先生は汚い大人です 作:こうすけ増田劇場版
今更ながら俺は特になにか準備をしていたわけではない。
いきなりブルアカの世界に転生させられてしまい、必死になって先生を頑張っている……一番なにを頑張ったかと言えば、なんだろうな。
「おい、なにか気配を隠しながら近づいて来るぞ」
「問題ねえ」
本日の当番の美甘が気配を上手く隠しながらも着実にこちらに向かってくる誰かが居ることに気付いた。
敵襲か?と警戒心を強めている美甘だが、誰が近づいてきているのかは分かっているのだと入口を開けばシュパッと見参した。
「お前は確か……」
「結果はどうだ?」
「はっ!やはり奴めは懲りていない模様で主殿に悪事を働こうとしております……音声データの証拠も握っておりますのでどういう対応を致しますか?」
「あのクソガキが……何度も何度も何度も何度も何度も何度も言っているのに」
「主殿の慈悲を無駄にしている者であり、キヴォトスに災いを齎した張本人です……どういうお仕置きをしますか?」
「なぁ、先生……百鬼夜行の忍者娘となにしてんだ?なんだこの茶番は」
やって来たのは百鬼夜行の忍者もとい久田であり美甘が一連のやりとりを見ていて茶番だと言い切る。
だが、久田は音声データだとUSBメモリを取り出して俺に渡してくる。
「茶番じゃねえよ、久田にはスパイとして潜入してもらっているんだ」
「主殿!スパイではございません!イズナは忍者です!」
「おっと、そうだったな」
久田にはスパイ、いや、忍者として危険な任務に挑んでもらっている。
スパイ扱いじゃなくて忍者扱いが良いと言うので訂正をした後にUSBメモリを見る……
「あのクソガキが……」
「先生よ……いい加減、許してやったらどうだよ?本人だって悪気……はあったけども、大事……にもなったけど……流石にそろそろ許してやってもいいんじゃねえか。気前良くさ」
「美甘、覚えておけ。世の中は死んでも治らないバカが居ると、死ななきゃ治らないバカが居るなら居るで死ぬまで追い詰めるんだ。それとも何か?美甘はあのピンクの悪魔、黒崎の肩を持つというのか?」
「……いや、そうじゃねえけど……」
キヴォトスにやってきて、ここブルアカやないかい!となって転生特典が荒岩一味並みの女子力と言うコミュニケーションツールとしては最適かもしれないが戦闘関係は一切無い能力であり、ブルアカに転生してシッテムの箱を手に入れてシャーレの先生として活動する前に一番最初にやったことがある。
それは左手の薬指に付ける指輪の購入だ。
何故かって?ここ、ソシャゲの世界で主人公は八方美人じゃなきゃ生きれない世界で基本的には色々と敏感な女子しか居ないと言う中々に過酷な環境である。先生として好かれるのは無理なのは百も承知だけどそれでもある程度は頑張らなければならず、連邦生徒会の犬として生きる為にシャーレの給与で指輪を購入した。
あぁ、シャーレの先生って結婚してるんだなと認識を広めていった。
シャーレの先生は口は悪いけれどもなんだかんだで面倒見が良いしっかりとした大人……そう言う風に作ってきたイメージを、あのピンクの悪魔、黒崎コユキが潰した。
「俺が独身なのをバラした事は許さねえ……」
先生ってホントは独身なんですよね!その指輪は見栄を張ってるでしょ……ぷ!と笑われたのである。
別にここまでならば許容範囲内だったのだが、黒崎は生塩達に独身であることを教えちゃおうかなと揺すってきたので、やれるもんならやってみろやクソガキがぁ!と売り言葉に買い言葉でなって、黒崎は盗聴してるコタマ達と共に俺が自らで独身である事を認めたと情報を拡散しやがって、まぁ、大変だった。
流石の俺も我慢の限界が来たと黒崎に拳骨を叩き落として正座をさせた。
殴り合いでキヴォトス人に勝てると思えるほどに甘くはないと、黒崎を正座させて断食をさせた……目の前で美味い美味いと肉を食ったりしてみせて、黒崎には強制的に正座をさせて飢えさせた。それでも尚、黒崎は反省せずに色々としてくるので定期的にガチの嫌がらせをしている。
「別に独身であることはなんにも恥ずかしくねえよ……むしろそっちの方がありがてえし」
「美甘みたいな事を言い出す奴がポンポンと増えやがったから嫌なんだよ!いいか、このキヴォトスは女子校しかねえのかってぐらいに女子校だけだ!シャーレに舞い込むトラブルはキヴォトス単位から生徒個人の悩みまで幅広く、生徒個人の悩みを聞いたら、あ、この人はって錯覚すんだよ!吊り橋効果が起きちまうんだよ!」
「なんで聞こえんだよ!!そこは普通はクソボケだろう!つーか、男なら喜べよ!」
うるせえ!こっちだってはいそうですかで喜べるか!
吊り橋効果とかそういうのが色々とあってポンポンとフラグが生まれる……しかしだ、シャーレの先生をする上ではそのフラグを全て圧し折って皆の先生だよルートに入れ込まなきゃいけねえ。
生塩に言ったように特定の生徒に加担していいなら今頃はアスナに猛アタックをかけてっから!振られたら他の奴等を口説いてるから!
「では、主殿……約束通り、イズナとの忍者の修業をお願いします」
「ああ」
「おい、仕事は?」
「もう殆ど終わってる……いや、一応は終わらせてからだ」
「てか、なんか余計な事をしようとしてるんだろ?呑気にそんなことをしていいのか?」
「ご安心ください。向こうは主殿の命が狙いでなく主殿が混乱して慌てふためく滑稽な姿を見たいから全力で嫌がらせをしているのです……今回は主殿が当番として呼び出している生徒が偏りがあるのは主殿が生徒を生徒でなく女性として品定めしているというデマを流そうとしています!その様な事を主殿がするわけありません!」
あのクソガキ、またロクでもない事をしようとしてやがるな。
まだUSBの中に入っている音声については触れていないから内容が分からなかったが久田の発言からロクでもない事をしようと企んでいるのが分かった……
「当番に選んでる奴は仕事が出来るかどうかとか真面目かどうかが基準であって、そんな事はしてねえよ」
「まぁ……偏りはあるってのは事実だけどよ。今じゃ先生の当番は予約待ちで、選ばれたとしても先生に振る舞ってもらえる料理がステータスの時代だからな……ゲヘナの生徒とか1回は呼び出したけど真面目に仕事しなかったりで、それ以降当番に来たいつっても呼んでねえんだろ?」
「遊びに来るならば遊びに来てもいいが、一応は俺は仕事中で場合によっては現場に居るからな」
当番に生徒をランダムで選んでいるわけじゃない、ちゃんと仕事をするのかとか真面目なのかとかそういうのを重視している。
空崎とか愛清とかの真面目なゲヘナの生徒は余計な事をせずに仕事をテキパキとこなしてくれているのでシフトが空いているならば頻繁に呼び出している。天雨とか丹花とかは色々と五月蝿かったり仕事を怠けようとしたりしていたから1回だけ当番に呼び出して以降、1回も呼んでいない。
「でもよ、仕事が出来る出来ないとかで選んでるならそれはそれで依怙贔屓じゃねえのか?」
「当番は自主的に来たいと言っている奴等の集まりで、自分でやるって言い出してんのに勝手な事をしているからアウトだ……それにホントに性癖で呼び出している場合は美甘は1回も呼び出さないからな」
「っち……貧相な体で悪かったな」
本当に性癖に身を任せて呼び出していいのならば調月とか羽川みたいな、うぉ、デッカを呼び出す。
それでハーレムを作ったりするが、そういう事をしたらそれはそれでキヴォトスが崩壊するだろうから……ちっさ!な生徒達と、うぉ、デッカ!な生徒達との争いがあるからな。
「主殿、今回はなにをなさいますか?」
「そうだな……忍者が活躍していた戦国時代では様々な物が発明された。その中でも芋がらと呼ばれる物があった……その芋がらは一言で言えば乾燥させた芋と味噌で出来たロープであり、お湯をかけるだけで簡易的な鍋になるという便利なアイテムだった」
「その様な物が……ですが、イズナは忍……っは!もしや!」
「そう、兵糧丸を作るぞ」
「……結局はそういうオチになんだな」
「美甘もなんだかんだで付き合ってんだろうに」
忍者の飯と言えば芋がらでなく兵糧丸だ。
兵糧丸を作ることになるのだと分かれば忍者らしい物を手に入れる事が出来る!と久田は喜んでおり、美甘は忍者らしい行動をするとかしない俺に対してこういうオチに話を持っていくんだなと呆れている。呆れているが付き合ってくれている。
「大体な、お前等と言うかキヴォトスは全体的な顔面偏差値が高すぎるせいで陽忍が出来ねえんだぞ!久田も美甘も容姿端麗だから、そっち系の忍者として情報収集とか色々と出来るだろうけどもキヴォトスの人間、顔面偏差値高すぎるせいで感覚麻痺する!」
俺の容姿、めだかボックスの久々原滅私だぞ!イケメンだ!とは言えないしブサイクだ!とも言えねえ絶妙な顔立ちだからな。
「もう、こう、そこそこのブサイクを最近は逆に見たいと思ってるぐらいだ」
「正気に戻れ!確かにキヴォトスでブサイクは早々に見ねえけど……感覚が麻痺してる!」
「主殿、醜女はキヴォトスでは早々に見ません!イズナもまともに出会った覚えはないです!」
美人が多すぎるせいでこの世界のブサイク、ブスが逆に気になってきた。
見てみたいな、ブサイクなキヴォトス人。その辺のモブですら顔面偏差値高いんだから、逆に見てみたい……
「っと、兵糧丸作りだ……兵糧丸って言うのは一言で言えば忍者飯だ」
「コンビニに置いてあるアレですね!」
「違う……兵糧丸は栄養補給にのみ特化している栄養剤に近い。食べ物としてよりもサプリメントの一種だと思えばいい」
用意するのは米粉と白玉粉、この前手に入れた大麻きな粉、黒糖、蜂蜜……と言うのは家庭で作れる兵糧丸だ。
久田にはちゃんとした兵糧丸を作らなければ悪いからとそば粉や高麗人参等のエナジードリンクに含まれている成分が多く含まれている食材を粉末にして練り合わせて蒸した物を作り上げた。
「見た目は……悪いな」
「うっ、美味しくありません……」
普通の家庭で作れる兵糧丸と本格的な兵糧丸の2つを作った。
普通の兵糧丸は携帯食と言うよりはこの前の大きい砂狼に渡したキャラメルの様に甘さで気持ちを和らげる薬みたいな感じで……本格的な兵糧丸はクソまずかった。だが、これで正解だ。
「主殿、兵糧丸とはこんなに美味しくないのですか?」
「味じゃなくて、栄養を重視している……なんだったら必要な栄養素はそれ2,3個で終わる」
「え、あ、あの……もう数個食べちゃいましたよ!?まだまだありますし食べなきゃダメですし……」
「味を楽しむものでなく栄養剤としての側面が強いから、薬を飲んでると思え」
「うぅ……太ってしまいます。こんな物を食べさせるだなんて、主殿は汚い大人です」
「汚くねえなら忍者なんぞ雇うか!」
残すのは勿体ないとまずいのを耐えながらも兵糧丸を食べる久田。
栄養価の塊であるから段々と元気になっていくが過剰な栄養を接種していると若干だが涙目になっていた
「なぁ、先生」
「なんだ?」
「……ミレニアムのトップ様はコレに加えて揚げ物ガンガン食ってるよな?それでアレだよな?」
「…………それは色々な方面を敵に回すから自分の胸に閉まっとけ」
野菜とかから接種しなきゃいけない栄養素をサプリメントで済ませて好物の揚げ物を食べている調月を思い出す。
それであんな、うぉ、デッカ!なビッグシスターが生まれているんだから、それ以上は触れてしまえば色々な方面に敵を作ってしまう