数多の世界のヤンデレ親友とのバッドエンドを見届けた俺、全ての記憶を引き継いでもう一週……え?!バッドエンドの方の親友達も記憶引き継いでるんですか?! 作:ハンノーナシ
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「私の愛する騎士、ご機嫌は如何かしら?」
俺に対して艶めかしくそう言う『魔女』の親友は、俺の唇に人差し指を乗せ優しく笑う。
俺は無言で魔女ハルネ・メデイアの通る道を守る。
親友であった俺達は幼き日、約束……占いの未来を果たす事を選んだ。
『ライア、私の占いでは……私は将来人間と敵対する魔女となるの」
『……ならないでくれよ』
『そう言われても、未来は変わらないわ。そうね……貴方が私を守る騎士になってくれるって未来も、占いで出てるのよね』
『魔女守ったら、俺も人間の敵じゃんかよ……』
『ふふ、未来を変える事は出来ないわ。貴方は私をずっと守る騎士様になるの……実際、今もそうでしょう?」
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「騎士よ、貴方は……私の事を愛しているでしょう?」
「ええ、勿論」
「なら……口付けをしてくれないかしら?」
「……貴方の唇は毒でしょうに」
ハルネは本来の体を捨て、魔力で構成された体に作り替えた。
その魔力は常人が触れれば思考を燃やし、魅了してしまう。
そうしてハルネはその魔力で従者を増やし続け……今では、俺の価値も薄れて来た。
「もう、ライアは本当に奥手ね?」
「魔女様の魔力にいつも近くで触れながら自分を制する事が出来ているのは、奇跡ですけれど」
「貴方は特別だもの、幼い頃から私と触れ合っていたじゃない?」
ハルネは顎に手を置きながら笑い、俺を見つめる。
目が合えば完全に惚れ込んでしまうだろう、だから俺は目を逸らす。
……少し、数年前の話をしようか。
魔女はこの世界の全てを自らの魔力で包み込み、世界を被った。
そうして世界は魔女に魅了され、今では全ての人類が魔女を信仰している。
そして、俺は……この世界で唯一の、魔女の魅了を避けた人間。
「貴方さえ良ければ、私のお相手になってくれてもいいのに……」
「……全世界が貴方に惚れているのですから、俺なんぞが惚れても得はないでしょうに」
「いえ、違うわ。貴方は他の凡人とは違うもの。最も私の魔力に適合した人間……私のもう一つの体になれるほどの器なの」
「俺は俺ですので、体にはなれませんよ」
「例えよ、簡単に言えば……貴方が私と一心同体になってくれれば……私はとっても幸せなの」
……最近はいつもこの調子だ。
俺を欲しがり過ぎている、欲張りなのは相変わらずだが。
一心同体になれと言われても、やり方も方法も知らない。
「占いによると……貴方は『不安』で『後も先も見えない』とあるわね?」
「……勿論、不安ですよ。俺以外の人間が思考を上塗りされたんですからね」
「ふふ、あれらは全て自ら受け入れた末路よ。自らの弱さを私という存在で埋め合わせただけ……」
ハルネはとんがり帽子を揺らしながら、その紫色の髪と青い瞳の瞳孔を揺らす。
俺に近付くと、優しく俺の顎を撫でる。
「ねぇ、ライア。昔みたいに喋ってくれない?今じゃ、距離感を感じて少し寂しいの」
「……俺が普通に喋ったら、お前の今じゃ全国家の厄介ファンに殴られるだろうに。それに……今の俺に『昔』なんてないだろ?」
「ふふ、やっぱり貴方はその喋り方が一番よ」
ハルネはゆったりと椅子に座り、水晶を覗く。
占いが未だに随分とお好きな様で。
「今じゃ、私が欲しいものはなんでも手に入る……でしょう?ライア」
「欲張りさんなお前には良い具合だろうな」
「ふふ、わかっているじゃない。でも、今の私が手に入れたい物は一つだけ……」
ハルネは魔法で俺をハルネの座るソファの横へと連れ去る。
俺は溜息を吐きながら、ハルネから目を逸らす。
「子供の頃に……あの占いを話した時から、目を合わせるのは少なくなったわね」
「お前が魅了の力を持ってるって知ってから、何となく怖くなったんだよ」
「魅了の力はそんなに好き勝手に使える物じゃない……貴方も理解していたでしょうに」
ハルネの魅了の力は、自らを取り込ませる様なもの。
魔力を相手に送り込み、相手の魔力を自らの『魅了』の魔力で汚染する。
そんな事が出来る人間・他種族は、歴史上の人物でも……傾国と呼ばれる者だけだった。
「今は貴方の魔力を私で染めたい……私だけの色に」
「その色は今じゃ流行り過ぎてる」
「ふふ、言えてるわね」
ハルネは足を組み、未だに俺を見つめ続けている。
今じゃハルネの顔もぼんやりとして来ていた。
しっかりと顔を見つめたのは、いつの頃だっただろう。
「ねぇ、ライア……」
ハルネは俺の腕を抱き締めると、耳元で囁く。
その声色はあまりに艶やかで、扇情的で。
「貴方だけに、特別……私の体を好きに出来る権利をあげる。だから……私を」
「……何だ?」
「私の『魅了』なんかに頼らずに……好きになって」
……言えないな。
でも、なんだか今なら言えそうだ。
俺はとっくのとうに……お前が好きなんだ、ハルネ。
「……考えてはおく」
「ふふ、考慮してくれるのね」
ハルネは唇に手を置いてくすくすと笑う。
俺は……ハルネの顔を見た。
ハルネの顔は昔と変わらず、綺麗だった。
紫色の短髪は体を変えて長髪に。
片目は『魔女』の体となった代償に色を失ってしまっているけれど。
「やっと、見てくれたのね♡」
「随分と嬉しそうな顔をするな?」
「勿論よ……ライアが私を見てくれた事なんて、あまり無いじゃない。他の友達ばかり……今では勇者に選ばれていた子も、冒険者の子も……『記憶』には無いのに」
「お前に全部消されたからな」
俺の記憶はハルネによって全て消されていた。
思い出せるのはハルネと話した過去の記憶と、ハルネの従者となった現在の記憶だけ。
この口調も、思い出せるだけだ。
「ライア、愛してる」
「はいはい、魔女様」
ハルネは嬉しそうに俺を抱きしめる。
『人間界』も『魔界』も全て魅了した魔女だと言うのに。
俺みたいな昔の縁があるだけの人間に、どうしてここまで。
まぁ……もう良いだろう。
愛する魔女と共に俺も『作り替えられた』記憶と体で。
魔女と永遠の日々を過ごして、愛し合う。
ただ、それだけの事。
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二人の逢瀬はいつまでも続く。
全ての人間が自我さえ失った世界で。
──────……
"神の部屋"
俺は親友達と近くの農場の手伝いをした後、部屋で寝ていた筈。
いつの間にか雲の上の様な空間に送り込まれ。
先程の記憶を流し込まれた。
「……という事で」
「……」
……とてつもない記憶を流し込まれ続けた気がする。
俺の愛する親友達との重苦しい人間関係と、悲惨な末路。
そんな物が三個程脳内に流し込まれ、嫌なほど脳裏に染み付く。
「貴方はこの『3つ』の世界を統合し、逆流させた世界を救って頂きます。この物語を歩んだ次元は別々でしたが……」
「はい」
「何者かの影響によって一つに統合され、先程見てもらった『勇者』の道を歩むケインと『魔王』の道を歩むアルカ、そして『魔女』の道を歩むハルネ……単独の次元でしか存在し得ない、圧倒的な影響力を持つこの三人が同時に存在する未来が作られてしまいました」
「はい?」
「まぁ、私達が創意工夫をして何とか一つの次元の完全崩壊を防ぐ為、時間を逆流させたのですが……」
「が?」
「記憶だけは完全に消滅させる事が出来ず、三人の未来の記憶を引き継いだままでして……」
「は?」
「貴方はどの次元でも、この三人の最も近しく愛する者だった……という事で」
「で?」
「貴方には頑張って貰いまして……この三人による次元の完全崩壊を防いで貰います」
……よくわからん記憶を見せられた挙句、アイツらが次元を壊す?
何言ってんだ、ハルネはただの占いオタクで、アルカは冒険者大好きで、ケインは正義感強いだけなのに。
「信じられないなら、実際に見て貰った方が早いですね」
「へぇ?」
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「……変な夢、見たな」
現状誰が好みそう?
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王子様系魔王っ娘のアルカ
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ボサボサピンク髪元気勇者っ娘のケイン
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妖艶魔女っ娘のハルネ