またちまちま投稿を続けてまいりますので、のんびりお付き合いいただけたらと思います。
登場怪獣
<古代怪獣 ゴモラ>
<帝国機兵 レギオノイド デッドコピー>
<最強合体獣 キングオブモンス>
そんなシリアスな思いもよそに、現在はアビドスのみんなで、またまた柴関ラーメンを食べ気に来ていた。理由は兵器の出所探るための作戦会議と、借金を返済するアテについて相談するためだった。
プラズマソウルは莫大なエネルギーと引き換えに大金をもたらすが、エネルギー効率が良すぎるのと、そもそも汎用的に利用・変換するための土台がまだ普及していない事もあり、需要自体は少ない。
そのためアビドスに残る莫大な借金の返済について会議を行っていたのだが、銀行強盗やバスジャック、マルチ商法にアイドルなど、とても現実的じゃない話しで収拾がつかなくなった結果、ゴモラが震えあがって地面の中に身を隠すほど、アヤネがブチギレたのだった。
「機嫌直してよアヤネちゃん。怒らないでよね?ね?」
「はい、お口拭きますね~☆はーい、綺麗になりました!」
「アヤネ、これもあげる」
「・・・」
「はぁ・・・わざわざバイトについてきてまで話されると困るんだけど」
湯気で曇った眼鏡をそのままに、無言で麺を啜るアヤネ。やりすぎたと思ったホシノ、ノノミ、シロコらは、好物をよそったり、明るく声をかけたり甲斐甲斐しく世話を焼いていた。先生は軽く体を揺らして答えるが、セリカにはただ巨体を揺らした様にしか見えなかった。
大将の好意で、ラーメンをすすりながらもアヤネの機嫌を取るために長居させてもらっている。今の時間帯はお客さんが少ないと大将が言っていたが、確かに今はピークを過ぎているせいか、お客さんたちは自分たちしかいない。
先生が賑やかな皆を眺めていた時、カラカラと遠慮がちに店の扉が開いた音がした。それに気が付いたセリカは軽く咳払いをすると、溌溂とした声でお客さんの方へ向かって言った。
「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
「あ、あのぅ・・・」
おどおどした娘がセリカと話していたが、はっとしたような表情を見せた後、扉の外へ声をかけた。
その直後に、その子の後ろから声をかけられたのであろう、見慣れない少女たちが入店してきた。
「はあ、よかったー!六百円以下のメニューが見つかって!!」
小さな女の子が快活な笑顔を見せながら席に座ると、コートを羽織って、いかにも威厳がありそうな表情をしている女の子が入って来た。あの子がボスだろうか。マントを羽織っている奴は、だいたい何かしら大きな力を持っていると考える先生だ。
「あ、うちの子にもう一人大きい子がいるんだけど、大丈夫?」
「ああ、何人でも構わないさ」
「あ、ありがとうございます!」
その子が大将に向かってやや控えめに尋ねると、大将はニカッと快活な笑顔で答えた。その返答に対して最初の子の表情がパッと明るくなると、外に向かって笑顔で手招きをした。
「グァアアアアア・・・」
「っ、社長。ちょっと手伝って」
「あ、翼が引っ掛かってるのね。よいっしょっと」
「うわっ、ちょっと、えぇ・・・?」
さっきより扉がガラッと強く引かれた。のれんから顔を覗かせたのは、怪獣だ。物凄くゴツく、トゲトゲした怪獣だった。そしてその体格か扉の大きさの問題か、窮屈そうに体を縮こまりながらも、どっしどっしと少女たちより大きな怪獣と、それに続いて目つきが鋭い女の子が入って来た。大将はチラリとだけ視線を向けると、それも構わず麺を湯がき続けていた。
「え、ちょっと、そっちの怪獣とも分けるの!?」
「・・・むしろ、この子だけの分かしらね」
「私たちはほら、この柴関ラーメンにしようかなって。1杯だけ・・・」
「ラーメン1杯を4人で分けるの!?」
セリカたちの話声が聞こえてくるが、どうやら5人でラーメン1杯をわけるらしい。先生は大将に視線を向けると、不敵に笑った大将が、わざわざ厨房棚の下から、特大のとんぶりを取り出すのが見えた。そんな大将とふと視線が合う。先生は軽く頷いて、自分の伝票をトントンと軽く叩いた。
セリカの頭を隠す程の特大ラーメンが2つ並ぶ。その光景に呆気に取られていた5人だったが、めんぼくねぇ!とでも言う様にもの凄い勢いで山が削れていった。
「良い食べっぷりだねぃ」
「ガァアアアアア!」
「くふふ、キンちゃんも久しぶりにお腹いっぱいだって」
「ピポポポポポポ」
「ええ、ウチの警備長はラーメンが好きなの」
特に社長と呼ばれていた赤髪の女の子と話が弾んだ。何でも仕事のためにアビドスへ足を運んでいるとのこと。食べ終わって店を出た後も、笑顔で手を振って別れた。良い子たちだったな。各々話し合いながら学校に戻る。
しかし昼食からそんなに間を置かず、再びアビドス高等学校は襲撃を受けるのだった。
「校舎より5km地点で大規模な兵力を確認!傭兵部隊とレギオノイドと、これは・・・」
「どうしたの?」
「柴関ラーメンにいた怪獣です!」
アヤネの叫びに全員がサッと外を見据える。大規模な戦力だ。しかし分かっているなら迎撃できる。アヤネはパソコンを操作し、アビドスのレギオノイドを起動させる。シロコはへそ天でいびきをかいているゴモラをペチペチと起こし、その他は武器とマガジン、予備弾薬を引っ掴み、外へ駆け出した。
校舎近くの廃墟群。そこには小隊程度の少女たちと、2体のレギオノイド。そしてその先頭には、あのラーメン屋で出会った女の子たちがいた。
「あれ、やっぱりラーメン屋さんの」
「ぐ、ぐぐっ・・・」
「がぁあ?」
社長と呼ばれていた女の子は、何故か冷や汗を流しながら、苦虫を噛み潰したような表情で銃を抱えている。そして怪獣は状況があまりわかっていないのか、自分の位置とこちらを交互に見ると、遠慮がちに小さく手を挙げた。
「ラーメン大盛りにしてあげたのに、この恩知らず!」
「その件はありがとう。でもこっちも仕事だからさ」
彼女たちは便利屋68と名乗った。社長の陸八魔アル、室長の浅黄ムツキ、課長の鬼形カヨコ、ヒラの伊草ハルカ。そしてその怪獣は・・・
「誰の差し金か・・・いや、直接口を割って聞かせてもらう」
「ふふん、そう簡単にはいかないわよ。あななたちの学校に強い用心棒がいることはリサーチ済み。だけどうちには、さらに優秀な警備長がいるんだから!」
「ガァアアアア!!!」
怪獣が力強く答えた。不敵に笑う社長は、抱えていたスナイパーライフルの銃口をこちらに向けて、力を込めて叫んだ。
「行きなさい!キングオブモンス!!」
「ガァアアアアアアアアア!」
「頼むよ、ゴモラ!!」
「ギヤァアアア!」
お互いの掛け声とともに、便利屋率いる傭兵部隊とアビドス生徒、キングオブモンスとゴモラがぶつかり合った。
「先生、指示を!」
「ゼットン・・・!」
『私とセリカちゃんでレギオノイド、シロコはゴモラの援護、委員長とノノミ先輩で便利屋たちの相手ですね!』
先生がタブレットを操ると、動きのイメージが全員の頭に浮かんできた。シロコ、ホシノが遮蔽物に半分身を預けながら、散開してきた青いジャージの少女たちを打ち倒す。ノノミが弾幕を張り、相手に顔を出させないようにするが、それを物ともしないレギオノイドがこちらへ詰め寄ってくる。
『レギオノイドは私が食い止めます!セリカちゃん!!』
「大丈夫、もう片方は任せて!」
ガギン!と鈍い金属同士がぶつかる。アヤネがレギオノイドを分析した結果、腰部分の装甲が薄いことが分かっている。
アヤネはレギオノイドのアームを巧みに操り、迫りくるドリルを弾いた。敵レギオノイドはその勢いで姿勢が崩れ、大きく仰け反る。アヤネはそのがら空きのボディに機関銃の銃口を突き刺し、フルオートで内部から敵レギオノイドを破壊した。
「ひゅー、アヤネちゃんやるぅ!」
「わー★もうロボット対峙はお手の物ですね!」
セリカは遮蔽物からしゃがんだまま身を乗り出し、頭部、腰に掛けて引き金を引き続けた。一瞬動きを止めた敵レギオノイドは、リロードしたセリカに腰を集中的に狙い撃たれ、機能を止めた。
「あわわわ、アレのオプション料金高かったのに!」
「ちょっとさー、不良品だったんじゃないのー?」
何やら向こう側から焦り声が聞こえてくるが、今のところは順調だ。ノノミが斉射で障害物を破壊しながら、ホシノが相手側の陣地に肉薄を掛ける。もう随分と削ったようだ。
先生はゴモラへと視線を向けた。
「ゴモラ、負けないで!」
「ギヤァアアアアア!!」
体格はキングオブモンスが勝っている。しかし、ゴモラは引っ掻きや尻尾の殴打を弾きながら、体当たりやチョップ、そして姿勢を崩したお腹に向かって、尻尾をバネにドロップキックでダメージを与えていった。
「ちょっと警備長!えっと、あ、あれ!ビームだして!!」
「ちょっ、社長。こんなところでアレ撃ったら」
アルの指示に対しキングオブモンスの頭部の紅い宝石が光ると、稲妻の様な赤い光線が、接近していたゴモラを押し返した。
巨体が浮かび上がる程のエネルギーを食らい、ゴロゴロと転がりながら大きく弾き飛ばされたゴモラは弱弱しい声を上げ、起き上ることが出来なかった。
「ゴモラ!!」
「ぎゃ・・・」
シロコがゴモラに駆け寄った。少し角のプラズマソウルが欠けてしまっている。シロコは顔を歪め歯をかみしめると、ゴモラを背に、キングオブモンスの前に立ちはだかった。
「グァアアアアアアアア!!」
「どうかしら!ウチの警備長の必殺技よ!!」
「でも社長、アレ一回でも出したら・・・」
しかしキングオブモンスの様子がおかしい。宝石は更に光を増し、ゴモラに放った光線を、雨の様に無差別に放った。
「あはは、やっちゃったねぇ!」
「あっ・・・」
「興奮して、ハルカみたいに止まらなくなっちゃうよ」
「あ、アル様の手を煩わす私なんて・・・すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません死にます死にます死にます死にます!!」
「ちょっ、ハルカ、今は駄目だって」
「・・・・」
無差別な電撃が、ホシノたちだけでなく、味方である傭兵たちも襲う。
そんな様子に白目をむくアルに、ショットガンを口にするハルカ。それを止めるカヨコに、1人だけ楽しそうなムツキ。まさしく絶句である。
「うへぇ、おじさんちょっと身動き取れないかも」
「えーい!うーん、ちょっと通りが悪いかもですね~」
「ピポポポポポポ・・・」
『了解しました、先生』
遮蔽物に身を屈めるホシノをノノミは掩護するが、銃弾はすべて電撃に阻まれる。
先生はアヤネにレギオノイドを向かわせるよう指示した。ここからは大人の出番である。ゼットンはシッテムの箱を自身の甲羅の中に収納し、空中へとワープをした。
「ピポポポポポポ」
『先生がエネルギーを貯めている間は、私が相手をします』
ガザミの様な巨大なアームで電撃を防ぎながら、中距離でキングオブモンスの顔に向けてフルオート射撃を食らわせる。しかし徐々にその電撃は収束していき、ゴモラを弾き飛ばした巨大な束となってレギオノイドに襲い掛かった。
何とかアームでそれを受け流すが、強大なエネルギーは徐々にアームを溶かし、レギオノイドを弾き飛ばした。
『くっ、まだアームが破損しただけ・・・!』
「ん、ゴモラのお返し!」
しかし広範囲攻撃が止んだ。その隙にシロコはキングオブモンスと距離を詰めた。狙うは頭。キングオブモンスはそれに気づき爪を揮うが、それを阻むように胴体に衝撃が走る。ホシノはニヤリと笑った。
「こうなればこっちのもんだよ。先生!!」
「ゼットン!」
チャージ完了。よく頑張った、みんな。
「みんな散開!!」
ホシノが叫んだ。しかし、その時だった。
キーンコーンカーンコーン。
学校のチャイムが鳴った。
「あ、定時だ」
その言葉に倒れていた傭兵バイトたちが、ムクリと起き上った。何事も無かったかのようにパンパンとズボンの汚れを払うと、銃を肩に担いで撤収し始めたのだ。
「今日の日当だとここまでー。後は自分たちで頑張ってね。あとそのメカ壊した保証分も払ってもらわないとだから」
「え、ちょちょ、ちょっと!?」
ぞろぞろとアルたちを背に帰っていく少女たち。アルは引き止めるが、呼び声もむなしく姿を消していった。
「ありゃりゃ、こんな長引くなんて。どうする?逃げる?私たち見てただけだからまだまだ元気だけど」
「そ、そうよ!それにうちにはまだ警備長が・・・」
そう言ってキングオブモンスを見るが、そう言った途端に、本人はポンと腰を下ろし、地面に座り込んだ。アルはえっ、と情けない声を出して固まった。
「・・・エネルギー切れだね。お腹すいたみたい」
「グァアアア」
「た、退却よ!でも最小限のノルマは完了したわ!!」
「あはは!またね~!!」
びゅーん!そんな効果音が聞こえそうなほど、そそくさと逃げ帰って行ってしまった。
キングオブモンスもメンバーが撤退したのを確認すると、身体を赤い球に変身させ、ふわりと浮き上がったかと思うと、ものすごい速度で便利屋の後を追って飛んで行ってしまった。
「何か、言いたい事だけ言って逃げられたわね」
「逃げられちゃったね、あの子たちに」
『詳しいことはわかりませんが、敵勢力の撤退を確認。周囲にも反応なしです』
「ピポポポポポポ・・・」
全員唖然としていた。先生も貯めていた力を戻すと、ふわりと地面に降り立った。
『みなさん、先生もお疲れ様でした。しかし困りましたね。ヘルメット団だけでなく、便利屋まで狙われるとは。先が思いやられます』
「それに妙な事言ってたね。最小限のノルマは完了したって。目的がこちらを攻め落とす以外にあったってことだよね」
「ん、それにゴモラがやられた。プラズマソウルの鉱床で休憩させるべき」
「ピポポポポポポ・・・」
威力偵察にしては規模がやや大きい気がする。この先も何があるか分からないというのが本音だ。カイザーのロボに便利屋。だが、1歩ずつ手掛かりを探していくほかないのだろう・・・
ここは便利屋オフィス。アルは黒電話を手に、やや迫力のある声色で話しをしていた。
「ゴモラの角・・・の、かけらですが、プラズマソウルを郵送させて頂きました」
『ふむ。確かに届いた。だが、まだまだ足りん。サンプルは多い方がいい』
「ご安心ください。この後も対応させていただきます」
ガチャリ。恰幅の良い機械の男が、電話を切った。その手には、歪に欠けた3辺の石。
「私の計算違いか。奴らのキングオブモンスとかいう怪獣は、世界をも滅ぼす力を持っていたというが」
「データは正確です。しかし、アビドス高等学校の方々がそれを上回ったということでしょう」
その男の前に立つ黒服姿の男。表情は穏やかそうな笑みを浮かべるが、どこか胡散臭い。瞬きも無く、能面の様に張り付いた表情をしている。
「ふむ。貴様が出ることはないのか」
「私が今出て来てしまうと、シナリオが変わってしまう。それは私の本意ではない。ですが、アフターサービスも私の仕事ですので。詳細を確認してきましょう」
「・・・・・」
「いずれ彼女たちが、私たちにアビドスをあげます。そう口にする日がやってきます。そうなれば、アビドス延いてはキヴォトスが、カイザーコーポレーションの手中収まることでしょう」
「・・・期待しているぞ」
手に残る緑の輝きだけは、その会話を聞いていた。