数多の世界のヤンデレ親友とのバッドエンドを見届けた俺、全ての記憶を引き継いでもう一週……え?!バッドエンドの方の親友達も記憶引き継いでるんですか?!     作:ハンノーナシ

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第四話:そうだ、王都、行こう。

 

俺達の平穏な日常は、何にも脅かされる事なく続いた。

夏の暑さに項垂れながらも……毎日、近所のお手伝いや占い等の遊びで時間を潰す毎日が続いた。

しばらくはそれで良かったのだが……『大人』としての経験を得た俺達には、その毎日はあまりにも平坦で刺激のない物だった。

本来はそれが良いのだろうが……三人には、刺激を与えてやりたいものだ。

 

「ら〜い〜あ〜……ライアの持ってる小説、全部読み終わっちゃった〜……」

「そう言われても新しい本買う金なんてねぇって」

 

「ふむ……血が疼いている様だ、どうやら僕の黒腕くんは戦いがしたい様だね」

「こんな平穏な村に戦える場所なんてありません!!」

 

「騎士〜♡一緒にお風呂に入らない?♡」

「羞恥心の開花と何かの尊厳を失う気がするので嫌です」

 

ふぅむ、どうした物か……そんな時。

玄関の扉が開かれ……現れたのは。

 

「我が息子〜!それに、息子の春達〜!たっだいま〜!」

 

「お義母さんじゃないか、お帰り」

「呼び方!!!!!!」

 

王都の旅行からルンルン気分でお土産を大量に手に持った母が帰ってきた。

お土産の大量に入ったバッグを机に置くと、各々に配り始めた。

 

「これは、剣聖様直々のイラストのキャラクターが描かれたコップと〜……♪︎こ・れ・は〜、王都のマスコットキャラクターのミセスちゃんのお菓子〜♪︎」

 

「気分良さそ……」

「王都はどうでしたかっ!!」

 

「そりゃあもう、刺激的でワクワクの毎日よ〜!我が息子は乗り気じゃないから連れて行かなかったけど〜」

「俺も今なら行きたいよ……」

 

母親にブーブー言われ、小突かれながらお土産を受け取る。

お菓子か……こんな田舎には甘い物って珍しいから、少し嬉しいな。

ケインと共に封を空け、袋を取り出し一枚口に放り込んでいた。

 

「あっ、そうよ〜!貴方達にプレゼント、折角の……こういうの、なんて言うのかしら……そうよ〜!はぁれむ、って言うのよね〜♡」

 

「小っ恥ずかしいから!!!母さん!!!」

 

「……ぽっ♡」

「ハルネェ!!」

 

母さんはこう言う茶化し癖とか火に油を注ぐ癖があるから、困ったもんである。

母さんはバッグからチケットらしき何かを取り出す。

それは四枚分あり……全員の名前が記載されていた。

 

「王都の滞在券!貴方達分の許可が降りたのよ〜!」

「王都に行けるという事かしら?それはそれは……ふふ、刺激的ね♡」

 

手渡された滞在券を無くさないようにバッグに保管する。

王都か……ケインと共に過ごしていた俺の拠点であり、この世界の有数の大都市。

様々な生活文化が根を張り、様々な内容を写す巨大モニター、冒険者ギルドの本部や『ダンジョン配信者』達の住処だったり、様々な便利施設が勢揃いする……言わば『都会』と言うものである。

 

「あれ、何だったかしら……巨大モニターとか?あれ凄いわね〜!今話題の情報全部でっかい声で話してくれるの!」

「あれはニュースって言う奴だよ、母さん……」

 

とある異世界から流通した技術が、大昔に王都に根を張った。

それが『機械産業』であり、便利なシステムである。

『スマホ』や『テレビ』等という……正直、原理がよくわからん物を異世界人の知識とこの世界に住む人の魔力で動かしている。

 

俺達の世界に住む人々にとってはオーパーツ過ぎる物だ。

 

「そうだ、貴方達!聞いたわよ〜、近所さん達のお手伝いしてるんだって〜?偉いわね〜!」

「えっへへ……」

「基本成り行きでやってるから、こっちも見返り貰ってるし」

 

母さんはうんうん、と頷くと……唐突に俺達にじゃらじゃらと銀貨と金貨を手渡す。

俺達は困惑しながら、その金を受け取る。

 

「今まで暇してたでしょ〜?!王都に行って、ぱぁーっと気晴らしして来なさい!」

「い、いきなりだなぁ……」

「良いんですかぁ〜っ!!」

 

ケインはワイワイと飛び跳ねて喜んでいた。

ハルネは金貨を見つめながら、目を輝かせている。

アルカは銀貨を上へと弾き、掌で受け止める事を繰り返している。

 

「今日はいい天気だし、今行っちゃいなさい!丁度馬車も来てるわよ〜!」

 

母さんに背中を押され、全員外へと連れ出される。

 

「ふふ、たまには良いじゃないか、ライア」

「王都〜!我がもうひとつの故郷〜!」

「あぁ、王都には金銀財宝だらけなのかしら……ふふ、胸が踊るわね♡」

 

俺たちは母さんに背を押されるまま、馬車に乗り込む事となった。

……俺という名の機械音痴には、王都は厳しい物があるけれど。

 

──────……

 

馬車に揺られ、数時間。

村から王都までの道のりは静かで、落ち着いていた。

木々が揺らめく音、川の水音。

馬車の車輪が地面の岩とぶつかり、ガコッとなったり。

 

優しい揺れに眠気を刺激されながら、俺達は王都に辿り着く事となった。

 

「滞在券はお持ちですか」

 

門衛に確認され、俺達はバッグに忍ばせていた滞在券を取り出す。

こういう所を機械で自動化したら楽だろうけど、機械より人の温かみが欲しいってよく言うよなぁ。

 

「良い日々を!」

 

門衛さんに敬礼され、俺達は王都の大きな門をくぐる。

壮大なレンガ造りの家々と、中にぶら下がる旗達。

小さなモニターからはダンジョン配信者の宣伝文句や、新商品等の購買意欲を微妙に刺激しない宣伝や。

人々の話す音、足音、小気味よい子供達の歌声。

 

人々の騒がしさが、俺達を王都に辿り着かせたと実感していた。

 

「着いたね、ライア!」

「あぁ……真新しいのに、懐かしい気分だ」

 

ケインに腕を引っ張られ、俺達はズカズカと王都の中を突き進んでいく。

辺りを見渡すと……どうやら、なにかのイベントが始まったらしい。

 

「あそこで、何か起きている様だね」

「人々のざわめき……久しい感覚ね?」

「行ってみよ、ライア!」

 

三人に連れられるがまま、王都の中部へと足を運ぶ。

そこでは……高台から凛々しい顔付きの灰色髪の女性が民を元気付けている様子が目に見えた。

 

「魔王の行進は未だ止まず……そして、数週間前には、魔王に匹敵する新たなる邪悪な魔力の発生を確認した。だが、私達はまだ負けていない!私は神から天啓を受けた、新たな勇者の顕現の可能性を示唆する物を!」

 

その声は覇気があり、人々の心に染み渡る様だった。

勇者の顕現……ケインが勇者に選ばれるのは、まだ未来の話だ。

この女性は、ホラ吹きでは無さそうだが……何か勇者に検討が着いているのだろうか。

 

「私は未来を見た……剣聖たる私の、取った事の無い弟子の未来だ。その弟子は──」

 

未来だとか、天啓だとか……言葉は胡散臭いが本人の雰囲気と名乗りの『剣聖』が嘘では無い事を告げている。

本人にとっては本当と言うだけか、真実なのか。

四人で顔を見合せながら、少し話していると……視線を感じる。

 

──その視線は、上から注がれていた。

 

「……名を『ライア・リーベル』と言う」

 

……ほぇ?

──はぇ?

 

唐突に呼ばれた俺の名に困惑しながら、視線を探る。

そして剣聖の目線の先には……俺が居た。

 

──────……

 

「ほぇ?」

 

また、真っ白な空間に送られる。

天上の雲の上の様な空間で、またもや神と名乗る女の人からの通告だろう。

 

「……落ち着いて聞いてください、ライア・リーベル」

 

「はい」

 

「貴方と、三人の貴方の親友達の次元が統合されたのは、前にも伝えましたね?」

 

「うん」

 

「それなのですが……何故か、他の次元も『いつの間にか』何者かによって統合されてしまいまして……」

 

「はい?」

 

「貴方が『最強』の二文字を受け継ぐ剣聖の弟子として生きた次元や、魔王に匹敵する悪しき組織の長として生きていた次元や……様々な『ライア・リーベル』が名を残した、または多大な影響力を持つ何者かに覚えられている、執着されている世界の次元が統合されていましてぇ……」

 

「はぁ……」

 

「と、とりあえず……先日、その記憶がその多大な影響力を持つ者達にも戻りまして!その中の一人、『剣聖』の記憶は……その……」

 

「は?」

 

「貴方が剣聖を庇い、死んだ次元でして……」

 

──────……

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