ヒロイン矯正!   作:アールエー

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直接ではありませんが、戦闘の描写があります。


その49 洞窟内戦争

 

「弓隊、火矢を射掛けろ!」

 

隊長らしき男が、そう叫ぶと洞窟の入口に一斉に火矢が飛んできた。しかし、洞窟の入口は岩をくり抜いた様な状況、火が着く事はない。

燻し出すぞという、脅しなんだと思う。

 

見た所、20名くらいかなぁ。今まで相手にしてきた破落戸と違って、鎧兜で武装した集団は迫力が違う。

特に複数の隊列を組んで、槍と盾を構え歩調を合わせて来た時の恐ろしさは、映画なんかで見た以上の恐怖を受ける。

 

こいつらが来る少し前から、気配探知にビンビン引っ掛かっていた。何人かは散って行った様だけど、20名以上が固まって進軍してきた。

そして唐突に警告なく攻撃してきた。

 

「俺達は王太子殿下の命令で探索をしている!それ以上の攻撃は王家への反乱とみなす!!」

 

アルベルトが戦場を制する程の大声で叫ぶ。まともな軍隊なら、これで何らかのリアクションをすると思うが…。

返ってきたのは再びの火矢だった。

 

「あの人達、何考えているんだろう?本気で王家に歯向かうの!?」

 

「多分、王家を騙る偽物だと思ったとか何とかで、俺達を片付ける気かもな」

 

アルベルトは大槍を持ち直す。そもそも、彼に取って王家の命令なんてクソみたいなものだ。

分かり易く戦闘できる方が嬉しいのだろう。

 

「とりあえず、いきなり攻撃してきて、こちらからの話し合いにも応じないと。もう反撃しても良いよね」

 

洞窟入口の陰からそっと見る。距離、約30メートル。普通ならナイフの投擲には距離があるが…。

 

「ふんっ!!」

 

熱したワンピースナイフをぶん投げる!!

刺さらなくて良いつもりで投げたけど、盾の隙間に入って刺さった!

肉が焼ける音、燃え出す衣服、泣き叫ぶ兵士。

ありゃ…。阿鼻叫喚の地獄絵図。

いや、そっちだっていきなり火矢を射ってきたのに、やられて泣くなよ。泣きたいのはこっちだ。

もう一本投げちゃお、えい!命中!!

 

「相変わらず滅茶苦茶な攻撃だな、それは」

 

「投擲する度にナイフが失くなるのが辛いけど。結構高いのよ」

 

そんな事を言い合っていると、痺れを切らした隊長が叫んだ。

 

「くそっ、歩兵隊、前へ!」

 

「来たわよ、後は任せた」

 

そう言うと、私は洞窟の天井に貼り付いた。忍者みたい!って言いたいけど、丁度良い窪みがあって隠れる事ができたのよね。ちなみに、同じく天井に罠も仕掛けたわ。

 

相手は盾と短槍を構え、三列縦隊で侵入。無言で奥へと進もうとしていた。続いて弓隊、その中にひときわ目立つ格好をした隊長がいる。

……あれ、貴族派閥の子爵家の男じゃね?確か、当主の弟だった記憶がある。こいつは生かして証人になって貰うか…。

 

全軍隊が洞窟に入ったところで、アルベルトが攻撃を仕掛ける!3人揃って大槍を握り締め、戦闘の兵士に突きかける!

 

「ぬううぅぅん!!」

 

アルベルト達が歩兵隊の槍を弾き、更に鉄製のはずの盾を貫いた!アルベルト達の持つ乗馬用の大槍は3メートル。歩兵隊は2.5メートルの歩兵用片手槍だ。体格差によるリーチもあり、ここで0.5メートルの違いはかなりのアドバンテージになる。

 

「嫌な予感に従って、クソ重たい大槍を持って来て良かったぜぇ!」

 

ガンガン盾を叩いて貫いて、ビビった先頭集団が完全に足を止めた。

 

「な、なんだ、あいつら!弓隊、構わんから弓を放て!」

 

隊長が命令を下すが、弓隊は躊躇する。当たり前で、狭い洞窟内で前は歩兵隊で相手が見えず、曲射する程天井は高くない、というか距離が近過ぎて曲射できない。

それを見定めて、私は罠に結んだロープを引く。天井に仕掛けた油の入った瓶が、バラバラと振り注ぐ。これも重かったんだよな。

 

ガシャンガシャンと割れて振り注ぐ油。兜を被っているから瓶は致命打にならないが、ここで私が混乱した隊列の真ん中に降り立つ。

 

「ヒートボディ!」

 

一瞬だけど御加護の力を使い、一気に着火点まで温度を上げる!

撒いた油の量は大した事なかったから、死ぬほどの事はないけど、火が付けば火傷は負う。生きていたら聖女様に治して貰うからね。生きていたら。

 

燃え盛る炎の中、弓兵達の弓を腕ごと引き裂いて、狙うは隊長ただ1人!弓隊の隙間をすり抜け隊長の懐に飛び込んで、混乱してろくに反撃もできない隊長に崩拳を撃ち込んで沈めた。

燃えて飛び散った油は、あちこちの隊員の服に付いて着火、悲鳴が響き渡る。

 

「武器を捨てて!捨てた者だけ助けます!」

 

そう叫べば指揮者の居ない小隊員、次々と捨てられる武器。武装解除した兵士の油が付いた場所の火を消すか、ナイフで燃えている箇所を切り取った。

 

「よし!一件落着!」

 

「落着じゃねーよ!燃えてるぞレイナ!」

 

ふと下を見ると、確かに飛んできた油が私の服に付着し引火していた。それ以前に、さっきのヒートボディで私の服の繊維は燻っている。

慌ててバサバサと消すが、最早衣服はボロボロだった。ハラハラと崩れ落ちる。

 

「ちょっ!おまっ!!見える!貴様ら見るな阿呆!!」

 

「あ〜大丈夫でしょ。こういう時は、大事な所は最後まで残るのがお約束…」

 

胸の大事な部分がハラリと落ちるのと、アルベルトのマントが被さるのは同時であった。

 

 





「レイナ気を付けろよ、見えたらどうするんだ!?」

「まあ良いでしょ、減るもんじゃないし」

「減る!色々と減る!!」

「「姐さん、ごちそうさまです!」」

「お前ら…記憶が失くなるまで殴れば良いか!?」
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