やっとこ本編も後半戦かな?
コラボライブですよ、観客側ですけども。
酒寄さんたちがもぎ取ったコラボライブの権利。そのお披露目当日。
ツクヨミの真実の家にて会場前に集まってのんびりしていた。
当事者2人はライブの準備があるのですでにいない。一応少しだけ顔は出していったけどね。
このコラボライブのチケット、本来であればまあまあなお値段を請求してきてるんですが今回、というよりかは僕と芦花は最後のKASSENに参加して戦ったので関係者席的なチケットをもらえた。
そういうのが欲しくてやった訳ではなかったけど、酒寄さんに今まで助けてもらったお礼もあるからとゴリ押されてしまった。それを言われたら受け取るしかないね。
そのチケットが一枚につき1人まで知り合いを呼べるらしいので僕が守を、芦花が真実を呼ぶ事で無事仲良し4人組は全員参加となった。
席配置はちゃんとお付き合いしてる物同士で固めてあります。さすがにね。
「いやー、あんまりライブとか見ないから新鮮だわ」
「僕も〜」
「わたしは黒鬼のライブとか見てるから〜」
「私は初めてかも」
昔はスポーツ少年だった守と、あまり興味のなかった僕。芦花もそういうのには参加した事なかったので、真実を除いて3人とも楽しみである。
真実は黒鬼のライブにも参加したことがあるらしい。ファン数もすごいから倍率もやばいだろうに。これが執念?
「ペンライトは持ったか〜?」
「なんもない」
「右に同じく」
「私も同じく」
「お〜いおい。ライブに行くのにペンラないとか舐めてる? ちゃんと推しの色を持ちな?」
「黒鬼の時は?」
「そりゃもう両手に3本ずつ全員の色」
「当てにならないね」
なぜかしれっとオレンジ、紫、紺色? っぽいペンライトを持っている真実。僕らはライブライトユーザーなのでそんなものは持ってないです。
というか初めてなのでその辺よく分からん。
ペンライトを振る? へーそんな文化が。
僕と芦花はポカーンとした顔、守は推しの話までし始めた彼女にやれやれと言った様子。
熱弁するモモンガは彼氏に押し付けておき、僕らは時間を確認する。
そろそろライブ会場に入場できるかな?
「そろそろ開きそうだね」
「ツクヨミだから混線とかはなさそうだけど、早めに行っておくのもありだよね」
「うん、空気感とか味わってみたいし」
「そろそろいこっか」
これだけのユーザーがいて遅延とかもほとんどないツクヨミはやはりすごいなと思う。
こういうライブとか特に集中してやばそうなのに。
時間も良くなってきたので、推しトークの止まらないモモンガを引き止め、移動。若干物足りなさそうなのやめてね? 普段もマシンガントークしてるでしょ。
「おぉ……割と早めに来たはずなのにもう席埋まってるね」
「うん、すごいね。ちゃんとペンライトも用意してる。私たち浮いちゃう?」
「そんなことないから安心して〜。いろPとかぐやたちは急に現れた超新星すぎて、イメージカラー定まってないみたいだから。いろPとか紺色なのか青なのか緑なのか結構争ってるらしいよ」
「へ、へぇ、複雑なんだね」
会場に入り指定の席に移動する。最前列のようでとても良い席みたいだ。
真実が「ファンサもらえるところだよここ!」とでっかい声で喜んでる。
周りを見ると始まる前なのにペンライトがいくつも浮かんで見えていて、ヤチヨの紫とかぐやっぽいオレンジがいくつも見えた。
真実が言っていた通り酒寄さんのは定まっていないようで、紺色優勢だけど、他2色もぼちぼち見えるかなって感じ。
僕らも一応持っておくかということで、芦花が紺色、僕がオレンジ、守が紫を持った。
芦花に紺色持ってるのに他意はないよ? 僕のも同じくね。
「うむ、これで君たちもライブビギナーだね〜」
「そうそうレベルアップすることはあるんですかねそれ」
「ライブマスターはむしろする側では。見るんじゃなくて」
「私ビギナーから抜け出せなさそう」
僕たちが持ったペンライトを適当に振っているところを見てご満悦な真実さん。
これで黒鬼のライブにも連れてけるとか思ってないよね? それは守るだけにしてね?
ビギナー卒業を目指してない僕らはこれくらいの浅い楽しみ方で充分なのだ。さらに深いところはちょっとご遠慮願いたい。
「にしてもさ、あんなに勉強とかバイトのことばっかだったいろPがね〜」
「ヤチヨカップに優勝するのも初めて会った時からは想像できなかったよね」
「かぐやがいなかったらライバーなんてしてないでしょうし」
「大体は巻き込まれて断れない酒寄さんのせいでは?」
「それは言わないお約束でしょ守」
真実がしみじみと今準備をしているであろう酒寄さんの成長……とよぶのが正しいのか分からないなにかに思いを馳せてる。
芦花も似たような感想みたいだ。
僕は大体かぐやが振り回したせいだと思ってるし、守も同じ意見のよう。それはそれとして絶対に酒寄さんの前では言っちゃダメだけどね。すごい顔すると思うよそれ聞いたら。
「大きくなったねぇ〜」
「誰目線よ〜」
母親なのか、父親なのか。
いやこの場合は母親なんだろうけどさ、そう言うこと言うの父親のイメージが。
「むっ、失礼を感じたり!」
「あっこらペンライト振り回すな」
僕がそんなことを考えてたことに勘付かれたのか手持ちのペンライトでアタックしてきやがった。
並びが僕芦花真実守なので、僕には届かないんだけど芦花を押しのけて振り回すのやめてね。芦花に迷惑です。
「ほら、そろそろ始まるっぽいしやめい」
「お、3人が上がってきた?」
芦花の前でペンラを振り回す真実を微笑ましげに眺める芦花。
楽しそうだ何よりだけど邪魔では? 芦花がいいならいいけどさ。
なんてやってたら会場のど真ん中にある鳥居? 的なステージのところに3人の影が。
ライトが消えているのでめっちゃ見辛いけど、たぶん出てきてる。
ならもう時期始まるでしょう。
真実も落ち着きを取り戻してステージに視線を向けてる。
僕も同じように晴れ舞台に立った友達を見守る。
そして、舞台の幕が上がった。
「ヤオヨロ〜〜〜〜!!⭐︎⭐︎ みんな生きるのはどうですか〜!?」
ライブ専用の衣装に着替えたヤチヨがいつもの挨拶をする。後ろにはガチガチに緊張している酒寄さんと、集まった観客の多さに感動するかぐやが。
「良いことあった?」
観客席やあちこちからテストが良い点だった! とか、給料上がった! とか彼氏できた! とか報告の声が。
……僕も、やっと想いを伝えられたよ。隣の彼女をちらにと盗み見ながら内心呟いた。
「それとも泣いちゃいそう?」
今日はメイクのり悪かった〜やら、上司に怒られた……とか、追試確定だよ〜なんて声が聞こえてきた。
僕はなにもなかったね。あ、いや嬉しくて泣いちゃいそうなのはあったか。
「よしよし、ぜ〜んぶ大丈夫。どんなに孤独な道のりでも、楽しかったなーって記憶が足元を照らすよ」
ん……? ヤチヨにしてはなんか感情がこもってるような。
いや、AIに感情なんてあるわけないんだけども。
あーでも前にあったヤチヨはなんか人間臭かったっけ。
はてさてって感じですね。
「この時間を忘れられない思い出にしたいから……どうか一緒に踊ってくれる?」
──世界で1番お姫様 そういう扱い 心得てよね?
流れるように始まる最初の歌。
曲名は『ワールドイズマイン』だって。世界は私のもの、かな? かぐやらしい感じだね。
歌詞もわがままを言うかぐやっぽさがあって非常にマッチしてる。可愛らしさも相まってとてもいい。
ヤチヨの雰囲気にはあんまり合ってない……? と思ったけど案外歌ってるところを見るとこういう曲調も悪くないなと思った。ソロでの歌い出しも電子の歌姫というのもあってか似合ってるように思えた。
前に書いたのが『星降る海』だったから乖離がすごい。あっちはしっとり。こっちは元気いっぱいって感じ。
──分かったら 右手がお留守なのをなんとかして
とか思ってたらヤチヨが酒寄さんに擦り寄ってかぐやがムンクの叫びみたいな顔になってら。おいアイドルその顔はダメでしょ。
取り返しに行ったかぐやを半目で見て、反対側からいい顔で寄ってくるヤチヨにデレデレする酒寄さん。
僕たちはライブ中に何を見せられてるんだ……?
そのまま歌うヤチヨと、取り返そうとするかぐや。なお酒寄さんは動かないものとする。いや、なんであれで演奏ブレてないの?
──心から思って欲しいの 可愛いって
結果取り返すことに失敗? したかぐやが舞台の地面に転がった。
その様子にヤチヨも歌いながら思わず笑ってるし。歌いながら笑うってすごいな。
「ねぇねぇ! 世界一好きになっちゃってもいいよ〜〜〜〜!!⭐︎⭐︎」
ヤチヨがなにやらパラメータのようなものを調整して、次の瞬間。
──世界で1番お姫様 気がついてねぇねぇ 待たせるなんて論外よ
地面に寝転がったままキメ顔で歌うかぐやが映し出された。
……うそーん。そのまま歌うんかい。驚いて口がぽかんと開いてしまった。
隣を見ると3人ともに口がぽかんと開いてる。よかった仲間はいた。
──私を誰だと思ってるの もうなんだか甘いものが食べたい
そして変わってヤチヨのターン。変わらず良い声だなーと思ってたらいつの間にやら起き上がったかぐやがなんか変なサングラスかけて変な踊りをしてるではありませんか。
「ぶふっ」
「かぐやちゃん……っそれなに……っ」
「絶対アドリブでしょあれっ」
「ライブ中にすごっ」
思わず吹き出した僕に、笑いを堪えるのが大変そうな芦花。
真実はアドリブだろうその動きに驚き、守もシンプルに感動している。君は純粋だね。
かぐやの急な変なダンスwith変なサングラスに流石のヤチヨもまたまた歌いながら笑っちゃってるし。
──今すぐによっ
でもなんだかんだ最後はちゃんと2人声をハモらせるあたり計画のうちなのかもしれないね。
その後は2人揃って変なサングラスをかけて一緒に変な踊りをし始めて会場も笑いやら困惑でざわざわ。
でもすぐに通常? 運転に戻って普通のダンスを始めた。
変なダンスしてても面白かったけど、普通にやってくれてる方がライブに集中できるから助かる。
「ヘイベイビー」
うおっと!?
ダンスパートで終わりかなとか思ってたら、不意打ち気味に酒寄さんの若干なげやりを感じるセリフ? が炸裂。
周りの観客席からどよめきと黄色い悲鳴が聞こえた。
いや、あの隣にいる芦花も一瞬「う゛っ」とか、聞こえたんだけど。
気のせいだよね? まだ酒寄さんを思ってるとかないよね? やめてよね?
「お次は新曲! いっくよぉぉぉ〜〜〜!!!」
酒寄ショック(僕命名)が抜けきらない観客を尻目に演奏が終わりそのままかぐやの元気な声が響き渡る。
一曲目でも満足感がすごいな。次はどうなるのかな?
ライブに来てる側ってあんまり見ないですよね。
まあ、面白みはなさそうってのもありますが。
ワイズマの超かぐ版の楽曲がこれで合ってるのか……?
ダメそうだったら原曲の方に変えます