ヒロイン矯正!【完結済】   作:アールエー

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その62 決戦!アルヘルム王都前!

 

「会いたかったぞ炎の精霊(イフリート)ォォ〜!」

 

「忘れてくれても良かったのに!」

 

ガキッと私のワンピースブレードと悪魔将軍の大槍が激しくぶつかり、火花を散らす!

身体が浮く、馬上槍と歩兵の剣じゃ、話にならない!が!燃えちまえ!

吹き飛ばされながらも、高温化した剣は大槍そのものにダメージを与える。

 

「ぬうっ?」

 

煙を上げる槍を見て、悪魔将軍マイヤー伯はニヤリと笑う。

 

「流石は炎の精霊(イフリート)、柄が全部木製の、安物の槍で戦うと逆に不利か!…柄の半分まで鉄製の儂の大槍があればな…」

 

そう言うなり、大槍を馬具に括り付け、剣を持って馬から降りた。こっちとしても馬には恨みも何もないから、助かる。

 

「で、何をしに態々こんな所まで?」

 

「なに、儂から大槍を取り上げた戦士が、更に成長したと聞いたから遊びに来たのよ!」

 

あーこいつ、アルベルトの親父だ、やっぱり!!

 

「ただいま立て込み中でして、おもてなし出来かねますので、とっととお帰り下さいませ!」

 

「何を言う!こんな良い場所(いくさば)を用意するとは、心が震えるわい!最高の舞台ではないかぁあ!!」

 

ああもう、あんたの為に用意してないわよ!

 

「ちょっと、ちょっと待ち給え!その勝負、少し待てぇ!!」

 

あ、王太子殿下。うわ、殿下の持っている聖剣、聖霊様の力がこれでもかと込められているわ。眩いばかりの光に包まれている。

 

「おおっ!それが伝説に聞く聖剣、と言う事はお主が今世の聖王か!」

 

「聖王とかどうとかは知らん!だが、既に勝敗は着いた、双方共に矛を収めよ!」

 

殿下の言う通り、周囲の兵士達は皆武器を捨てて蹲り、こちらを見ている。完全に戦意喪失している。

 

「聖王の言葉となれば耳を傾けん事もないが、元より儂はこの戦に参戦するつもりはない!ただ炎の精霊(イフリート)と手合わせに来ただけだ!周りの兵を飛ばしたのは、まあ、邪魔だったからどいて貰っただけよ!」

 

無茶苦茶だ。どいて貰っただけで、何人死んだんだよ!と悪魔将軍が来た方向を見ると、飛ばされた兵士は居ても、皆まだ動いている…?殺してないの?

 

「この程度で死ぬ奴など、戦士の風上にも置けん!殺してやった方が本人の為だろう!」

 

やっぱり無茶苦茶だー!!

周りの兵士達もあれが悪魔将軍かと、恐れ慄いているじゃん!

 

「と言うわけで!儂はこの娘と一手所望する!なに、殺しはせん、息子の嫁だからな。叩きのめして、連れて帰るだけよ!」

 

はい、誘拐宣言来ましたー!

 

「だから!安々と誘拐されて溜まりますか!」

 

「ならば足掻いてみせろ炎の精霊(イフリート)よ!」

 

マイヤー伯は大剣を振るい、袈裟懸けに斬り掛かってくる。本当に殺すつもりないんでしょうね!?

あちらがリーチもあり剣も長い。懐に飛び込めば勝つ、と言うか燃やしちゃうんだけど、意外と技巧派で全然近付けないのよ!

それにギンギンと数手打ち合うと分かるが、その上で技量がどうとか言うレベルではない。経験だ。余りにも実戦経験が違い過ぎる。こちらの攻め手が尽く初動で潰される。

 

「ちょっと待ったぁ〜!!このクソ親父ぃ〜!!」

 

そこへ咆哮を上げながらミサイルみたいな速度で突如参戦した男、言わずと知れたアルベルトだった。軍馬から飛び降り、その勢いを使って大槍を振り下ろした!

しかし、あっさりマイヤー伯に弾かれる。

アルベルトは勢い余って地面に転がるが、その勢いのまま素早く回転して立ち上がった。あの様子では、無事にお嬢様から治療を受けたな。良かった!

 

「ふん!アルベルトか。貴様、自分の女を儂と戦わせておいて、何処で昼寝しておった!」

 

「はっ!俺がちょっと寄り道してる間に、レイナにちょっかいかけるナンパ親父に言われたくないぜ!」

 

「ほざきよる!まあ、よい!二人してかかってこい!格の違いを見せてやるぞ!!」

 

大剣を構え、こちらに向き直るマイヤー伯。

アルベルトと共闘するなら、炎のドレスの制御をせねば!

実はさっきから、制御をしようと躍起になっていたのだ。ドレスの温度そのものは下げられない。炎が消えると私の社会的立場も消える。

しかし周りに影響を与えているのは炎からの輻射熱。炎の聖女なのだ、身に纏う炎はそのままに輻射熱だけ制限!科学的に無茶な気もするけど、そもそも千度を超える物を持っても平気なのが非科学的なのだ!

 

………失敗………失敗、おっとドレスが消えかけた!ヤベッ……失敗、くうっ!………………成功!

 

「よっしゃ!行くよアルベルト!」

 

「おうよ、レイナ!」

 

この戦の最後の決戦が、とうとう幕を切ったのだった!

 

 

 

何故に、王族軍と貴族派閥軍の戦いの決戦が、隣国の親子喧嘩なのかは横に置いといて!!

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