ヒロイン矯正!   作:アールエー

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その29 今後の計画

 

帰りは丸一日かかった。万が一待ち伏せを受けるといけないので、森を迂回して進んだからだ。

時間はかかったが、それでも敵対勢力と応戦するよりは短縮できただろう。

 

夕暮れ、王都の城壁の門が閉まるギリギリだった。ここが閉まると、もう一晩野宿しなくてはならなくなる。

私達が最後だったので、尾行してきた奴らは入れない筈だ。…貴族の証明をして、無理に入る可能性はあるけど。

また途中で、王太子殿下が派遣した騎士団とも会った。少し心配症かなと思ったが、もし大規模な襲撃に遭ったとしたら、助かる采配だと思う。

ひとまず、無事に帰れて良かった。

 

「王都か…何もかも皆、懐かしい…」

 

「懐かしむほど、離れてないだろう?ほら行くぞ!」

 

感傷に浸る間もなく、グレン様を王宮に届けた。ラクスは先に戻った様だ。その後は、私はアルベルトと別れて公爵家に向かい、漸く辿り着いたのだった。

門番からの知らせがあったのか、派遣された騎士が知らせてくれたのか、公爵家ではもうキャサリンお嬢様とフレデリカ様が、玄関先で待っていた。

 

「お帰り、レイナ!無事に鍵を見付けたみたいね!」

 

「ただいま帰りました、お嬢様。鍵はグレン様が王宮に持ち帰りました」

 

「そう、ご苦労様でした、レイナさん。ところで…」

 

ずずいっと接近するフレデリカ様。お嬢様もフンフンと鼻息荒く近付く。な、なんだ!?

 

「ちょっとレイナ、あんたアルベルトの兄ちゃんと、ずーっとくっついて馬に乗ってたって!?」

 

「かの国では馬の二人乗りは婚約者だけの特権とか!そこんとこ詳しく細微に渡って報告を!!」

 

誰だ、余計な報告をした奴は…!!(ラクスです)

 

 

 

明くる日…。

報告は明日するから、せめて身体を拭かせてという切実な願いが聞き届けられ、私は風呂に入って寝る事ができた。

侍女服としてお下がり貰えませんか?と血塗れの服を見せたら、悲鳴を上げられたけど。

 

「フレデリカ様、第一の聖霊様の水晶が見付かったという事は、第二、第三の水晶もあると考えても不思議ではありません。今度は密命でなく、本腰を入れて騎士団による捜索、となるのでしょうか」

 

とりあえず必要事項の報告が粗方終わり、今後の方針を話し合った。

先ずは水晶の捜索なのだが。

 

「それが貴族派閥、それも側妃様に存在を知られているようなのです。迂闊な動きはできないのと、妨害もしてくるでしょう。ただ今のところ、王家の剣の鍵の、詳細な場所は知られていないと思われます。そもそも鍵が何なのか知られてないと」

 

「でしたら今回の私達と同じ様に、次の探索も少数による探索となるでしょうか…?しかし、側妃様側の情報が詳しく入っていますね?」

 

「それなんだけど、ハドルド殿下が私にねぇ…」

 

お嬢様が、ハドルド殿下に一目惚れされた話をした。まだ会って話してはないが、王子はかなりお熱らしい。

お嬢様は驚いたらしいが、男の子からすればお嬢様は是が非でも手に入れたい美貌を持っている。惚れないのがおかしいレベルだ。

そのハドルド殿下が王太子殿下側に寄り、内部情報を漏らしているらしい。側妃様からすれば、色仕掛けに息子が引っ掛った様に見えるんだろうな。

 

私はこの、原作にない王子からの求愛こそ、お嬢様の努力で行った、原作改変じゃないかと思えた。

 

「お嬢様が元日本人で、更に恐らく原作以上の努力をし、何らかの改変で行った戦場にて積んだ経験が、王子殿下への影響を強めたのではないでしょうか。ついでに言えば、王太子殿下との仲が進展してないのも影響してそうですが」

 

「え…そうかな…。でも、王子相手は不安で…」

 

「それはそうでしょう。原作にはない、新しいフラグが立って、新規ルートが開いたのです。それも、セーブなし、リセットなし、ハッピーエンドがあるかも不明で。それでも…」

 

私はお嬢様に笑いかける。

 

「未知の人生ゲームを楽しみましょう!私達もお助けしますから」

 

それで、お嬢様は納得…はしないけど、まあ頑張ってみるか、いざとなったらレイナに押し付けて!とか決めた様だ。…可能かどうかは兎も角、助けを求められたら、出来るだけやってはみますが。

 

それから、次の鍵の探索の話になった。

 

「次の鍵の探索は、夏季休暇の間に行う予定です。隣国との和平がなり、王太子殿下が東側の国境周辺に視察に参ります。その際に隠れて少人数にて、探索に行って貰う予定です」

 

「それでは、王太子殿下が囮になると…?」

 

「まあ、目眩まし…でしょうか」

 

王太子殿下を利用するのは心苦しいが、本人が直接探索に出向いて危険な目に遭うより、何倍もマシか。

 

「夏季休暇の前半は、そうなりますね。後半は王国の南、神国へ聖女が訪問外交をします。その途中で寄る国境付近の街の近くに、次の水晶があります」

 

「それは鍵よりも、神国対策を考えた方が良いですね。と言うより、最早鍵も王家の剣も、さほど重要ではないかと」

 

「…え!?レイナ、ストーリー上、王家の剣は必須アイテムだよ?」

 

「それは、王太子殿下と王子殿下が対決する時の話です。王位継承順位1位の王太子殿下、2位の王子殿下、その下はフレデリカ様の御父上のウォルフ公爵様(現国王の従兄弟)と兄上様の2人、そしてフレデリカ様が第6位になります」

 

「え、ええ、そう…ね?」

 

「その先は更に遠縁なんですよ。王子殿下がこちらに着いた時点で、王位継承者候補上位6人が王家側じゃないですか。貴族派閥は担ぐ神輿が無くなって、詰みなんですよ」

 

「…あれ?そ、そうなるのフレディ?」

 

「そう…よね…?」

 

二人して顔を突き合わせる。納得頂けたであろうか。

こうなれば貴族派閥はこちらの陣営を壊すか、革命を起こすか、又は次代の継承者に上級貴族の娘を送り込むか、しかないのでは?

無理をして王家の剣を取得する意味は、かなり少なくなったのだ。

 

 

 

ちなみに、その話し合いの後で蒸し返された、アルベルトとのタンデム事件については、馬車を用意しなかったラクスが悪い、不可抗力だ、で済ませた。証言は拒否する!

 

「駄目です。公爵家の命令として報告して貰います」

 

「聖女として、貴女の主人としても命令します」

 

…馬鹿な!!

 

洗いざらい、話を引き出された。

 

全くなんで女は、こんなに他人の恋愛話が好きなのか?女になった今でも、こればかりは分からないな…。

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