ヒロイン矯正!   作:アールエー

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感想の書き込み、ありがとうございます。
返信しようとすると、どうもネタバレやらかしそうで中々書けないですが、励みになっております。


その51 護衛任務

 

「王家の剣の入手は、最優先事項とする」

 

私とグレン様の報告を受けて、シリウス王太子殿下が下した決断がこれだ。

もう学園の夏季休暇が終わり再開するのだが、王太子殿下に取って学園よりも重要な事だった。

 

「今回は私も赴く。フレデリカ、グレン、そしてレイナ嬢は私に着いて来て欲しい」

 

「了解しました、シリウス殿下。しかして軍勢はどの程度連れて行かれますか?」

 

「国王陛下とも話したのだが…現在、東の街を飲み込んだ水害復興のため、多くの兵が出払っている。王都の守りを蔑ろにするわけにもいかん。騎馬が30騎、騎士団長に率いて貰うのが限界だな」

 

そう、あの水害からまだ半月余り、復興どころか漸く片付けが終わりそうな状況だ。フレデリカ様の提案により、仮設住宅を建設し避難民を一時的に収容、少ないけれど日当を支払う事で復興に参加させ、その日当で配給している食料以外の嗜好品を買わせ、経済の立ち直しを計っているとの事。

水害が起きた時に少なからず騎士団にも被害が出たから、人手が足りないのだ。

 

「ハドルドと聖女様は王都に残り、政務と後方支援、それに学園で貴族子息に対して安心させるよう、動いて欲しい」

 

「分かりました、兄上」

 

後方において不測の事態に備えるのが、ハドルド王子殿下の役割だ。また学園で夏季休暇前に流れた噂の処理も必要だ。もっとも、肝心のアリシアがお嬢様の侍女として仕えているのを見れば、ほとんどの生徒は察してくれるだろう。

 

「レイナ嬢、アルベルト殿に護衛をお願いする事はできるか?」

 

「今度は正式に、と言う事ですね?」

 

「そうだ」

 

「……王太子殿下は、隣国の兵士の昔について、御存知ですか?」

 

「アルベルト殿に聞いたのか…。知っている。国王になる者だけの秘密としてな」

 

「では、少なくとも殿下が在任している期間だけでも…誠意ある対応をして頂きませんか?何らかの手土産がないと、話はできかねます」

 

「約束しよう。元々、20年も前に制度は無くなったのだ。私が王位に就いた後になるが、公表も視野に入れている」

 

私達の会話を聞いて、グレン様を始めとして意味が分からないと怪訝な顔をしている。

 

「すまん、グレン、ハドルド。これは王国の機密事項なんだ。レイナ嬢はたまたま知る機会があったが、私からまだ話す事ができないんだ」

 

「いえ、分かりました、兄上。いつか、話して頂ける機会を待ちましょう」

 

「そうしてくれると助かる。それで、レイナ嬢…」

 

「分かりました。ひとまずアルベルトに話をつけます」

 

「そうして欲しい。…他に何かあるか?」

 

 

 

会議が終わり、私は1人アルベルトが住んでいる宿舎を訪れた。

宿舎は学園に通う生徒用の寮となっているが、もちろん貴族用の寮なので一軒家の屋敷になっていた。庭に入るとアルベルトの軍馬がブルルッと鳴いた。この子は私を乗せて言う事を聞いてくれないが、私とは仲は良いのだ。

 

「それで、俺の所へ来たってわけだ。レイナが寂しくなって来たって言うんなら、嬉しいんだけどな」

 

アルベルトに会ってから居間に通されてソファに座り、事情を説明する。アルベルトは呆れた様で、嫌がる素振りを隠しもせずに背もたれに背中を預けた。

 

「レイナは俺が受けると思ってるのか?」

 

「可能性は僅かかな。理性的に考えたら、王太子、将来の国王とつなぎを作り、もしかしたら恩を売る事ができるチャンスだから。でも…」

 

「俺が素直に受けるわけがないと。事情を知ってて護衛しろなんて、巫山戯た対応にも程があるぜ」

 

「でしょうね。私だったら蹴飛ばすわ」

 

「んじゃ、どうするんだレイナは」

 

「私の裸、見たでしょ。それで前払いよ、私の護衛をして!」

 

「はあ!?」

 

おっ!珍しいアルベルトのビックリ顔。これが見れただけでも、今日はニッコリだ。

 

「私が王太子殿下を護衛して、アルベルトが私を護衛するの。殿下も私も安全で、アルベルトは負債が消えると。三方良しの精神ね!」

 

ニッコリ笑って手を叩く。

 

「いや、マント掛けて見ない様にしただろ!?」

 

舎弟1(ダニエル)舎弟2(ブルーノ)がしっかり見てるわ。舎弟の失敗は兄貴の責任ね」

 

「すいやせん、兄貴〜」

 

「俺らバッチリ見たんで〜」

 

アルベルトの後ろで爆笑している舎弟達。アルベルトはお前ら…と頭を抱えた。

 

「ああ〜分かった、分かった。レイナを護るだけだぞ!」

 

「構わないわ。アルベルトを縛り付けるつもりはないし。それと、これを預けておくわ」

 

そう言うと、表に置いていた物を持ってくる。

 

「そいつは…親父の大槍じゃねーか」

 

「正直、私じゃこれを使えないのよね。飾りや木材使ってるから、燃えちゃうのよ」

 

「…まあ、いい。お前を倒して取り返すつもりだったが、今回だけ使わせて貰うか」

 

「ごめんね、なんか今はアルベルトに持って貰いたいのよね。代わりに王太子殿下から譲歩を引き出すのはやってあげるわ。んじゃ、帰るね」

 

「泊まって行かないのか?」

 

「まさか!こんな狼達の巣窟に、か弱い子羊が泊まるわけがないわ!」

 

「誰が子羊なんだか…」

 

 

 

王都のとある一角

 

「ハミルトン隊長、今の商隊の荷物で武具が揃いました」

 

「そうか、貴族派閥の軍が王都に集結している事は、王宮にはバレてないな?」

 

「出入りの商人の話じゃ、そう言う噂も流れてないらしいです」

 

「俺達が約100人、他の貴族軍が同規模で数十隊。数は十分か…」

 

「事は何時起こすんですか?」

 

「……もうすぐ、さ。今は休養しておけ」

 

「はっ」

 

「さて、貴族のお偉いさんが考えている様に、上手くいくんかね?自分が処刑されない様に、立ち回りだけは考えておかないとな…」

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