<古代怪獣 ゴモラ?>
<機兵 ???>
ストーリーになるべく沿っていますが、基本ウルトラワールド全開です。
ご容赦ください。
1話目から感想を頂きありがとうございます。励みになりますので、気軽にお話ししていただければ幸いです。
アビドスの神秘
アビドス高等学校。ある日、そこの生徒から手紙が届いた。それは、先生に助けを求めるお手紙だった。
『アビドス高等学校ですか。昔は巨大な学校だったそうですが、最近は気候変動の影響で、とても厳しい状況になっていると聞きました。そのせいか、街の中で遭難してしまう人もいるとか何とか。そんな状況ありえるんでしょうか?そんなアビドスなのですが。最近はエネルギー資源が発見されて、外部とアビドスとでそれの取り合いが起こっているそうです。先生、気を付けていきましょう!!』
と、支援物資を担いで来たゼットン先生は、アビドス自治区内に入ったものの・・・
『先生、迷っちゃったんですか?』
「・・・・」
ワープで変な場所に降り立ったため、途方に暮れていた。
照り付ける日差しは問題ない。弾薬と食料と水分は担いでいる支援物資のため、手を付ける考えはない。ただゼットンは、暴力組織と戦う生徒たちが不安であった。
ゼットンは人間が好きだ。例えそれが、銃弾を受けても何ともない、人間離れした生徒たちだったとしてもだ。すぐに向かわなければならないという意思は強く、リンちゃんから貰った地図をぐるぐる回しながら、あっちでもないこっちでもないと、現在地を確認しながら歩き続けていた。
『あれ、先生。ここちょっと行って曲がった先、地図で言うとこちらなんですが、大きなエネルギー反応があります。ご注意ください』
小さく首?をかしげた先生は、何かの手掛かりになるかもしれないと、その方向へ向かって歩いて行った。しばらく歩いていると、何やら騒々しい銃撃音が聞こえる。騒動の場所へ小走りで駆け寄り、物陰からそっと状況を覗き見た。
「弾幕薄いよォ!何やってんの!!」
「無茶言うなよ!!アビドスにあんなバケモンがいるなんて知らねえよ!!」
そこには怪獣と、一人の少女が、いた。
幾人かのヘルメットを被った少女たち。それと相対するは、緑に輝く鉱石をまとった三日月の角を持つ怪獣。そしてその背後には、青いマフラーと犬耳が特徴的な少女がいた。その彼女の頭からは血が細く垂れており、怪獣との銃撃に巻き込まれないよう、障害物に身を寄せているようだった。それでも、前線で暴れる怪獣に声をかけ続けている。
「お願い、ダメ、ゴモラ」
「ギャアアアアアアッ!!」
ヘルメットを被った少女たちは、2人を取り囲んで銃のトリガーを引いている。しかし怪獣は、そんなこともお構いなしにヘルメットを被った少女たちの陣形に突っ込み、巨大な体格を使って暴れ狂っていた。その様子を見ている少女の表情は苦し気で、しかし対処方法が思いつかないのかオロオロとするばかりだ。
『アレはアビドスの生徒さんと、ヘルメット団と言われる不良生徒のようです!しかし、あの怪獣は・・・・』
ゴモラ。そう呼ばれた怪獣は、巨大な尻尾を振り回して、攻撃してきた少女たちを薙ぎ払った。その尻尾攻撃の威力は、被っている頑丈そうなヘルメットが一発でひしゃげる程のモノだった。
当たった奴から倒れていく。それを見てもなお、フラフラと立ち向かう少女たち。負けん気がすぎるが、さすがにあれ以上の外傷は命の危機に関わるであろう。
そう判断したゼットンは、背負っていた荷物を下ろし、力強く立ち上がった。
『出られるのですね、先生。バックアップは任せてください!!』
「ピポポポポポ・・・」
ゼットンはゴモラの前へテレポートし、今まさに少女たちを切り裂かんとする爪を受け止めた。
「うえっ、なんだこいつ」
「あ、シャーレの先生だ!ネットニュースで見た!!」
「ん、シャーレの先生?」
ゼットンはゴモラを跳ね飛ばし、少女たちを指さした後、何もない反対方向の道を指さした。
「逃げろってか?うるせえ、仲間がやられてんだ!やり返さねぇと気が済まねぇ!!」
血の気の多いことだ。しかし倒れている娘たちを指さし、再度道を指した。
「リーダー、逃げましょうって!アビドスに殴りこむ前に、全員やられちゃいますって!!」
「・・・ちっ、みんな撤退だ!すまねぇな」
少女たちを見送り、再度ゴモラに向き直った。しかしふと、ゼットンは違和感を覚えた。はて、ゴモラはあのような鉱石の様にゴテゴテした角だっただろうか。
「ギヤァアアアアア!」
「ッ!」
緑の鉱石が一層に煌めき、ゴモラは角に力をため出した。ゼットンは早々に自前のバリアを展開する。そしてその力が角から放出された時、ゼットンはアロナにもバリアを張るよう頼んだ。
『ウギギギ・・・お、重いです!シッテムの箱のバッテリーが急激に減っていきますッ!』
超振動波。それはゴモラが地面を掘削する際に使用するエネルギー波だ。とある世界では怪獣同士との戦闘にも使用されたという。しかしこれは、通常のゴモラより何倍も威力が高い。
想像以上の衝撃だが、ゼットンはバリアを展開しながらも冷静だった。このままではマズイ。そう判断したゼットンは、バリアを一時的にアロナに任せ、一瞬のうちにゴモラの前へテレポートした。
「ギヤッ!?」
「・・・・」
顎の下から腕を払う様にして、強力な裏拳の一撃を叩き込んだ。目を回したゴモラが倒れこむと、様子をうかがっていたアビドスの生徒が、心配そうにゴモラに駆け寄った。
「しっかりして、ゴモラ」
「ピポポポポポ・・・」
「ッ!!」
ゼットンがゆっくりと少女たちに近づくと、素早い動作で彼女はゼットンに銃を向けた。ゼットンは反射的に両手をあげるが、凍てつくような鋭い眼光に射貫かれ、冷や汗が垂れる。
「・・・ごめん、わかってる。助けてくれたんでしょ、先生」
「!」
彼女はそう言いながら。申し訳なさそうに目を伏せ、銃口を下ろした。ゼットンは首からかけていた名札を少女に手渡し、隠していた荷物を回収して来た。
「うん、やっぱりシャーレの先生、だね。私は砂狼シロコ。アヤネが支援を依頼したって言ってた。来てくれたんだ」
「ゼットォン・・・」
そう優しく微笑むシロコに対し、ゼットンはカバンの中にゴソゴソと手を突っ込んだ。まずは2人の手当だ。
「シロコ先輩、遅いなぁ」
「ゴモラも連れてお散歩ですからね。ゴモラの体力についていけるのは、シロコ先輩だけですから」
「2人とも仲が良くて、遊ぶことが大好きですものね」
ここはアビドス高等学校の一室。そこには3人の生徒がいた。銃の手入れをする娘、パソコンに向かっている娘、携帯電話をいじる娘。それぞれが思い思いに過ごしていた。
「それにシャーレの先生が本日到着予定とのことなのですが、連邦捜査部に問い合わせても、既に出発したとしか連絡がなく・・・」
「先生も遅れてるってこと?」
「そう言えば今日はカタカタヘルメット団の襲撃がなくて、比較的落ち着いてますね」
一瞬の無言のうち、3人にじっとりと嫌な汗が垂れた。そう言えば今日は静かだった。アビドス郊外に基地を作っていた不良生徒や、アビドス自治区を買い叩こうとする悪徳
まさか彼女に限ってそんな後れを取るなんてことは・・・無いと思いたい。シャーレに手紙を出したアビドス高等学校1年生、奥空アヤネはそう考える。
「ん、ただいま」
「シロコ先輩!い、いや、どうしたんですか!?その、頭の包帯・・・」
嫌な考えばかりが思考を巡るアヤネに、聞きなれた声が耳に入る。ホッとする気持ちとと同時に扉方向へ視線を向けるが、アヤネはその先輩の姿を見て、身体からサーッと血の気が引いた。
「これ?ん、ちょっとゴタゴタに巻き込まれただけ。それより、アヤネが言ってた先生を連れてきた」
「ゼットォン・・・」
シロコの後ろからひょっこりと顔を覗かせる先生。そしてその背中には、静かにゴモラが眠っている。
「シロコちゃん、大丈夫ですか!?」
「ん、ノノミも大丈夫」
「そんなことより、誰なのよあなた!!」
「ん、セリカも落ち着いて。このヒト?はシャーレの先生。私たちを助けに来てくれた」
シロコのその紹介に、全員がぴくりと反応する。
「連邦捜査部「シャーレ」の先生!?いや、ヒト・・・ヒト?なの??」
「わあ☆支援要請が受理されたのですね!よかったですね、アヤネちゃん!」
「はい!これで弾薬や補給品の支援が受けられます。ホシノ先輩にも伝えないと・・・」
「いや、まあいいか。委員長呼んでくる!」
セリカは速足で部室を飛び出して行き、先生はわたわたと動く少女たちに中へ引き入れられた。
「うへぇ~、むにゃむにゃ。ろくにお昼寝も・・・っ」
なんだかポヤポヤした桃色髪の少女が、セリカに手を連れられて入って来た。眠そうにあくびをしながら、目を閉じてふわふわと左右に揺れている。
しかし、ゆっくりと開いた眼がゼットンを視認した瞬間、その穏やかな雰囲気から一転し、突然凍て刺す様な鋭い目つきに変わった。ゼットンはその変化に気付き困惑したが、その少女に掴みかかられてしまい更に困惑することとなった。
「私の仲間になにして・・・!」
「ちょちょちょ、ストップ!ストーップ!!このヒトがシャーレの先生だから!!待って委員長!!」
慌てたセリカが二人の間に割り込んだ。ホシノはその様子にきょとんとした顔になると、全員の視線がこちらを向いていることに気が付いた。
「あ、あははは。おじさん間違えちゃった。ごめんねぃ。最近何かと騒がしいから、神経質になってたんだよ~」
「もう、ビックリしました」
「でもでも、すごいかっこよかったですよ。ホシノ先輩」
「ノノミ、それあんまりフォローになってない」
ゼットンは背負っていたゴモラをホットドッグの様な巨大なクッションに優しく寝かせ、ここに来るまでのシロコの話や、運んできた支給品の整理などを行い、改めて全員が席についた。
「では、遅れましたが改めてご挨拶しますね、先生。私たちはアビドス対策委員会です」
アビドス高等学校の1年生、メガネと笑顔がポイントのオペレーターのアヤネ、同じく1年生で気の強そうな猫耳少女のセリカ、2年生の、先ほど助けた犬耳少女のシロコ、ほんわか雰囲気のノノミ、そして委員長である3年生のホシノ。
「私たちはアビドスを蘇らせるために有志が集まった部活です」
「うんうん!全校生徒で結成される、唯一の部活なのです!といっても、ゴモちゃん合わせて私たち6人だけなんですけどね」
「ん、他の生徒は退学したり、引っ越して他の学校に転校したりして街を出て行った」
少数精鋭である。ゼットンは頷きながら話を聞いていたが、ふとあのゴモラはなんなのか気になった。特に角自体が鉱石であるという珍しい特徴がある。ゼットンは身振り手振りでそれを伝えると、アヤネは言いにくそうに表情をゆがめた。
「あのゴモラ、ですね。ここ最近。と言っても私が入学する2年ほど前ですが、校舎の近くでとある資源が見つかったのです。そこにあった卵から最近孵ったのが、このゴモラでした」
ここからは見てもらった方が早い。と言って、アヤネが席を立ち上がろうとするが、それに対してセリカが待ったをかけた。
「ちょっと待ってアヤネちゃん、あそこに先生を連れて行こうとしてない?」
困惑が混じった顔でアヤネを見つめるセリカだったが、アヤネは真剣な表情で頷いた。
「うん、遅かれ早かれ、先生には伝えないといけない事だから」
「おじさんは別にいいと思うけどなぁー。別に悪い人じゃないし、シロコちゃんとゴモラも助けてくれたみたいだし」
ノノミにもまあまあと宥められるが、セリカは押し問答の末、私は認めないから!と叫んで部屋を飛び出して行ってしまった。微妙な空気の中、のっそりと立ち上がったホシノは、先生に向かって苦笑いをしながら手を招いた。
校舎を出て図書館の横を通り、旧校舎まで連れていかれる。何を見せられるのだろうとゼットンは案内されるまま後について行った。
中は昼間だというのに、静かで薄暗い。わずかな隙間から漏れる日差しが、唯一の光源だ。そんなとても趣がある教室の一つに、ぽっかりとした大穴があいていたのだ。
「ゆっくり入ってね。特に先生は私たちと違うみたいだからさ、触るな危険だよ」
ちらりと目配せをしながら、ホシノがそう言った。土で出来た粗末な階段を降りると、そこはまるで洞窟の様な、狭い道があった。ゼットンは体をかがまなければ進めないほどだ。
しかしその道はそう長くはなかった。体をよじって行き付いた先、そこには広大な空間が広がっていた。そしてその至る所から、緑に輝く結晶が至る所から露出し、洞窟全体を照らすほど輝いていたのだ。
「ん、どう先生。ここはアビドスが誇る、プラズマソウルの採掘場だよ。まあ、採掘するのはゴモラだけど・・・」
曰く、数十年前に幾度となく巨大砂嵐がアビドスを襲い、巨額を投じて対策をする必要があった。しかし銀行はどこも融資をしてくれず、ついには悪徳企業に頼み込むことになったのだという。そうして借金を背負ったアビドスは、衰退の一途を辿る。ついこの前までは利息を払うだけでも精いっぱいだったという。
このエネルギー資源を見つけるまでは。
「ミレニアム協力の元でさまざまな調査を行った結果、このプラズマソウルと名付けられた鉱石は、莫大なエネルギーを放出することが分かりました。現状アビドスはそれを独占しており、主にミレニアムやトリニティなどに向けてエネルギー資源として輸出、そのおかげで借金も大幅に減らせたのですが・・・」
アヤネの言葉に、ホシノは先ほどと同じようにキッと表情を険しくし、続ける。
「それを面白くないやつらが、ウチの学校を占拠しようと襲ってきてるんだよ」
憎々し気にそう言い放つホシノ。その時、アヤネの携帯電話がけたたましい警報を鳴らした。
『こちらセリカ!またカタカタヘルメット団が襲撃してきた!!』
「うへぇ、また来たのぉ?」
「ん、お礼参りに来た。ゴモラの分も仕返しする」
「よーし、みんなで出撃です☆」
全員で急いで校庭に出た。遠目からヘルメットを被った幾人かが見える。しかしそれに対しアビドスの全員は、全身にうっすらと寒気を感じるほどの違和感を覚えた。そのヘルメット団の殿には、見たことも無いロボット兵がこちらに並んで向かってきているのだ。
会敵はすぐだろう。校庭はバリゲードがいくつか敷設されてあるが、セリカは校舎に一番近いバリゲードに身を隠して、ヘルメット団の様子を伺っていた。
「みんな、何かあいつらヤバい。見たことないロボットまで持ち出してきてる!」
「見たことないロボットって、アレのこと?」
アヤネが指さしたのは、バリゲードの近くで黒煙を上げているロボット。鈍いブロンズ色で、シャープな形をした、まるで戦闘に特化した様なロボットだった。
それは両腕がドリルになっており、キヴォトスのロボット兵とも違う。しかし何かのロゴだろうか。側面のフレームに刻印がされている。
ホシノは一度だけそれに目を向け、セリカに駆け寄った。
「セリカちゃん、あれ、どうしたの?」
「わかんない。あいつらが連れてきたロボットみたいだけど。1体だけでバリケードを壊して回ってたから、何とか倒したわ。でもマガジン内も予備含めて全弾撃ち尽くしたし、ちょっと攻撃も掠っちゃって隠れてたとこ」
「そっかぁ。アレ、カイザーPMCのだよ。ほら、あの横についてる奴」
「ついに痺れを切らしたのかな」
「シロコちゃんを襲ったヘルメット団と言い、カイザーPMCのロボットと言い、本格的にウチを潰しに来た感じだねぃ」
「よーし、こうなれば、全力でお相手いたしましょ~!」
「ゼットォン・・・」
今、戦いの火ぶたが切られた。
アビドス砂漠には色々なものが眠っております。
それをこねくり回した結果、なんだかとんでもないものが生まれてしまったようです。