転生したらヘラクレスの双子の妹でDie   作:セロ弾きのゴーシュ

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永遠の美少女が爆誕してDie

 友達の衝撃の正体を知ってから、しばらく経って。

 オレの暮らしぶりは、心配していたほど劇的に変わるわけではなかった。

 兆しが欠片もない未来の旦那様のために花嫁修行を行い、こっそりと未来のために魔術を勉強し、時々脱走して遊ぶ。

 …両親目線だと喪女予備軍のニートなんだよね、ひどくない?

 

 しかし一つだけ、変化と言えるものがあった。

 件の友達であるエウリュステウスが、オレ宛に手紙をよこすようになったのだ。

 

 内容は今勉強していることや、家臣に対する愚痴、オレとの日々を懐かしむ内容など些細なことが多い。

 ただ雑談のようなものだけでなく、オレに対して知識や意見を求めてくるものが挟まっていることもある。

 どうやらアイツの中では、オレは知識が豊富で人を導く類の才を有した宰相的ポジションも担っているらしい…完全な買い被りだぞ。

 

『領主同士の主張が食い違っており、土地問題が解決しない。お前ならどこから調べるか、意見を聞かせてほしい』

 

(…エウリュステウスの野郎、オレを不動産屋か裁判所か何かと勘違いしてないか?こんなんオレが質問してーよ!)

 

 正直未来の国王の悩みに対して意見を出せるほど、オレは物知りなわけではない。

 でも、頼られては応えたくなってしまうのが、オレの悪い癖。

 ご先祖様が集めた本が積まれた倉庫をひっくり返したり、前世の知識を漁ったりした成果を送ることで、どうにか面子を保っている。

 

 他にも、エウリュステウスからの無茶振りに応えるのには理由がある。

 あんまりにも個人的かつ利己的な理由なため、アイツにはとても明かせないが。

 

『前回の手紙で相談した内容だが、無事に解決した。やはりお前は頼りになる。謝礼を同封した故、どうか役立ててほしい』

 

「毎回のことながら、律儀な人ですね。いえ、私と対等でいたいという意地でしょうか。…お礼を言うのは、こちらの方ですのに」

 

 オレは、この世に生を受けた時点であるべき歴史を歪めている。

 あるべきではない場所に、あるべきではない人間が居座っている。

 …これはきっと、とてもよくないことだ。

 そうわかった上で、オレは自害という選択肢をとれなかった。

 

 女として、家同士を繋ぐ役には多分立てない。

 魔術は未来のために秘しているから、何の役にも今は立っていない。

 死にたくないから、兄のような英雄になるために吹っ切れることもできない。

 生まれてからこれまで、オレはずっと宙ぶらりんの半端モンだ。

 

 どうしようもないオレのことを兄なら分かってくれるが、将来的にはずっと遠い人になる。

 そんなときに現れた頼ってくれる友達の存在が、どれだけオレの救いになっているか。

 アイツは知らないし、理解できないだろう。

 

(…あーやめやめ、余計なこと考えるのやーめた!承認欲求に飢えてるくらいなら、もっと考えることがあるでしょーが)

 

 湿っぽい話は抜きにして、平穏なのはいいことだ。

 最近は目標にしていた魔術の大筋ができて、暇を持て余すことも少ない。

 兄がケイローン塾を卒業して結婚するまでは大きなイベントはなかったはずだし、少しくらいは平和を楽しんでも許されるだろうさ。

 

 

 

 

 

 

(などと呑気になっていたオレの姿はお笑いだったぜ〜!…クソがよぉ、やっぱギリシャって碌でもないわ)

 

 平穏なんてヌルいものは、神の気まぐれ一つで容易く崩れ去る。

 久しぶりに実感した常識に、それでも内心で罵倒が止まらない。

 起きて朝の仕事をしようとした瞬間、頭の中に声が響きやがったのだ。

 

 お相手はオレたち兄妹にも深く関わった神霊であり、個人的これ以上関わりたくない神様ランキング堂々ナンバーワン____女神ヘラだ。

 

 いやー普段から心の中で神様に文句は言いまくってるけど、実際に前にするととても言えんわ。

 声だけなのに圧がスゴいもん、生命としての格が違う。

 それで彼女からの神託を聞くと、こう言うことらしかった。

 

・私が次期国王にしたエウリュステウスが最近すごく頑張っており、ミュケナイの民も「ヘラ様のご慧眼は確かだった」と信仰を更に厚くしている。

・褒美でもやろうとして望みを聞いたらかなり遠慮して、それでも聞き出したら「アダマンティアに見合う男になりたい」と言っていた。

・つまり嫁にしたいということなんだろうが、エウリュステウスが結婚適齢期(三十歳前後)になる頃にはお前の結婚適齢期がとっくに過ぎている。

・王にした男が超年増好きの変態とか沽券に関わるので、お前の肉体年齢を十五歳で固定したよ

・エウリュステウスは望んだ女と憂いなく結婚できる、お前は父親の代で追放されたミュケナイに戻れる上に死ぬまで若いまま、双方よしだね。

・アルケイデスの妹に加護など与えたくないが今回は特別対応、未来の夫に感謝しなさい。

 

(ふざけるな、ふざけるな!!バカ野郎ッ!!!)

 

 結婚を司る女神のくせに、男女の機微に疎すぎるやろがい!

 もしかしたら、エウリュステウスは恋愛感情を持ってるのかもしれんけども!

 明らかに、それがメインの感情ではないじゃろがい!

 というか思春期ボーイの繊細な感情を勝手に暴露すんなよ、次からオレはどう接したらいいんだよ!

 

 混乱状態の脳みそを落ち着かせるため、全身に魔力を通す。

 魔術的な身体検査の結果は、予想通りだが最悪の結果。

 

「…確かに肉体の代謝はそのまま、成長だけが止まってますね。代謝が止まっていないのは、子どもは産めるようにという気遣い、でしょうか…」

 

 女神の脅威のテクノロジー、カスのアンチエイジングすぎるだろ。

 久々に全身に浴びる男尊女卑っぷりに、思わずクラクラしちゃうぜ。

 

 因みに両親には相談してみたが、二人とも心から喜んでたので愚痴るに愚痴れなかったよ…。

 まぁ普通に考えて、娘が生まれから睨まれていた女神直々に加護をもらうなんて、めでたい以外に言うことないんだけどさぁ。

 ついでに一国の王という特上の嫁ぎ先が見つかったのだ、実際に嫁に行くのはまだまだ先とはいえ、娘の将来が決まって一安心といったところだろう。

 純粋な子を想う気持ちで喜ばれると、そこに冷や水浴びせる気にはなれない。

 

 しかし、いつまでもウジウジしてはいられない。

 過去と現在は変えられない以上、未来を考えるしかないのである。

 

 そう切り替えようとしたオレの耳に、家の中を爆走する轟音が届く。

 音の方向に目を向けてみれば、そこには数年ぶりの兄の姿。

 うわーでっかくなってる、成長期が過ぎるだろ…ではなく、なんでいるの?

 

「アダマンティアッ!!」

 

「兄さま!?今はケイローン様のところにいるはずでは…フギュ!!」

 

「女神ヘラから神託があったと聞いて、先生に許しを得て戻ってきたのだ!!」

 

 嘘だろ大英雄すぎるだろ、なんで半日足らずで戻ってこれてんの?

 それと思いっきりハグしてくんな、普通に死ぬわ!

 命の危険を感じて背中を必死にタップすれば、兄は急いで離れてくれる。

 

 純粋に心配してくれているんだろう、その気持ちはすんごく嬉しい。

 オレも兄も、色々とヘラには迷惑を被ってるしな。

 

「…すまない、取り乱した。それで、お前に大事はないか?」

 

「異常なし、とは言えませんね」

 

 オレは、素直に経緯と自分の状態を話すことにした。

 話が進むごとに顔色が青くなり、唇を血が出るほどに噛んで悔しさを隠さない兄。

 その反応が、不謹慎だがオレにはありがたかった。

 

 神霊からの加護は、この世界では喜ばないこと自体が不敬だ。

 平伏し、狂喜し、一族全てで祝うようなもの。

 碌でもないという認識は異端であり、それを共有できる存在は貴重も貴重なのだ。

 

「…不在の間、多くの試練があったのだな。私はお前を誇りに思う。よくぞその全てを乗り越えた」

 

 話が終わると、兄は今度は優しくオレを抱きしめる。

 数年会わないうちに身長は二メートルを超え、オレの頭二つ分は大きくなった英雄の姿。

 ただその逞しい身体と声は、決して喜びではない感情で震えていた。

 

 この世界では、神を貶すような言葉は禁句も禁句である。

 たとえ余計なお世話だと思おうと、大切な家族が被害に遭おうとも、だ。

 兄もまだ十五歳の男の子、色々と言いたいことを必死に抑えてるんだろう。

 

 …オレが、しっかりしないと。

 見た目は美少女でも、中身は大人なんだ。

 精神年齢的にはアルケイデスは弟なんだし、ちゃんとした姉をやらねーとな!

 

「…せっかく帰ってきたんです。色々と話をしませんか、兄さま?」

 

「アダマンティア…」

 

「本当なら、修行を終えるまで会えないと思っていたんですもの。これも女神ヘラのお導きですよ、ね?」

 

 オレからの言葉に、兄は一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべる。

 それでも心意気を汲んでくれたのだろう、少しだけぎこちないが笑みを作ってみせた。

 

 できた兄で弟だよ、ホント。

 …アルケイデスも、エウリュステウスも、神話だけでは知らなかったいい所だらけだ。

 オレはオレの命が惜しいけど、二人のことは意地でも守ってやりたいと思う程度には。

 

「…そうだな。こちらも話すべきことが多くある」

 

「ですよね。何せ数年ぶりですから!」

 

「ああ。____特に未来の夫だというエウリュステウスについて、お前の口から聞かせてもらおうか」

 

「OH…」

 

 ごめん、言ってすぐだけど片方は守れないかもしれんわ。

 エウリュステウス、死んだんじゃないか?




エウリュステウス
「普段は気安い男友達の距離感で、情けないことを言ったときはバシッと発破をかけてくれる幼馴染系男装美少女、いいよね…。アイツの隣に相応しい男になれたら、そのときは…」

ヘラ
「しょうがないにゃあ…(年齢固定(当然同意なし(善意」

エウリュステウス
「ありがとうございます!(違う、そうじゃない)」

アダマンティア、アルケイデス
((ふざけんじゃないよ!))


・アダマンティア
ゼウスの血を引きヘラの加護を宿す、神話的にヤバい奴
大人としてしっかりとほざくが、メンタルは一番脆い
所詮現代人だからね、しかたないね
兄と友がいない場合、現時点で自害もできず廃人になる


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