初投稿なので、ドラえもん並に暖かい目で見ていってください。
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「すみません、たい焼きを一つあんこで頂けませんか?」
「あいよ!」と店員の元気のいい声を聞きながら、昼下がりのD.U.で私は荒れた心を落ち着かせるために愚痴をこぼす。
「はぁ………どうして私がD.U.に……いや、別にD.U.に来るのが不満な訳じゃないけど……よりにもよって"あの件"を任されるなんて……」
憂鬱な気持ちを押さえきれないままにため息をこぼしながら、注文したたい焼きが出来上がるのを待つ。すると、
「お待ちどう!注文してくれたたい焼き、あんこが一つね!」
「あ、ありがとうございます」
「熱いうちに食べていってくれよ!でも、火傷には気をつけてな!」
店主からたい焼きを受け取り、少し離れたベンチに腰かける。
そして言われたままに火傷に気をつけつつ、その甘味を頬張り込む
「はむっ、むぐっむぐっ……」
その熱さに口をはふはふさせながら、たい焼きを食べ進めていく
「……ごくんっ、ぷはぁ美味しかった。やっぱりたい焼きっていったらあんこだね。」
「にしたってどうしよっかな……いや、やるしかないんだけどね? それもこれも、全部ナギちゃん様のせいだ……」
好物を口にしたことで少しは機嫌が戻ったが、そもそも何故こんなことになったか……あれは、数日前の事だった。
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数日前……ティーパーティー共用執務室にて
コンコン
「マナミさん、少しよろしいですか?」
扉を叩きながら声をかけるのは、"私"の同僚である「樋佐本 エミ」だ。彼女はここ、ティーパーティー共用執務室204号室の一人であり、いつも仕事を手伝ってくれる親友だ。
「あれっ、エミ?書類を上に届けに行ってたんじゃなかったっけ?」
「そうなんですけどね……届け終わったタイミングでマナミさんに伝言を預かりまして」
「……伝言って?なーんか嫌な予感するけど」
「その予感、当たってますよ?なんでも、ナギサ様がマナミさんにご用件があるみたいでして」
「うげ、やっぱり当たった……」
「早く行かないと何言われるか分かりませんよ?」
「エミの中のナギちゃん様はどういうイメージなのさ……はいはい、行ってきますよぉっと」
念のために手帳とペンを手に取り、急ぎ足でナギちゃん様の所へ向かう。……マジでどういうイメージなのさ?
コンコンコン
「どうぞ、お入りください」
ガチャ
「失礼します、ティーパーティー共用執務室204号室より来ました「日ノ本 マナミ」です。」
「よく来てくださいました、マナミさん。どうぞ、座ってください」
目の前にいるロングヘアーと綺麗な羽が似合う美人は「桐藤 ナギサ」、私が属するフィリウス分派の長を務める人だ。
「いえ……ナギサ様、私なんかが座るなんて……」
「私が呼び立ててしまったのですから……それに、長話になりそうですので」
「……では、失礼します」
「さて……まずですが、紅茶はいかがですか?何事にもアイスブレイクは必要ですので」
「そうですね……ダージリンを、よければ頂けますか」
「分かりました、少々お待ちくださいね」
ナギちゃん様が紅茶を淹れている間、向こうが何を話すのか考える
(何だ……?十中八九ナギちゃん様がこうして何も言わずに呼び立てて来る時は面倒ごとを持ってくるときだ……妙に気に入られてるんだよね~……気に入られてない方が面倒ごとは少なくて済むのに……)
「はい、どうぞ。ダージリンです」
「あ、ありがとうございます 頂きます」
「近頃はどうですか?ティーパーティー共用執務室204号室としてもかなり活動してきてるとお聞きしますが」
「はぁ……近頃、と言いましても……基本的には書類仕事、たまに降ってくる現地任務をこなす日々ですかね?まぁ、元気ですよ」
「そうですか、マナミさんがお元気なようで何よりです」
「それは……どうも?」
「……さて、そろそろ本題に入りましょうか。今日マナミさんをお呼びしたのは、私の信頼なるマナミさんに一つ、こなして頂きたい任務がありまして」
「任務……ですか?」
(最悪だ~……よりにもよって"任務"と来たか……)
「ええ、ときにマナミさんは連邦生徒会に関するとある"噂"をご存知ですか?」
(ん……?)
「"噂"……ですか?はて……私には分かりませんが……」
「まぁ知らなくても無理はないのかもしれません。元より、都市伝説染みた噂だったようですので」
「その"噂"ですが、こんなものが流れていたそうです。「連邦生徒会長が失踪した」……と」
「「連邦生徒会長が失踪した」……??それは本当、なんですか」
(とても嫌な予感がするぞ……?)
「ええ、私も初めは眉唾物だとそこまで気にしてはいませんでしたが……この噂が本当だと裏付けるように"治安の悪化"、"連邦生徒会の職務への対応の変化"……と、その他にもさまざまな理由が挙げられるようになってしまいまして……」
「そこで先日、トリニティの上層部で話し合った結果、正義実現委員会からハスミさん……羽川副委員長が連邦生徒会に事情聴取に向かうことになったのです」
「なるほど……ですが、それと私がどのように……?」
「羽川副委員長は治安維持の専門家ですので、道中で何かトラブルや戦闘に巻き込まれた際には武力行使になる可能性があります。ですが、トリニティの治安維持機関が自治区外で揉め事を起こしたとあらばその責任の所在を問われる事態になりかねません」
「ですので、私が信頼するマナミさん。貴女にティーパーティーの"代表"として、羽川副委員長の監督役を務めてもらいたいのです」
(まーーっずいぞ……これは"あの件"に関わる事じゃないか……!?何とか回避しなければ……)
「わ、私にですか!?そんな大役……私には務まりませんよ……もっと他に、ふさわしい方がいらっしゃいますって!!」
「ふふっ、何を言うんですかマナミさん?他の方、ではありません。私が信頼している"貴女"だからこそお願いしたいんですよ?」
(あっ……ダメなやつだこれ……)
「………………分かりました。その任務、謹んでお受けいたします。」
「ええ、よろしくお願いしますね」
「……では私はこれで失礼します」
(最悪だ……)と頭の中で考えながら、出口に向かって歩いていくと
「あぁ、マナミさん。最後に一つよろしいですか?」
「……あ、はい。何でしょうか……?」
「今度二人でゆっくり、お茶でもしましょうね?」
「……ヨロコンデオウケシマスネ」
「……? ええ、楽しみにしています」
「では、失礼しました」
ガチャ バタン
「ッハ~~……マジかぁ……」
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時は戻り現在、D.U.地区にて
「まったく……ナギちゃん様はいっつも急に無理言ってくるんだから……なんで私ってばあの人に気に入られてるんだろうなぁ……?」
原因を思い返したところで、ふと辺りを見回してみると
「にしたってこの辺荒れ放題だなぁ……やっぱり会長がいなくなったのが原因なんかなぁ?……うわっ、銃弾飛んできたし」
「ハスミさんは先に出てったっぽいし、現地で合流なんだろうけど……あの人どっかで不良に絡まれてないといいな……主にゲヘナの」
ぶつくさ垂れつつ足を進めると、遠くに大きな建物が見えてきた
「おっ、ようやくサンクトゥムタワーが見えてきたよ……はーっやっとだ……一連の騒動のせいか交通機関は麻痺してるわで散々だ……」
「あー頼みます神様っここまで来といてなんだけど、どうか"あの件"じゃありませんようにっ」
いるのかも分からない神にお祈りしつつサンクトゥムタワーに足を踏み入れると、ロビーでは、ハスミさんと……何やら見知らぬ……いや、"私"にとっては見知った人達が集まっていた
「はぁ~……代行はまだなんですかね?ここまで来て何も言いません~なんて言われたら私さすがにキレちゃいそうです」
「ユウカ、落ち着いてください。各校からここまでの面々が揃っていれば、さすがに連邦生徒会側も説明せざるを得ないはずですから」
「そうだといいんですけど……」
「……それにしても遅いですね。いくらなんでも、時間がかかりすぎじゃないでしょうか……」
「遅いといえばで思い出したんですが、ハスミさん。ティーパーティーの方はいついらっしゃるのでしょう?」
「確かマナミさんならもう少しで……あら、来たみたいですね」
「いやぁ~…ハスミさんすいませんね。何分、公共交通機関が全部大遅延か停止してるもんで……」
「この方が、先ほど話してたティーパーティーの監督役の人なんですか?」
「あ、申し遅れましたね……私はトリニティ総合学園ティーパーティー共用執務室204号室所属、三年の「日ノ本 マナミ」と申します。本日はハスミさんの監督役ということで参りました」
「ご丁寧にどうも……あぁっ私はミレニアムサイエンススクールセミナー所属、会計担当の二年「早瀬ユウカ」です」
「えぇ、よろしくお願いします」
「ではお次に、私はゲヘナ学園風紀委員会所属、一年の「火宮チナツ」です。よろしくお願いしますね」
「ご丁寧にどうも。お次は……」
「トリニティ総合学園自警団所属、二年の「守月スズミ」といいます」
「存じてますよ。自警団のスーパースターさんと並んで、トリニティの治安を守ってくださってるとか……」
「ご存知なんですか!?……それは、ありがとうございます」
「いえいえ、これからも頑張ってくださいね」
「……ところでなんですが、ここにいらっしゃるということは皆さん同じ用件で?」
「ええ……ここ最近でキヴォトスの治安がみるみる悪くなっているのに、連邦生徒会が何の対策も打ち出さないので……」
「他の学園も痺れを切らして事情聴取に、というわけですか」
「ですね……」
自己紹介も済み、目的が一致していることを確認した矢先にロビーにエレベーターが到着した事を知らせる音が響いた。そこから出てきたのは連邦生徒会の服を身に纏った女性と、一人の大人だった。それを見たユウカがすかさず問い詰めにいく。
「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!」
「……うん?隣の大人の方は?」
「首席行政官、お待ちしておりました」
「どうも、行政官殿」
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています。」
質問責めにあった行政官……「七神リン」は、不機嫌そうに顔をしかめた。
「あぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね」
「こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん」
「こんな暇そ……大事な方々がここを訪ねてきた理由は、よく分かっています」
(……今暇そうって言いかけたよなぁ)
「今学園都市に起きてる混乱の責任を問うために……でしょう?」
この一言にユウカがすかさず反論を仕掛ける
「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!」
「数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」
「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱走したという情報もありました」
「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」
「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」
「……」
リンは静かに意見を聞いているが、追及は止まらず
「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」
「はぁ……」とリンはため息をついてからユウカ達にとって、衝撃の事実を口にする
「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」
「……え!?」
「……!!」
「やはりあの噂は……」
「……はぁ~」
「……」
一同に動揺が広がる。ある者は驚き、ある者は"噂"が確かな物だったと再認識した。
「結論から言うと"サンクトゥムタワー"の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です」
「認証を迂回できる方法を探していましたが……先ほどまで、そのような方法は見つかっていませんでした」
「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官?」
「はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」
「!?」
「!」
「この方が?」
「え、私が??」
(当の本人も戸惑ってるじゃないの……)
「ちょっと待って。そういえばこの"先生"はいったいどなた?どうしてここにいるの?」
(当然の疑問だなぁ、むしろ今までよく触れられなかったよ……)
「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね」
「はい。こちらの先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」
「行方不明になった連邦生徒会長が指名……?ますますこんがらがってきたじゃないの……」
「取り敢えず皆……初めまして?」
「こ、こんにちは、先生、私はミレニアムサイエンススクールの……」
「い、いや、挨拶なんて今はどうでもよくて……!」
「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと……」
「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」
「うん、よろしくね」
「……先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました」
「連邦捜査部"シャーレ"」
「単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で制約無しに戦闘活動を行うことも可能です」
("改めて"聞いても、言ってる事がとんでもないね……)
「なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが……」
「シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に"とある物"を持ち込んでいます」
「先生を、そこにお連れしなければなりません」
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」
リンが通信を繋げ、「モモカ」という人物に指示を飛ばす。
「シャーレの部室?……あぁ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?」
「……大騒ぎ?」
「矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ」
「……うん?」
「連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?」
「それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?」
「……」
「まぁでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な……あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリーが来たから、また連絡するね!」
「……」
「…………」
「……え~っと……大丈夫?リンちゃん……」
「……誰がリンちゃんですか……だ、大丈夫です。……少々問題が発生しましたが、大したことではありません」
そう言い放ったリンの額には、明らかな青筋があった。そしてその顔のまま、こちらを見てニヤリと笑い……
「……?」
「な、何?どうして私たちを見つめてるの?」
(あぁ……やっぱり、始まるんだなぁ……)
「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」
「……えっ?」
「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」
「ちょ、ちょっと待って!?行くって!?ど、どこに行くのよ!?」
その言葉に振り返ったリンは、非常に悪い笑顔を浮かべながら言った。
「決まってるじゃないですか。シャーレに、ですよ」
(もう二度と、"この件"には関わりたくなかったんだけどな……)
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