登場怪獣
<古代怪獣 ゴモラ>
<応援カード ミクラス>
<帝国機兵 レギオノイド デッドコピー>
<帝国猟兵 ダークロプス>
<最強合体獣 キングオブモンス>
アヤネについている目の隈がやや黒くなってきている。
「・・・・」
「・・・」
「なんで二人で見つめ合ってんの?」
優しく頭を撫でられるゼットンと、撫でられ続けているアヤネ。その状態のまま既に5分ほどの時間が流れていた。
「ブラックマーケットに行きます」
「ありゃりゃ、急にどうしたの?ブラックマーケットなんて不良が行くところだよぉ?」
「ホ、ホシノ先輩、これは噂に聞く反抗期です!うう、ぐすん」
「お二方、いったんお口チャックでお願いします」
ホシノとノノミの芝居を、アヤネがバッサリと切った。瞳を見せないほど眼鏡が怪しく光っており、2人はぎゅっと口を噤んだ。
「ん、でもアヤネ、ブラックマーケットは危ないって聞く」
「おそらく違法な銀行もあります」
「だから気に入った」
「・・・・」
大丈夫かこの子たち。
さて、アヤネの話しはこうだ。以前襲撃をかけてきた便利屋68に、お金を返し続けているカイザーローンのお金が、ブラックマーケットに流れて潜んでいることを突き止めた。
それに破壊したレギオノイドや、ヘルメット団からかっぱらってきたスクラップなど、それらを調べると、一般に流通していない物ばかりだった。それらが集まり、購入できる場所。となればブラックマーケットだと予想したのだ。この3日間アヤネは出来る事のすべてを調べつくし、今日の返済で確信したとのこと。
「私たちの現金はカイザーローンが受け取っていますが、私が調べたところによりますと、どうもブラックマーケットに流れていることが判明しました。中までは入れないので、ある程度の予測も含まれますが」
「アヤネちゃん、それどうやってわかったの?」
「返済車の走行ルートがヒットしませんでしたので、移動ルートをレギオノイドで物理的に監視して、最終地点であるブラックマーケットにたどり着きました。ただ、警備ロボットなのかレギオノイドやダークロプスが各所にいて、潜入までは行えませんでしたが」
「そこまで出来たのは凄いと思うけど、最終的に私たちのお金がブラックマーケットに流れて、犯罪に使われてたってこと?」
怒りを浮かべるセリカの言葉に対し、全員の表情はセリカと同じ様な色が見て取れた。アヤネ曰くその返済車は、現在まっすぐブラックマーケットに向かっているらしい。
そして問題は、返済車を襲撃できないという事だ。これは監視中のレギオノイドで襲ってしまえば、車のガードや記録から、身元がばれてしまうリスクがある。そして次に、物理的な証拠ではない事。映像記録など、昨今は容易に偽造が出来る。ハンコや、認証された決定的な物的証拠が必要だ。
「証拠集めのために、集金確認された書類が必要です」
「でもそれは返済車の中にあるんでしょ?」
「銀行強盗をします」
「だから気に入った」
セリカの言葉を遮ったアヤネの言葉に、シロコが目を輝かせてボストンバックをドスンと机の真ん中に置いた。
「えぇ、マジでやるの?」
「まあ、他に方法が無いならねぇ・・・」
「先生も止めないの!?」
「ゼットン」
「先生も乗り気ですね」
「えぇ!?うぅ・・・だったら、徹底的にやってやるわ!」
何を隠そうこのゼットン先生はその昔、この業界ではとんでもなく有名な怪獣だったのだ。今や忘れられているかもしれないが、そのネームバリューは絶大。こんな銀行強盗など屁でもない。
「ギヤァア!」
「ゴモラはお留守番ね」
「ギヤッ!?」
俺も!と手を挙げるゴモラだったが、シロコの言葉にぽかんと硬直した後、お気に入りのクッションでふて寝するのだった。仕方ない。どうしても目立つのだ。
「ここがブラックマーケットね」
薄暗い街並みに怪しく光るネオン。そんな風景に対策委員会のみんなは、割と興味津々と言った様子でブラックマーケットに侵入した。
『皆さん、ここは違法な武器や兵器が取引される場所です。何が起こるかわかりませんので、注意してください』
「うわー、みんな見てよこれ。怪獣の人形が置いてあるよ。うへへ、可愛いけどぬいぐるみだったらよかったのになぁ。あ、ゴモラも置いてるよぉ」
「何かすごいへんてこりんな銃もある。なにこれ、小さなロケットとセットになって・・・うわ、いいお値段・・・」
『・・・皆さん?』
「・・・!」
アヤネが注意を促した途端にこれだ。ゼットンはアヤネの低い凄みのある声に震えるが、店に飾ってある珍しいものにあっちこっち眺めて中々前に進まない。先生がみんなに声をかけようとした、その時だった。
「ん、銃声!」
シロコの言葉に、一斉がその場でしゃがんだ。ダダダダ、とマシンガンの発砲音。音は近く、こちらに向かって来るようだった。
それに合わせ、誰か女の子の声も聞こえてくる。
「ひやぁー!ついてこないでくださーい!!」
「待てゴラァ!!」
2人のスケバンと、それから必死に逃げる白い奇妙な鳥のランドセルを背負った女の子たちが見えてきた。迷わずこちらに走ってきており、衝突は避けられなそう。全員は何も言わず、臨戦態勢に入った・
「誰か追われてるけど、あの制服って」
ついにスケバンに追われている白い服の女の子が、こちらに突っ込んできた。シロコが優しく受け止め、さっと背中に隠す。スケバンも立ち止まり、睨み合う形となった。
「大丈夫?なわけないか。何があったの?」
「な、何にもしてないんです!」
「お前らどきやがれ!アタシらはそこのトリニティの生徒に用がある」
スケバンから聞けば誘拐、拉致して身代金を要求するとのこと。
アヤネがトリニティという学校は、キヴォトスでもマンモス校の1つで、超お金持ちとのこと。その生徒を誘拐して身代金を請求する、か。なるほど、さっそくブラックマーケットらしさと言うか、無法地帯と言うか。治安最悪だ。
「はい!」
「ぐへっ」
「何すっ!?」
「えい!」
「うわ、ノノミ先輩容赦なっ・・・」
ノノミが持っていたミニガンでスケバンの頭をおもむろにぶん殴った。残りの一人のみぞおちを突き、そのまま銃身のアッパーを顎に叩き込んだ。
「はい、解決です☆」
「あ、ありがとうございます。皆さんがいなかったら、学校に迷惑かけちゃうところでした」
助けた少女、阿慈谷ヒフミというらしい女の子は、ホッとした様子で頭を下げた。何でもこっそり学校を抜け出して探し物をしていたらしく、こんな危ないところに一人でいたとのこと。
「探し物って何?」
「えっと、これです!アイス屋さんとコラボした、限定ペロロ様と、ガマクジラさんです!」
にこにことお出しされたのは、アイスを口に咥えた奇妙な鳥と、アイスを被った変なカエル?を差し出された。
「わー!モモフレンズですね!私もニコライさんが好きです!」
「わかります!」
「・・・・!ゼットン!!」
「あ、あ、それ!ガチャガチャシリーズ第3弾、シークレットの宇治抹茶ガマクジラさんですか!?」
先生、ノノミ、ヒフミで盛り上がっている空間。何だかきゃぴきゃぴしてるとはおじさん談。いや、ほぼ同じ年やろがいと突っ込みがホシノに刺さったが。
「いやいや駄目です!こんなことをしている場合ではありません。ブラックマーケットで騒ぎを起こしたら、ここの治安組織に見つかってしまうかもしれません!」
「ふーむ。よし、まずはこの場所を離れようか。ヒフミちゃんの方が詳しそうだしね」
気絶させた生徒を端に寄せ、ヒフミの案内でブラックマーケットを駆けていく。
大通りを超え中に進むと、夜市のような屋台や飲食店が並ぶ場所へやってきた。最初にいた場所の火薬や錆の匂いから、何だか出汁や炭のいい匂いもするようになった。
「ここまでくれば大丈夫です」
「追いかけられてたけど、ここが危ない場所だってわかってきてるんだね」
「はい。連邦生徒会の手が及ばないところですから」
聞けばかなり大きな場所らしく、企業の違法な利権争いや、ここ専門の金融機関もあるらしい。もはやマーケットと言うよりは、巨大な街だ。特に治安維持機構は危険らしい。スケールの違いに唖然とするが、ホシノはにんまりと笑って言った。
「よし、これも何かの縁。助けたお礼に、私たちの探している物を見付けるまで一緒に来てもらおうかねぃ」
「ええ!?」
「正直私たちはここの事あんまり知らないからさー。詳しいヒフミちゃんに着いて来てほしいんだよね」
「うう、わかりました。皆さんにはお世話になりましたし、お引き受けします」
戸惑いながらもヒフミが仲間に加わった。屋台でたい焼きを買い、情報共有をしながら頬張っていく。その話しの中から、ヒフミからは闇銀行の存在が上がった。何でもキヴォトスで行われる犯罪の盗品や財貨が、いくつかそこに流れ着くのだとか。それが犯罪に使われ、更にその銀行は潤い犯罪が行われると。
「さいっっっ悪ね」
「それにそれらを守るマーケットガード。最近は異様なロボットに変わって、容赦がないんです。アレはとても危険です!」
『みなさん、そう言ってたら、敵武装組織が接近中です!』
アヤネが突然そう叫び、物陰に急いで身を隠す。そうしてからしばらく、物陰から覗いていると、誰かがあっ、と、小さく声を漏らした。その大きな銀行の前に、あの返済車が止まったのだ。見慣れたカバンを持ったヘルメット団と、職員のロボットがやり取りしている。
「アレがそうじゃない?」
「今出る?」
シロコは既に覆面を被っていた。今まで苦しめられてきたカイザーの尻尾を掴めそうなのだ。やるしかない・・・そう思った、その時だった。
銀行の入り口が、大爆発を起こした。
「うわわわわ!?な、何が起こったんですか!?」
「何にせよ、今がチャンス!!」
全員がさっと覆面を被り、ノノミがヒフミに、バサッと目だし帽のように細工した、たい焼きの紙袋を被せた。ホシノとシロコが駆け出し、取引している2人と車を急襲した。
「な、何だお前らぐへっ」
「は、ぐっ」
「よし、車制圧完了!」
「こっちもオッケー!だけど・・・」
ちらりと入り口を見た。入口の自動ドアは吹き飛び、ガラスが飛散している。未だに土埃で中が上手く視認できないが、何だか最近、特に昨日。見たことある怪獣が、額を紅く光らせていた。
「あ、あわわわわわわ!」
「あっはー!やるね警備長!!」
「あぁ・・・」
「あ、アル様、お気を確かに・・・」
「グガァアアアア!!!」
『べ、便利屋68です!!』
「なんであいつらが!?」
そしてそんな騒ぎを聞き付けたマーケットガードが、続々と集まってくる。銃口が便利屋と、覆面を被ったアビドス組につきつけられていた。
「なんで私たちまで!?」
「まあ、完全に怪しい人相だしねぃ・・・」
『皆さん、迎撃を!』
「あれ、アビドスの子たちもいるんだ」
「なんか変なの着けてるけどね。ここはあの子たちを利用してさっさと逃げよう」
ダークロプスに、ガタイのいい盾を黒いロボット、そしてレギオノイドが襲い掛かって来た。
レギオノイドはもはや敵ではないと言わんばかりに、アビドス生徒はパーツの弱い箇所を攻めて破壊していく。キングオブモンスも光線で薙ぎ払いながらマーケットガードを蹴散らす。しかし、その頭部にスラッガーが掠め、キングオブモンスは思わず怯んでしまった。全員の視線が上空をむく。
冷徹なモノアイが、こちらを睨んでいた。
「うぅ、本当にやっちゃうんですね!?」
「もうそんなこと言ってられないよ。それにあいつら、1体でもきついのに3体いるね」
「あの光線と、頭のアレに注意」
2体がキングオブモンスへと向かい、1体はこちらに向かってきた。緊急回避で着地位置から飛びのくが、その周囲はクレーターが出来るほどの勢いで奴は襲ってきたのだ。
ホシノとシロコ、ヒフミが接近を仕掛け、セリカとノノミが援護する。しかしどれも軽くあしらわれ、殴りかかったシロコがついに首を掴まれ、捕まってしまった。
「シロコちゃんを離せ!!」
「くっ、こんなに撃ち込んでるのに!やっぱり硬い!!こんな時にゴモラが居てくれたら・・・」
「・・・・・」
先生は自分が出ようと思ったが、今回はアビドス組により戦闘になっても前線に出ないよう釘を刺されている。なぜか。先生は特別だ。アビドスの仕業だとバレてしまう可能性がある。だが、そんなことを言っていられない状況だ。
先生は自身の甲羅の中から、ついに「大人のカード」を取り出した。それはアロナにより作戦コマンドへと切り替わる。アロナは金色の輝く封筒をかざすと、シッテムの箱と大人のカードが呼応する。
『応援コマンド発令です!応援バトラー「ミクラス」、リアライズです!!』
シッテムの箱から小さな光が流れ出すと、それが大きく形作り、2本の角を持つ、ずんぐりむっくりとした怪獣へと変化した。
「アガァアアア!」
『ミクラス!ダークロプスを引き離してください!!』
アロナの指示でミクラスがダークロプスに飛び蹴りを放つ。解放されたシロコを受け止め、優しく降ろすとダークロプスへと向き直る。
『先生の仲間の様です。あの怪獣を援護しながら立ちまわってください!』
「うへへ、正直助かるよ」
「ん、ゴモラとおんなじパワーファイターだね」
「アガァアアア!」
足で地面を何度か掻き、巨大な角でダークロプスの体を目掛けて突進する。ダークロプスは巨体を両手で受け止めるが、ミクラスは更に深く懐へもぐりこみ、一本背負いの様にかち上げ放り投げた。それをダークロプスは宙返りで地面に着地するが、その直後に再度突進が襲い掛かった。
「あっちは闘牛みたいな怪獣がいる!」
「死んでください死んでください死んでください!!」
「2人の爆弾でも全員の攻撃もビクともしない。いや、あの胸部だけ警備長の攻撃を守っている?もしかして、社長。あの胸のコア狙える?」
「警備長!やるしかないわね」
便利屋も戦っていた。警備長へ2体のダークロプスが襲い掛かるが、蹴りやパンチを物ともしない圧倒的な体格で、2体を迎撃していた。しかしちょこまかと動き回り、思う様に光線も当たらない。便利屋が何度か爆破や、パーツへの狙撃にて援護を行うも、著明な有効打は得られていない。
「外さないわ!」
社長のワインレッド・アドマイヤーが火を噴く。7mmの巨大な弾丸がダークロプスを打ち抜いた。頭を。
「あっ」
「と・・・まらない。駄目か」
頭部を打ち抜かれたダークロプスは苦しそうに頭を抱えるが、即座に再起動し、鈍いモノアイは更に怪しく眼光が増す。そしてバチバチとスパークを起こしながらも、警備長を襲う動きに苛烈さが増していく。
ついに、ダークロプスは警備長の顔を鷲掴み、地面に叩きつけた。
「ガァアア・・・」
「くっ、耐えて警備長!こ、こうなったら・・・!」
「アルちゃん!?」
「アル様!?」
(一か八かよ!!)
アル社長は駆け出すと、警備長を押さえつけるダークロプスの頭を、愛銃のストックで思い切り殴りつけた。
「うちの!社員を!!離しなさい!!!」
背中をガンガン叩き付け、トドメとばかりにヒールで顔を蹴りつける。だが、ダークロプスは鬱陶しいとばかりにその足を払いのけ、倒れこんだアル社長の首を鷲掴んでゆっくりと引き上げた。
「社長!!」
社員一同が駆けつけようとするが、その前にもう一体のダークロプスが立ちはだかる。
「くっ・・・」
「あ、アル様!ごふっ」
ハルカが社長を助けようと飛び出るが、それを何事もないかのようにダークロプスが立ちはだかり、その拳をハルカの腹に突き刺した。意識が飛ぶ様な衝撃を受け、銃を落として倒れこむハルカ。それを見た2人が駆け寄ろうとするが、ダークロプスは頭部のスラッガーを抜いて制止を掛ける。
「は・・・は、る・・・か・・・」
全員が苦々しく歯噛みし、動けない。
無機質だが冷徹な視線に、しかしアル社長は最後まで睨み返す。何もできない、だが、その抵抗は無意味ではない。
「ガァアア!」
ミクラスが間に合った。社長を掴んでいたダークロプスを殴りつけ、倒れ伏したロボットをホシノのショットガンが頭部、胸と順番に穴をあけた。
「お待たせ。こっちは終わったから助けに来たよ」
「はぁ、はぁ・・・あ、ありがとう。助かったわ」
「食らえ!!」
「えいやー!!」
ムツキとカヨコを脅していたダークロプスも、シロコとヒフミの鋭い飛び蹴りで、勢いよく弾き飛ばした。便利屋が視線をアビドスへ向けると、そこにはもはや原形もとどめないほど穴の開いたダークロプスの残骸が転がっていた。
「あ、あなたたちは?」
ホシノに手を借りながら起き上る社長はそう尋ねる。
ホシノは腰に手を当て、芝居がかった口調をしながら、ヒフミをビシッと指をさして言った。
「よくぞ聞いてくれた!我らがリーダー、ファウストが率いる!」
「えっ、えっ!?ファウストって、わ、私ですか?リーダーですか?私が!?」
「覆面水着団です!そして私は、クリスチーナだお♧」
「いや何それ、いつからそんな名前付いたの!?それにダサすぎ!」
セリカの突っ込みに、ちょっぴり傷ついたノノミだった。
アル社長は警備長を起こそうと肩を貸そうとするが、どうやらキングオブモンスは相当頭に来ているようだった。
警備長は社長の手を優しく断り、両手で地面をたたいて跳ね起きた。
「ガァアアアアアア!!!!」
キングオブモンスはまだ残っているダークロプスに向き直る。奴は光線の構えを取っている。ただのロボットの光線なぞ、俺は負けない。
紫の光波と、紅い稲妻がぶつかり合った。ぶつかり合った余波で衝撃波が発生する。威力は拮抗し、お互い譲らない。ロボットのエネルギーはどの程度かわからないが、強力とはいえ消耗した警備長と互角だ。それ相応の威力があるのだろう。
「社長、これ」
「課長・・・」
「次は外さないで」
カヨコが落ちていた社長の銃を手渡した。
社長は不敵に笑うと、左手でグリップを握り締め、銃口をダークロプスに向けた。
「大丈夫よ。片手でも命中させてあげるわ」
ズガン!
巨大な爆発が発生し、ダークロプスたちは完全に機能を停止した。
「さて、今のうちに逃げるよー!!」
『皆さん、準備したトラックに!便利屋の皆さんも!!』
「ゼットン!!」
「え、先生が運転するの!?」
返済車ごとトラックの荷台に突っ込み便利屋をその後ろに突っ込んだ。キングオブモンスは赤い球となり社長に抱えられ、ミクラスはいつの間にか姿を消していた。
「何か成り行きで私も皆さんも付いてきてしまいましたが、どうしましょうか」
『周囲のカメラなどの電源は切っておきましたので、バレることは無いと思いますが』
「車ごと持ってきちゃったねぃ・・・どうしようかこれ」
「何で私たちまで・・・。ああ、この先クライアントにどうやって説明すればいいのよ・・・!」
「そう言えば何であんたたち、あんなところにいたのよ」
そう言えば何故あんな所にいたのか。ブラックマーケットを拠点にしているとは聞いていたが、いきなり銀行を爆発させて出てくるなんて、なかなかの悪党っぷりである。
「社長の口座が凍結されてね。怒った警備長の一撃で見ての通りだよ」
「くふふ、でもでもあの銀行員の顔!思い出してもスッキリしちゃう」
ブラックマーケットをでてアビドス郊外まで戻ってきた。車と便利屋を降ろし、書類を持って学校へ帰還する。今までの中で一番の大仕事だった。アヤネちゃんの作戦準備から先生のサポート、今までで一番働いた。
「ただいま~。アヤネちゃん、お土産の書類とたい焼きだよ~・・・って」
「うわ、アヤネちゃん。いい加減それ外しなよ」
のそのそと部室に帰ってきた対策委員会のメンバーを出迎えたのは、目出し帽をかぶったままのアヤネちゃんだった。
「え?はっ・・・!」
「ピポポポポポ・・・」
「先生、笑わないでください」
恥ずかしそうにするアヤネに各々声をかける。
さて、作戦会議の時間だ。
「結論から言いますと、カイザーローンとヘルメット団は密接な関係にあると見て良さそうです」
「資金の流入に兵器購入までしっかり書いてありますね。それにこっちは工業関連から・・・掘削機?」
「それに関しては十中八九、プラズマソウル目当てとみて間違いないです」
「学校の利権を脅して奪い取って、プラズマソウルでエネルギー産業まで独占しよっての?本当にムカつく!!」
アビドスの返済をそのままヘルメット団の資金にし、学校を奪い取ってプラズマソウルを確保する。なるほど、それが目的か。エネルギー資源となることが分かった途端に、今までの借金返済が苛烈になったと聞くし。
だが、どうしてそこまでプラズマソウルを狙うのだろうか。
そんな先生の考え事を他所に、いびきをかく怪獣が一匹。
「ん、ゴモラが拗ねて起きくなってる」
「わぁ、すごい綺麗な角ですね・・・うん?」
ヒフミがゴモラに近づいた時、やや眉を顰めて首を傾げた。
「ん?どったのヒフミちゃん」
「ああいえ、この角に似た緑の石を、ブラックマーケットで見かけたような・・・」
ヒフミの言葉に、ガタンとホシノが立ちあがった。
「それ、本当?」
「ええっと、詳しくは・・・と、記憶が定かではないのですが、こぶし大ほどの結晶を見かけた記憶があります」
「どこで?」
「ごめんなさい、そこまでは」
申し訳なさげに頭を下げるヒフミだったが、それに対し対策委員会の全員は、神妙な面持ちでお互いの顔を見合わせていた。
どうやら、物事は思ったよりも良くない方向に進んでいるのかもしれない。
風呂敷を広げすぎた気がします。
がんばって纏めるので、ゆっくりお付き合いください。