ヒロイン矯正!【完結済】   作:アールエー

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その18 王家の剣

 

気を取り直して、お茶会を再開。

話は学園に来た隣国の留学生の件に入った。フレデリカ様が司会となって、話を進めていく。

 

「隣国からの学生は、当初は騒ぎを起こしましたが、現在は大人しいものです。レイナさんが上手く手綱を握っている様ですね」

 

あれは手綱を握ると言うのか…?

何はともあれ、大人しくはあるのだが、最近放課後の稽古に何度も誘われている。実の所、稽古は楽しいので、お嬢様の許可を得て何度か一緒に稽古をした。

彼等は騎馬民族に近い生活をしている為か、大陸拳法との相性が良いのだ。少し手解きをすると、みるみる上達していくのが面白い。

 

「問題は彼等ではありません。彼等に着いてきた使用人達にあります。レイナさん、報告を」

 

「はい。留学生の3人は恐らく関わっておりません。言っては何ですが、単純明快で真っ直ぐな青年達です。しかし、彼等が連れてきた使用人の一部が貴族派の人と密会をしている場面を何度か目撃しました」

 

「レイナさんに協力して、私も確認しております。貴族派閥の人間である事は二人で確かめました」

 

と、ローザ様も補足してくれる。

 

「うむ、我々が父上に協力できるのは学園の中だけだ。矢張りそれ以上の動きは掴めないか」

 

「そうですねシリウス様。学園では限界があります。聖女様は中立としておりますが、私との仲が良好なのは知る人ぞ知る事。近付いて来る貴族派閥の生徒も、迂闊な事は聖女様に言わないでしょう。つまり、我々が学園で調査をしても、進展は難しいと思われます」

 

フレデリカ様はそう言うが、腹案があると言う。それが今日、集められた理由になる。

 

「殿下は『王家の剣』をご存知ですわね?」

 

「うむ、当然だ。王家の正統な継承を示す、国宝と言われていたアルヘルム王国の紋章が描かれた剣だ。百数十年前の王族の反乱が起きた時代に、混乱に紛れて紛失したと言われている。歴史的には、この反乱の為に貴族派閥が産まれ、今の軍事バランスに繋がっている訳だ」

 

「その紛失した王家の剣ですが…何処にあるか、判明致しました」

 

「な、なに!?誠か!」

 

これは、フレデリカ様とキャサリンお嬢様の原作知識からきている。原作では物語の後半、偶然剣の行方を書いた本を見つけた悪役令嬢が、王子の正統性を確立しようと先行して動き、それに気付いた王太子とヒロインが悪役令嬢を追いかけ、阻止したり謎を解いたりして王家の剣を手に入れるストーリーなのだそうだ。

ちなみに王家の剣は錆だらけで発見されるのだが、剣に聖女の力を注ぐと聖剣として蘇るという。

 

ただ、原作ゲームでは悪役令嬢が偶然公爵家で見つけたとしか書いてなく、実際何処にあるのかフレデリカ様はずっと探していたらしい。

探し疲れて、うたた寝していた時に、本棚の下の装飾の間が僅かに空いているのを発見、髪留めを突っ込んでこじ開け、本当に偶然に棚の下に落ちていた本を発見したとか。

 

原作では2年目から後半のストーリーが始まるが、それを1年前倒しでできるのだ。それもヒロインと悪役令嬢が手を組んで。

 

ちなみに、この王家の剣を推理で取り戻すショタ枠の少年は、入学が来年なので今回は関わる事ができない。

 

「王家の剣にて殿下の正統性が完全に確立されます。それを以て、貴族派閥を切り崩す事もできますが、ハドルド王子殿下に負けを認めさせる事ができれば、側妃様が仕掛けている策略のほとんどを無効化する事も可能です」

 

「確かに…ハドルドの奴が屈伏するかは不明だが、あいつは周りに流されやすい。周囲から今は大公として大人しくするべきだと説得させれば、可能性があるか…?俺も好んで、実の弟を倒したくはない」

 

シリウス王太子殿下は、その可能性に納得された様だ。だが、後は本が正しいかどうかの不安がある。フレデリカ様とお嬢様は原作知識として確信しているが、王太子殿下にはそれがない。

 

「そこで、元々次の夏季休暇に地方視察を行う予定がありますので、その際に本に書かれている剣を手に入れる鍵の一つを探してみるのは如何でしょうか。幸い、鍵の一つが行幸する地方にありますので、入手し易いかと」

 

「そうか、本の記述の通り、その鍵があれば他の内容も正しい可能性が高くなると…」

 

「先ずはシリウス様が動かれる前に、別の場所の鍵を探索して貰い、存在そのものを確定します。その時は、グレン様が同行する必要があります。鍵の在り処は、どうも古代文書で書かれている様ですので…」

 

ここで言う古代文書とは、ほんの3百年前程度の文字だ。しかし江戸時代の手紙なんかを見ても分かる様に、達筆過ぎて意味が理解できないのだ。

その当時の独特の言い回しや崩し文字、そもそも文字そのものが変化しているので、読み解くのに相応の知識が必要となる。

で、宰相の息子のグレン様は、宰相府で文書管理をする為と、本人の趣味により古代文書を読み解く事が出来る。彼が居ないと進めないのだ。

原作で悪役令嬢に先行されたのに追い付く事ができたのは、この為だ。

 

「護衛としてレイナさんと、私の子飼いのラクスを付けます。聖女様は目立つので私と待機です」

 

あの顎割れアンちゃんと謎解きゲームか。

もっとも、謎自体はお嬢様から聞いているのでインチキなんだけど…。

 

そして入学早々にある連休、ゴールデンウィークに地方へ旅立つ事が決定した。

 

いや、ゴールデンウィークって。

ゲームの原作者、手を抜き過ぎとちゃう?

その内、古代文明とか言ってスマホとか発掘されたりして…。

あ、続編のRPGゲームって、もしかしたらそんな感じ!?





今の時点で感想は腹パンだけ。はっはっはっ。
元々キャットファイトするギャグで書いていたのが、何か書きたい物と違うと路線変更して書き直していたら、初期の腹パンだけが残ってしまった…。
腹パン部分を消そうかなと思いましたが、どうせこの後残酷な表現が出る予定ですし、全体のバランス見て考えます。



それより完結まで書かないと…!
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