超かぐやメシ!の一話目にあったお泊まり回。挟めそうなのがコラボライブ前っぽい雰囲気だったよねって。
千秋の家でお泊まりしてから2日後。
彩葉達がコラボライブを明後日に控える中、私たちは真実の家でお泊まり会をしていた。
今ぐらいしか彩葉とかぐやちゃんが空いてるところがなかったのだ。
昔の彩葉だったらお泊まりなんて迷惑かけられないとか言って断ってそうだったけど、かぐやちゃんが来てあちこち連れ回されてやらされて。
いつのまにかヤチヨカップを優勝したりして、心持ちが変わったようだ。
私たちとしては嬉しい限りだ。彩葉はお泊まりとか苦手なのかなって思ってたし。真実の家に泊まることはわりとあったしね。彩葉には断られてたけど。
そんなわけで真実の長女の特権が盛られたかのような広めのお部屋で私たちはお風呂上がりの寝巻き姿でパーティゲームに興じていた。なお、モモパである。
前に千秋にそこそこ教えてもらったので友情崩壊も辞さない真実のプレイングを適度に止められている。
「ぐぬぁっ! この通せんぼカードを止められるとは!?」
「そんな見え透いたトラップ作らせませんよーっと。はい、貧乏神」
「ぎゃあぁぁぁ〜〜〜おに! あくま! 綾紬あしか!」
「言ったな! 諌山しんじつめ!」
「え、なに、しんじつ? あしか? どういうこと?」
「ねーかぐやにしれっとデビル投げつけるのやめて?」
真実の道路封鎖を阻止してついでに厄介者をなすりつけ。
そしたら過去のネタを掘り返してきたではありませんか。
こちらも負けじと言い返してたら、蚊帳の外な彩葉が頭の上にはてなマークを浮かべてるや。かぐやちゃんは巻き添えでお金を巻き上げられてる。
「いやね? 私たちが中学の時にさ、教育実習の先生が来たんだけどね。その人が真実をしんじつ、私をあしかって読んだのよ。それで一時期あだ名がそれになっちゃって」
「芦花はまだしもわたしをしんじつって呼ぶのはおかしくない!? 読めるけどさ!? 女の子の名前としてはないでしょ!」
「そんなことがねぇ」
私の丁寧な説明と真実の憤慨した発言で彩葉はちゃんと理解してくれたようだ。
あの時はさすがに誰を呼んだのか一瞬分からなかった。苗字は自分なのに名前が自分じゃない経験は初めてだった。
「ちなみに、アキくんは女の子と勘違いされました」
「あー、千秋ちゃんって呼ばれて珍しく赤面してたね」
「『あの、男です』って言ってたアキくん可愛かった」
「可愛……? 面白かったのはあるね」
千秋が女の子に勘違いされたのも、まあ仕方ないところはあった。
読みだけなら女の子にもいるだろうしね。私の身近にはいなかったけど。
あの教育実習の先生、他の子の名前もちょこちょこ読み間違えてたからもはやそういうギャグか何かを狙ってるのかなって思ったよね。
鳩河君は何もなかったね。唯一のはぶられ。
今だったら……。
「彩葉だったらあやはとか呼ばれてるんじゃないかな」
「たしかにー。かぐやちゃんは……感じにすると輝く夜? てるよ?」
「てるっ……よっ……ぷっ! くっ、やば、おもしろすぎる……!」
「ちょっとー! かぐやの名前で笑わないでよー!」
「あやはも悪よのう」
「あやはやめて〜」
「あやは〜」
「さけよりあやは〜」
「お酒は寄りません〜」
名前いじり大会が勃発。なお私と真実は耐性があるので標的はかぐやちゃんと彩葉です。
苗字ごと読み方を変えていじり倒すと彩葉もお腹痛そうに抱えて笑ってる。楽しそうでなによりだ。
かぐやちゃんは彩葉に抱えられてたけどてるよの弄りで捲れて脱出。今は彩葉の横で肩を揺さぶってる。
友情崩壊を回避してむしろ深まったのは大変良いことだ。まあ、崩壊してもゲームだから笑って流せるだろうけどね。
「お、隙あり。その利益出そうなカフェ物件いただき!」
「あー! 大事に育ててたのに! 非道! あくま! あしか!」
「まだ言うか! 諌山しんじつめ! これでも食らえ! デビルカードアタック!」
「甘い!」
あ、避けられた。
「え」
「あ」
真実のキャラが華麗に私の攻撃を避けて、次の手番にいた彩葉へ。
あー……。
「あ゛あ゛あ゛〜〜〜!!! せっかくコツコツ貯めてたお金が〜〜!!!」
「……ごめん彩葉」
「わたしが避けたせい? これ」
「かぐやはどっちもどっちだと思うな」
手持ちカードをデビルに埋められ、ついでに所持金もごっそりと持ってかれて絶望に満ちた顔になってしまった。やってしまった……。
千秋にしっかり鍛えられてたのが仇になっちゃったか。なにげ千秋はこれをNPCにしかやってなかったからなぁ。私はしれっと守られてたし。
「これもゲーム……仕方ない……お金……ぐすん」
「ごめんって。これあげるから」
「千載一遇? 出目の数だけ目的地に近く……? ありがと」
「いいの持ってんじゃ〜ん。わたしにもくーださい」
「真実はこれ」
「ん? ……キングデビルじゃん! やられた!」
「あれで終わりだと思ってた? 甘いねぇ」
ふっふっふ。狙った獲物は逃がさないんだよ? ついでに他の人も巻き添えしたけど、気にしない気にしない。
結果的に勝てればおっけーって、千秋も言ってた。
私はちゃんとお守りにワクチン、ついでに偉人さんもガードしてるのでばっちり。独占もしてるから収益もいい感じです。
む、かぐやちゃんが豪速球使おうとしてるな? 止めとか。
「あ〜〜!! 割られた!」
ごめんねかぐやちゃん。モモパは隙を見せちゃダメなんだよ。
自分の身は自分で守らなきゃね。食べられちゃう前に。
てなわけでお先にゴールっと。お次の目的地は……わぁ、遠いな。
「芦花やたら上手くない?」
「かぐやも思った! ゲームとかあんましてなさそうなのに」
「最近ちょっとね〜」
「さてはたかちーとやってるな〜?」
「まあ、そんなとこ」
思いの外上手い私のプレイングに彩葉とかぐやちゃんが不思議そうな顔をしている。
私は濁し気味に流そうとしたけど、真実には勘づかれた模様。ならまあ隠す必要もないか。
実際この前のお泊まりの時にモモパは集まったらやる機会あるだろうからって結構教えてくれた。
おかげでこの通りでございます(総合一位、二位との差は三倍程度)。
「彼氏さまさまじゃーん。わたしも教えてもらえたらなー」
「鳩河君はやらなそうだよね」
「たかちーほどではないみたい。今日も男子のお泊まり会ではなんかやってると思うけど、スマシス? かなんかをよくやってるって」
「スマッシュシスターズね、あれはアキくん教えてくれなかったな」
「芦花には向かないと思うから正解だと思うよ」
鳩河君はスポーツタイプだからゲームは嗜む程度っぽいし、その通りみたい。
逆に千秋は本も読むしゲームもするからなんだかんだ多趣味というか。配信もして音楽とかも聞いてて私の趣味に合わせてお菓子とかも買ったりする。
……私の彼氏の守備範囲幅広いな? なんでも教えれるほどではないとは思うけど、この前のお泊まりの時やったゲームはどれもそこそこできる程度には教えてくれたし。
普段の時間配分どうなってるのやら。
まあ、それはおいておこう。
「そういえば向こうは鳩河くん家に集まってるんだってね」
「数日ぶり何回目かなって感じ。前にも凸られたみたいだし」
「あー、しばらく隠れてた時のことか」
「バレてる感じ?」
「いやまあ、誰かのお家に止まってるってアキくんのお母さんが言ってたから、そんな仲良いのって鳩河くんしか思いつかなかったし」
「たかちー交友関係狭いからね。そりゃバレるよね」
「荒鷹くん私たち以外と仲良く話してるところ見ないもんね」
「あきは意外とコミュ障ってこと?」
「いや、正確には興味ない人には時間を割かないだけだね。興味の対象が完全に誰かさんに偏ってるから、その周りの人に集まってるだけで」
おっと、なんか急にトゲが飛んできたな。
適当に口笛吹いて誤魔化しとこ。
「〜♪」
「誤魔化しの口笛うま。なんか腹立つな」
「あーうん、予想はできるね。荒鷹君芦花以外眼中になさそうだし」
「ひゃー、熱々じゃん!」
「やめてよもー」
揃いも揃って私をいじってきて、まったく。
今思えばいつでも千秋はそばにいてからだから確かに私以外眼中になかったのかもだけどね。
それはそれとしてもう少し友達はいてもよかったのではと思ってます。
この先交友関係が狭すぎるのはちょっといただけないしね。
「私からももう少し友だち増やしなって伝えとくよ。高校生の時の友達ってわりと長い付き合いになるだろうし」
「ねー。私たちは大学行ってもその先でも集まったりしようねー?」
「するするー! 次はかぐやたちの家に招待する!」
「やったー! その時はかぐやちゃんの手料理期待しても?」
「もっちろん! 腕によりをかけて作るから任しとき!」
「その時はアキくんと鳩河君も参戦できるといいね」
「あー、男女混合はさすがに大学生とかになってからでは?」
「どっちも彼女持ちだから気にしなくてもいいのでは」
「それはそうだけど! ……2組のカップルに挟まれる私とかぐやの気にもなってよ! 急にいちゃついたりするんだからどっちも」
うっ。それを言われると……。
つい先日のお泊まりのことを思い返して何も言えなくなっちゃう。
甘えに甘え倒して、お互い半分くらいは溶けてたから、さすがに人前であんなになる気はないけど、甘えることの加減がよくわかんないからどうなるか。
我慢していた年月によりスキンシップが過剰になりがちな千秋と、彼を全部受け止めると決めてなんでも受け止めるし私からも引っ張っちゃうから際限ないんだよね。
うん、自重しないとね。外では健全な高校生幼馴染カップルであれるように心掛けないと。
正直2人でいるとすぐに甘めの雰囲気になるから、2人じゃないなら大丈夫だとは思う。
千秋も周りの目は気になるだろうし。
真実たちも、さすがに外ではいちゃついてはないかな。話を聞く限りではお家ではまあまあ大胆にいちゃついてるみたいだけど。さすが私たちの先輩だ。
「とりあえず、うちに来る時は過度ないちゃつきは禁止ね」
「はーい」
「分かりましたせんせー」
「誰が先生だ」
「かぐやも彩葉といちゃいちゃするー」
「やめ──暑いんだから、離れなさいってー!」
わぁ、抱きつきたいかぐやちゃんと暑いから離れたい彩葉がくるくる転がりながら部屋を回り始めちゃったよ。
「あーれま。わたしたちは放置ですか」
「いやまあ、私たちも大概放ってたりするけどね?」
「まあそこは長年の付き合いがあるわたしたちですので? 彼女らの知らない話もあったりなかったりー?」
「何を話す気なんだーい」
「んー、付き合ってからどんな感じ、とか?」
おっと、普通にそういうこと聞かれるとは思ってなかったぞ?
いやまあその辺の話はまだ誰にもしてなかったし。真実が気にしてそうなのも分かる。
が、ほんとこの前のお泊まりの時ぐらいしか話す事ないからなぁ。
それより前の時の手を握ったりして過ごしたのは別にいいよね?
お泊まりの時のことは……ことはぁ……。
恥ずかしい……さすがに。
いや、お昼のうちは別に何もなかったけど、夜がね。
寝る前がね、さすがに真実判定もアウトになるのが目に見える。
「えー、なにもないよー?」
とりあえず誤魔化してみる。
「んなわけ。あのたかちーが想いを遂げたんだから、芦花が無傷なわけないでしょ。もう階段登ってたり? それとも案外まだプラトニックとか?」
ダメでした。
全然千秋のことがバレてるので隠せませんでした。
てか、階段登ったとかぼかすにしてもさぁ……!
プラトニック……なのかなぁ。手は握ったしちょっと抱き合ったりもしたけど。
一緒にうっかり同じベッドで寝ちゃったけど、どうなんだろ。
「んー、たぶんぷらとにっくってやつ?」
「……まじ?」
「まだ手を繋いだらちょっとぎゅって、したりしたくらい」
ベットのことは内緒。さすがに言えません。
「わぁ、わぁ……! あれだけの重みのたかちーとそんなプラトニックな関係でいられるだなんて。流石に尊敬ですよ真実さんも」
「なんか複雑なんだけど? そういうのはちゃんとアキくんと話し合って進めたいしね」
「ま、眩しい……。今時こんなピュアな交際があるなんて」
「その言い方だと真実たちはそうでもないふうに聞こえるよ?」
「そりゃあまあ交際2年目にもなれば……ねぇ?」
わ、わぁ。
大人の階段登ったんだね?
これが、大人の余裕……!
身長的には私の方が遥かに高いのに、真実が大きく見える。
「む、なんかバカにされた気がする」
「気のせいじゃないかな?」
「まあいいか。芦花たちも月日が経てば……てか、それ渡されてるんだから責任なんて取ってくれるだろうにね」
「ん、まあそうだね」
本日も私の
これを撫で、手を添えるとあの日のことを思い出せる。
それだけで幸せになる。なっちゃえるお手軽な私です。でもいいよね。
「幸せそうじゃん。あまあまだねぇ」
「えへへ、そう?」
「ひぁ〜芦花が惚気てくるなんて。たかちー恐るべし」
惚気、なのかな?
私としてはそんな気はないんだけど。
でも真実は私の顔というか、雰囲気が甘いと宣っている。
よく分からないけど、そう言う事らしい。
「今が1番幸せな時間かな?」
「んーん、違うよ」
「え?」
それは間違いなんだよ、真実。
今が、なんて。
そんな短い時間の話じゃない。
「今だけじゃないよ。これからずーっと、幸せな時間、だよ」
「……コーヒー欲しいなって思ったのはさすがに初めてかも」
彼の十数年をもらったんだから、それに見合うくらいは幸せでいるし、幸せにする。
それが私の使命でもあるからね。
……コーヒーが欲しいってのは、よく分からないけど。
「こんな時間にコーヒーは良くないんじゃない?」
「誰のせいだと」
えぇ……どゆこと?
名前いじりの流れ、絶対芦花も読み間違えるだろ!と作者は思ってました。
主人公君は読みだけなら女の子もいける……よね?ちあきちゃんいるよね?作者はむかしクラスメイトにいました。