また、評価もして頂き、感謝致します。
少し長くなりましたが、おまけを掲載します。
やっほーキャサリンだよ!
秋が深まり、段々寒くなってきたわ。
もうすぐ冬かな〜って時期に、ようやく学園が再開する事になったの。
やっと学園に行ける〜と思っていたら、私の元に数通の手紙が届いたのよね。その中身を見ると、少し憂鬱になるのよ…。
「その手紙、何が書いてあったのですか?」
私に紅茶を入れながら、レイナが尋ねてきたわ。
レイナは正式に教会から炎の聖女として認めてられて、私と同じ立場になったのだけど…。未だに侍女として働いてくれているの。本人的にも、それが良いみたいだし。ついでにアリシアも喜んでいるし。
「それは、私は戦時は爆弾ですが平時は只の発火剤ですから。お嬢様の様に平和な時に活躍できませんし、お嬢様のお手伝いをする方が役に立つと思いまして」
「お姉様も軽症限定でも治療はできるんですから、発火剤なんかより役に立つと思いますけど」
「そうよね〜。それよりも、この手紙なんだけど…」
そう言って、私はレイナに手紙を見せた。
レイナやアリシアも一緒に読んで、難しい顔をする。
その手紙は、私達のクラスメイト…
今回の内乱で、貴族派閥に属していた多くの貴族が、何らかの罰を受けたわ。でも首謀者として動いた上級貴族はともかく、寄子として協力せざるを得なかった下級貴族、或いはその貴族の従者、侍女枠として学園に通っていた貴族や平民にも累は及んで、クラスの、と言うか学園全体の四割ほどの生徒が学園から去る事になりそうなの。
「それで、嘆願書みたいな手紙が来たんですか…」
「そうなのよ。私としても、仲良くしていたクラスメイトだから何とか助けてあげたいけど、難しい…よね…?」
「今回は王家に対する反逆罪で、更にお姉様とお嬢様、聖女二人へ危害を加えたわけですからね〜」
「そうですね…。幾人か、直接関わってない従者の方などは何とかなるかも知れませんが、寄子として仕方ないとはいえ、兵を出して爵位剥奪された以上は難しいのではないかと」
「そうよね…。でも、親の罪が子供に及ぶのは、忍びないのよね…」
「お気持ちはお察し致しますが、
うーん、レイナの言う事も分かる!上の学年の生徒も、何人も退学するらしいし…。
でも、でも、何とかできないかな!?
「レイナ〜、私は、できる限り助けたい!神官様にも協力を頼んだ方が良いかな?」
「…いいえ、教会よりも先に、権限を持っている偉い人に聞きましょう。幸い、
「と言うわけでフレえもん〜、何とかして〜」
「もう仕方ないなぁ、キャシ太くんは。はい、秘密道具〜って何を言わせるのよ」
「ノリが良いですね、フレデリカ様は。声色まで変えて」
まあ、日本人ならお馴染みのフレーズよね。アリシアは頭に?浮かべているけど。
ひとまず、レイナと相談してフレディに話を持ち込んでみたの。フレディはちょっと考えたあと、更にシリウス王太子殿下の元へ連れて行ってくれた。
「…無理…だな、聖女様」
シリウス王太子、ハドルド王子の二人と話し合った結果、そう言われた。レイナとアリシアはやっぱり…って顔だったけど…。私は、何とかならないか食い下がったの。
「キャサリン嬢の気持ちは分かります。聖女様からの頼みとあらば、聖王となられるシリウス様にとっても断り難い。ですが、これは反逆に対する罰なのですよ」
そう説明するのは宰相様の息子、シリウス様の腹心であるグレン様。
「反逆罪と言うのは、とても大きな罪です。本来なら、一族郎党死罪になってもおかしくないのですよ。現在、首謀者と主導的な貴族だけ死罪となり、他の家族や配下、寄子の貴族などが降爵や放逐で済まされていますが、それも温情的な処置なのです」
確かに、貴族派閥の筆頭侯爵や幾人かの貴族は毒杯を飲んだって聞いたけど、それ以外の貴族達は軽い罪で済んだとも。
「それに聖女様に手紙を送ったのも問題です。何とか許して貰おうと足掻くのは、反省をしていないとも取れます。もしこれで許せば、悪い事をしても聖女様に嘆願書を送れば罪が軽くなると言う、悪しき前例ができます」
うーうー、そうなんだけど!反論できないけど!分かっているけど!!
ちらりと横を見る。私の信頼する侍女と目が合った。
「レ、レイナ〜」
レイナは私を見て、くすりと笑った。そしてグレン様と対峙する。
「グレン様。実の所、それでは問題があるのです」
「…問題…とは?レイナ嬢?」
「はい、グレン様の言われる事は分かります。確かに正論だと思います。しかし、それをこちらも承知の上だと思って聞いて下さい」
何の話だと構えるグレン様を尻目に、レイナは一口紅茶を飲んだ。
「今回の話はお嬢様の慈悲、或いは我儘です。法的、貴族の慣習的に許される事ではないでしょう。ただ、我儘なのですが光の聖霊様の影響がゼロではありません」
「聖霊様の影響…つまり、キャサリン嬢の考えが聖霊様の御意志でもあると…?」
「分かりません。私自身、経験がありますが境界線が曖昧なんですよね。それでも、思考に影響していると見て間違いはないと思います」
ううーんと、悩み出すシリウス様とグレン様の二人。ハドルド様も、何かに気付いた様。
「ちょっとレイナ、どういう事!?」
「お嬢様の考えが聖霊様の御意志である可能性が高い、少なくとも影響があると言う事です。もしそうなら、お嬢様の行動に無理に制限をかけると、聖霊様の御加護が失くなる可能性まであり得ます」
「えっ!?御加護が失くなると困るんだけど」
「あくまで可能性ですね。正直、何処まで影響があるのか、何処まで制限できるのか全く不明です。実験するわけにもいきませんし」
そ、そうよね…。試して、御加護が失くなったら元も子もないし。
「更に困るのが、お嬢様が教会に相談する事です。教会は聖女様が正しいと言いがちですので最悪の場合、王家対教会&聖女になりかねません」
「う、ええ…!?そんな対立、望んでないわよ!」
「はい、ですので、先に王太子殿下に相談する様にしました。王位継承前の大事な時期に、教会との対立の挙句、もし聖剣の輝きが消えたりしたら大問題ですから」
「ああ!だから神官様に相談する前にこっちに来たんだ!」
「はい、分かって頂けて幸いです。お嬢様は聖女で公爵令嬢待遇で、ハドルド王子と結婚すれば大公妃になるのです。不用意な発言をされると、あっという間に大問題になります」
「…ひえぇ…。そんなのも、望んでないわよ…。と言うか、レイナもそうじゃない?」
「…だから、聖女認定は嫌だったんですよ…」
そう言うと、レイナは
ああ、うん、今ならその気持ち、思いっ切り理解できるわ…。
シリウス視点
「…ハドルド、お前、聖女様を嫁に貰うなら、これからもしっかり見守れよ…?」
「はい、兄上。今、その実感を存分に深めている所です…」
二人して、頭を抱えてしまう。
この件を、こちらより先に教会にされた時の周囲への影響を考えると、非常に頭が痛くなる。
とにかく、キャサリン嬢との妥協点を探らないと駄目だ。今、光の聖霊様の御加護が失くなるとか、悪夢の様なものだ。
「グレン、何か手はないか?」
「はっ…そうですね…。例えば、何らかの手柄を立てさせるとか。具体的には、友人として聖女様の護衛任務に付かせるとか。後は、王位継承した時に恩赦を与えるくらいかと…」
うむ、そんな所でグレンに調整して貰おう。キャサリン嬢が納得してくれたら良いが…。
しかし困ったな。恐らく多くはないと思うが、政治的判断と聖女様の判断、或いは聖霊様の御意志が対立する時があるのか…。これからも気を付けねば。
「それにしても兄上。聖女様はキャサリンだけでなくて良かったですよ」
「そうだな、本当に…」
「「レイナ嬢がいて良かった」」
十数日後 ハドルド視点
王宮の外で何やら騒がしかったので、共を連れて中庭に出てみた。十数名の男女が、何やら器具を使って調べている様だ。
よく見れば、今回退学となった生徒達ではないか?
私の直ぐ近くに、兄上とグレンが遠目で様子を見ていたので、僕も兄上の側に寄ってみる。
「兄上、あれは一体…。退学処分の生徒達と、聖女様達?後、フレデリカ義姉上ですか?」
「ハドルドか…。いや、レイナ嬢が手柄を立てさせる為に私の役に立つ様にすると、自身の技術を教えているらしいのだが…」
技術!?いやしかし、確かに皆熱心に書き留めているが、道具といえば三角形に組まれた木の足に取り付けられた板と、半円状の器具?どちらも何か、重りの様な物がぶら下がっているのだが…?
「眺めていても、よく分かりません。兄上もグレンも、近寄って見てみませんか?」
「ううむ…。そうだな、邪魔をしてはならんと待っていたが…。近くで見てみるか」
僕たちは、ひとまず近寄ってみる事にした。近くに行くと、全員跪いて挨拶をしようとしたので慌てて止める。
そのまま、見学しておくから進めてくれと話したら、レイナ嬢の号令で授業?は進められた。
「この平板を水平にする事が大事です。ぶら下がった重りと直角に取付けた印が平行になるように調整して下さい」
「距離は近くは荒縄で作ったメジャー、遠くは三角測定にて行います。ただ、温度湿度でメジャーは伸縮する事を忘れてはなりません」
「分度器が付いた距離計を使って角度が分かれば、この三角関数表と算盤を使って高さも算出できます」
「人間のやる事です、誤差は出ます。ある程度は許容して誤差修正をして下さい」
う、うーん、これは一体…。
キャサリンがメモしながら、ウンウン頷いていたから、多分理解しているのだろうと尋ねてみた。
「あ、ハドルド様!いえ、レイナが前に建築士の設備屋ってのをしてたらしくて…。色々教えてくれているんですよ。いや~、全く人生の役立たずと思っていた三角関数が、測量ではこんなに役に立つなんて、初めて知りました!」
「あ、ああ、良かったなキャサリン…。建築士?設備屋?それに測量?」
「ああいえっ!その、はい、これ!この数日でレイナが作った地図です!」
そう言ってキャサリンが見せてきたのは、王都周辺の地図だった。昔、軍事用の地図を見た事があるが、レイナ嬢の書いた地図は簡易的ではあるが、余り変わらないものだった。いや、簡単だが高低差が記載してあるから、こちらが上なのかも知れない。
私は、直ぐに兄上に見せた。
「こ…これは…。レ、レイナ嬢、この地図は…」
「上手くできているでしょう?ちなみに、国王陛下にお願いしまして許可は得ております。もちろん、他の誰かに見せておりません」
「ち、父上に許可を!?」
詳細な地図は、国家機密に相当する。作るのはもちろん、持っているだけで捕まるものだ。
が、父上、国王陛下の許可があるなら問題ない…のだが…。
「彼等には、私が作った…考案したわけではないのですが…測量器具を使った測量方法を学んで貰ってます。隣国、反乱軍との戦争終結が実現した以上、国家内政にバランスが傾くでしょう。その際に、必ず測量士が必要となります」
レイナ嬢は淡々と説明する。僕たちは、兄上ですら口をパクパクとして反論できない。
「その時、読み書きができ、計算ができ、測量技術を学び、貴族とのやり取りにも慣れた彼等は、国家に取って重要な人材になります。そもそも、教育を受けた貴重な人材を簡単に放り出す事が間違いです!」
「つまるところ…レイナ嬢は、聖女様は彼等を学園に戻せと…?」
兄上が、ようやく言葉を発すると、レイナ嬢は大きく頷いた。
「爵位を戻せとか、罪を消せとか言いません。ですがせめて、反乱に直接関係のない彼等にやり直す機会をお与え下さい」
そう言って、レイナ嬢は跪いて頭を下げる。気が付くと、彼等も、キャサリンすら全員頭を下げていた。
元々、国王陛下の許可を得ていたと言う事は、陛下の赦しは得ていたのだろう。後は次期国王である、兄上の決断だった。
それから、一月も経たず、学園は再開された。
通う生徒達の中には、あの日技術を学んでいた彼等も入っていた。
「兄上、レイナ嬢がいて良かったですが、彼女は彼女で…」
「ああ、言わなくて良いハドルド。まだ理性的なだけ、助かると思おう…」
普通?の王政政治している所へ、本物の神様からの干渉があると混乱するよねって話でした。
そろそろ、次の作品の書き溜めが充分な量になってきたので、投稿しようかと思います。
次は、漫画原作の二次創作の予定です。