キャサリン視点
兵士に槍で脅され連れて行かれ、辿り着いたのはパーティ等をする大広間だった。そこには既に多数の貴族達がいて、連れて来られた私を鋭く睨んだ。
なに?何なのよ、もう!
「偽聖女キャサリン!よくも顔を出せましたね!」
貴族達の中央には、最近とんと会わない側妃様が仁王立ちしていた。と言うか、さっきから偽聖女って何よ!?
「お久しぶりです、シャーロット側妃殿下。先程から言われている偽聖女とは何でしょうか?身に覚えがないのですが」
「ふん!男爵家の小娘風情が生意気な口を聞くな!そもそもお前に発言の許可など出してないわ!」
うう…話になんない。なんなのよ、この人は!本当にハドルド王子のお母さん!?
「お前が怪しげな呪術で周りを騙し、聖女に見せ掛けた上に国王陛下とその妃に毒を盛り込んだ証拠は上がっているのだ!衛兵、この女を捕らえよ!!」
はあ!?騙したって、いやそれよりも国王陛下と王妃殿下に毒が!?
「国王陛下は何処にいるのです!王妃殿下にも会わせなさい!毒なら直ぐに治療しなければ!」
「黙れ!凶悪犯を陛下に会わせるものか!衛兵!」
数人の兵士が私に槍を向ける。ふん!手が震えているわよ、こちとら嫌な事に修羅場には慣れているのよ!
「聖女様!」
その時、飛び込んで私の前に立ち塞がったのはアリシアだった。えっ!?危ない!
「アリシアかい!?身分が低い癖に可愛がってやった恩を忘れて、偽聖女に媚びる性悪女が!」
「貴女に可愛がって貰った記憶はありません!それより聖女様に何をするのです、これ以上の乱暴は、神国からも抗議が来ますよ!」
「ふふふ…。その神国から、偽聖女だって報告を受けているんだよ」
「嘘ですね。聖女様は総主教猊下から直接認定されているのです。その報告こそ偽物です」
側妃殿下はワナワナと、激怒した表情で震えているわ。うわ、元は美しい顔の筈なんだけど、これが般若って事なのかな!?
「おのれ、お前らごとき下層階級が!何をしているの、早く捕らえよ!貴賓室に入れるんじゃないよ、地下牢へ放り込めぇ!!」
兵士が周囲を囲って1人が槍を突き出す。ガキッと音が鳴って、バリアに阻まれた。途端、兵士達が怯えだす。
アリシアが私にくっついて、私だけに聴こえる様に囁いた。
「聖女様、ここから抜け出せますか?」
「…ちょっと無理。護る事はできるけど、攻撃できないのよ」
「それでは、外から助けが来るのを待った方が賢明かと。この兵士達に見覚えがありません。多分、側妃殿下の私兵か貴族派閥の兵士です。もう既にミリーに手紙を持たせて脱出させております。それにハドルド王子殿下も黙っていないかと」
「……そうね、仕方ないわ。今は大人しくしましょう。きっと、レイナが助けに来るわ」
「はい、お姉様ならこいつらを蹴散らしてくれます」
そうして、私達は部屋に閉じ込められた。私のバリアにビビったのか、地下牢じゃなくて客室の一室に入れられたのは幸いだったかも。
ただ、国王夫妻の症状が心配。周りの兵士の反応から、亡くなってはいないみたいだけど…。何とか、診る事ができないかな…。正直、亡くなってさえいなければ治す自信はあるわ!
ミリー視点
私は、アリシアお嬢様から手紙を託され、大騒ぎの城から抜け出す御用商人達に混ざって脱出したの。
アリシアお嬢様は城の兵士が聖女様を捕まえようとしている、お嬢様は助けに行くけど、多分一緒に捕まる。だから、私が外へ助けを求めに行ってって言ってた。
でも、でも、誰に助けを求めたら良い?
貴族様は敵かも知れないし、第一会ってくれない。大きな商人だったら、もしかしたら助けになるかも知れないけど、知り合いがいない。
……そうだ、レイナさん!聖女様の侍女のレイナさんなら、お嬢様がお姉様と慕う方なら助けになるかも!
レイナさんは北の方へ、王太子殿下と行ってるわ。馬車か何か用意して、北に行かなきゃ!
とか考え事してたら、人にぶつかっちゃった!
「あいた!ご、ごめんなさい、考え事してて……ひぃ!」
なんか、むっちゃ大きい男の人が2人!見上げた顔は、物凄く怖い!私の頭なんて、男の人の胸くらいしかないの!
「おう、気ぃ付けろよ…ん?おめぇ…何処かで…ああっ!」
「どうしたぁ!?お、こいつは姐さんの妹分の…」
え?え?知り合い?……あ!
「ああ!レイナさんの彼氏の子分!」
「いや子分って。子分だけど」
「それよりよう、城でなんかあったか?すっげえ騒ぎでよ、何とか情報知りたくて、城から出てきた奴を捕まえて聞いてたんだが…」
「あった!ありました!お願い助けて!!」
子分さん2人はお互いの顔を見合わせて、同時に言ったの!
「「おう、任せとけ!!」」
何気にシャーロット側妃の名前は初出。