シャーレ所属の宇宙先生 ゼットン   作:かけつけラムネ一杯

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遅くなりました。
仕事が休みの日に投稿させていただいております。


ラーメンと、新たなる脅威

 夜も明けて、再度アビドス高等学校にやってきたゼットン先生。部室内では既にアビドスの生徒たちが待っており、入って来た先生を見て、ホシノがこちらに向かって小さく手を挙げた。

 

 「お、よーやく先生も来たね。んじゃあ、みんなでいこっか」

 

 アヤネの運転に揺られ、アビドスでも有名らしいラーメン屋までやってきた。

 

 「ここですね。紫関ラーメン、ですか」

 「わあ☆ラーメンなんて久しぶりですね」

 「ところでホシノ先輩。大丈夫って言ってたけど、セリカは?」

 「まあまあ、取り敢えず皆で入ろうよ」

 

 ホシノに促されるまま、店の扉を開けて中に入る。店内は醤油と豚骨の独特な薫りが立ち込めており、他の客が食べている、具が山盛りのラーメンが思わず目に付く。じんわりと口の中によだれが滲み、急激に食欲が刺激され、くうとお腹が鳴る。

 先生がそわそわと辺りを見渡していたそんな時、快活な少女の声が店に響いた。

 

 「いらっしゃいませ!柴関ラーメンで・・・って!?」

 「あの~☆5人なんですけど~!」

 「あはは、セリカちゃん、お疲れ様・・・」

 「お疲れ」

 「ゼェットン・・・」

 

 少女の笑顔だった表情が凍り付いた。そこには、このラーメン屋の制服を着たセリカが、目を見開いて立っていたのだ。ぴくぴくと動く口元に、段々と表情が赤くなっていく。

 

 「な、なんでみんながここに!?」

 「うへ~、やっぱりここだと思った」

 

 ツインテールが今にも逆立ちそうな勢いでこちらに指をさす。ホシノは面白そうにしてやったりといった表情で、ニヤリと笑って言った。

 

 「ホシノ先輩かっ!!」

 「いや~、だってセリカちゃんがバイトするなら、最近求人があったここかなって」

 

 おでこに手を当てるセリカ。全身でがっくりとうなだれているが、その後ろのカウンターから、優しくもキレのある男性の声がかかった。

 

 「アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、お喋りはそのくらいにして、注文受けてくれよな」

 

 目に傷のある柴犬だった。可愛い。

 

 「ああ、うう、はい、大将・・・」

 

 そんな大将の注意に恥ずかし気に縮こまったセリカは、アビドス組を4人席へと案内した。順番に奥に座っていくが、先生はポツンと立っている。

 

 「あ、先生。こっちくる?」

 「ピポポポポポ・・・」

 「ぐへっ・・・」

 

 シロコが先生を誘ってスペースを開けてくれるが、先生がゆっくりと座った瞬間、想像以上に幅を取った先生に、シロコごと詰められたホシノが弾き飛ばされた。

 

 「大丈夫ですか?」

 「びーっくり。大きいねぃ、先生」

 「改めてみると、先生って大きいですね」

 「ゼェットン・・・」

 

 そういえば~と、全員の視線が先生に集まる。店に入ったときより、もじもじと揺れる先生だったが、それもそのはず。元々は身長六十メートルの巨体である。そしてその巨体は戦闘用に調整されたものであるため、その身体はとてもがっしりとしているのだ。現段階でも生徒たちが見上げるほどあるのだが。

 そんなことを知る由もないアビドスの生徒たちは、大将から大人用の椅子を一つ借りて、全員でテーブルを囲った。

 

 「ゼットォン・・・」

 「私はチャーシュー麺をお願いします!」

 「特性味噌ラーメン、炙りチャーシュートッピングで!」

 「私は塩」

 「はいはい・・・いや先生なんて言ったの?」

 「あはは・・・先生は柴関ラーメンだって。私は味噌で」

 

 しばらく待っていると、セリカがお待ち遠さま!とまだ赤い顔をしながらラーメンを持ってきた。

いただきます。と、手を合わせ、レンゲを手に取った。まずはスープを口につける。猫舌の先生はレンゲを使い静かに味わう。あー、いい味だ。次は箸を持って麺を啜る。生麺ののど越しの良さと、程よいコシがスープと絡んで止まらない。気付けば具も合わせてすっかり飲み干していた。

 ごちそうさまでした。

 

 「・・・瞬きした瞬間に、先生のラーメンが消えてた気がする」

 「・・・本当に一瞬でしたね」

 「先生ぇ、もうちょっとゆっくり味わいなよ~」

 「先生、ここは替え玉もあるみたいですよ」

 

 ゴモラにお土産のチャーシューを買っていこう。そう先生は思った。

 替え玉一丁、支払いは現金で。

 

 「もう二度とこないで!!」

 「セリカちゃんが反抗期だ~」

 「あはは、ありがとうセリカちゃん。ご馳走様でした」

 

 食べ終えたみんなで店を後にする。柴犬の大将はまた来てくれよ!とニカッと笑ってくれたが、セリカは終始顔を真っ赤にさせていたままだった。それぞれが満足感を感じながら帰路につく。

 しかしその夜、セリカちゃんと連絡が繋がらないと、アヤネから連絡がくるのだった。

 

 「十中八九、カタカタヘルメット団が関係していると思われます」

 「ん、私とゴモラじゃダメだったからって、セリカを狙うなんて恥知らず」

 

 夜の対策委員会。その部室に、メンバー全員が集まっていた。前例があるためか、おおよその目星がついている状況だ。

先生はアヤネから連絡を受け、連邦生徒会が管理するセントラルネットワークにアクセスしていた。後でリンちゃんに怒られてしまうだろうが、バレなければ問題はない。

 アビドス高等学校、その一人の生徒の居場所が分かればいい。試しにアビドス近くの監視カメラの映像を見て回るが、有効な手掛かりは見つからない。

 

 「先生、ちょっといいかな」

 

 その時、後ろから声がかかった。

先生が振り向くと、いつものぽわぽわした雰囲気が消え失せたホシノが、盾と愛銃を担いで現れた。

 

 「てなわけで、セリカちゃんの連絡が途絶える直前にあった端末の場所がここ」

 「ここは・・・砂漠化が進んでいる、市街地の端の方ですね」

 

 柴関ラーメンがある場所より少し離れた位置。そこをホシノはトントンと指をさす。先生はホシノに、携帯の位置情報は調べられるかと聞かれ、検索をかけてみれば一発ビンゴだった。

 

 「ここは、カタカタヘルメット団の主力が集まっていると確認できた場所です」

 「やっぱり、ですね」

 「今度は人質か」

 「考えていても仕方ありません!今すぐセリカちゃんを助けに行きましょう!」

 

 ノノミの言葉に、全員が頷いた。

 

 「あと、今回は秘策があります」

 

 アヤネがやや語気を強め、いつもの端末を開きながら言った。

 

 「秘策?どんな作戦があるんですか?」

 「いえ、作戦ではありません。しかし、昨日頑張って徹夜した成果をお見せします!」

 

 メガネの奥から、瞳に燃えあがる炎が見えた先生だった。

 


 

 「痛たた、くっ、頭が・・・」

 

 セリカは大きな揺れと共に目を覚ました。トラックの荷台に乗せられていることに気が付いたセリカだった。

 

 「ここはどこなの・・・」

 

 わずかに漏れる隙間から顔を覗かせると、荒廃した線路と、駅が目についた。

 サッと顔が青くなる。広大なアビドスだが、ここはその端っこ。アビドスの郊外にいることを把握したのだ。

 

 「こんなんじゃ、助けも・・・」

 

 セリカはペタンと座り込んだ。ネガティブな思考が頭の中でぐるぐると巡り、徐々に増幅していく。

 

 「このまま、死んじゃうのかな」

 

 涙が込み上げてきた、その時だった。

 巨大な爆発音が聞こえ、トラックが大きく揺れた。

 

 「半泣きのセリカを確認!」

 「なにぃー!?ウチの可愛いセリカちゃんが泣いてただと!そんなに寂しかったの?ママが悪かったわ!ごめんねー!!」

 「パパもお待たせしました!!迷子のセリカちゃん、お迎えが来ましたよー!」

 「うわぁああ!うるさい、泣いてない!!」

 

 トラックの荷台を素手でこじ開けたホシノとノノミ、中を確認したシロコが、セリカにむぎゅりと抱き着いた。

 

 「ピポポポポポ・・・」

 「せ、先生までいるの!?でも、どうやって見つけて・・・」

 「ゼットォン・・・」

 「さらわれたお姫様を助けるのは、勇者の役目だとおっしゃっています」

 「ばっ・・・ばっ・・・馬っ鹿じゃないの!?

 

 嬉しいのか恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして叫ぶセリカ。

 ギャーギャーと騒ぐセリカを宥める対策委員会だが、状況はあまりよろしくないとアヤネが言った。

 

 「ん、でもまだここは敵陣のど真ん中」

 「だねー、輸送トラックなんか破壊しちゃったから、お相手さん相当お冠だよ」

 「みなさん、前方からヘルメット団兵力多数!またあのロボット軍団も見られます」

 

 ノノミがセリカに銃を手渡した。ギリっと銃を握る手に力が籠る。やり返さなきゃ気が済まない!

 

 「さらに重火器に加え、前回のロボット軍団もいるようです!」

 「またあのダークロプスってのがいるの?」

 「い、いえ。現状ダークロプスは確認できません。しかし、本拠地だけあって凄い数のロボットです」

 

 そっかそっか~と、呑気な声で答えるホシノだった。セリカは襲われた当人だったため、本当に大丈夫かと心配そうに尋ねるが、ホシノは笑って言った。

 

 「だーいじょぶ、だーいじょぶ。私よりも怒ってる姿を見たら、逆に冷静になったから」

 

 セリカは何のことかとキョトンとした表情で首を傾げた。そのホシノの言葉に、全員の頬が引き攣っている。

 

 「ああ・・・」

 「あ、あはは・・・」

 「ゴモちゃん、場所を伝えた瞬間に飛び出していきましたからね」

 

 その時、超巨大な爆発が発生した。

 

 「ほら、アレだよ」

 

 ホシノが親指を立てて示す先には、先に突っ込んできた死屍累々のヘルメット団と、ひっくり返って大破したレギオノイド部隊が、大炎上しながら転がっていた。その真ん中では、ゴモラが巨大な尻尾を振り回し、超振動波で後続のレギオノイド隊を打ち砕く程の大暴れで、敵の注目を集めていた。

 

 「よ、容赦ない・・・」

 「ここ最近色々ありましたから、ゴモラも鬱憤が溜まっていたんでしょうね」

 「ん、散歩よりいい運動になる」

 「・・・」

 

 さすがの先生もこれには唖然としていた。

 

 「ギヤッ!?」

 「あ、ゴモラ!!」

 

 ゴモラが背後からの攻撃に巻き込まれて、横転してしまった。それを好機とばかりに残存するロボットとヘルメット団が、一斉に銃口を向けてゴモラに襲い掛かった。

 これはピンチか。全員で武器を構えた時、ゴモラを中心にしてサークル状に爆発が起こった。

 

 「しかし、アビドスにも新しい対抗策があります!」

 「え、何が起こったの?」

 

 ホログラムのアヤネがそう叫んだ。皆が思わず一斉に上空を見上げると、ヘルメット団に銃を構えるロボットがいる。しかしその姿は、ヘルメット団が運用していたロボットだった。

 

 「レギオノイド、その<アビドス・カスタム>です!」

 

 ゴモラの前に、そのロボットが降り立つ。ドリルだった腕が機関銃と、巨大なアームになっており、体色が鈍色から、朱色に変わっている。そのロボットはゴモラを庇う様に武装を構えた。

 

 「いやいやいや、あれどうしたの!?一昨日にはなかったよね!??」

 

 珍しくホシノがワタワタとレギオノイドに指をさしながら、ホログラムのアヤネに向かって詰め寄っていた。

 

 「レギオノイドについて調べていくうちに、修理と回収が出来そうだと思いまして。補助以外に皆さんの力になれたらなー・・・と」

 「ん、ぶち壊したはずだったんだけど」

 「シロコ先輩が最初に機能停止させたものを素体に、他の破壊された機体のパーツを組み合わせてみました」

 「すごいですねアヤネちゃん。ハッスルした結果が超兵器ですよ」

 「深夜テンションになっちゃったんだろうな、アヤネちゃん・・・」

 

 みんなの問いかけに、怪しく眼鏡を光らせるアヤネ。いったい何をしていたんだと苦笑いしか出ないが、戦局をまたこちら側に引き戻すには十分すぎるほどだった。

 

 「んじゃまー・・・私たちも、そろそろ行こっか」

 

 ホシノが真剣な顔つきになる。その言葉に全員が銃を構え、ゴモラの後に続いた。

 

 「ギヤァアアアアア!」

 「ゴモラ、右のロボットをお願い」

 「ちょ、嘘だろ。何でうち等のロボットがあいつらに・・・いでっ」

 「なんで、2体だけだろ!この人数で押し返え・・・ぐわっ」

 

 シロコの指示でゴモラが敵の陣形を食い荒らし、あぶり出した敵をホシノがショットガンの反動をモノともせず、早打ちの要領で仕留めていく。アヤネのロボットとセリカが陸と空から強襲し、ノノミが弾幕で退路を塞いで仕留める。

 

 「ん、先生の指示もあってやりやすい」

 「何となく戦い方が頭に浮かんできますね。ぶっつけ本番の操作だったので、少し不安だったのですが」

 「すごい戦いやすいですね。まるで相手の動きが手に取るように分かります」

 「・・・・」

 

 照れたようにポリポリと顔をかく先生。さっきからゼットンボディに銃弾がバチバチ当たっているが、それに堪える様子もない。

 

 『あの、先生?バリアを使ってもらってよろしいですか?さっきからすごい不安になってくるんですが』

 「ピポポポポポ・・・」

 『いやいやいや、蚊より比較になりませんって!』

 

 アロナが何やら騒がしいが、先生がアロナを落ち着かせてタブレットから指示を出す。

 どうやら大物のお出ましの様だ。

 

 「あれは、戦車?」

 「Flank41改良型。でも、今更敵じゃないでしょ」

 「ギヤァアアアアア!」

 

 ゴモラが真っ先に突進する。その砲塔がゴモラを見据えるが、ヘルメット団の護衛がいなくなった戦車は、ただの的でしかなかった。

 

 「うおっ、突っ込んできた!」

 「ゴモラ、いけそう?」

 「ギヤッ!」

 

 ゴモラと戦車が正面からぶつかり合った。若干ゴモラが圧されているが、それを好機にホシノが戦車に飛び乗った。

 

 「ここ壊して、ここも破壊して、手榴弾もここに入れとこ」

 

 カメラ、小銃、アンテナを破壊し、砲身の中に手榴弾を投げ込んだ。それに焦ったのか、戦車が一瞬だけピタリと止まった。

 

 「今だよ、ゴモラ!!」

 「ギヤァアアアアア!」

 

 ゴモラが姿勢を下げ、戦車の足元に角を突き刺した。そこから思い切り跳ね上げるように体を反らし、戦車を1回転するほど横転させたのだった。

 

 「よし、このままずらかるよー!」

 「ん、このトラック鍵がついてる。貰っていこう」

 「あ、すみません。レギオノイドに使えそうなパーツも回収していただけませんか」

 「・・・こんな火事場泥棒みたいなことするの?」

 「ゼットォン・・・」

 

 完全にただの野盗の様だが、これでも囚われのお姫様を救出に来たパーティである。

 

 「今回の襲撃で、さらに疑問が深まりました」

 「セリカちゃんも倒れちゃったし、おじさんも疲れたよ~・・・」

 

 アビドス対策委員会の部室に帰ってきてから、アヤネはそう言った。

セリカが疲れとダメージで倒れてしまったのだが、現在は保健室に寝かせてゴモラが近くを見張っている。

今までの襲撃で、いち不良生徒にしては過剰な戦力を保有していた。そしてカイザーPMCの新兵器と改造された戦車。あの量と質は、いくら数が多いヘルメット団とはいえ、個人で保有できるものではないはずだ。

 

 「あの兵器の出どころを探らないと、またこちらを襲ってくることでしょうしね」

 「まあ、十中八九前から集金の重圧をかけてきてたカイザーPMCが関わってるのは予想できるけど、問題はその補給ルートだよね。明らかにあの数のロボットは異常だよ」

 「はい。それに回収した弾薬や戦車の部品は、違法機種のモノがほとんどでした。それらを調べることが出来れば、ただのチンピラが、執拗にここを襲撃してくる理由も分かるかもしれません」

 

 アビドスにはまだ、暗雲が立ち込めている。そう感じられずにはいられない先生だった。

 




色んな所に企業のロゴがついてるんだから、スポンサーって言ってるようなモンですよね。
でも確信がないから調べに行こう。
次回はあの子たちも出てきます。ついでに+1体を考えていますが、何が似合うだろうか
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