先生は汚い大人です 作:こうすけ増田劇場版
「まぁ、今更な話だけどそんな都合の良い話は無いよ。女の武器である体使ってもその額を一瞬では無理」
アビドスで軽く用事を済ませたのでアビドス高等学校に顔を出す。
アビドス生徒会の面々はアビドスの借金をどうにかしようとしている……え、対策委員会はって?んなの先生の権限利用してアビドスをちゃんと学区にして奥空を生徒会長に祀り上げたわ。
「そもそもで過去の人の成功談を自分もとしてどうするんだ?お前がここ最近やってんのは他人の成功談を集めているだけだ」
「うっ……」
副会長の黒見はアビドスの借金を1日でも早くとお昼ご飯を抜きにして投資家が書いた本を購入した。
この前も別の奴が書いた投資とかマーケティングの成功した話が纏まった本を書いたけど大して成功しなかったので厳し目に怒る。
「他人の成功談の中には使える物はあるにはあるが、それは一部だ。それを糧にして自分ならではの発展をさせないといけない……今のお前は力を持ったのはいいけど正しい使い方は分かってない。普通の人が大金を手に入れた瞬間に投資とかを考えているけど、それに対する知識等が皆無でただ無駄に金を浪費するよくある典型的な失敗に向かう……アビドスに生徒会を復興させたのは間違いだったか」
「っ、だ、ダメ!!」
「そうか……じゃあ、楽な道や他人の成功談ばかりを集めるなよ……お前等の武器は数人ってところだ」
アビドスの生徒は6名だ……5名じゃないのかって?1人、アビドスにぶち込んだ。
正確に言えば他にもぶち込んでやろうと思ったが、その前に色々とゴタゴタがあって……まぁ、アビドスは10人にも満たない生徒で動かしている。生徒会、つまりは自治権を与えたのでそれを上手く活用しろと、余計な事を企むゲヘナの馬鹿共とは違う。
「前に言っただろ、SNSを利用しろって。アビドスは閑古鳥だが使い方によってはどうにかなる……誰かが動画配信をやってアビドスの実態とかを伝える。そこから色々とやれって。十六夜はそれに賛成して動いてるだろ」
「で、でも今までの暴利を取り戻せたんだからここは一発逆転で、ドラマとかで見たわよ!こういうので土地転がしとかして売買ゲームをしたのを!」
「んなのフィクションだ……今のお前は力と微量な大金を持ってる、そのせいで良くも悪くも歪んでるんだよ」
アビドスの借金は暴利なところがあると言うか不正の証拠を出したのでその分は返還している。
それを一気にもう一回返還して借金を減らすよりもそれを何かに使って更に金を増やせと俺は課題を与えたが、黒見はやらかしかけている。
「うっ……やっぱり私達じゃ無理なんですかね」
投資で金を増やそうとしたが失敗しそうなので自分達じゃと奥空は落ち込む。
「まさか、逆だ……十六夜は広報担当をするって決めた。砂狼と小鳥遊はお前等2人に可能性を託したんだ……けど、失敗しそうならば言う」
奥空が会長で、黒見が副会長だ。他の役職は十六夜が庶務と言うなの広報担当で他の椅子は空いている。
砂狼は平然と銀行強盗をするし、小鳥遊は緩すぎるから使いやすい広告塔、必死になって真面目に頑張っている広告塔として2人が選出されている。消去法?違う。あの3人よりのこの2人の方が可能性を宿しているからだ。
「先生、なにかいい案は無いんですか?」
「はい、そこ。直ぐに俺に頼ろうとするな」
「だって、先生じゃない」
「お前等は先生をなんだと思ってんだ?確かに困りごとは解決するが何でもかんでも俺が解決すればいいってもんじゃない。お前等が自分で考えて行動し、そしてそれに伴う責任なんかを学べ。俺はちょっとしたアドバイザーなんだよ」
奥空は直ぐに俺を頼るが何でもかんでも俺を頼るな。黒見は先生と言うが先生はそんな存在じゃねえんだよ。
どうすればいいのかが分からず泣きそうになっているので少しため息を吐いた。
「取りあえずは飯にでもするぞ……十六夜、動画回せ」
「はい……アビドスちゃんねる!今日は先生が私達に料理を奢ってくれます!」
「奢りじゃねえよ、作るんだよ」
因みにだが十六夜も割と直ぐそこにいる。真面目な話なので余計な口出しはしないが話は終わったのでカメラを回す。
アビドスちゃんねる、要するにSNSだ……奢ると言ったが材料は俺持ちだが、何処かの店に連れて行く訳じゃない。
「んじゃ、薄力粉と強力粉と山芋、烏龍茶とお湯と塩……薄力粉と強力粉を1:1で入れて、塩を小さじ半分。コレを2つ作り、1つには山芋を摩り下ろした物ことトロロとお湯を粉に混ぜる。もう1つには烏龍茶を混ぜる……弾力が出るまで捏ねたらここで15分の発酵になるからその間にキャベツをみじん切りにし、塩を軽く揉む……1分ぐらいしたら揉み込んで水気を落としてみじん切りにしたネギ、生姜を混ぜる……そして主役の肉だが今回は豚ひき肉を使う……が、ここで4等分にする」
「……え?」
豚ひき肉が入っているボウルが渡されたので黒見は固まった。こんなの聞いていないと。
そりゃ言ってねえんだからな……取りあえずは4等分にしていてそこで渡す。
「まぁ、薄々察していると思うが作っているのは餃子だ……女子高生相手に餃子は無いんじゃないのかって?ほっとけ。餃子はジャンルで言えば点心の1つだが、俺にとっちゃ肉料理みたいなもんだ」
「あの〜先生、なんで渡したんです?」
「餃子の決め手となる肉の味付けをさせる為だ……お前等が各々で味付けしろよ」
十六夜がなんで豚ひき肉を渡したのかを聞くので味付けをさせるためだ。
野菜餃子も普通にあるが、やっぱりジューシーな肉の餃子の方が好ましい。十六夜達に餃子の味付けをする様に言えば困惑している……まぁ、餃子って基本的には後は焼くだけの出来合いの物を使うからな。
「えっと……ゴマ油と醤油とお酒と塩ですね」
レシピは分からないと奥空はスマホを使って肉の味付けに使う物を確認する。
特別に難しい材料じゃないと分かったので自分なりに味付けをしようとするのだが、十六夜はここでカレー粉を出した。
「ノノミ先輩、なんでカレー粉を出してるの!?」
「カレー餃子にしようと思いまして……セリカちゃん、このまま普通に餃子を作っても面白くないですよ」
「面白くないって、そんな……食べ物で遊ぶのはダメです!」
「なに言ってんだよ、食なんざ基本的には遊びだよ……食道楽なんて言葉もあるんだ。俺が作ってのは別にくっそ高えオシャレな店での食事じゃないんだから好きにすりゃいいんだよ」
「流石は先生!話が通じますね……ところで先生は?」
「味噌ラーメンのスープの素を入れる」
今回は餃子だと決めているので意外ととは言わないが相性が良い味噌ラーメンのスープの素で味付けをする。
ここで大事なのは味噌ではなく味噌ラーメンのスープの素だ……味噌以外にも色々と薬味が入っていて味付けされてから余計な事は考えなくてもいい。
「ラーメンのスープの素ですか?」
「味噌だから特に問題無い。日本の近畿方面は餃子は味噌ダレで食べるし、名古屋は味噌カツがあるし、普通に飯の友として肉味噌なんかがあるから味噌と肉の相性は基本的には問題は無いんだ」
味噌ラーメンのスープの素を入れているので意外そうにしている十六夜。
取りあえずは味付けは出来た……黒見は結局、奥空と同じように普通の味付けにした。肉だねが出来れば野菜と混ぜて上手く混ざったなと感じれば冷蔵庫に入れる。それまでの間に発酵させていた餃子の生地を餃子の皮にする。
「お、今回は餃子なんだね。いや〜おじさん楽しみだよ」
「ん、先生のはどれ?」
餃子の皮が完成した頃には小鳥遊と砂狼が現れる。
今回の企画については言っている、と言うか何回か料理をしているので趣旨が分かっている。そしてナイスタイミングで返ってきた。餃子の皮を作り終えたタイミングだからここからはと餃子の餡をスプーンで掬って皮に包んで皆が知っている餃子の形にする。
「うへぇ〜……上手く出来ないや」
「先生、上手いね」
餃子の皮って意外と包むのが大変だったりする。
小鳥遊は普通に苦戦しており、対象的にとでも言うべきか俺は綺麗に包む事が出来ているので砂狼が褒める。
「……なんか嫌ね。ハッキリと形で差が出るのは」
「単純な事ほどこういうのって見えるからな……と言うわけでホットプレートで焼いていき、差し水には市販の豚骨スープ」
そんなこんなで焼く前の餃子が出来たのだが、黒見の餃子は形が悪かった……小鳥遊も悪い。
十六夜は上手く出来ていて、奥空と砂狼はまぁまぁ……まぁ、そんなもんだと焼きに入って……焼き餃子の完成である。
「先生の、美味しそう!」
「待てこら、いただきますを言え」
「先生をいただきます!食後のデザートに!」
「やるか!」
焼き餃子が完成したので真っ先に手が伸びるのは砂狼だがまずはいただきますを言えと言えば先生をいただきますと言う。
誰がくれてやるかと若干怒りつつも各々が餃子を取ってパクリと食べる。
「ん、美味しい」
「先生が気を遣ってニンニクやニラをなしにしてて、タレの代わりにポン酢だからサッパリしてるけどジューシーです」
出来上がった餃子を食べれば5人とも満足そうにしている。
作った甲斐はあったなと思いつつ奥空達の餡の餃子も食べる……
「先生どうですか?私のお味は」
「カレー味だから、まぁ、ありふれてるな……けど、それでいい」
市販のカレー粉で味付けしているから当然と言えば当然だが皆がイメージしているカレーの味の餃子だ。
ありふれている味だと言えば十六夜は少し残念そうにするのだが、俺はこっちがいいとなんの迷いもなく二個目の十六夜のカレー餃子を口にする。
「はい、ここで一旦カメラ止めておきますね。このまま食べ続けるだけの動画はただの大食いなので」
十六夜は欲しい絵は撮れたのだとカメラを一旦止めると言う。
やっぱりつーか、カメラで見られてる意識があったのかカメラが止まれば自然と空気がきり替わる。具体的に言えば箸の速度が上がる。
「ねぇ、先生……おじさんの事を何時になったらホシノって呼んでくれるのかな?」
「何時になったらだろうな」
「先生、セクハラとかそういうのは気にしませんよ……今はカメラは回ってませんし先生のフィルターを少しぐらい外しても構いません」
箸の速度が上がれば小鳥遊が名前呼びをしないことについて指摘する。
何時になったらだろうなと適当にはぐらかせば十六夜は先生のフィルターを少しぐらい外しても怒らないと言う。
「いやいや、俺は死にたくないから嫌だよ」
「ん、そんなの気にしない。先生は先生だから」
ヤケクソではあるが、コレでも一応は先生としての線引きをしっかりとしている。
それは越えたらダメな物なのだと他の奴等にも言っている……先生は先生、生徒は生徒でどうしても壁がある。定期的に言っているの俺を殺したいという発言は俺が先生として築き上げようとした信頼とかそういうのを崩すこと、0から信頼を築き上げるのと1回潰れた後に信頼を築き直すのじゃ、築き直す方が圧倒的に難しい。
アビドス生徒会の面々は気にしないと言う……ったくよ……めでてえ頭してんな。
「……あ、砂狼さん自分の餃子が口に合うのでしたらまだまだ作りますよ」
「ん!?」
「っひ!!すみません!申し訳ありません!砂狼様!アビドスの皆様!」
「先生、そういう冗談は」
「冗談じゃないですよ……私は皆様にとってその気になれば何時でもの存在ですよ?」
「いや、だからそういうことは」
「なにを仰ってるのですか!?先ほど砂狼様は私に対して性的暴行を加えたいと仰ってたじゃないですか!!」
先生のフィルターを外してくれと言うので少し外せばなんかイメージしているのとは違うと砂狼は驚く。
十六夜はそういうのはやめてほしいと顔色を悪くしながら言うので冗談ではないと怖い人を見るような目を向ければ黒見がそういうことはしないと言おうとするが砂狼のさっきの発言を蒸し返す。
それを言われれば砂狼が固まり絶望に染まる
「ち、ちが、そうじゃ」
「先生」
「……おいおい、なにがおかしい?このキヴォトスじゃ銃は当たり前でそこらの喧嘩で普通に銃が撃たれる。それに対して連邦生徒会の馬鹿共は銃に関してキヴォトス人が死なない威力ならセーフとして緩くしている。実際に人を傷つける道具にも関わらずにだ……流石のキヴォトスでもプロの格闘家が一般人相手に手を出せばその時点で詰みな話ぐらいは有名だろ、それと理屈は同じなんだ」
小鳥遊が冗談ではそんな言葉を送るなと怒っているが、何がおかしい?
「俺は日本人だ、キヴォトス人じゃない。お前等にとって掠り傷でも俺には致命傷だ……そもそもで危険な銃の概念やキヴォトス人じゃなきゃ致命傷の認識があるにも関わらずそれでも売っている。無論、兵器を持っていない=平和とは言わねえけど、お前等の中じゃ何かがあれば武力行使をするのは当たり前なんだよ……それが怖くないとでも思ってんのか?こちとら、実弾マジでぶち込まれたんだぞ」
「……先生は汚いよ。そんな事を言われたらおじ……キヴォトスの皆はなにも言えないじゃん……」
「だから何度も言っているだろ?俺を殺したいのかって」
小鳥遊達を信頼出来る生徒でなく怖い人達と言う認識で見た。
その目で見られたことがショックなのか小鳥遊達の餃子を食べ進める手は止まっている。
「何でもかんでもイエスマンはそれはそれでメンタル保たず死ぬし、こういう風に適切な先生のフィルター取り付けて外さない様にしてんだよ……わかったか」
「……先生は汚い大人ね」
「ありがとう、最高の褒め言葉だ」
黒見は先生は汚い大人と言うが、最高の褒め言葉だ……弱者を貪る趣味はアビドス生徒会には無いみたいだからな。