昨日と明日の私によろしく   作:アロエロアッソ

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間が空いたのでたぶん内容に矛盾があります。
一万字ほど載せたら修正するかもしれません。


四話、一年生と他称一年生

 退屈な入学式。奥様方の式の最中のおしゃべり、我が子を収めんとする父親たちの手元に鋭く光るファインダー。マナーくらいは守ってほしい。子供に戻ってから実感するが、こういった場でのマナーは、子供の頃はみんなが持っていたものだ。いつから失くしてしまうものなのか、すこし心の中で嘆いてみたり。

 

 ぼうっと座っているだけで特にやることもない。呼ばれたら返事をして、話を聞き流すだけ。

 だから私は、現状について考える。他人に怪しまれない程度に痕跡を残しつつ、一向に現われない私の親。うんざりしてはいるが、何故かすんなり通ってしまった入学手続き。疑心はつのるばかりだ。

 

 一体何がどうなっているのだろうか。小学生の成り損ないのような年齢の子供が、気の向くようにそのまま暮らしている。まるでそこいらの大学生かアクティブニートのようにふらふらしては散財だ。しかし、誰からも何のアプローチもない。月に一定額振り込まれるお金。通帳、印鑑といくつかの証明書類は自室の机の上に並べてあり、パスワードは昔の記憶通り。

 親は前述の通り、家に住んでいるが、仕事に出かけているという痕跡だけを残して姿を見せない。それでいて必要な書類には勝手に印鑑やサインが押されて郵便受けに放り込まれているのだから全く用意周到なことだ。

 

 始めは、単なる人生のやり直しだと思っていた。

 しかし、どうにも事情が異なるようだ。都合のいい舞台を整えて、私がどういった反応をするか試されているようにも思える。大規模な思考実験、とでもいうのか。どこまでが統制された情報で、どこからが操作された情報なのかはわからないが、SFかファンタジーなのか、はたまた現実的な倫理観の欠如した記憶のインプリンティングというやつなのか。少し考えて見る必要がある。

 

 例え誰かの手のひらの上でも、このささくれだった気分くらいは紛れてくれるといい。

 

 そこそこプログラムが進んだ入学式。いつの間にか、広い体育館の壇上には金髪の新入生――まぁ、同学年生か――が少し緊張した様子で佇んでいた。やや早口と言えたかもしれないが、はっきりとした口調で進んでいく挨拶。これは新入生代表なんとやら、というやつか。

 私は頭を動かさないで、視線を周りにやってみた。小学1年生というやつは、こういった場にあってもおちつかないものだ。見渡せる限りの3分の1ほどはきょろきょろしたり周りにちょっかいをかけていたが、残りの新入生は代表の方を黙って見ている。

 年齢の割に落ち着いているのは、頭の出来からか、壇上の彼女の挨拶の出来からか。どちらにしても、静かでまじめそうな低学年がここまで一堂に会する場面というやつも、生涯初というやつなのか。

 

 凝り固まった脳内と首をほぐすように、私は少しぐるりと頭を回した。

 




 ひとまず、頭を回した先にミニツインテールが映ったがやはり気にもしないで彼女は再び思考の海におぼれていった。記念撮影でもう一度見かけた時には、頭の片隅くらいには残ったのだろうか。
 どちらにしても、後日手元に届く写真ほど明瞭には記録されなかっただろう。
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