ヒロイン矯正!   作:アールエー

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その15 入学と攻略対象

 

このフォーリングラヴァーズというゲームの世界では、例にも漏れず学園生活が舞台になっているという。学園は日本人にとって生活が想像しやすく、移動も制限されるからだろう。

ゲームでは結構、フィールドを移動したらしいが。本当に勉強してたのか?

 

学園の名は王立フェルディナント学園。

創始者の名前を取って付けられた学園は、貴族の教育水準を上げる目的で設立された。

本来なら貴族だけの学園なのだけど、最近では特別枠で平民も入学出来る様になった。

また、それなりに金額の負担があるので、お金が用意できない下級貴族や平民の為に、侍従枠、侍女枠も用意されている。

 

お嬢様は聖女認定されているので公爵クラスの貴族枠(お金は教会持ち)、私はその侍女枠で入学した。

 

「ここで残り3人の攻略対象に会うんですね。攻略されるんですか?」

 

「…会って決めるわ。原作通りとは限らないし、万が一転生者だったらね。転生者は一匹見つけたら三十匹はいるものよ」

 

「…まあ、慎重になる事は良い事です。それで、どんな方なんですか?」

 

「最初から話すと、1人は王太子のシリウス・エレメント・アルヘルム殿下。我が国アルヘルム王国の第一王子ね。エレメントと言うのが聖霊様の力を指していて、王太子にしか付けられないの。この方はフレディの婚約者だし、戦争の可能性を考えたら論外ね」

 

「なるほど、この間お嬢様がお会いした方ですね」

 

「その弟の第二王子がハドルド・アルヘルム王子殿下。この王子は攻略対象じゃないのだけどね。言われた事を行うのは優秀だけど、自主的に行動出来ないって設定だったわ。母親の側妃様が上級貴族出身で、貴族派閥推薦の王子よ」

 

「普通なら王太子殿下に対抗して、聖女であるお嬢様を婚約者に充てがうのでは?」

 

「無理ね。貴族至上主義だから、男爵家の私なんて目もくれないわ」

 

「あらら。ましてや、男爵家の婚外子ですから…」

 

「後はレイナが顎を粉砕した暗殺者のラクス。彼は知ってるわよね」

 

「まあ…出会い頭で顎を割って、睨まれておりますし」

 

「それと知性枠で宰相の息子のグレン・ウィリアムズは王太子殿下の忠臣で、自信を失った王太子の為に奔走する過程で仲良くなるから、既にシナリオから離れているかも」

 

「フレデリカ様の行動で、王太子殿下は自信を取り戻している…と言うか、そもそも失ってないですよね」

 

「それから騎士団長の息子のアーサー・ブラウン。各地で発生する事件を解決する王太子殿下に着いてくる護衛として活躍するわ。脳筋だけど。スチルは格好良かったし、セリフもくるものがあったのよ、脳筋だけど」

 

「あまり、お嬢様の趣味には合わないと。しかし会ってみると違うかも知れませんよ?」

 

「原作通りなら多分無理ね。最後は辺境伯の息子のローランド・サジタリウス。飛び級で特別入学したショタ枠ね。この子だけ王太子殿下と行動が別になって、別の角度から各地の問題を名推理で解決するのよ。話の流れは一緒なんだけど、別ストーリーと言うか。どのみち、彼が入学するのは来年なのよね…」

 

「ショタで名推理ですか。真実はいつもひ「それ以上はいけないわ、レイナ」」

 

ウンウン悩むお嬢様。

まあ、前にも言った様に、攻略対象に拘らず好きになった人を相手にすれば良いのだけど。

攻略対象以外に恋愛してはいけないルールなんてないのだから。

 

 

 

そして学園生活が始まる。

学園と言っても貴族の数が少ないため、一学年3〜40名ほどの一クラス制だ。三年間クラス変えはないが、一学年の基礎が終わると二学年からは騎士、領地経営、官僚、淑女とコースが別れる。

 

実の所、一番恐れているのが貴族出身の生徒による虐め問題だった。本人は聖女であり、また公爵令嬢フレデリカ様のバックアップがあるものの、私生児出身の男爵令嬢と平民の侍女である。貴族至上主義の方から見れば、どれだけ攻撃しても良い相手の筈だ。

 

「貴女が聖女様ですね!父が大変お世話になりました。貴女がいなければ、父は亡くなっていたと思います」

「聖女様!兄を救って頂きありがとうございます!分からない事があれば、是非私をお頼り下さい!」

「貴女のお慈悲で我が一族は助かったのですわ。どうか恩を返させて下さいませ!」

 

いや、全く以て心配なかった。

国境周辺は貴族派閥の領地で、多くの貴族派閥から援軍が差し向かれていた場所だった。

そこで献身的に聖女として活躍したお嬢様。救った命は数知れず、手足の欠損すら治療できて後遺症も残さず治し。清潔さを訴えて環境すら劇的に改善した救い主。

お嬢様も目を白黒させながら、「いえ聖霊様の御加護で…」とか聖女っぽい事を言って対応している。

 

……私?私は…。

 

「あの赤毛が悪魔将軍を撃退したという…」

「鬼神も裸足で逃げ出すとか…」

「悪魔将軍から奪った大槍で幾人も血祭りにあげたって」

「髪色が赤いのも返り血で染めたって噂なのよ…」

「なんて眼光なんだ…。おっかねえ!」

 

これ虐めじゃないですかね?泣いて良いですか?プルプルと震えながら涙目になって良いですか?良いよね?

だって、(今は)女の子だもん。

 

二学年から様子を見に来られていたフレデリカ様が、ポンポンと肩を叩いて同情した目で見てくれる。

同情するなら金を…じゃない、弁明して貰えませんかねぇ!?

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