インフィニット・ストラトス 受け継がれる光の絆 作:ジーク・フリューゲル
あの後箒は他の専用機持ち達に回収された。紅椿に記録されていた戦闘映像からファウストの出現、福音の変異、一夏の行方がわかった。
『作戦は失敗だ。以降、状況に変化があれば招集する。それまで各自現状待機しろ』
千冬はそれだけを言って去った。
箒は夕暮れの海の砂浜にいた。
「・・・・・」
箒は無言のまま待機状態の紅椿を見ていた。
(私は・・・何の為に力を望んだんだ!!)
結局自分は何も出来なかった。戦いは全部一夏がやっていた。そして守られていた。ダークスラスーからも、福音が放った光線からも、一夏は自分を身を挺して守ってくれた。
一夏の力になりたくて姉に頼んで専用機を造ってもらった。だが、自分は無力で何も出来なかった。
「・・・こんな物!」
箒は紅椿の待機状態の鈴の付いた紐を握ると腕を振り上げた。
ガシッ
その腕を後ろから誰かが掴んだ。振り向くとそこには鈴がいた。
「あんたさ、何考えてるの?」
「・・・離せ。私にはもう、必要ないんだ」
「専用機貰っておきながら何言ってるの?」
箒は鈴の腕を振り払った。
「こんな物があっても私は一夏を助けられなかった!!だからこんな物要らないんだ!!」
「っ!!」
パチンッ
鈴は箒の顔を思い切り叩いた。
「・・・え?」
箒は叩かれて赤くなった帆を抑えた。
「・・・いい加減にしなさいよ!専用機持ちはそんな我儘が許される程甘くないのよ!専用機を持ったその時から責任も一緒に背負うのよ!」
「・・・だが一夏は傷ついた。私を庇って」
「そんなの一夏にとって今更だよ」
鈴の後ろからセシリア、シャルロット、ラウラが現れた。
「どう言う事だ?」
「一夏は今までビーストから守る時自分の事なんて考えずに身を挺して守ったんだ」
「お前達は知らないだろうが、アイツの体は傷だらけだぞ」
「・・・私も聞いた時は驚きましたわ」
そんな事を呟くセシリアであった。
「それに今のお前に足りない物がある」
「足りない物?」
「アイツが持っていてお前が持っていない物、それは立ち向かう心だ」
「立ち向かう心・・・」
「そうだ。目の前に何が立ち塞がろうと守る為にただ前に進む、あいつはそう言ってた」
「ラウラのは一夏の受け売りだけどね」
「・・・それを言うな」
ラウラは顔を赤くした。
「それであんたはどうするの?」
「・・・・・」
箒は考えた。しかし答えが浮かばなかった。
『諦めるな箒、自分を信じろ』
(・・・・一夏?)
箒は何処からか一夏の声が聞こえた気がした。そして決心がついた。
「私は・・・戦う。この紅椿と一緒に」
それを聞いて全員が安心した。
「で、アイツの現在地は?」
「ここから沖合に30キロだ」
「さすがドイツ。仕事が速いわね」
「でも、武器は多い方がいいんじゃないの?」
シャルロットはUSBメモリーを何処からか取り出した。
「それは?」
「一夏の鞄の中探ったら出てきたよ」
「何をしてるんですのあなたは?」
「それで、それは?」
「一夏が造ったディバイトランチャーのデータだよ。セシリアと鈴の分もあるし多分ラウラと箒の分も」
「あいつ何時の間に・・・」
「シャルロット、まさかお前の持っているあれも?」
「うん。一夏が造ってくれた」
「なんだか羨ましいですわ・・・」
「そんな事より今は作戦だよ」
「そうね。開始は今夜ね」
そう言って作戦は決行された。
ザァー、ザァー
(ん・・・。此処は・・・?)
一夏は目を覚ますと砂浜に寝ていた。体を起こすと一人の少女が目に入った。
「ラ、ラ~♪ ラララ♪」
揺れる白い髪。輝き、眩しいほどの白色。同じ色のワンピース。風に撫でられて時折ふんわりと膨らんでは舞った。一夏はただ少女を見たいた。
福音は海上200mで胎児のように丸くなっていた。福音から遠く離れた場所に箒達はいた。
「敵機確認。攻撃を開始する」
ラウラはそう言うとディバイトランチャーを構えた。セシリア、鈴、シャルロット、箒もディバイトランチャーを構えた。
「箒さん。射撃は初めてですけど大丈夫ですか?」
「これでも訓練機のラファールを何度か使った事がある。コツは大体わかる」
そうして五人は福音をロックオンした。
『発射!』
五人はトリガーを引くとビーム砲が発射さ五発とも福音に命中した。