ヒロイン矯正!【完結済】   作:アールエー

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前回も書きましたが、溺れた者を助ける為には、浮く物等を投げて捕まらせ、119番が基本です。
下手に泳いで助けに行くと、二次被害が発生します。


その42 新しい侍女

 

うわ、湖の水温、冷たい!

表層は夏の太陽で温められていたけど、ちょっと潜ると冷た過ぎる!少し流れもあるし、もしかしたら下から湧き水とか出ているのかも知れない。

 

暑い環境から一気に冷たい水中に入ると、コールドショックと呼ばれるショック症状が身体に表れる。筋肉が硬直したり、過呼吸を起こしたり、意識障害になったり。まして淡水は海水よりも浮きにくいし、流れで気泡なんかが発生すると簡単に沈んでしまう。

私は聖霊様の御加護を使って体温を上昇させて対処できるけど、普通の人がコールドショックを起こすと助からない可能性が高い。

 

水中で目を凝らすと……見えた!ドレスを着ていたから、色的にも目立つ。その代わり、ドレスが邪魔で全く泳げないけど(この時代の貴族女性は川とかに入るなんてしないから、そもそも泳ぐことすら頭に浮かばない)。

暴れられても困ると思ったが、既に気を失っている?後ろから抱き着いて、水面へ上がった。

 

「プハッ!うわ、結構流されてる」

 

とはいえ、大した距離じゃない。アリシア様を抱きかかえながら、古式泳法でボートまで向かった。

 

 

 

アリシア視点

 

私は失意のどん底にいた。

どんなに努力しても、全て無駄になっていった。

側妃様を説得するどころか碌に話す事も出来ず、ハドルド王子に振り向いて貰う事はもとより、相手にもされず。

后教育は難しく、一度たりとも褒められる事もなく。

聖女を追い出す筈が私が追い出され。

 

そんな私だから、水の中に沈んでいくんだ…。

息ができなくて苦しい筈なのに、生きる苦しみから解き放たれていく感覚…。

上に見える明かりが、どんどん遠くなっていって…。

 

ふと、赤い炎が見えた。真っ直ぐ向ってくる、冷たい世界の中で、温かい赤い炎…。

 

炎の正体は…。

 

「王子…様?助けに…きて…」

 

私の意識は、そこで途絶えた。

 

アリシア視点 了

 

 

 

「ガハッ」

 

「息を吹き返した!鼓動も再開してる。心肺蘇生完了、お嬢様肋骨の治療を」

 

「もう!肋骨が折れるほど押すから!」

 

「いや、たまにあるんですよ。肋骨よりも心臓マッサージの方が優先なんで!」

 

何とかボートに引き上げた私達は、心肺停止してるアリシア様に人工呼吸と心臓マッサージを行った。

3分程で自律呼吸を再開、心臓も動き出し危機を乗り越えたみたいだった。

おっと、異物が口の中にないか確認を…。

 

「お…王子…様…?助けに…きてくれたんだ…」

 

「目を覚ましましたか?痛いところ、苦しいところはないですか?」

 

「大丈夫です、王子様!もう私を離さないで!」

 

ガバっと抱き着くアリシア様!いや、ちょっと、正気に戻って!?

ジト目で見てくるお嬢様。助けてくれませんかね?

 

「レイナは天然ジゴロね。なんで王子様なのよ」

 

「混乱しているんですよ。このまま、岸に向かいましょう。お嬢様は騎士の皆さまと岸辺へ戻って下さい」

 

騒ぎを見て駆け付けてくれた騎士団の方々にお嬢様を預け、何とか抱き着かれたまま戻るのだった。

騎士団の方には、アリシア様が騒いだ時点できて欲しかったが…。なんか、貴族の友人と偶然会われたと思って遠慮してたそうな。

 

岸に着くまでに、アリシア様も私が女だって分かってくれた。

 

「ではお姉様ですね!助けて頂いてありがとうございます!」

 

また、抱き着かれた。症状は悪化した。

 

 

 

岸に着いて、とりあえずアリシア様には私の替えの服を着てもらい(私も着替えた)、待つ事1時間ほど、ローランド伯爵家から使いが、と言うかローランド伯爵本人がきた。

 

「聖女キャサリン・グラバス様、この度は我が娘が大変失礼致しました。それのみならず、溺れた娘を救って頂き、感謝の念に堪えません。貴女様が王子殿下と結ばれるならば、きっと王国も安定するでしょう」

 

そしてアリシア様に向って吐き捨てる様に言った。

 

「アリシア、お前は何故反省しないのか。貴様には失望した!ローランド家から勘当する。修道院なりなんなり、好きな所へ行くが良い!」

 

アリシア様は、頭を下げて何も言わない。その表情には感情がなかった。きっと、この結末を予想していたのだろう。

 

「ローランド伯爵閣下、アリシア様なのですが、私に預けて頂けませんか?」

 

突然のお嬢様の申し入れに、びっくりする伯爵様。

 

「いや、娘は聖女様に悪意ある行動を取ったもの…。とても、お側に仕える資格は…」

 

「いいえ、可愛らしい悪戯でしたわ。アリシア様は優秀な御方、是非侍女として側にいて欲しいのです。ただ、私の近くにはハドルド王子殿下がいらっしゃいます。それでも本人が良ければ…。如何でしょうか?」

 

お嬢様はアリシア様を見る。アリシア様は、驚愕した顔をしてお嬢様を、私を見て。

 

「是非に、是非に仕えさせて下さい!お願いします!」

 

と叫ぶ様に言った。それで、決まりだった。

その後、手続きを済ませ(聖女の側にいるならと勘当は解かれ伯爵籍のままになった)、新しい侍女が2人(ミリーも着いてきた)も入る事になったのだった。

公爵令嬢待遇なら、人数的には不思議でも何でもないけどね。





最終話を書くまでは毎日投稿で減っていくストックを見て1日が早く感じた。
最終話を書き終えた後は、いっそ1日2回投稿に切り替えるかと悩む。
明日、試しに2回投稿してみます。
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