緊迫しております。

 

「ROKA、反動大丈夫そ?」

「こっちはなんとも。アキくんは?」

「んー、まあなんとか」

「……それ大丈夫じゃないやつでしょ」

 

 やべ、ばれた。

 まあ実際ちょっと頭が痛いなーとは思ってる。

 諸々の負担が増えるからあまり使いたくはないウルトなので。前回もちょっと使っただけでほんのり頭痛がしたかはね。

 今回は明日が怖いところですよ。まあ今は気合いでねじ伏せるけどね。

 あー芦花さんの視線が痛いなー。

 おっと、乃依さんの弓矢が顔の横スレスレを通り過ぎてった。

 まじで精度えぐいな。この正確さ、リヨノさんにも近いような。

 ……ん? リヨノ、のより……まさかね。

 ふと気付いた違和感というか、共通点というか。

 僕の目指している人に、よく見てみたら弓矢の感覚というか、狙いというか似ているような。

 それに、名前も読み方変えて逆にしたらそうなるし。

 まあ、どこかで話す機会があったら聞いてみよう。

 

「それにしても、このウルト切ったからにはもうちょい楽になると思ったんだけど、ね!」

 

 ウルトを切って相殺出来る回数が増えたというのに、全然勝ちに近づいてる気がしない。

 雷さんの盾は削れてはいるけど、まだ現在だし乃依さんには一度も当てれていない。

 なのにこちらは自損と擦りで2割はすでに減っている。

 交錯す矢と弾、飛んできている矢の本数以上にこちらの弾を撃ち込んではいるのだけど、さすがはプロ、避けられ防がれ体力を削らしてくれない。

 さっきと違って僕が動いていないのもあるかもしれない。今の状態で動くと芦花を置いてきかねないので、下手に動けない。

 芦花もバフ効果は共有されてるみたいで、移動速度と攻撃速度が上がってはいるみたいだけどそれにまだ慣れてないから、合わせれない。

 そんな状態で僕だけ動いてしまえば確実に狙われる。自損も相まってあっという間にゲームオーバーになっちゃうだろう。

 白い粒子が体から立ち昇る中、時間の制限がこちらを追い立ててくる。

 正面突破するには、芦花を置いていけないし、向こうの壁を崩せない。かといって持久戦は無理。

 残るは合体機構でなんとかするしか。でも、マシンガンもショットガンも過去に使ってし、モーションでバレそう。

 となると唯一使ってないライフル一択なんだけど、タイミングがない。どれにせよほんの少し溜め時間が発生するから、そこを狙われれば詰み。

 

「どーするかな」

「手詰まり?」

「んー、なかなか手厳しい状況」

「まだ体力はあるから、がんばろ?」

「ん、そだね」

 

 バチバチに撃ち合いしながら、しれっと幼馴染と緩い会話。

 温度差で風邪ひきそうですね。まあいつものことか。

 芦花のネイルで防げるのも限度があるから、溜め時間を確保するのはちょい厳しい……ん? 

 そういえば、試してないけどネイルでこっちの攻撃も反射できたりするのかな。

 

「ROKAのネイルってさ、味方の攻撃も反射とかできるかな?」

「えー、やったことないから分かんない。試してみる?」

「やってみよ、出来たらラッキー」

「おっけー」

 

 物は試しとネイルを少し遠目に配置してもらい、隙を見て1発発射。狙い通りにネイルに飛んだ弾は、なんといい感じに雷さんの方へ反射した! 

 想定外の方向から急に弾が飛んできて彼が大きめの回避をする。

 なるほど、使えそうだ。

 

「いけるね」

「いけたね」

「なら、もっとやろう」

「りょーかい」

 

 さっきよりもネイルをバラバラに、配置してもらって相殺の合間を縫って反射も交えた弾丸を飛ばす。

 なかなかこちらの都合の良いところは反射してくれるようで、乃依さんだったり雷さんだったりで狙いはランダムだ。

 一応雷さんメインで狙ってるけど、ちょいちょい乃依さんも挟まる感じ。

 ラッキーと思ってたら、しれっとチロちゃんがフードから芦花の肩へ移動していた。

 サポートしてくれてそうだねありがとう。

 

「チロちゃんのサポートのおかげで助かってます」

「およ、いつのまに」

「ネイルの反射は担当してくれてるんじゃない?」

「出来るオコジョだねぇ、後で可愛がってあげないと」

 

 ちょっとドヤっているチロちゃんをチラ見しながら、多角的な射撃になったこちらの攻撃を続ける。

 芦花のネイルで攻撃してもらうよりもかなり使い勝手いいなこれ。今度練習しないと。

 不意に反射で飛んでくるライフル弾の対応で直接の僕への攻撃がほんのり少なくなった。

 それはつまりチャンスも増えるというわけで。

 この時点で僕らの体力は4割削れてる。

 向こうの体力は変わらず減ってないけど、ライフルの合体機構なら一撃でいけるはず。

 ただ、狙うなら2人が1発で巻き込めるように重なってくれないと反撃でやられかねない。

 僕らの本丸が近い以上、片方倒してやられてしまうのは非常にまずい。

 最低でも相討ち、良ければトップへのフォローをしたいところだけど出来るは微妙。

 はてさてって感じ。

 

「上手いこと2人を纏めて撃てるようにちょっとずつ移動するね」

「りょ〜」

 

 現状では乃依さんが後ろの高台でガンガン攻撃飛ばしてきてる上に雷さんとは縦に並んでいない。

 ので、縦線が重なるようにこちらが動きながら、乃依さんが下に降りるように反射攻撃で圧をかけたい。

 チロちゃん頼みで申し訳ないけど、頑張って欲しい。

 ネイルへガンガン飛ばして反射し攻撃しながら乃依さんに圧をかける。向こうも狙われてることに気付いて、回避しながらの反撃になっている。

 ここは、マシンガンでさらに圧をかけた方がいいか。

 片手マシンガンに切り替えて、反射弾幕の密度を増やす。すると、それに反応して乃依さんも大きく回避をする。

 反射しきれない弾は違うところに飛んでいくけど、8割くらいは反射できてる。すばらし。

 そうしているうちに掠り始めて、乃依さんの体力が削れ始めた。

 そのタイミングで彼は一旦雷さんの盾の後ろへ避難した。

 きた。このタイミングを待っていたんだ。

 どちらも同じラインにいる今のこの時を。

 こちらも一度両方マシンガンに切り替え最大限の弾幕の圧でプレッシャーかけておく。

 そうして圧をかけたらすぐ、ライフルに切り替え。

 使うのは火力最大射程も最長、ぶっちゃけライフルというよりレーザーに近しい一撃。

 

「ROKAちょっとだけ頼んだ」

「任せて、全部は無理でも頑張って防ぐよ」

 

 残り体力は5割を切って4割ちょい。

 ここで決めないと。

 合体機構を発動して2丁を連結、ここで溜めが入る。

 不自然に空いた弾幕の間に、向こうが気付いたようだ。

 こちらの隙だらけな状態に攻撃が飛んでくる。

 乃依さんの弓矢、雷さんの扇の破片飛ばし。

 芦花のネイルで弾きつつ、少しだけ動いて避けれるものは避ける。でも、残念ながら乃依さんは見逃してくれなくて。

 

「……やばっ!」

「アキくんっ!」

 

 両手で支えていた連結機構、その左肩を矢でぶち抜かれてしまった。根本からなくなった左腕が連結機構から離れていく。

 体力は残り一気に2割、それよりも肩を持ってかれたせいで安定性に難が。

 このまま放つとおそらく反応であらぬ方向に飛んでいってしまう気がする。

 まずい。

 これでは当てられない。

 そう思っていた。

 

「私が、支えればいい?」

「ROKA?」

「任せてよ、支えるだけなら、私にもね」

 

 後ろから即座に芦花が僕の銃を持ってくれた。

 多少違和感はあれど、しっかり固定はされた。

 これなら。

 

「ありがと。これで、いける」

「ん、やっちゃえアキくん」

 

 これ以上は耐えられないし、もう止まらない。

 溜まり切った光が、銃身から放たれる。

 細く長い光の弾がまっすぐ雷さんたちへと向かう。

 彼らも即座に地面を隆起させて盾を張った。

 でも。

 

「残念、ぶち抜いちゃうんだな」

 

 壁などないように一撃で粉砕。

 そのまま後ろにいた雷さんを貫通し、一緒に乃依さんも撃ち抜いた。

 2人の体力を全損させ、桜の花びらのようなポリゴンを散らしながら消失していく。

 こちらの体力は残り1割もない。

 が、僕らの勝ちだ。

 

「なんとかなった……」

「反動すごかったね。結構後ろに下がったよ」

「そりゃ必殺技ですので」

「さて、どーしようか……あ」

「ん? ……あ」

 

 なんとか2人を退場させたのは良かった。

 しかし、いつのまにか放っていたのか曲射で撃たれた矢上から降ってきた。

 それに気づいた時にはもう遅くて。

 どすりと僕の脳天に突き刺さって、残り少ない体力を持ってかれた。

 うそ〜ん……。

 

「ごめん酒寄さん……」

「彩葉、あとはよろしく……」

 

 チームのチャットに激励だけ残して僕らも退場した。

 

 

 

 その後は僕らはリスポーンエリアで虹色の檻に収まりながら、試合の行方を見守った。

 後半気づかなかったけど、酒寄さん達は抜群のコンビネーションを発揮して帝さんを追い詰めていた。

 盛り上がる観客、熱狂する実況、誰もが固唾を飲んでその結末を見守っていた。

 そして。

 

『鬼熱ぃぃぃぃ!!!! 一騎討ちを制したのは、かぐやいろP〜〜〜〜!!!!』

「酒寄さんさすが!」

「彩葉、やったね!」

 

 帝さんを一刀両断する酒寄さんに僕らも観客たちも大興奮。

 これは買ったも同然……と思ってたんだけど。

 黒鬼の本拠地に向かう2人。帝さんもリスポーンするなりボトムレーンからかっ飛ばしていく。

 どちらが早いか、確実にこちらの方が早かった。

 しかし。

 大将落とし目前、かぐやが余裕のドヤ顔でハンマーを振りかぶったところで、嫌な光が。

 そして大爆発。

 終わった。

 嘘でしょ? 

 ここで地雷が発動、仕掛けたのは雷さん。確かに地雷とか使ってましたね……。

 武器を吹っ飛ばされ、大ダメージのかぐや。

 その合間を縫って帝さんがウルトを切って階段を駆け上がっていく。

 酒寄さんがなんとか大将落としに向かってるけど、まあうん。

 帝さんの方が早くて。

 ウルトの勢いそのまま、大将落としを打ち込み終了。

 僕らの真後ろくらいでド派手に城が爆発して、僕と芦花は開いた方が塞がらない。

 かぐやも再起動してから負けたことに気づいて地面を転げ回っている。酒寄さんは嘘でしょ? みたいな顔。

 

「まじかぁ、ここまできて負けかぁ」

「まあ健闘した方じゃない?」

「そうだけどさ? ……あっ、やば」

「アキくん? ……アキくん!?」

 

 試合が終わって、ちょうどヤチヨカップも終了。

 これから集計結果が出るというところで、緊張の後が切れてしまった僕は忘れていた、というよりはアドレナリンで踏み倒していた反動の頭痛が再来。

 目の前が真っ暗になっていく。

 芦花がこちらに手を伸ばしているのを、僕からも伸ばした。

 そこで意識を手放した。

 

 

 







アキくん倒れすぎ……?
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