【本編完結】転生したらヘラクレスの双子の妹でDie   作:セロ弾きのゴーシュ

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アンケートでいただいたものです
今回は導入のため、いつもより大分短いです


【生前編】娘にとんでもないところを見られてDie(前編)

 アドメーテーの最も古い思い出は、胎内より始まる。

 現代で言うところの絶対記憶症候群と呼ばれる特性を有していた少女の内には、知恵を育む以前の記憶も膨大に存在していた。

 

 溢れんばかりの記憶のなか、最初にして一等大切なもの。

 泡が割れないよう扱うが如く優しく掬い取り、ただただ眺める。

 それが、アドメーテーにとって生まれたときから続く大切なルーティンとでも言うべき決まりだった。

 

 胎児だったアドメーテーは薄暗く、血の味がする液体に満たされた狭い空間にポツンとある己を自覚する。

 視覚は当然にして、あらゆる感覚器官が未発達な身では、小さな世界の輪郭を掴むことすら叶わない。

 

(………ど、こ…?)

 

 体を動かそうと試みても、何か柔らかい壁に阻まれて碌に動けはしなかった。

 何か音を出そうにも、動作すらままならない胎児に為せることなどあるはずもなく。

 

 アドメーテーという少女は、間違いなく天才と呼ばれる類の存在である。

 その天才性故に芽生えた早すぎる情緒が、己自身を苛む。

 世界は狭く、暗く、恐ろしいものであると誤認しそうになる。

 

 極めて早熟であると同時に幼さが過ぎる人間性に、世界への恐怖という拭いがたい感情が刻まれる。

 だが、そのような未来を砕くものがあった。

 

 トン、トン、と僅かな衝撃。

 

 一人ではないと微笑みかける、優しさに包まれた刺激。

 次いで理由もわからずに安心してしまう、自分のものではない何かの音。

 

『ねん、ねんころりよ♪おころりよ♪』

 

『ぼうやはよいこだ♪ねんねしな♪』

 

 意味は何か、そも意味があるのか、分からない。

 それでも、込められた気持ちだけは痛いくらいに伝わってくる。

 いつの間にか、湧き上がりそうになっていた恐怖は霧散していた。

 

 同じ感情を持ったのは、アドメーテーだけではなかったようで。

 狭い狭い世界に、三つ目の存在が現れた。

 

『…ほう、異国の子守唄か?ミュケナイのものではないだろう』

 

 深く響く、低い音。

 種類が全く異なるにも関わらず、何故か同じように心が落ち着く。

 血の繋がりという答えを持ち合わせてはいなかった胎児の頃から、未来の英雄としての第六感が無条件に共通項を嗅ぎ取っていた。

 

『なんとなくで作ったものですから。深い意味がある訳ではないんですけど、どうでしょう?』

 

『…心の騒めきを穏やかに撫でるような、よい唄だ。私にも教えてくれないか』

 

『…思い付きの唄で良ければ、いくらでも』

 

 どうやら高い音と低い音を出す二つの存在は、とても近い間柄らしい。

 些細な気付きが、どうしようもなく嬉しい。

 所以も分からない情動を、アドメーテーはただ大切なのだと判断した。

 

 そこから、何度か繰り返すような調べがあって。

 ぴったりと合わされた、先ほどと同じ音が満ちていく。

 

『『ねん、ねんころりよ♪おころりよ♪』』

 

『『ぼうやはよいこだ♪ねんねしな♪』』

 

 やはり、意味は少しだって分からなかった。

 しかし、一つだけは理解できることがある。

 

 その一つを分かっていれば、あとは何もいらないのだろう。

 確信を以て、刻み込むように言葉を発する。

 

「____アタシは、のぞまれて、うまれてきたんだ」

 

 未だ数えにしてニ歳を迎えたばかりのアドメーテーは、古い記憶を全力で抱きしめる。

 愛しくて堪らない思い出が、欠片だって自分から離れていくことがないように。




〇アドメーテー
生まれる前から自己肯定感カンスト少女
セルフで忘却補正を有し、幸も不幸も決して忘れない

◯アダマンティア(バカ)
なーんか、腹を蹴られてるような感じがするなぁ
せや!胎教で歌聴かせたろ!
日本の歌でええか、どうせ誰も分からんのやし!

◯エウリュステウス(嫁バカ)
我が妻の歌を独り占めするのは勿体ない
楽士に頼んで市井にも広げよう

◯ミュケナイの民(素直)
何やこの新しい歌は!
ぜひ広めよう、そうしよう!

◯結果
ギリシャと日本で、歌詞の音とリズムがほぼ同じ歌が爆誕
偶然にしては出来過ぎであり、学者達が頭を悩ませている


モチベーションになりますので、感想等お待ちしています

次に書くお話として、どちらがいいかお答えください

  • 女神ヘラのお節介がない世界線 ※鬱注意
  • 娘目線から見た生前エウリュステウス夫妻
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