ヒロイン矯正!   作:アールエー

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その52 彼氏のお家で一泊

 

騎士団を引き連れて、王太子殿下が出発した。

私は後方をアルベルトと一緒に並んで乗馬し、着いていく。

今回、舎弟2人はお留守番だ。仲間外れではなく、王都内に微かに漂うピリピリ感に対するためだ。戦場に生きる者は、こういった勘を大事する。

そして、やるかやらないかで決める時は、とりあえずやっとけの精神になりがちである。やって死んだら仕方ないが、やらずに死んだら悔しいからだ。

 

今回もお嬢様と長期間離れる。前回より更に長く。

ただ、前回ほど心配はしていない。私以外に頼る人がいるからね。…頼り過ぎて、妙な事にならなきゃ良いけど。アリシアには王太子殿下の命令書と共に、しっかり言い渡したから大丈夫かな?王太子殿下、王子がお嬢様にキスしたって報告書に(まなじり)を吊り上げてたからね。

 

 

 

キャサリン視点

 

王太子殿下の隊が王都を出て行ったわ。

今回もレイナと別れ離れ。でも、今回は王子殿下が隣にいて支えてくれる。レイナとは違った意味で、安心できるわ。

 

……間にアリシアがいて、ガルルと唸りそうな顔して王子を睨んでいるけど。

 

「アリシア嬢、そんなに睨まなくても、キャサリンに手を出さないって」

 

「いいえ、信用できません。王家の男は手が早い、しかも前科持ちでは!」

 

「そんな事ないよ?現に君に手を出さなかったじゃないか」

 

「余計に腹が立ちます!」

 

ハドルド王子も殿下に怒られていましたからね。女性との距離を保つのは、紳士としての行動もあるけれど、ハニートラップに対する訓練でもあるんですって。

レイナ曰く、焦らすのも淑女の務めだって。まあ、もう少し王子には我慢して貰おうかな。

 

 

 

学園も再開し、久し振りの教室。

クラスの皆ともまた会えて、夏季休暇の話で盛り上がったわ。でも、考えたら七割方馬車の中なのよね〜。

それでもクラスの誰かの領地を通過して、教会で治療活動をしたから話は弾んだわ。通過してない領地の方は、今度は我が領地にって。

こんなに楽しい学校生活は久し振りかな…。

いけない、前の事は余り考えない様にしよう!

 

王子殿下との話も、アリシアが直接教室に来て説明したから、あっという間に噂は何処かに消えていったわ。色々あったけど、アリシアも良い友達だと思う。

…直接、被害を受けてないからだろうけど。前世のイジメっ子に同じ事されても、友達にはなれなかったと思う。

 

その日の夕方、ハドルド王子が教室にやって来たわ。

 

「ええっ?国王陛下と王妃殿下が揃って?」

 

「そうなんだ。災害復興の激務が祟ったのか、2人して風邪をひいてね…」

 

なんと、国王夫婦が病気になったみたい。暑さの中で無理すると、夏バテから免疫機能が低下して風邪をひくらしいわね。

 

「それでは、今日にでもお伺いして治療を…」

 

「うむ、悪いな。今が大切な時期らしくて、簡単に休めないそうだ。明日は貴族派閥との会議もあるしね」

 

「分かりました。アリシア、ミリー、準備をお願いできるかしら?」

 

「はい、大丈夫です、聖女様」

 

最近の治療では、軽い風邪なんかは免役力を鍛える為に治さない様にしてたのよね。免役力って言っても通じないから、レイナと話し合って乗馬に例えて話したわ。

 

柵の中でいくら乗っても乗馬の経験は積めない、ある程度デコボコの道を走らないと、乗馬は上手くならない。軽い風邪は、このデコボコ道を走る様なものなんだと。但し崖っぷちで転落したら死ぬ様な道を走っている時、即ち重病人は助けます、と。

 

でも、今回は仕方ないわよねぇ。

 

 

 

学園が終わると、王子と2人…横にアリシアがいるけど、王家の馬車に乗って王宮へ出向いたわ。王子が同行しているから、比較的スムーズに国王陛下の元に辿り着いたの。

 

「ゲホゲホッ。…聖女様の手を煩わせるとは、我が身体の事ながら情けない」

 

「本当ですわ…。ごめんなさいね、聖女様に態々来て頂いて…」

 

「いいえ、私の奇跡はこの為に聖霊様から授かったのです。お気になさらずに」

 

御加護を使うと、喉へ細菌感染をした喉風邪みたい。日本なら抗生物質で治るかなぁ。

みるみる回復した御二人は大変喜んで、今日は泊まっていく様に勧められた。アリシアも宜しいのでは?と言うので、泊まる事に。

夕飯は王家の方々と取る事になったわ。アリシアも侍女だけど伯爵令嬢と言う事で、今回は特別に一緒よ。

ミリーには悪い事をしたなって謝ったら、私の様な一般庶民に王族との食事なんて拷問に等しいと言われたの。まあ、そうよねぇ。今頃、自室でゆっくり食事してるのかな。

 

陛下との会話の中で、シリウス殿下が聖剣を取りに行く話になって、王族に伝わる伝説として聖王伝説と言うのを聞いたわ。

 

何でも、本物の聖剣を掲げた者は、聖王としてこの王国に君臨する事ができるんですって。もし私が隣国に連れ去られていたら、もしかしたら隣国に聖霊様の認められた王が誕生したかも知れないと。

それなら戦場に送らなければ良かったじゃないの!って話すと、貴族達が聖剣を求めて争いになるから、どうしても話せなかったんですって。何だかな〜。

まあ、ゲームでは聖剣は王族しか召喚出来なかったから、多分隣国に聖王が誕生する事はなかったと思うけど…。今は現実だしね。万が一って事もあるのかな?

陛下は、これは伝説と思っていたからシリウス王太子殿下も知らないとの話をしたわ。ゲームにも無かったしね。多分、原作の殿下はゲームの最後の時点まで知らなかったんだろうな〜。

 

ハドルド王子ともゆっくり話をした後、豪華な部屋で寝る事ができた。寝る前に、アリシアが三重ロックを掛けているのが見えた。いや、ハドルド王子を警戒し過ぎじゃない?

 

 

 

翌朝。

窓から入る強い日差しに、今日も残暑が続くかなとウンザリしていたら、なんだか外が騒がしい。

アリシアに手伝って貰って着替えをして、廊下に出てみる。なんだろ?兵士が右往左往している。昨日と打って変わって王宮全体が騒動に巻き込まれているみたいだ。

 

「何があってるのかな?アリシア、知ってる?」

 

「私も王宮で生活していたのですが、こんなに騒いでいるのは初めて見ます」

 

とりあえず、朝食を食べに行こうか?そうアリシアと話をして廊下を歩いていたら、向こうから兵士の集団が。

そして、突然槍を突き出した!

 

「いたぞ!偽聖女キャサリン!王族傷害容疑で逮捕する!神妙にお縄につけ!!」

 

え?え?ええええ!?

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