祝、10話目です。正直、ここまで書くとは思っていませんでした。
それに、最近は別の小説にお熱になっていましたし...
まあ、とりあえず10話目です!この小説がどこかの誰かの癖に刺さってくれれば幸いです。
「それでは...ミテラ様、名残惜しいですが、帰りますね」
早朝、孤児院前でアレティが言う。
「そうね...早いけどまた、会えるのよね?」
「はい。必ず」
「ならしょうがないわね...気をつけてね、アレティ」
「ミテラ様も、お元気で」
ミテラに挨拶を済ませ、馬車が来る場所まで歩いていく。
「レイアさん、大丈夫ですか...?なんだか眠そうですが、眠れませんでしたか?」
目元が暗く、どんよりとしているアンドレイアに、尋ねる。
「ええ、一睡もできなかったわ...」(あなたのおかげでね...!)
夜、アレティとアンドレイアは密着して寝ていた。アレティはすぐに爆睡していたが、アンドレイアは好きな人が密着していて、寝れるはずもなく、結局、一睡もできずに今日を迎えた。
「それは、大変ですね...馬車に乗っている最中に寝るのはどうです?」
「そうさせてもらうわ...」
そんな会話をしていると、馬車が見えてきた。
「レイアさん、馬車が見えてきましたよ。さあ、いきましょう」
馬車のほうまで近づく。
「アレティ様、アンドレイア様、お帰りなさいませ。どうぞお乗りください」
「はい、ありがとうございます。レイアさん、手を」
アレティは、レイアを先に馬車に乗せ、自分は後から乗る。
「それじゃあ私は少し寝るわね」
「あ、レイアさん。少しお待ちください、私の膝をお使いください。柔らかくて気持ちいいと、子供たちに評判ですよ」
馬車は寝心地が悪いだろうと、ポンポンと膝を叩き、アレティはアンドレイアにそう提案する。
「ひ、膝枕...!」
好きな人の膝枕、それはもう最高の寝具だろう。
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて...」
膝に頭をのせる。
(あ、これ最高ね...)
アレティのものすごくいい匂いと、膝の柔らかさですぐに眠りに落ちる、アンドレイア。
「おやすみなさい。レイアさん、良い夢を」
「レイアさん、レイアさん起きてください」
誰かに呼ばれる声がする。アンドレアはそう思い、目を開ける。すると、すぐ目の前に、アレティの顔があった。
「ひゃ...!あ、アレティ...」
「おはようございます、レイアさん。聖堂に着きましたよ」
目の前のアレティにびっくりし、目が覚める。
「もう聖堂なのね...ぐっすり眠ってたわ...」
そう言いながら、馬車を降ていく。
「いい休日になりました。ありがとうございます、レイアさんついてきてもらって」
アレティが感謝をしてきた。
「私も、アレティの育った場所が見れたからお相子よ。それに、貴重な体験もさせてもらったしね」
この帰郷についていかなければ、仕事の体験なんかできなかっただろう。
「それじゃあ、私は図書室に向かいます。レイアさん、また明日会いましょう。」
「ええ、また明日...」
「それでは、聖女様始めてください」
「はい...やってみます。《私は奇跡の代行者。世界に癒しを与える者。》癒しよ」
アレティがそう唱えると、グリアの手にあった切り傷が癒えていく。
「成功ですね...かすり傷ですが、ポーションなどに頼らない治療ができました」
「これが...聖女の真骨頂ですか...」
「そうです。聖属性魔法は唯一、ポーションなどに頼らず、人の治療ができる属性です。だから、聖女は特別なんです」
孤児院から帰ってきてから、1か月ほど魔法の授業にてアレティが回復魔法を取得した。
「聖女様がこの聖堂に来てもうすぐ3か月ですか...そろそろいいかもしれませんね」
「?いいって何がですか」
「務めを果たしに行きましょう。辺境の村、マクリアにてゴブリンの大量発生を、確認しました。その討伐に聖女様も付いて行ってください」
――とうとう、聖女としての仕事をする時が来たようだ。
「それではレイアさん。行ってまいりますね」
4日後、数人の騎士の中にアレティは立っていた。
「いってらしゃい、頑張ってねアレティ。気を付けるのよ」
「ありがとうございます」
「聖女様。行きましょう」
アンドレアから応援をもらい、騎士に呼ばれたので、馬車に乗る。
「マクリアまでは数日かかります。聖女様にとっては、初めての遠出になるでしょう。大丈夫ですか?」
そんなもの、愚問だ。
「ええ、大丈夫です。私は聖女になると決めた時から覚悟は決めています」
「分かりました。では、出発します」
「今日はここで野営しましょう」
あたりが暗くなったころ、騎士の一人がアレティに呼びかける。
「分かりました」
馬車を止め、アレティは馬車から降りる。騎士たちが野営の準備をしていたので、何か手伝えることがないか聞いてみる。
「何か手伝えることは、ないでしょうか?」
「い、いえ...!聖女様の手を煩わせるわけには...」
「私がやりたいんです。駄目でしょうか?」
「そんな...!滅相もない。では、聖女様、焚火は起こせるでしょうか」
「それなら便利なものがありますよ「《私は火の代行者。原初の文明を灯せ》火よ」」
ボウ!と火が出て、見る見るうちに、火が小さくなっていく。
「このくらいですかね」
薪が置いてある場所に、火を持っていく。パチ...パチと薪に、火が灯もった。
「聖女様は、火属性の魔法も使うのですね」
「そうですね。もともと、私が持っていた魔法は、火属性だけでしたし。そういえば...今回の遠征はゴブリンの大量発生と聞きましたが、どのくらいの規模間でしょうか
?」
騎士の人数が、数人しかいないのを見るに、そこまでは多くないのだろうが...
「そうですね、知らせによれば、大体100匹ほどと...」
「100匹ですか...」
考えていたより少なかったが、それでもかなりの数だろう。
「それと、ただのゴブリンではなく、少しの武装をしているゴブリンとのことです。」
「武装したゴブリンですか...ゴブリンキングの可能性は、ありますか?」
ゴブリンキング。脅威度で見ると、Bランクの冒険者パーティが相手をするような化け物。主に、ゴブリンの群れを率いるボスのようなもの。単体だとBランクだが、ゴブリンの集団を合わせると、Aランクまで脅威度が跳ね上がる。
「いえ、今回はゴブリンキングの心配はありません。弓や、剣を持つゴブリンはいましたが、ゴブリンメイジや、ゴブリンジェネラルなどはいないと、報告が来ています」
「成る程...ですが、村の住民にとっては,脅威なのは変わりはないと...」
「ええ、ですから我々が、村の方々を安心させなくてはいけません」
「そうですね...」
パチ...パチ...と、眠たくなる音がする。
「ん...眠くなってきました...」
「そうですね...もういい時間ですし。私は今日は寝ずの番ですので、聖女様は先にお休みください」
「す...みません。お休みな...さい」
眩みながら、馬車に戻っていく。
「お休みなさい。聖女様」
「着きました、聖女様。ここがマクリアです」
聖堂を出て数日、ついに目的地である、マクリアまでたどり着いた。
「ここが、マクリア...」
「それでは、この村の責任者である、村長に会いに行きましょう」
村の現状を知るために、村長の家を訪ねる。
「ここですね」
コンコンと、扉を叩く。
「はい、どちら様でしょうか?」
出て来たのは、40代くらいの中年の男性だった。
「貴方がこの村の、村長ですか?」
「え、ええ私が村長で間違いないですか...」
「我々は、聖堂から派遣された騎士です。村近くにゴブリンの群れが住み着いたと聞いているのですが、詳しい話をお聞きしても...?」
聖堂から、派遣された騎士。そう聞いた村長は、顔に笑顔を浮かべる。
「ああ...!来てくれたのですね...!さあ、どうぞ。お入りください...!」
歓迎され、村長の家に入る。
「えっと、すみません。そちらのお嬢さんは...?」
村長がこちらを怪訝な目で見る。まあ、そうだろう。この騎士の中にポツンと居る少女、疑うのも無理はないだろう。
「こちらの方は聖女様です。今回、ゴブリン討伐において、我々に付いて頂くことになります」
「せ、聖女様ですか...!!こ、これは、失礼しました...!」
物凄い勢いで、謝ってきた。
「い、いえ、大丈夫ですよ。騎士様たちの中に私がいたら誰でも疑問には思うでしょうから」
「ああ...御慈悲に感謝を」
今度は感極まったのか、泣き出してしまった。これ以上何か脱線してしまわないように話を戻す。
「あ、あの,,,とりあえず、お話を聞かせていただけませんか...?」
「は、はい、すみません。では、お話いたします」
話が始まる。
「始まりは、一人の村の住民が狩りに行くために、村の外に出たのが始まりでした。ですが、森に入ったはいいものの獣の気配がしない、不思議に思い森の奥まで進んでいくと...」
「ゴブリンがいたと...」
「ええ、元々この辺りは、ゴブリンはいないはずなんです。そして、気配を消し、ゴブリンが帰るところを追っていくと...そこにいたのは、数えきれない量のゴブリンでした」
「成る程...」
「我々、村の者だけでは対処しきれないと判断し、聖都まで、救援を要請した次第です」
「説明ありがとうございます。ある程度分かりました。それでは、そのゴブリンを発見したその狩り人のところまで案内してくれませんか?」
騎士の一人が、村長にそう提案する。
「はい、大丈夫ですが...案内します、付いてきてください」
村長に付いて行き、ゴブリンと遭遇した、狩り人の人と話をしに行く。
「着きました、ここです」
「案内、ありがとうございます。村長様」
「聖女様...何かありましたらお声かけ下さい」
そう言って、村長は去っていく。
「さて...すみません。いますでしょうか!」
コンコンと、扉を叩いて中にいる人を呼び出していく。
「はい?どちら様でしょうか」
出て来たのは30前半の男。
「申し訳ありません。貴方がゴブリンの群れを発見された方ですか?ゴブリンについて話がしたいのですが...」
男の目が真剣になっていく。
「...入ってくれ。話そう」
男に連れられ、家の中に入る。
「少し待っていてれ」
男は、そう言いい、近くの棚で何かを探す。
「あった、これだ。見てくれ」
そう言われ、見てみると...
「これは...地図ですか?」
「ああ、この赤い丸で囲っているところが、ゴブリンたちが住み着いている場所だ」
「ここに、ゴブリンが....」
「俺が見た感じでは大体、120匹前後、山賊にの死骸でも漁ったのか、なん10匹かは弓や剣で武装している。ゴブリンメイジやジェネラルがいなかったから、ゴブリンキングの心配はないと思う。統率も取れているように見えなかったしな」
「分かりました。貴重な情報、感謝します。それと、その地図を貸してもらえませんか?」
「ああ、いいぞ」
地図をもらい、家を出る。
「前もってもらっていた情報と、あまり変わりありませんね。この数なら、我々でしたらさほど問題ありません。早速、討伐に向かいましょう。聖女様も問題ありませんか?」
「ええ、問題ありません。ゴブリンをこのままにしておくと、村の方々の生活に支障が出てしまいますから、一刻も早く討伐しましょう」
アレティも、討伐に異論はない。いつゴブリンたちが、こちらを攻めてくるか分からないから、早めに潰してしまったほうがいいだろう。
「分かりました。では、行きましょう」
(魔物と初めての戦闘ですか...少し緊張しますね)
村を出ながら、そんなことを考える。
(ですが、やれるだけのことは、やりましょう)
――魔物との初めての戦闘まであと...
備考:ゴブリン。
多少の知能と、それを台無しにするような品性の悪さをしている魔物。単体の脅威度はさほど高くはないが、基本群れで行動している。男は殺し、女は犯す。よくいる一般的なゴブリン。
ゴブリンキングという、統率者がいれば、その少ない知能は最大限発揮され、脅威度は跳ね上がる。