数多の世界のヤンデレ親友とのバッドエンドを見届けた俺、全ての記憶を引き継いでもう一週……え?!バッドエンドの方の親友達も記憶引き継いでるんですか?!     作:ハンノーナシ

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──ハンノーナシ特有の急シリアス、開始。


第七話:王都襲撃、黒い蛹

 

俺達は冒険者ギルドの設備を満喫し、有名と言われているダンジョン配信者のイベントに参加したり。

満足して一日を終えて……宿屋で眠りに着く。

母さんに話す思い出話が増えたな、と微笑みがこぼれてしまう。

 

「ライアが笑ったよ!!」

「俺はペットとかじゃないから」

 

ベッドの配分に困り、前と同じく床で寝ていた俺。

皆が寝息を立てて静まり返った深夜に。

 

──突如。

 

──大きな、爆発音が響く。

 

「おわぁ?!!」

 

寝付きが悪かった俺はすぐさま爆発音に気付き、剣を携え外に出る。

皆を起こす暇も無かった……けれど、皆なら気付いてくれる筈。

聞こえた場所は王都の入口近く、門衛さん達が守っていた場所。

 

頼む、何も起こらないでくれ……せめて、魔法の暴発くらいで。

そう願っていた俺の理想は、淡く。

散々なまでに打ち砕かれる。

 

──────……

 

辿り着いた門の前には、血を頭から流して倒れる門衛と。

『煉解国』の『着物』と呼ばれる服装をした女が立っていた。

女は俺を見つけると、凄まじい速度で俺に近寄る。

その速度は音さえ立てず……閃光の様だった。

 

「おや……存外早く見つけたのう……♡そうじゃった、ライアは正義感が強い青年じゃった……♡」

「誰だ!!門衛さんに、何を……!」

「少し黙らせただけじゃ、ライアが心配する事はない。のう、我の愛する『盟友』よ♡」

 

盟友?……また、俺に関連する奴か。

俺の要りもしない記憶が他人を傷付けてしまったのか。

悔しさで歯を食いしばる、俺の責任だろう。

 

「主は思い出しておらんのか……そうか。少し寂しいのう……まぁ、思い出させてやるしかあるまい♡」

 

女は俺の顎を撫でると、通り過ぎる。

そして、左右の建物が。

──爆散した。

 

空き家ではあった様だが……これがもし、人が住んでいた家だったら。

焦燥感と『止めなければ』と言った心で足が早まる。

話し合いで通じる相手とも思わないし、俺が敵う相手とも思えない。

せめて、アイツらが起きる時間位は稼げたら。

 

「良いのかよ、この爆発音で王都の力を持った奴らも気付くぞ……俺みたいな雑魚じゃなくてな」

「何を言う、主は……我と同じ『破滅の使』になれる存在だと言うに……」

 

よくわからん専門用語……むしゃくしゃする。

こういう時、神を名乗る女性が現れて記憶を見せてくれる筈。

けれど……現れない。

 

そんな時、脳内に響く声。

きっとあの女性だ。

 

『聞いてください、ライア・リーベル。その者は……『終末を迎えた次元』の一つ。そしてその終末を巻き起こした貴方、ライア・リーベルの仲間です』

 

『俺が終末を引き起こしたって……俺なんかが?』

 

『貴方の力は未知数、次元の可能性がある限り全てが無限です。例えこの世界の『ライア』は弱くとも、他の『ライア』がその代わりの強さを補っています……つまり』

 

『つまり?』

 

『この者と拮抗出来る力を持つ貴方も、何処かにいる筈です……私は無数の記憶の管理をしていますが、その可能性は少ない。出来る限り探って、記憶を共鳴させてください。他の『ライア・リーベル』と」

 

『わけわっかんねぇ……どうすれば?』

 

……聞こえなくなった。

無責任にも程がある……他の俺が居ても、この次元にはこんな弱い俺しかいないだろ。

記憶を共鳴だなんて、小説の主人公みたいな事出来る訳ない。

出来る方法があったとしても……俺に出来るか?

 

「はぁ、我以外を見るとはの。ライア、我だけを見つめておくれ♡」

「気が済むまで睨んどいてやるよ……絶対、人には手を出すな」

 

ここで俺が死んでも、親友達がいる。

いや……ここで死んでしまったら。

親友達が『ハッピーエンド』に辿り着く近道を失ってしまう。

そんな事はしてはいけない……生きなければならない。

 

心臓が脈打つ、緊張か?死の恐怖か。

目の前の敵の強さは……未だ未知数だ。

けれど、心の底で恐怖心が湧く……『格』の違いに怖気付く。

 

『共鳴出来るなら……ここで生き残るにはするしかないだろ!!!』

 

土壇場の気合いで脳を刺激する。

心の底に眠る『何処か』のライア・リーベルに答えを求めて。

敵と見つめ合いながら、脳内を探る。

 

こんなの、無理だろ……そう、考えていた時。

脳の中で、思いっきり叫ぶ。

 

『誰か!!!答えてくれ!!』

 

──そうして。

──ぷつっと、意識が切れる。

 

──────……

 

「お前ら、足速いんだっての〜!!」

 

──夢か。

目の前に広がるのは、広い広い農園と……そこで遊ぶ俺、『ライア・リーベル』と親友。

今から……三十年も、前か。

黒い剣の鞘を握り締め、重苦しい鎧を動かす。

鬼ごっこで遊ぶ子供達に見つからない様に、姿を消す。

 

農園から抜けると視界が歪み、すぐさま別の場所に転送される。

……夢特有の脈絡も無いモノだ。

俺は無精髭を触りながら、辺りを見回す。

 

「魔王が襲って来た!!!逃げろ!!」

「子供は守れ!!!絶対に安全に逃がすんだ!!」

 

大人達が農具を持ちながら、絶対に敵いはしない大敵に立ち向かう。

俺と親友達は逃げ惑い……泣き喚く。

その姿があまりに滑稽で、あまりに……見苦しい物。

……夢ならば、叶えてもいいはずだ。

 

この俺に悪臭を伴い付き纏う血の匂いを、打ち消すことを。

 

『誰か!!答えてくれ!!!』

 

──誰の声だ?

──────……

 

「……ここは、聖都か?違うな……」

 

「……主は誰じゃ?ライアは、何処に……。……クハッ♡ハッハッ……♡我は鈍感じゃのう……他の『ライア』が居ると言うに♡」

 

目の前に居るのは破壊の使……『ローザ』だろうか。

彼女はもう数十年前に消え去った筈。

ここは、王都?聖都になって随分と時間が経った筈だが。

時間が逆行したのか?そんな事は有り得ない。

 

俺の体は……随分と若いな。

先程響いた声の主は、この俺か。

 

「俺を呼んだのは、俺自身か」

 

細く脆い鉄の剣に鎧も纏わず敵に向かう愚か者。

若い俺は未熟で……馬鹿らしい。

 

「……お前は、王都を破壊しようとしているのか?」

「主を取り戻すついでにの、破壊神様に貢ぎ物じゃ」

 

──そんな事、させはしない。

俺は細い剣に指を這わせ、指を傷付け、剣に血を垂らす。

脆い剣身を俺の血で保護する、多少は戦えるだろう。

俺の血を纏った剣はある程度破壊力が増す。

剣先をローザに向けると、俺は名乗りを零す。

 

「我、黒騎士団序列二位……ライア・リーベル。聖都の前身たる王都を守る為、全力で戦おう」

「ほう?またライアと戦えるとは……血が騒ぐのう♡」

 

剣を両手で構え、ローザに全速力で向かう。

体が軽い。

四十代になった体に鞭を打っていた時とは段違いの軽快さだ。

奴の首筋に狙いを定め、剣を振るう。

 

弾ける様な金属音が鳴る。

軽く右手で受け止めたか。

これは……根気が折れる戦いになりそうだ。

 

そんな時……背後から足音が響く。

四人か?増援か何かなら、ありがた──

 

「ライアから、離れろッ!!!」

「私の愛弟子に触るな!!!」

 

物凄い覇気を纏う二つの剣がローザの顔面に振り下ろされる。

ローザは左腕で軽く受け止めたが……両手は封じられた。

 

「──私の魔力の音色が聞こえるかしら?少し、動けないでしょう?」

「──我が名に従え、黒腕!!」

 

……背後から伸びる黒い腕がローザを地面へと引き摺っていく。

 

「我が抵抗出来ないとは……面白い人間が増えたのう」

 

ローザは軽薄そうな顔をして、地面の中へと消えていく。

魔法の系統からして『拘束』と『転送』の合わせ技か。

助けが来て有難い物だ……俺は救いの手達の顔を見る。

 

──その、顔は。

──あの時失った親友達と瓜二つであり。

 

俺は、息を漏らした。

そして、年甲斐も無く……片目から涙を流してしまった。




急シリアス、ごめんね。
ほかの世界の『ライア』が親友達とイチャイチャする為だからゆるしてね

ちなみにリクエストは活動報告で受け付けてます

他の世界のライアと、繋がりを持つ者達をもっと見たいかい?

  • みせろや
  • ひかえめにしてくれや
  • 他の世界のリクエストあり(理想のライア)
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