祈本リカの乙骨シンジ育成計画   作:NARです。

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続きませんが、なんかいつの間にか二話目もあったので投稿します。


リカ VS サキエル

第三新東京市へと侵攻していた使徒、サキエル。多少の妨害はあれど凡そ順調と言える歩みを見せていたソレは、目的地まであと一歩と言うところでエヴァンゲリオン初号機にその進路を阻まれた。だが、歩くことすら満足にできない初号機はサキエルの障害足りえなかった。サキエルはこれまでの道中でのやり方と同じように降りかかる火の粉を払う。初号機は一方的な暴力に晒されてしまっていた。

そんな初号機の絶体絶命のピンチにぬっと現れて救ったのは、形容しがたい姿をした悍ましい化け物であった。

 

初号機のエントリープラグ内に搭乗していたシンジは、サキエルの攻撃から救ってくれたその化け物の背中を見て、ある少女の姿を幻視した。

 

「リカ、ちゃん?」

 

遅れてシンジはハッとする。なぜあの怪物を見て、大好きだった幼馴染の名を口にしたのか?その理由が分からず混乱するシンジだったが、混乱しているのは彼だけではなかった。

 

「未知の高エネルギー反応を確認!!」

「パターン照合不能!!」

「MAGIは回答を保留しています!!」

 

「使徒じゃない?だったら、アレは何だって言うの!?」

 

「碇……これは一体……。」

「……なにがどうなっている。」

 

人類の未来を守るために戦っている大人たち、或いは自分達の悲願のために戦っている大人たちは、現場で起こっている状況に対して言葉を失っていた。

 

そうして大人も子供も呆然としている間に、その得体の知れないナニカはサキエルに組み付き、サキエルが初号機にしたようにその黒く細い腕を鷲掴みにした。

ミシミシとサキエルの腕から嫌な音が響く。

そして____

 

 

__グシャッ!!

 

 

今まで猛威を振るっていたサキエルの腕はいとも容易く握り潰された。

噴き出た血で手を赤く染めたナニカは巨大な口をニマニマと不気味に歪めた。

 

『はあっ!キレイ!リカ、キレイなの好きぃぃぃぃいいい!!!!』

 

”リカ”_おそらくそれがナニカの名前なのだろう。リカは狂気に満ちた笑みを浮かべるとサキエルの仮面のような顔を掴み、そのまま力任せに引き剥がした。ベリィッ!!と剥がされた仮面の下から血が噴き出し、リカの顔を赤く染めるがお構いなし。むしろ水遊びを楽しむ子供の用に声を弾ませ、サキエルの肉体を両手で掘り返していく。

これにはさすがのサキエルも耐えかねたのか、皮膚の下が丸出しになった顔の眼孔から光を撃ち放った。

カッ!!と瞬いた光は軌道上にあったものを破壊しながら突き進み、対使徒専用迎撃要塞都市である街の中に光の十字架を刻み込んだ。

 

しかし驚くことに、直撃を受けたはずのリカは傷一つない身体をサキエルの眼前に晒した。

 

『眩しぃぃぃいい!!』

 

リカは顔(?)に青筋を浮かべ、握り拳を振りかぶってサキエルの血塗れの顔面に振り下ろした。

その瞬間、リカの拳はサキエルの眼前に現れた光の壁に阻まれた。

一体何が起こったのか、それを知るのは発令所にて戦局を見守っていた大人たちである。

 

「ATフィールド!?」

「アレがある限り、私達は使徒に攻撃できない!」

 

赤木博士の言った通り、ATフィールドという障壁が存在する限りは砲弾もミサイルも、人類の切り札であるN2爆弾でさえも使徒に有効打を与えることは叶わない。その理不尽を覆すことができるのは、同じくATフィールドを展開可能なエヴァンゲリオンであり、シンジの乗っている初号機である。シンジが初号機を操作してサキエルのATフィールドを中和しない限り、リカの拳はサキエルには届かないだろう。

 

しかし、その常識が今、覆る。

 

「アンノウン、ATフィールド展開!!」

「使徒のATフィールドを中和しています!!」

「使徒でもエヴァンゲリオンでもないのに、ATフィールドを!?」

 

なんと、使徒とエヴァンゲリオンしか持ちえないと考えられていたATフィールドを正体不明の怪物までもが展開したではないか。さらに、リカはATフィールドを展開しながらサキエルのソレを中和し、不可侵であるはずの壁に穴を開けようとしていた。

その光景を初号機の中から見ていたシンジ。彼はただ見ていることしかできなかったが、突如頭の中に響いた声に彼は目を丸くした。

 

『ゆるさない!お前は絶対許さないいぃぃい!シンジの受けた痛み、100万倍にして返すぅぅう!!!』

「ッ!?この声って……。」

 

それはとても聞き覚えのある声だった。鈴の鳴るようにきれいな声は、間違いなく彼の幼馴染であり、3年前にこの世を去ったはずの少女の声だった。

「え?喉枯れそうなくらいめっちゃ怒鳴ってるけど分かるの?」と思うかもしれないが、どうやらシンジはそんな声でも十分わかっちゃったらしい。まさか彼の幼馴染はガキ大将か何かだったのかと嫌な推測が過ぎるかもしれないが、真実は彼のみぞ知るところ。とにかく、シンジは身を乗り出してサキエルに怒鳴り散らしているリカへと呼びかけた。

 

「リカちゃん!!リカちゃんだよね!!僕だよ!碇シンジだよ!!」

『__!シンジ?』

 

喉が張り裂けんばかりのシンジの呼び掛けにリカが反応し、ぐるりと初号機の方へと振り返った。その隙にサキエルは身を起こしてリカを迎撃しようとしたが、それよりも早く気づいたリカがサキエルの顔面に全力パンチを喰らわせ、その巨体を遥か前方にあるビルにめり込ませた。

 

『邪魔するなぁぁああ!!……シンジィィ!どうしたのぉ?』

 

邪魔者を排除したリカは、先ほどまでとは打って変わってシンジに寄り添うような柔らかな声を出した。そうして初号機の顔に近づいてきたリカとシンジは、エントリープラグ内の画面越しに見つめ合った。

しかし、正面から見つめ合ったことでシンジはリカの姿をより正確に視認し、記憶の中の幼馴染の姿とはあまりにかけ離れているという事実を強烈に叩きつけられた。そのショックでシンジは顔を青褪めさせ、目の前の現実を受け止めきれない様子で声を震えさせた。

 

「リカ、ちゃん?」

『なぁにぃぃい?シンジィ?』

「は、はは、初めてだ、こんな夢。リカちゃんは、こんな…………。」

 

それから先の言葉をシンジは口に出すことなく飲み込んだ。それは再会を願ったはずの幼馴染を否定する言葉だったからか、それとも得体の知れない恐怖に気圧されたからか。シンジは悪い夢でも見ているかのように頬を引き攣らせ、溜まりに溜まったストレスによってプツンと意識が途切れた。

目から光を失い、両膝を抱え込むような姿勢で停止した初号機。突然シンジの声が聞こえなくなり、リカは不思議そうに首を傾げた。

 

『シンジィ?寝ちゃったのぉ?』

 

そう呟きながら初号機の顔を覗き込むリカ。だが次の瞬間、何故かリカはビキリと青筋を浮かべ、拳をギュッと固く握った。

 

『リカ、お前、嫌いぃ。……でも、リカはイイ女だから、今は壊さないでいてあげるぅ。そのまま、指を咥えて見ててぇ。』

 

リカは力んだ拳を開いたり閉じたりして怒りを霧散させると、停止した初号機の折れた手をそっと撫で、ボンヤリと白く輝く光を当てた。その光は初号機の折れた腕を癒し、腕は元通りになっていた。

 

『おやすみぃ、シンジィ。あとはリカに任せてね?』

 

リカは幼子を宥めるような優しい声色でそう告げると、振り返って吹き飛んでいったサキエルの方へと向き直った。態勢を立て直したサキエルはジリジリとリカと初号機の方へと向かっており、一定の距離で足を止めた。

刹那、サキエルが再生した左手を素早く持ち上げて構え、光の杭を撃ち出した!リカは不意打ち気味に放たれた一撃を首を捻って躱し、そのまま地を這う蛇のような低姿勢からサキエルへと肉薄する。

サキエルは迫るリカを仕留めようと、敢えて構えずにいた右手から光の杭を撃ち出した!下からサキエルの胸目がけて強襲を狙っていたリカは光の杭へと巻き付き、そこからサキエルの腕、そして背中へと移動をして完全な死角を取った!

背中に回られたサキエルがどうにかしてリカを引き剥がそうともがいている間に、リカは鋭い爪の生えた右手をナイフのように構え、サキエルの背中の中心目がけて深々と突き刺した!

 

___ドシュッ!パキィィィ!!

 

サキエルの背中を貫通したリカの爪はそのまま真っ赤な宝石のようなコアを捉えた!ブチブチと嫌な音を立てながらコアと身体が剥がされていき、最期を悟ったサキエルはせめてリカを道連れにしようとコアのエネルギーの臨界点を突破させようとし___

 

___その前にコアはリカの流した謎のエネルギーに侵食されて完全に破壊された。

 

 

 

「パターン青、消滅…………。」

「使徒、完全に沈黙しました…………。」

 

オペレーター達は、今さっきまで忘れていた自身の職務を思い出したかのように状況終了を報告した。

こうして、人類と使徒、その種の存続を賭けた戦いは、誰も予想できなかった結果によって幕開けとなったのだった。




使徒と初号機の戦いに乱入したアンノウン。それは使徒を完膚なきまでに粉砕した。碇シンジはその姿に大切な幼馴染の幻影を重ね、ショックのあまり気を失った。
次に目を覚ました時、彼は見慣れぬ病室で再びその姿を見ることになる。
次回 3年ぶりの再会


次回とか言ってますが続きません。
書きかけをのんびり書いてますが続きません。たぶん。
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