数多の世界のヤンデレ親友とのバッドエンドを見届けた俺、全ての記憶を引き継いでもう一週……え?!バッドエンドの方の親友達も記憶引き継いでるんですか?!     作:ハンノーナシ

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第三話:朝食よ、平穏あれ。

 

「ふぅ、よく寝れなかった!」

 

三人に左右と上をベッドシーツの様に張り付かれ、眠れる訳も無かった。

親友とは言え、女性である。

距離感を考えて欲しい物だが……まぁ、三人が幸せならヨシとしよう。

正直、俺はあの世界は三人が不幸せになる世界だと考えている。

 

幸せながら、幸せでは無い。

矛盾の様な何かがあの世界には存在していた。

 

……こんな事考えるのはやめだ、やめ。

今は三人と一緒に子供時代の自由と夢を謳歌しよう。

そんな事考えるのは、大人になってからでも良い。

 

「んふぁ~……おはよ、ライア!」

「おはよう、俺の上の人」

 

「……ん?起きたのかい?」

「起きてたのか、俺の左の人」

 

「あら残念。貴方の寝顔を見ようと思ってたら、もう起きてただなんて」

「おはようございます、俺の右の人。俺は一睡も出来ませんでしたよ」

 

寝不足だが、三人が眠れたのならヨシ!

俺は抱き着くケインを引き剥がそうとするが、ケインの『圧倒的』な抱き締めぢからでどうにも足掻けない。

 

「ハルネ、アルカ。ケインを引き剥がしてくれたら今すぐ俺のハグを30秒差し上げます、どうですか」

「よし、退こうか♡」

「あら♡」

 

「んぐ~……離れないぃ~……♡」

「離れてね」

 

この闘争から、数分後。

やっと離れた三人と共に朝食の時間を過ごす事にした。

だが、いつも飯を作ってくれているありがてぇ存在こと、母さんは王都でルンルン旅行タイム。

記憶が俺に植え付けられるまでの俺は、家族での旅行とかに毛ほども興味がないただの好奇心がカス以下なインドアキッズ。

子供時代を何に使っていたんだか……と猛省している。

 

「……俺、飯作るよ」

 

「おぉっ!」

「私の騎士はいつも料理番だった物ね♡」

「君の料理する姿を見るのは初めてだな……」

 

とりあえず、料理棚を漁る。

卵やバター、ハムは結構好きだ。

パンもかなり好き……何塗っても、直で食っても美味しいから。

 

「フューッ……フュフュー……」

「息を吐いてる?」

「鼻歌出来なくて悪かったな!!!!」

 

とりあえず木材に炎を、未来で軽く魔法を習ってた成果だ。

そして、フライパンにバターをポンッと投げ入れる。

良い音を立てて溶けていくバターを見ていると、少し腹が減ってくる。

そこに卵を割り入れ、軽く待つ。

 

……後ろからの視線がめちゃくちゃ気になる。

 

アルカはめちゃくちゃ微笑ましい子を見るような目線で見てくるし。

ケインは涎垂らしかけながら見てる。

ハルネは頬杖を着きながら、目を細くして。

 

皆俺の料理を心待ちにしている……期待に応えねば。

ほんの少し卵が固まってきたら、勢いよくフォークでぐちゃぐちゃに。

白身と黄身を混ぜるように満遍なく。

焦げ付かないように早く、早く。

少しとろみがあったら完璧。

 

「誰でもいいから、皿持ってきてくれないか?」

 

「はいは~い!!」

 

ケインがいち早く動くと、皿を王に献上するかのようなポーズで跪く。

ケインに感謝を伝えながら、皿を片手で受け取る。

フライパンから皿に移す……滑り落ちないように、慎重に。

一品目は完成、ライア特製のスクランブルエッグ。

 

「つまみ食いしたら、みんなの分が減るから辞めろよ?」

「なんであたしを見て言うの!!」

 

──────……

 

「バターを沢山使うのは贅沢か……でも、子供の初料理なんだ……母さんも大目に見てくれる」

 

またもやフライパンにバターを投げ入れ、溶けるのを待つその間……ハムを取り出す。

まぁ、切るのは3回くらいでいいか。

俺は食わなくとも平気だ、腹は減ってないし……それに、フライパンに4つは一度に入り切らないし。

 

包丁を取り出し、不器用ながら……垂直にハムに添える。

そして前に真っ直ぐ包丁を進めながら力を入れ、ハムを切る。

三人はよく飯を食うから、厚切りの方が喜ぶだろうし……少し厚くしよう。

 

でも慎重に。

切りすぎたら……母さんが怒るだろうから。

 

ハムを3つ切ると、バターの溶けたフライパンにゆっくりと。

油が跳ねないように木蓋で蓋をして、数秒待つ。

焦げないように適度に蓋を取って裏面を見ながら、適度に焼けたら裏返す。

中まで火を通らせなければ……焼けてた方が美味しいし。

 

そうして、ハムが焼き上がると……ハムを一度皿に、パンを取り出す。

少し硬いパンを力を込めて切る、力を込めすぎて滑らない様に適度に。

パンを三枚切ると、その上にバターの油をパンに少しかける。

大人だったら朝から油パンは胃もたれするだろうが……ま、子供だし。

 

油を吸ったパンの上にハムとスクランブルエッグを乗せ。

やっと完成した、みんなの朝食。

 

「お待ちど~う」

「ふふ、スクランブルエッグはライアの得意料理だものね」

「ハムも綺麗に焼けているね……」

「食べていい?!食べていい!?」

 

出来た朝食を興味深そうに見る皆を横目に、席に座る。

 

「あぁ、食べてくれ。俺の自信作だからな」

 

「「「いただきます(!!!)」」」

 

三人はパンを手に取ると、慎重に口に運ぶ。

一口齧ると、嬉しそうな顔をして……喜んでくれている。

こんな平和なひとときを……三人の世界の俺は求めていたんだろう。

……喜んでくれてるかな、俺。

 

「ライア、君の分は?」

「俺は良いんだ、後で食うさ」

「あたしの半分、分けるよ~!!」

「間接キス、したいだけでしょう?」

 

ケインは『でへへ……』と言った顔で恥ずかしがっている。

談笑しながら朝食の時間は過ぎていく……本当に平穏で、暖かい。

 

時折、手が油まみれになったケインにペーパータオルを渡したり。

上品に一口ずつ食べるハルネに気品を感じたり。

想像より一口が大きいアルカを三人が見つめて、アルカが少し顔を赤らめたり。

 

「皿、洗っとくから安心しとけ」

「ふふ……面倒見がいいのね」

「そりゃあ……。……あの母さんから産まれたんだし?」

 

……本音を言うと、三人にこれ以上苦労をかけさせたくなかった。

三人に些細な苦労や不満があったら、俺が解消してやる。

それが親友として、友として彼女達に出来る最大の事だろうし。

 

「……そうね♡」

「なんだよ、その含みがある目は」

 

そろそろ朝食の時間が終わるだろう。

次は朝日を浴びる時間が来る……今日の一日は、3人と遊ぼう。

そんな考えに耽っていると、三人が手を合わせていた。

 

「ご馳走様、ありがとう」

「ごちそうさま~っ!」

「美味しかったわ、ライア」

 

「……そんなら、良かったよ」

 

三人の満足そうな顔を見ながら、俺は朝日を浴びに玄関のドアを開ける。

村の人々が忙しそうに歩き回り……何かを運んでいたり。

近くの畑農家のおじさんが畑を耕していたり。

 

……こんなのどかな村が、今現実にあると言うのに本当に懐かしくて。

俺の後ろに三人が立つと……一緒に村を見ていた。

 

「おい、いつもの四人!良かったら手伝いしてくんねぇか!お駄賃は……野菜が出来たら沢山分けてやるし、即時でじゃがいも分けてやる!どうだ!」

 

「手伝おうぜ、皆!」

 

「うん、そだね……おじさん、手伝うよ~!!」

「ボクも行こう、久しぶりに根気仕事のお手伝いだ」

「ふふ、力仕事は性分じゃないけれど……たまには良いじゃない?」

 

俺達は近くの畑のおじさんの元へ足を動かす。

じゃがいも貰ったら、なんかにして皆に食わせてやりたいな。

……よし、手伝い頑張ろう、俺。

 

 

 

……こんな平穏な村が未来では。

滅びてしまう運命だと、考えたくはなかった。

だけど……今は違うじゃないか。

力を持った仲間が、前を見ているかもしれない。

 

あの時力が無くて、大人達に逃がされた俺達は。

今では『滅び』に立ち向かう『滅びと救い』になる。

その時間まで……最高のひとときを過ごそう。

 

最終的に一番強くなりそうなのは?

  • アルカだろ、魔王だし
  • ハルネだろ、魔女だし
  • ケインだろ、勇者だし
  • ライアだろ、主人公だし
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