ヒロイン矯正!   作:アールエー

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その24 尾行

 

それから、旅は順調に進んだ。まあ、まだ半日と経ってないけど。

馬で行くとしても、2時間置きには休憩して馬も休めないといけない。休憩場所は各地にあり、道中困る事はなかった。

 

道中、そう言えばとグレン様に、何故御加護の事がアルベルトに知られているのかと聞かれた。

 

「教えたわけではないのですが…。まず彼の父親のマイヤー伯に看破されています。その上で、直接対決して、筋肉の付き方が全く違うのに、力勝負で拮抗していれば気付こうと言うものです」

 

「ま、そう言う事だな」

 

「なるほど…。それでは、レイナ嬢の御加護が知れ渡るのも、時間の問題と言う事か」

 

「そもそも隠してないですし。喋ってませんけど」

 

「いや、そこは少しは隠しましょうよ…」

 

こんな感じでお互いの事も話しながら進んでいった。ラクスは無口で無関心だけど、グレン様は高位貴族の子息なだけあって、紳士的に対応してくれた。

 

その反対の、デリカシーゼロのアルベルトお馬鹿は駄目だ。心配なのは分かるが花摘み(おトイレ )だって言うのに着いてきて…。はっきり小便してくると言えってアルベルトは言うが、言えるものか、お馬鹿!!元男でも恥ずかしいものは恥ずかしいのだ!

 

ちなみに、未だに私の席はアルベルトの前でタンデムである。自分で乗れると断るんだが、断固として拒否しやがる。足を見られてもどうっていう事ないのだが。ズボンに着替える所がないんだよな…。

 

「ところでアルベルト。気付いてる?」

 

「あん?…後から着いてくる奴らか?」

 

そう、御加護により敏感に感じる様になった気配探知に、後を付けてきている集団を感じるのだ。

最初は別の商人か何かだと思っていたが、ここまで付かず離れずの距離感を保つとなると、尾行していると思って良いだろう。

 

「俺の馬は、特に敏感だからな。ずっと違和感を持っていた。ラクスの奴も気付いているみたいだな」

 

「分かった。グレン様と並走して貰える?」

 

アルベルトは軽く手綱を操作して、グレン様の馬と並走する。ちょっと前に私も手綱を握らせて貰ったが、少しも言う事聞かなかった。アルベルトは俺の言う事しか聞かない馬だからと言ってくれるが、なんか悔しい。

 

「グレン様、後方より追尾してくる騎馬の集団、恐らく10騎はいません。昼前くらいから一定距離を保っています」

 

「む…そうか。ラクス、そいつらの正体を探る事はできるか?」

 

「次の休憩場所は森の中。その時なら可能」

 

「分かった、危険がないなら頼む。レイナ嬢、対決して勝てると思うかい?」

 

「並の騎士なら何とか。森の中ですと騎馬が役に立ちませんし。まあ相対してみない事には、確実とは言えませんが」

 

「あー多分、俺の馬が大して警戒してないから、勝てるんじゃないか?」

 

アルベルトは事も無げに言った。

ちなみに、私の武装は短刀が数本と、業物の剣を馬に括り付けている。アルベルトは短槍を馬に、ラクスとグレン様は剣を帯びていた。

 

「レイナ嬢、彼等は無視して危険はないと思えるかい?」

 

「…こちらの目的をどれだけ知っているかに寄ります。完全に目的を把握しているなら、帰りに襲って目的物を奪取するでしょう。中途半端に目的について知っているなら、どこかで強襲、若しくは単独になったメンバーを拐って吐かせるかと。全く知らないなら、今回は見逃して何をしたのか、調査するだけの可能性があります」

 

グレン様は上を向いて考えだした。やがて考えがまとまったのか、再びこちらに向き直った。

 

「正体を探りつつ、今回は無視しよう。まだ目的物は他にもあるんだ。ここで正体だけでも分かれば、後々助かると思う。レイナ嬢、貴女が一番狙われやすい。ついで、私だな」

 

次の休憩所で正体を探り、今後1人にならない方針が決まった。

相手が、私の冗談の様な噂を何処まで信じているかによって、狙う先が決まるだろう。

 

 

 

「人数は9名、内2名が貴族の様だ。そいつらの内の1人に、貴族派閥で見た顔があった。連れは傭兵っぽいな。装備はバラバラだが、統制は取れていた。武具は主に剣と革鎧」

 

ラクスが休憩所から離れ、素早く見てきた。

もちろん、こちらにも偵察が来ている。

恐らく木の上からこちらを覗いているのだが、そこそこの隠密技術だと思う。こっちがチート性能でなければ、対処出来なかっただろう。

 

「やって倒せん事はないな」

 

「まあ、待てアルベルト殿。そもそも襲われてないのに、こちらから手を出す訳にはいくまい。それでは、こちらが山賊になってしまうぞ」

 

それはそう。貴族派閥の人間が怪しい動きをしただけで、まだ敵対行動しているわけではないのだ。

 

「こちらの目的は、関係者以外は極秘にしている。いつか秘密というものはバレるとしても、簡単には分からない筈だ」

 

「基本的にはバレてる前提で動いた方が良いですよ。それと問題は、公爵家にあった秘密を書かれた本が他にもないか、ですね〜」

 

「うん、そうだな…。その可能性は否定できない。という事は、一番狙われそうなのは帰りの時…この森の中かな?」

 

鬱蒼と茂る森の中。まだ真夏じゃないだけマシなのか。罠とか仕掛けられるかもな〜。

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