hololive Lost Story 作:ダニエルズプラン
騒がしかった宴会も、深夜になる頃にはようやく静かになっていた。
大会議場の長机には、片付けきれなかった紙皿や空になった紙コップがいくつも残っている。
豪華に並べられていた料理はかなり減っていたが、それでもまだいくつかの皿にはサンドイッチや果物が残っていた。誰かが途中で持ち込んだクッションが床に転がり、ゲーム機のコントローラーが長机の脚元に置かれたままになっている。
仮眠室で眠る者。
別室に用意された簡易ベッドで休む者。
大会議場の端で毛布に包まり、そのまま寝落ちしてしまった者。
ソファに横になったまま、誰かの上着を掛けられている者。
宴会の終わり方は、いかにもホロライブらしく雑だった。
だが、その雑さすらどこか温かかった。
さっきまでここには、前の世界の桜井ユウトを覚えているライバーたちが全員集まっていた。
笑い声。
乾杯の声。
「こちらこそお世話になりました! またよろしくお願いします!」という、全員からの言葉。
あれから数時間が過ぎた今も、その声はユウトの胸の奥に残っていた。
残っているからこそ、眠れなかった。
「……」
大会議場の片隅。
簡易ベッド代わりに用意されたソファから、ユウトはゆっくりと身体を起こした。
周囲を見回す。
誰かが寝返りを打つ小さな音。
遠くで鳴る空調の音。
窓の外から聞こえる、まだ収まらない嵐の低い唸り。
皆、眠っている。
少なくとも、そう見えた。
ユウトは足音を立てないように床へ足を下ろす。
床には、誰かの飲みかけのペットボトルや、袋に戻し忘れられた菓子、ゲームのコントローラーが無造作に置かれていた。
それらを踏まないように、慎重に歩く。
途中、毛布から片手だけ出して眠っているぺこらの耳がぴくりと動いた気がした。
ユウトは一瞬止まる。
しかし、ぺこらは起きなかった。
少し離れた場所では、マリンが何か寝言を言っていた。
「船長の魅力は……まだ三割……」
何の夢を見ているのだろうか。
ユウトは苦笑しそうになり、すぐに口元を引き締めた。
笑えば、少しだけ心が軽くなってしまいそうだった。
それが、今は少し怖かった。
扉へ向かう。
ドアノブをゆっくり回す。
金属音が鳴らないように、慎重に、慎重に。
扉を開け、身体を滑り込ませるように外へ出る。
そして、静かに扉を閉めた。
廊下は薄暗かった。
深夜用の魔導照明が、足元を淡く照らしている。
いつもはスタッフやライバーが行き交う長い廊下も、この時間はほとんど人気がない。
ただ、窓の外では嵐が続いていた。
ユウトは、ゆっくり歩き出す。
どこかへ行く目的があったわけではない。
ただ、あの部屋にいると胸が苦しかった。
温かい場所だった。
だからこそ、苦しかった。
しばらく歩いて、窓の前で立ち止まる。
外には、オルタナティブシティの夜景があるはずだった。
魔導ネオンが輝き、高層ビルの窓明かりが並び、夜行の魔導船が空を横切る。
しかし今は、何もかも嵐の中に沈んでいた。
黒い雲。
叩きつける雨。
ビルの間を唸る風。
時折、空の奥で紫がかった魔導雷が走り、街の輪郭を一瞬だけ浮かび上がらせる。
公共交通機関は止まっている。
魔導船も、転移ゲートも、安全確認中。
だからユウトは帰れなかった。
今夜はここに泊まるしかなかった。
ホロライブ事務所に。
前の自分がいた場所に。
自分を覚えている人たちが眠る場所に。
「……」
ユウトは窓に映る自分の顔を見た。
そこに映っているのは、今の桜井ユウトだ。
高校生で。
前の記憶を失っていて。
胸ポケットに銀色の懐中時計を入れていて。
たくさんの人に「おかえり」の続きを求められている。
でも、その期待に応えられるほどの記憶はない。
彼女たちは、自分を覚えている。
自分は、彼女たちを覚えていない。
その事実が、宴会の温かさのあとで、いっそう重く感じられた。
「……僕は」
声が漏れた。
「本当に、皆さんの前にいていいんでしょうか」
答えはない。
嵐の音だけが、窓の向こうから響いてくる。
ユウトは胸ポケットに手を当てた。
懐中時計は、いつものように時を刻んでいる。
チ、チ、チ、チ――。
その音だけが、自分を現実に繋ぎ止めている気がした。
数分ほど、そのまま外を見ていた。
すると、背後から小さな足音が近づいてきた。
一つではない。
二つ。
三つ。
四つ。
五つ。
ユウトは振り返った。
薄暗い廊下に立っていたのは、0期生の少女たちだった。
ときのそら。
ロボ子さん。
さくらみこ。
星街すいせい。
AZKi。
彼女たちは、全員、寝間着代わりの楽な格好に上着を羽織っていた。
宴会の時の明るさは少し薄れ、代わりに心配そうな表情が浮かんでいる。
「ユウトくん」
最初に声をかけたのは、そらだった。
「眠れなかった?」
「……起こしてしまいましたか」
「ううん」
そらは首を横に振る。
「ユウトくんが出ていくの、見えたから」
みこが、眠そうな目をこすりながら言う。
「こっそり出てくの、見逃すわけないにぇ」
「すみません」
「謝るところじゃないにぇ」
すいせいは、腕を組んでユウトを見る。
いつもの明るさよりも、少し真剣な顔。
「一人で抱え込んでる顔してたから」
その言葉に、ユウトは返せなかった。
ロボ子さんが少しだけ首を傾げる。
「センサーじゃなくても分かるよ。ユウトくん、宴会の途中からちょっと静かだった」
AZKiが、静かに続ける。
「楽しい場所から、少しだけ遠くにいるみたいだった」
「……そう、見えましたか」
「うん」
AZKiは優しく頷いた。
ユウトは目を伏せる。
隠せていると思ったわけではない。
だが、やはり見られていた。
それが申し訳なくて、同時に少しだけ安心してしまう自分もいた。
そらが、廊下の壁際にある長いベンチを指した。
「少し座ろう?」
「……はい」
ユウトは頷いた。
0期生と共に、窓の近くに備え付けられていた長いベンチへ向かう。
深夜の廊下。
嵐の音。
薄い魔導照明。
六人は、静かに並んで座った。
ユウトの右隣にそら。
左隣にすいせい。
少し離れてロボ子さん、みこ、AZKi。
誰もすぐには話さなかった。
ただ、窓の外の嵐を見ていた。
やがて、そらが口を開いた。
「今日、びっくりした?」
「かなり」
「ふふ。だよね」
そらは小さく笑った。
「あんなにみんな集まってるって、ユウトくんには内緒だったから」
「はい。完全に」
「でも、言いたかったんだ。みんなで」
そらの声が、少しだけ柔らかくなる。
「こちらこそお世話になりました。またよろしくお願いします、って」
「……僕は」
ユウトは、手元を見た。
「その言葉を、受け取っていいのか分かりませんでした」
みこが、眉を下げる。
「ユウト……」
「皆さんが覚えているのは、前の僕です。僕は、その時のことをほとんど覚えていません。今日も、たくさんの話を聞きました。嬉しかったです。でも、その嬉しさと同じくらい、申し訳なかった」
言葉が、止まらなかった。
深夜だからか。
0期生がそばにいるからか。
それとも、ずっと胸に溜まっていたものが、嵐の音に紛れて溢れたのか。
「皆さんは、僕の言葉を覚えている。僕がしたことを覚えている。僕がいた時間を大事にしてくれている。でも僕は、それを同じようには返せません」
ユウトは、窓に映る自分を見る。
「今の僕が皆さんと関わるのは、前の僕が築いたものに勝手に乗っているだけなんじゃないかって、そう思ってしまいます」
すいせいが、静かに息を吐いた。
「ユウト」
その呼び方は、普段の柔らかいものより少しだけ鋭かった。
「はい」
「それ、私たちが決めることでもあるよ」
「……え?」
「ユウトが、自分に資格があるかどうか悩むのは分かる。でも、私たちが今のユウトと関わりたいって思ってることまで、なかったことにしないで」
ユウトは言葉を失う。
すいせいの声は、責めるものではなかった。
けれど、真っ直ぐだった。
「私たちは、前のユウトだけを見てるんじゃない。今ここで悩んで、困って、それでも会いに来てくれたユウトも見てる」
ロボ子さんが頷く。
「うん。記憶が戻ってないのは寂しいよ。でも、今のユウトくんが別人みたいにどうでもいいわけじゃない」
みこも続ける。
「そうだにぇ。みこたちは、前のユウトも大事。でも、今のユウトだって大事なんだにぇ」
AZKiは、静かにユウトを見る。
「記憶がなくても、今ここで一緒にいる時間は、ちゃんと新しい記憶になるよ」
その言葉に、ユウトの胸が少しだけ痛んだ。
新しい記憶。
自分が失ったものではなく。
今、作っているもの。
その考えは、何度も彼女たちに言われてきたはずだった。
それでも、ユウトはまだ受け取りきれていなかった。
「……僕は」
ユウトは、右手を見た。
「怖いんだと思います」
そらが静かに聞く。
「何が?」
「皆さんが見ている僕に、僕が届かないことが」
嵐が窓を叩く。
「前の僕が、どれほど皆さんにとって大切だったのか、少しずつ分かってきました。でも、それを知るたびに、自分がそこにいないことも分かるんです」
「ユウトくん」
「皆さんは、僕にまたよろしくと言ってくれました。でも、僕は本当に、その続きを生きていいんでしょうか」
その問いに、すぐ答える者はいなかった。
0期生は、それぞれの表情でユウトを見ていた。
優しく。
痛そうに。
少しだけ怒ったように。
それでも、誰も目を逸らさなかった。
そらが、ゆっくりと言った。
「いいんだよ」
ユウトは、そらを見る。
「ユウトくんは、続きを生きていい」
声は柔らかい。
けれど、揺るがなかった。
「前のユウトくんがいて、今のユウトくんがいる。どっちかだけが本物なんじゃないと思う」
「……そらさん」
「思い出せないことは、つらいよね。私たちも寂しい。だけど、だからってユウトくんがここにいることを遠慮しなくていい」
そらは、少しだけ笑った。
「私たちは、またユウトくんと時間を作りたいんだよ」
ユウトは、返事ができなかった。
胸が苦しかった。
けれど、さっきまでの冷たい苦しさとは少し違う。
温かいものが、苦しさの中に混ざり始めている。
その時だった。
ユウトの右手が、ふと動いた。
自分の意思ではなかった。
いや、完全に無意識というわけでもない。
何かを探すように。
何かを摘み取るように。
親指と人差し指が、空中で小さく形を作った。
「……?」
ユウト自身が、その動きに気づいて眉を寄せる。
0期生も、彼の手元を見る。
次の瞬間。
胸ポケットの懐中時計が、強く鳴った。
チ。
銀色の蓋の隙間から、緑色の光が漏れた。
「え……」
みこが小さく声を漏らす。
光は、粒子となって溢れ出した。
淡い緑色の光の粒。
それはユウトの胸元からふわりと浮かび上がり、彼の右手へ向かって流れていく。
ユウトは動けなかった。
自分の摘むような形の指の間に、光が集まる。
粒子が線になり、面になり、薄い長方形を形作る。
まるで、見えない何かがそこにあるべき形を思い出していくように。
数秒後。
ユウトの指の間には、一枚のカードがあった。
緑色のカード。
深い緑の表面に、黒い線のような意匠。
光を受けると、星屑のような粒が内側で揺れる。
カードというには薄く。
切符というには重く。
しかし、確かにそこに存在していた。
「……これは」
ユウトは、そのカードを見つめた。
知らない。
見覚えはない。
それなのに、心臓が強く鳴った。
懐中時計が震えている。
右手の指先が熱い。
カードを持つ感覚だけが、妙に馴染んでいた。
「何なんですか、これ」
ユウトは、0期生を見る。
だが。
誰も答えなかった。
いや、答えられなかった。
そらは口元に手を当て、目を見開いていた。
ロボ子さんは、何かを確認するようにユウトの手元を見つめている。
みこの顔から血の気が引いていた。
すいせいは、普段の冷静さを失ったように、ただカードを見ている。
AZKiは、静かに息を呑んでいた。
彼女たちは知っている。
ユウトには分かった。
自分には分からないこのカードが何なのか。
彼女たちは知っている。
だからこそ、言葉を失っている。
「……そらさん?」
ユウトが呼ぶと、そらはようやく息をした。
「ユウトくん」
「はい」
「そのカード、今、どこから……」
「懐中時計から、出たように見えました」
「……」
そらは答えなかった。
すいせいが、低い声で言う。
「ユウト、それ、しまえる?」
呼び方が変わっていた。
いつもの柔らかい雰囲気ではなく、緊急時の声だった。
「分かりません」
「無理に握り込まないで。落とさないで」
「はい」
みこが、小さく震える声で呟く。
「なんで……なんでそれが、今……」
ロボ子さんも、珍しく表情を曇らせていた。
「この世界に出た……出ちゃったんだ」
「出ちゃった?」
ユウトが聞き返す。
AZKiが、静かに言った。
「ユウトくん。部屋に戻ろう」
「でも、これは」
「戻ろう」
AZKiの声は優しい。
けれど、急かすような響きがあった。
そらも頷く。
「みんなに、YAGOOさんたちにも確認しないと」
「……分かりました」
ユウトはカードを持ったまま立ち上がった。
なぜか、手から離す気にはなれなかった。
いや、離せなかったのかもしれない。
0期生も立ち上がる。
先ほどまでの穏やかな空気は消えていた。
誰も大声は出さない。
しかし、全員の表情に緊張が走っている。
ユウトは、0期生に促されるように大会議場の方へ戻った。
長い廊下を歩く。
窓の外では、嵐がさらに強くなっていた。
風が唸る。
雨がガラスを叩く。
魔導雷が空を裂く。
そして、ユウトの手の中では、緑色のカードが淡く光っている。
懐中時計も鳴っていた。
チ、チ、チ、チ――。
いつもより速い。
まるで、どこかへ向かう列車の車輪のように。
やがて、大会議場の扉の前に着く。
扉の向こうからは、寝静まった気配がある。
ユウトは、左手でドアノブを掴もうとした。
その瞬間。
胸ポケットの懐中時計が、ひときわ強く鳴った。
チ。
ユウトは、反射的に懐中時計を見た。
時刻は、午前一時一分。
ちょうど。
「……一時一分」
すいせいが、時計を見て眉を寄せる。
「待って」
彼女が何か言いかけた。
だが、ユウトの手はすでにドアノブを回していた。
扉が開く。
その瞬間。
懐中時計の秒針が、一つ進んだ。
一時一分一秒。
ちょうど。
世界が、変わった。
「……っ」
扉の向こうに広がっていたのは、大会議場ではなかった。
寝落ちしたライバーたちも。
長机も。
紙皿も。
宴会の名残も。
何もない。
そこにあったのは、駅のホームだった。
古びた屋根。
錆びた柱。
薄暗い照明。
長く伸びるプラットホーム。
どこか寂れているのに、廃墟ではない。
使われていないようで、今も誰かを待っているような、不思議な駅。
空は見えない。
代わりに、ホームの向こうには夜とも夕暮れともつかない、不思議な暗がりが広がっている。
この世界のどこでもない。
ユウトは、そう直感した。
ホロアースの駅ではない。
オルタナティブシティのどの路線でもない。
魔導レールでも、通常鉄道でもない。
もっと別の場所。
時間の隙間にあるような場所。
ユウトは息を呑む。
背後を見る。
0期生も、全員そこにいた。
扉は、もうない。
ただ、彼らはホームの上に立っていた。
「ここは……」
みこが震える声で言う。
ロボ子さんが周囲を見回す。
「座標が、分からない。通信も……たぶん、普通の場所じゃない」
AZKiは、ホームの端を見つめていた。
「歌が、遠い」
「AZKi?」
「この場所、世界の音が違う」
そらは、ユウトの手元を見る。
緑色のカードは、まだ淡く光っていた。
すいせいは、前方へ視線を向ける。
「……あれ」
ユウトもそちらを見る。
ホームの先。
何本もある線路。
まるで、どこかの路線の終点か、始点のようだった。
複数のレールが、暗がりの中へ伸びている。
そのうち二本のレールの上に、列車が停まっていた。
一つは、赤い新幹線のような列車。
鋭い先頭部。
長く続く車両。
赤を基調にしたその姿は、普通の鉄道車両とはまるで違う存在感を放っている。
もう一つは、異様な編成だった。
緑色の牛のような車両。
その後ろに連結された、黄色の鳥のような車両。
どちらも、生き物の意匠を持つかのように見える。
鉄の塊であるはずなのに、どこか生命を感じさせる。
ユウトは、その列車を見つめた。
知らない。
知らないはずだ。
なのに。
胸が痛い。
手の中の緑のカードが、熱を持つ。
懐中時計が、早鐘のように鳴る。
チ、チ、チ、チ――。
その音に重なるように、どこか遠くで発車ベルのような音が聞こえた。
すいせいが、小さく呟く。
「……デンライナー」
そらが、ほとんど息だけで続けた。
「それに……ゼロライナー」
その名前を聞いた瞬間。
ユウトの視界が、わずかに揺れた。
赤い列車。
緑と黄色の車両。
夜の線路。
緑色のカード。
黒と緑の装甲。
大きな剣。
そして、誰かの声。
――変身。
そこまで浮かんで、すぐに消えた。
「……っ」
ユウトは胸元を押さえる。
0期生が一斉に彼を見る。
「ユウトくん!」
そらの声が響く。
ユウトは、何とか息を整えた。
「……今、少し」
「無理しないで」
すいせいがすぐに言う。
だが、彼女自身の声も震えていた。
ユウトは、改めてホームを見る。
ここは、どこなのか。
なぜ扉の先がここに繋がったのか。
なぜ、懐中時計から緑のカードが現れたのか。
なぜ、0期生はそのカードと列車を知っているのか。
何一つ分からない。
けれど、一つだけ分かることがあった。
ここから先は、ただの記憶の欠片では済まない。
今まで聞いてきた過去。
彼女たちが語ってくれた前の世界。
桜井ユウトが消えた理由。
その中心にある何かが、今、自分たちの前に姿を現してしまった。
ホームの照明が、ぱちりと揺れる。
赤い列車のライトが、暗がりの中で淡く光った。
緑色の牛のような車両と、黄色の鳥のような車両も、まるで眠りから覚めるように低く唸る。
ユウトは、手の中の緑のカードを見つめた。
「……これは、何なんですか」
誰もすぐには答えられなかった。
嵐の夜。
一時一分一秒。
扉の向こうに現れた、不思議な駅のホーム。
赤い列車。
緑と黄色の列車。
そして、ユウトの手に現れた緑のカード。
失われた時間へ向かう列車は、終点に着いたのではなかった。
むしろ。
本当の始発駅に、今ようやく辿り着いたのかもしれなかった。