先生は汚い大人です   作:こうすけ増田劇場版

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ゲーム開発部と漫画肉(仮)

 

「先生!クエストです!」

 

「なんだ?」

 

 ゲーム開発部からのSOSを受けたので来てみれば特に問題らしい問題は無さそうに見える。

 天童がクエストですと言っているので、なにか内容を聞こうとするが花岡や才羽ミドリが気不味そうにしている。

 

「アリスは肉が食べたいんです!」

 

「おい……お前等まさかまたホントに必要な生活費削ってんじゃねえだろうな?」

 

「先生、それはもうしないよ!」

 

 天童が肉を食べたいと言っているので生活費を切り詰めてゲームとかに金を出してるのかと思い才羽モモイを睨む。

 過去にマジで生活費削ってゲームに金を出していたわけで、諸悪の根源である才羽モモイに1週間の電子機器使用禁止令をシャーレの権限を用いて出した。それは電子機器が当たり前な子供にとってそれは本当に地獄であり才羽モモイがストレスで苛立っているのを見かけていたが自業自得だ。

 

「アリスちゃんは……その、漫画肉が食べたいんです」

 

「漫画肉?」

 

「はい!勇者達がパーティで食べているあのお肉です!何処に行っても見つけることは出来ませんでした。ミドリやユズは漫画肉は存在しないと言っていますが、そんな事はありません!先生がアリスやリオ会長に言った様に可能性を0にするのは諦めた時だけです!アリスは諦めません!」

 

 花岡が天童がなにを言い出しているのかと言う理由、それは漫画肉が食べたいと言う。

 漫画肉と言えば骨付き肉の例のアレであるが……才羽ミドリと花岡は漫画肉は無いのは知っている。

 

「無いって言ったのか?」

 

「一応は言ったんですけど、この通りです」

 

 漫画肉は無い……そもそもでアレがなんの肉なのか俺は知らない。

 才羽ミドリが無いことは言わなかったかについて確認をするが、天童は無いと否定してはいけない、きっと何処かにある筈だと信じている。

 

「天童、漫画肉は存在していない……漫画、だから想像上の物だ」

 

「うっ……」

 

「でも、それっぽい物ならば作ることが出来る。それで良いのなら作ってやる」

 

 漫画肉は漫画に出てくる肉だから漫画肉だ。

 想像上の物で存在はしていないとハッキリと言えば天童は泣きそうな顔をするがそれっぽい物ならば作れる。それを聞いた天童は嬉しそうな顔をする。

 

「先生はアリスちゃんに甘いよね……この前、先生が作ってる料理をゲーム開発部でゲーム化したいって言ったら即座に断ったのに」

 

「当たり前だ。俺はシェフじゃねえんだよ……後、俺で金儲けを企むな」

 

「だって先生の料理だよ!ミドリが当番の時はカスタードプディング、ユズが当番の時はがめ煮で、ユウカはミルフィーユカツで、私が当番の時はおにぎらずって格差社会が酷いよ!一昔前は先生に当番に選ばれた事がステータスになっていたけど今じゃ先生に出された料理の内容がステータスの時代なんだよ!」

 

「……お姉ちゃん、先生の料理じゃなくて先生が作った料理なのが大事なんだけど……」

 

 何時の間にかスゲエくだらないものがステータスになっていると言う才羽モモイ。

 才羽ミドリがボソリと言っていることを自覚していないのがまだまだガキかそれとも才羽ミドリの方がマセガキか……

 

「と言うか俺を呼ぶんじゃなくてミレニアムの奴等頼れよ。毎度毎度困ったら俺を呼ぶなよ……ミレニアムにだって料理関係の部活はあんだろ」

 

「……だって、先生、ここ最近私のことを呼んでくれないじゃん」

 

「お前は仕事を真面目にしないしミス多いし怠けるし、逆に聞くけど呼び出すと思ってんの?」

 

 ミレニアムなんだからバイオ技術的なので漫画肉の1つや2つぐらい作れそうだ。

 ここで先生を頼るんじゃなくて他のミレニアムの生徒を頼ると言う考えで行動しなかった事について聞けば才羽モモイが不服そうにしているが、真面目に仕事をやらない奴を呼び出す方がおかしいだろう。

 

「うぅ……」

 

「お姉ちゃん、やめときなよ……仕事でやらかすお姉ちゃんが悪いんだからさ」

 

 仕事で来ているのならばしっかりしないといけない。

 即座に思考が怠ける方向に向こうとしている才羽モモイは……まぁ、やらかすよ。その事について妹である才羽ミドリも理解しているのでぐうの音も出ない正論である事を呆れている。

 

「じゃ、漫画肉だけど」

 

「あ、あの先生」

 

「なんだ?」

 

「七面鳥とケバブはコレじゃないって言われてて……その、ごめんなさい」

 

 さっさと問題を解決するかと思えば花岡が申し訳なさそうに七面鳥とケバブはもう使えないことを言う。

 多分花岡は漫画肉は無いけれども花岡なりに天童の要望に応える為に色々と頑張ってたんだろうな。

 

「大丈夫だ、それ以外にも使えそうなメニューはあるから……ゲーム開発部の天童からのクエスト、漫画肉が欲しいを先生は受ける」

 

「はい!お願いします!先生!アリスは漫画肉を食べる為に腹ペコです!先生ならきっと作ってくれると信じて昨日からご飯を食べていません!」

 

 天童は笑顔でサラッととんでもない事を言いやがった……もうツッコミを入れる気力すら失うのでもうツッコミは入れない。

 クエストは受注されたことでよかったのだとゲーム開発部の面々は安堵すると同時に腹の音が鳴った……お前等もか……。

 

「あ、先生どうでした?」

 

「スッゲえくだらねえ理由で呼び出された……俺を頼らずに自分でしろっての……」

 

「そう言いながらも引き受けるのが先生ですよね」

 

 ゲーム開発部を後にして目的の物が何処で売られているのかについて調べようとすれば生塩と遭遇する。

 ゲーム開発部が俺を呼び出したと言うのを知っているが呼び出した内容が何なのかについては知らないみたいなのでスッゲえくだらねえ理由とハッキリと言っておいた。それでも引き受けていると生塩は笑っている。

 

「それで今回はなにを引き受けたのですか?」

 

「漫画肉を作ってくれと」

 

「漫画肉、ですか…………私の記憶する限りあんな感じのお肉はありません。類似している物としてはケバブか七面鳥で……先生は漫画肉が何処で手に入るかご存知なのですか?」

 

「それっぽいのなら作れるが、それは多分天童が望んでる物と違う……天童が食べたいと思っている物ならば……あった」

 

 探し物が置いている店は何処かと探せば見つかった。

 物が物だけに何処にでも置いてある物じゃないがミレニアムの学区内に置いてある……大体の物はミレニアムで揃うのは知っているが流石だ。そこに行けば置いてあるなと精肉店に向かって購入した。

 

「一応は聞いておくけど、なんでいる?」

 

「私も是非、漫画肉を食べたいと思いまして」

 

 調理室を借りれば普通に生塩もいる。

 ゲーム開発部の面々は生塩が居る事については特に文句は言わない……

 

「ノアが食べるのは問題ありません!漫画肉は皆で食べるから美味しいんです!」

 

 天童のその言葉を否定しないので俺は調理にとりかかる。

 玉ねぎ、にんじん、ピーマン、キャベツを一口サイズに切ってオリーブオイルと生姜で軽く炒める。その後にトマトの水煮缶と顆粒コンソメ、水を入れる。沸騰したらそこから煮込んでいく。

 

「ねぇ、先生、漫画肉は?作ってるのトマトのスープにしか見えないんだけど」

 

「見えないって言うかトマトのスープを作ってるんだぞ?」

 

「え、なんで!?」

 

「安心しろ、ちゃんと肉は用意している」

 

 才羽モモイがトマトのスープ、つまりはミネストローネを作っている様にしか見えないと言うがその通りだ。

 なんでと驚いているが、問題は無いと肉を用意していると肉の塊を出したら天童は笑みを浮かべる。

 

「骨付き肉!漫画肉です!」

 

「そうか……」

 

 肉に岩塩と胡椒を刷り込んで、エストラゴン、月桂樹、タイムと香草を敷いたり載せたりして温めておいたオーブンで焼く。

 途中で1回出したら脂肪を乗せて焼いた。

 

「先生、コレはもしかして……」

 

 生塩がなにを作っているのかに気付き出したので俺は人差し指を口元に近づける。

 まだ食べるまで言うなと言う事だと分かった。漫画肉が欲しいと言っている天童の夢を壊すわけにはいかないのだと何なのかについては喋らない。

 

 焼いている間にミネストローネが完成する。

 出来れば冷やしミネストローネにしたかったが仕方がないと割り切り、オーブンで肉が焼けた……

 

「漫画肉とミネストローネだ」

 

 漫画肉が完成したと切り分けた漫画肉とミネストローネを出した。

 如何にもな豪快な料理でナイフやフォークなんかは当然無い。あるのはミネストローネを食べるのに使うスプーンだけだ。

 

「いただきます!……コレははじめての味で美味しいです!やはり漫画肉は格別ですね!」

 

「美味しい……けど、ちょっと塩辛い気も」

 

「なんの為のミネストローネだ?」

 

 アリスが骨付き肉をガブリと食べれば満面の笑みを浮かべる。花岡達もそれに続いて食べるが塩がキツいと言う。

 なんの為のミネストローネと言えばミネストローネを飲んだ……そしてまた骨付き肉を食べる。そして口直しにミネストローネを飲み、また骨付き肉を食べる。

 

「美味い!美味い!……ヤバい!手が止められない!」

 

「お姉ちゃん、せめてスプーンは使ってよ!」

 

「そういうミドリだってバクバク食べてるじゃん!」

 

 右手で骨付き肉を食べて左手でミネストローネが入っている容器を啜る。

 スプーンを使わずに下品なところがあるので才羽ミドリは注意をするが才羽ミドリもスプーンで何度も何度も豪快に掬って飲んでいる事を才羽モモイが指摘する。

 

「先生、とっても美味しいです……で、何をしたのです?」

 

「やらかした前提?……別に難しい話じゃねえよ。ミネストローネはトマトのスープでトマトと塩の相性はスイカに塩をかければ美味くなるのと同じ原理で相性は抜群だ。トマトを食べれば味の好みとか関係無く身体が塩気のある物が欲しくなる。骨付き肉はスパイスを豊富に使った物じゃなくて上質な岩塩と少しの胡椒で味付けしていてスパイシーじゃなくて塩気がキツい。塩気がキツけりゃ必然と飲み物を求めてそれがトマトのスープなら再び塩分が欲しくなる、後は食べ終わるまでのループ……ミレニアムサイエンススクールだけにサイエンスな料理を作ってやった」

 

 ゲーム開発部の面々の様にガツガツと食べてはいないがそれでも嬉しそうに肉を食べてはミネストローネを啜っている生塩。

 ただ美味しいだけじゃないのは気付いており何をしたのかについて聞いてくるので普通に答える。鉄鍋のジャンでやってたアレだと。

 

「漫画肉は最高です!同じ肉の筈なのに今まで食べたことがない味です!」

 

「……先生、これなんの肉なんですか?なんか食べたことないのですが」

 

「羊肉だ……漫画肉って言ってるけど、コレは単純に羊肉のロースト、世間一般ではラムチョップのグリルって言われる料理だ……生塩は途中で気付いたけど、天童には言うなよ」

 

 天童は最高だとバクバクと食べていて感想を述べるのだが味について疑問を抱いた才羽ミドリはなんの肉か聞いてきた。

 別に難しい物は作ってない。世間一般で言うラムチョップだ……豪快に手で掴んで食えるけども、ちゃんとした店じゃフォークとナイフは使う。

 

「羊肉、余程の事が無いと食べないけど……先生が作ればこんなに美味しいんですね」

 

「……まぁ、そうだな……」

 

 牛、豚、鳥の三巨頭の次ぐらいには来ている羊肉、美味いには美味いんだが独特のクセがある。

 花岡は羊肉の独特のクセが嫌だった思い出があるのかこの羊肉は美味いと嬉しそうにしているが……多分そろそろだろうな。

 

「天童、一切れは残しておけ」

 

「あ、先生の分は残さないとダメですね!アリス、空腹のあまりうっかりしていました」

 

 美味い!とゲーム開発部と生塩が骨付き肉とミネストローネを食べているが多分そろそろ来る頃だろうなと天童に一切れは残す様に言っておく。天童は分かりましたとミネストローネと1切れの骨付き肉を分けておいた……そしてやって来た。

 

「ちょっとモモイ!!コレはどういうことなのよ!!」

 

「ユウカ、いったいなんなのさ!?」

 

「それはこっちの台詞よ!なんでゲーム開発部で肉の領収書があるわけ!こんなのゲームと全く無関係じゃない!」

 

「……え?」

 

「え?じゃないわよ!ほら、コレ見なさい!」

 

 早瀬がやって来たので何事かと思えば手には1枚の書類が握られている。

 なんで怒られているのかが皆目見当もつかない才羽モモイはなんで怒られてるのかを聞けば、手に持っていた書類、今回使った羊肉の領収書を出した。

 

「なんなのこれ!?先生、どういうこと!?」

 

「どういう事もなにも、お前等が漫画肉を食べたいと依頼してきたわけで……その肉の代金とかシャーレから予算が出るわけないだろ?」

 

「……先生の奢りじゃないの!?」

 

「奢って欲しいなら正式な依頼で出すなよ」

 

 だが安心しろ、ミネストローネは自腹だ。

 

「いや、でも……こんなにする物なの?もうちょっと安いのとか」

 

「そりゃまぁ……マトンじゃなくてラムだから高いぞ。塩もその辺の塩じゃなくて塩分以外にもミネラルとか色々と入ってるいい感じの岩塩だから」

 

 肉の代金を請求されている事について天童以外のゲーム開発部の面々は驚いている。それと同時に天童以外は顔を青くする。

 俺は依頼されたからしたけれども、それは経費で落ちないからな。ミネストローネの代金は請求してないから俺は優しいぞ。

 

「理由はなんにせよこの肉の代金はゲーム開発部の予算から落とすわ!」

 

「まぁまぁ、ユウカちゃん落ち着いて……先生がミネストローネを作っていましたから飲んでください」

 

 ゲーム開発部の予算から羊肉の代金が引かれると宣告する早瀬。

 生塩が落ち着く様に言えばミネストローネを差し出して気分を落ち着かせるかどうかは知らんが早瀬はミネストローネを飲んだ。

 

「あ、美味しい……」

 

「……!……先生が作った骨付き肉、まだあるよ!コレとミネストローネを合わせたら最高でさ。ユウカも一口どう?」

 

「そうなの?じゃあ一口…………って、言うと思ったら大間違いよ!!それを食べさせて共犯者に仕立て上げようとしても無駄よ!」

 

「流石ですユウカちゃん。では、最後の一切れは私が貰いますね」

 

 まだ起死回生の1手はあると才羽モモイが閃いたと残しておいた骨付き肉を早瀬に食べさせるように勧めた。

 ミネストローネは俺持ちだが、骨付き肉はゲーム開発部持ちなので骨付き肉を食べた瞬間に共犯者になるのだと即座に早瀬は見抜いたので断れば生塩は流石と言い最後の一切れを手にすれば早瀬はピクッとした。

 

「ノ、ノアは食べたの?」

 

「食べました……ああ、ゲーム開発部の皆さんは私が食べる事を認めてくれましたので私はなんのカウントにも入りません……やみつきになりますよ」

 

「……ぅっ……先生」

 

「やだよ、コレそこそこ手間かかるし金もかかるんだから」

 

 結構な値段がするラム肉を使ってる、だからこそ美味しいと言える味が出せている。

 マトンはラムにはない羊肉のコクみたいなのはあるにはあるが、その分独特のクセがあるわけでそれは苦手な奴は苦手だ。早瀬はここで食べれば共犯者になるので俺に別で作ってくれと言うがそこそこに手間がかかるし値段もするので嫌だ。シャーレの当番に出してる飯は基本的にはシャーレの経費とか俺の自腹なわけで、ラムチョップは流石にな……

 

「では、最後の一切れを……ふふっ、美味しいです」

 

「先生、最初からこうなるの分かっていたの!?」

 

「生塩の登場は予想外だが、まぁ、大体は」

 

「先生は汚い大人だぁあああああああああ!!」

 

「ありがとう、最高の褒め言葉だ」

 

 1人だけ勝利した生塩、敗北したゲーム開発部と早瀬。

 才羽モモイは俺を汚い大人と言うので俺は褒め言葉として受け取った。

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