天与の聖女   作:かまくら御前

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 前話は、少し早めに投稿できました。このくらいのペースで投稿できればいいのですが。む、難しい...頑張ってみます


知覚、そして不穏

 

 

 

  「んー、中々出来ませんね。やはり、あれだけの説明でやれと言われても難しいですね」

 

 あの授業から1週間ほど、アレティは図書室でそう呟いていた。

 

  「図書室でなら何か有用な事が、書かれていないかと思いましたが。どれもグリア様が言ったことと同じことが、書かれてますね」

 

 目当てのものが見当たらず肩を落とす。ほかにも何か書かれている本がないか、探していると。

 

  「何か、お探しですか?」

  「カーリオス様ですか、ええと、魔力を知覚したいのですが、詳しく載っている本がありませんか?」

  「魔力の知覚...そうですか。結論から言いますが、聖女様が読まれている本に載っているものしかありませんよ。」

  「やっぱり、そうなのですね」

  「ですが、そうですね。少しアドバイスを。考え方を変えてみてはいかがですか?」

  「考え方ですか?」

  「はい、言うなれば、自身が分かりやすいように、解釈する事ですね。そうする事で、少しでも知覚を分かりやすくできますよ」

  「自身が分かりやすいよう、解釈ですか...」

 

   (私が分かりやすいのは...そうです!そもそも何もないところから魔力が出るというのがおかしいんです。だから魔力が出る器官を作り、そこから魔力が出るように意識すれば...)

 

  「ありがとうございます。カーリオス様、おかげさまで道が見えてきました」

  「聖女様の助けに立ったのなら良かったです」

 

 図書室を出て、晩御飯を食べ自室に戻る。お風呂に入いるなどして就寝の準備を終えたら、早速試してみる。

 

  「解釈...イメージ。体の中に蛇口のような器官を作り、必要な時に蛇口を捻り、不必要なときは止める。これを意識すれば..」

 

 寝る前の1時間ほど前だけだったが、何時もとは違う感覚があった。

 

  (何時もとは違いますね、これは近いうちに知覚できるかもしれませんね)

   

 

  そして次の日...

 

 

  「あーもう!一体、いつになったらできるのよ!」

  「落ち着いください、アンドレイア様。こればかりはどうすることもできないのですよ」

  「分かってるわよ!」

 

  (これは...)

 

  「...全身を巡る血液などとはまた違った物が、私の体に感じます。成る程...これが魔力なのですね。グリア様、魔力の知覚が出来ました」

  「はい?まさか...も、もうですか!?」

 

 アレティがそう、報告するとグリアは目を見開き、珍しく狼狽していた。

 

 アンドレイアは泣きそうな苦虫を噛み潰したような、顔をしていた。

 

   「ほ、本当にできたのですか?それが真実ならおそらく歴史上最も早いですよ」

   「出来ましたよ。証明しろと言うなら私はまだ魔法が使えないので難しいですが」

 

  「ああ、初級の魔法でしたら、初めての方でも使えますので、お教えしますよ。聖属性の初級の魔法は光よフォスです。詠唱は、《私は光の代行者。世界に明かりを》ですね。これはただ光を出すだけの魔法です。発動するためには、光が灯るイメージ、そして詠唱、最後に魔力を手のひらに流す事で発動します。」

    

  「魔力の流し方が分からないのですが...」

  「そのまま、身体に感じている魔力を手のひらに流すイメージで大丈夫ですよ。」

  「魔力を手のひらに流す...やってみます。《私は光の代行者。世界に明かりを》」

 

  「光よ!フォス!

 

 ポヮーっと、小さい光が手のひらに宿った。

 

  「出来ました!出ました!魔法」

  「まさか...本当にできるとは...」

  「ッ!」ザッ!

 

  アレティが魔法を発動した時、アンドレイアは駆け出してしまった。

 

  「ア、アンドレイア様!?どこに行くのですか!?」

  「はぁ...私の授業を放棄するとは、あの娘にはお仕置きが必要ですね。すいません、聖女様。」

  「い、いえ。私は大丈夫なのですが、アンドレイア様はどこに行かれたのでしょうか?」

  「街の方にいきましたね、おそらくは。」

  「街ですか!?追いかけなくていいのでしょうか...」

  「問題ありませんよ。いつもの事です。一応、後で衛兵の皆さんに伝えますが、しばらくしたら帰ってきますから。こういった事は度々ありますし」

  「何度もですか...?」

  「ええ、聖女様が来られる前は...そうですね、あの娘の話をしたほうがいいでしょう。」

  「アンドレイア様の話ですか?」

 

  「そうです。あの娘がこうなってしまったのには、理由があります。元々はとても元気で、優しくて、周りに気を使いながらも人を振り回すような娘でした。アンドレイア様の父君、アーキス様とその奥様も、あの娘を溺愛してました。アーキス様は忙しい仕事の合間を縫って、奥様は体が弱いながら、アンドレイア様の遊びに付き合ったり。理想の親子だったと言えるでしょう。」

 

  「だったですか...」

 

  「ええ、だったのです。この甘い夢のような時間は終わりを迎えます。奥様の容態が急変し、ベットの上にいることが常となりました。アンドレイア様は言わずもがな、毎日お見舞いに来ていました。自らの1日の話をお土産として、アーキス様も、どうにか暇を作りお見舞いに来ました。絶対に治るようにと...ですがそんな思いも虚しく奥様は喪に付されてしまいました。」

 

  「そこからです、アーキス様とアンドレイア様には溝ができてしまいました。アーキス様は仕事に追われ、アンドレイア様の為に時間を作ることはなくなり、アンドレイア様はそんな父君に構って欲しかった。当然です、あの娘は当時まだ6歳ほどなんですから。あの娘はアンドレイア様に、あの時のように遊んでもらえるよう様々なことをしました。執務室に行って遊びの催促をしてみたり、司教にそれとなく構ってほしいからアーキス様に言ってみてほしいと話してみたり、授業を頑張ったから褒めてほしいと言ってみたり。」

 

  「ですが、そのすべてがだめでした。そしてアンドレイア様はしびれを切らしとうとう、聖堂を脱出。幸い、2日ほどで見つかりだいじには至りませんでしたが、ここで災いしたのがアーキス様がお説教をしたことです。あの娘はもうどんなことでもかまってもらえればよかった、だから度々聖堂から出ていくようになりました。」

 

  「そんなことが...」

 

  「その過程を得て、あの娘の性格も変わっていってしまいました。明るかった性格が自らにも相手にも棘のあるように、いつからか、相手を思いやる言葉が出てくることはなくなりました。ですが、あの娘の心が変わったわけではないんです。」

 

  「私に強く当たる理由は、何なのでしょうか?」

  「それは、比べているのでしょう、自分と貴女を。おそらアーキス様は貴女に会うために、仕事の合間を縫ってあの謁見を実現しました。なので、貴女の為に時間を割いたので、自身と比較して嫉妬しているのでしょう」

   

 アンドレイアが抱えているものを一通り話終えたグリアは、ため息をつき、この話を終わらせた。

 

  「さて、長話をしてしまいましたし。再開しましょう。まずは、魔力を流す感覚をつ掴んでもらいます。それに最も効果的なのが身体強化魔法ヴェルティオシです。この魔法は属性魔法とは違い、魔力を持つものなら誰でも使用すくことができます。イメージとしては仮想の筋肉をつけるイメージがいいでしょう。そして魔力を許可したい部位に流してください。全身強化したい場合は全身に。詠唱は《神の祝福よ魔力よ、我が身を昇華せよ》です。まあ、身体強化の魔法はすぐに無詠唱でできるようになるので覚えなくてもいいですよ。では、やってみてください」

 

  「はい、やってみます。《神の祝福よ、我が身を昇華せよ》」

 

  「《身体強化》ヴェルティオシ

 

 詠唱を唱えたが特に変わったことはなかった。不発だろうか?

 

  「何も起きませんね。不発でしょうか?」

 

  「いいえ、成功してますよ。その場で跳んでみてください」

 

 グリアにそう言われ跳んでみる。すると通常の()近くらい跳んだ。

 

  「わ!すごいですね。これ、いつもの倍近く身体能力が上がってますよ」

 

 跳び、走る、拳を突き出す。そうするとより、何時もとは違う身体能力を実感できる。いろいろ試しふと、グリアの顔を見ていると。変な顔をしていた。

 

  「10歳の身体強化の上昇値ではないですね...普通はあれだけ跳びませんよ...。ですが、普通の詠唱に、使用できている魔力も微々たるものですし」

  「それはたぶん、私の身体能力が同年代に比べて高いからですかね?」

  「成る程...それなら納得できますね」

 

 身体能力強化の魔法も、発動でき今日の授業も終わりを迎える。

  

  「では、今日はこのくらいで。最後に魔法には階級があり初級、中級、上級とあり、普遍的な魔法がありますが無視で構いません。理由は皆魔法は、独自のものを使います。理由は皆発動するための設計図、イメージが違うので現れる現象も、別のものになるのです。定義として階級があるだけですので」

 

 グリアはそう言い、去っていく。アレティもこの場を離れ図書室に向かう。

 

  (魔法が使えるようになったたことを、カーリオス様にお伝えしときましょうか。コツを教えてくれたのはあの方ですし)

 

 図書室につき扉を開ける。中に入りカーリオス探し歩いていく。

 

  「カーリオス様。見つけました」

  「おや、聖女様ですか?私に何かご用が?」

  「カーリオス様に魔法が使えるようになったことを報告しようと思いまして」

  「魔法を...」

  「はい、カーリオス様のアドバイスのおかげで習得できたと言っても過言ではありませんので。こうしてご報告にと...」

  「それは、それはお役に立てたならば幸いです」

  「すごく分かりやすかったのですが、もしかしてカーリオス様の実体験ですが?」

  「ええ、よく分かりましたね。私も魔力を知覚する際に苦労しました。どうしても感じられない、焦った私が考えたのは視点を変えることでした。自分に分かりづらければ自分が分かりやすいように、解釈すればいいのだと」

  「すごいですね。その発想に行き着くことが」

  「必死でしたからね」

 

 話が終わり、アレティは本を読む。そうして時間が過ぎ、何やら外が騒がしくなってきた。

 

  「ふむ、外が何やら騒がしいですね」

  「ええ、そうですね。どうしたのでしょうか?私、話を聞いてきます」

 

 一度、部屋から出て忙しなく走っている衛兵の一人に話しかける。

 

  「お忙しいなか、申し訳ありません。そのように慌ててどうされたのでしょうか?」

  「ッ!聖女様ですか!?失礼。アンドレイア様をお見かけしませんでしたか!」

  「アンドレイア様ですか?あの方が授業を抜け出したあとから見ていませんけど。あの、一体どういう...」

  「...グリア様から聖堂から居なくなったと報告を受け、待ちの方を探しに行きましたが、見当たりませんでした。」

  「!?」ダッ!

 

 アンドレイアが見当たらない。そう言われた途端、アレティは聖堂の外に向かって走り出した。

 

  「せ、聖女様!?」

  「すみません!探しに行きます!

 

  (無事でいてください...!)

 

 これが、アンドレイアが生涯忘れることがないであろう。聖女の威光をみた瞬間。その姿はまさに天与の如く...

 

 




 
魔法の階級一覧

 初級魔法:只々、その現象を起こすだけの魔法。風なら風を、水から水を出す。

 中級魔法:起きた現象を様様な形に変えそれを操る。風を出し刃に変え、それを飛ばすなど...

 上級魔法:それは最早...自然災害。対集団特化の魔法。もし個人に使うとしたら余程の狂人か、相対している相手が、とてつもない化け物の場合である。
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