うす汚ねェクルタ族の血を増やしてやるし!   作:黒岩

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ハイシン×ト×ケイトウ

 アイチューベって知ってる? 動画を投稿できるSNSなんだけどさ~最近超流行ってて。流行りに敏感なあーしとしては触れざるを得ないんよね~。

 

『こんぴか~~♪ 今日もぴかぴかに輝く配信始めてくよ~!』

 

【こんぴか~!】

【こんぴか~!】

【今日もかわいい】

【今日は何するの?】

 

『今日は雑談と自慢! 色々話したいことがあってね~。ほら見て! この間手に入れた世界に1つしかない幻のフィギュア!! “孤独少女アリア”の主人公! 最終話特別衣装の特注アリアちゃん!! ほら1分の1スケールだよ!? やばない!? めっかわじゃんね!? すごいっしょ!?』

 

【でっっっっっ】

【並ぶと色々でっっっっ】

【ピカと変わらんやん。色んな意味で】

【幾らするの?】

【手に入れたのお前かよ……!! オレも欲しかったのに……!!】

 

『でかいっしょ~。ちな値段は130億ジェニーくらいだったかな~。ネットオークションで落札したんだけどギリギリまで競ってくる人がいたんよ。もしかして“キルミー”ちゃんも競ってた? アッハー♡ オタクくんどんま~い♡ 手に入れたのは残念! あーしでした~♡』

 

【こっっの……!! ニワカのくせに……!!】

【いい笑顔】

【わからせたい】

【わからされたい】

【オタクくん羨ましい】

 

『え~ニワカじゃないよ? あーしも超オタクだよ? これまで出た絶版の漫画やゲームも全部持ってるし超好き!! 置き場所に困ってるからコレクションハウス作って人雇って管理してもらってるくらい』

 

【ぐっ……】

【これにはぐうの音もでないオタクくん】

【羨ましい】

【今度そこも見せて】

【ピカちゃんもオタクなのマジ熱い】

【興味深いね♥】

 

『今度そこも見せんね~。でも今日はいつも通り簡単に料理しながら好きなこといっぱい話すからみんな聞いてってコメントしてって~! お、ポイポイナイス~。あざまーす♡ ──で、まずこの間の“デスノート”の最新話なんだけど……』

 

 ──ってことであーしはたまにそのアイチューベで配信したり動画投稿したりつぶやいたりしてんのよね~。あ、もちろん名前はスピカじゃなくてピカちゃんだし顔や声、見た目は専用のアバターだし配信場所は“Ristorante G.A.L”の中の事務所(ってかほぼあーしの部屋)。プロハンターとして身バレや居場所特定。知り合いのネットに強いハンターに頼んでセキュリティもしっかり。

 それでも悩んだけどやってみたい欲が抑えきれなくてさ~。せっかくハンターサイトでもあーしのデータは出ないように大金払ってるのにどうかと思ったけどね。やりたいことを我慢してたらハンターの意味がないじゃんね?

 そしてやってみるとやっぱ面白い。アイチューベは最近出たばっかりだからまだ全然浸透してなくてマニアばっかりなのがちょうどいいかなー。1年もしたら大流行しそうな予感。

 

 ちな内容は基本料理と雑談。たまにゲーム。あーしがたまーに好きなこと話すためだけの場所だけど結構人気で見てくれてる人も多いんよね~。

 

 ──っと。配信終わり~。さーて、今日も修行を見てあげますか~。

 

 あーしは1時間ほど配信したところでレストランを出てウイングちゃんたちの宿に直行。そこで念能力者の先達として軽く講師をしてあげる。

 

 まず念能力には6つの系統があるのは念能力者なら大抵の人が知ってるよね~。

 いや中には知らない人もいるけどさ。この間あーしが雇ったサダソとか天空闘技場の闘士みたいに。突然念能力に目覚めて師匠もいなくて自己流で念を鍛えた人は知らないかもだけど念能力者の殆どは誰かしらから教えてもらえる。プロハンター。心源流とか有名な流派。大国の軍隊。裏社会の組織。そういう組織に属してたら大抵は既に念を使える人がいて念に関する情報も持ってるからね~。一般人は知らないけど意外とあるところにはある。それが念と念能力者じゃん。

 

 で、6つの念の系統の内訳だけど……あーしはそれを自分の弟子や他の子達に説明する。

 

「強化系は比較的ノーマルでいちゃらぶ好き。変化系は少しマニアック。SMプレイ好き。放出系はオープンスケベでおねショタ好き。具現化系はむっつりスケベ。隠れ変態でNTR好きが多いかな~。操作系はオープン変態で催眠好き。道具も使う。特質系は他人に理解されない特殊性癖のド変態。──わかった?」

 

「いやわかんねーよ!! 何の話だ!?」

 

「オーラ別性癖診断だよ。さ、水見式やってみて」

 

「その説明の後に言われても全然やる気おきねーな……」

 

「SM? NTR? どういう意味?」

 

「オレも知らねーよ。でも多分エロいことだ」

 

「やっぱり修行もスケベっす……」

 

「……(スピカさんの考え方は参考になると講師を頼んだのは間違いでしたか……)」

 

 ウイングちゃんの借りてる宿の一室であーしはホワイトボードを前に六性図を書いてレオリオくんやみんなに説明する。ゴンくんにキルアくん、ズシくんもみんな発の習得の段階に入ったので合同説明会だ。

 なおウイングちゃんと一緒にちゃんの各系統の力は真面目に説明したから今から水見式をやるだけだ。先にウイングちゃんが実演してくれる。

 

「水がすごい勢いで増えてる!?」

 

「水の量が変わるのは強化系の証。私のオーラが強化系の性質に属していることを示しています。そしてスピカさんは……」

 

「ごめん。あーしは水見式やんなくていいかなー。放出系って水の色変わっちゃうからこの中の誰かが放出系だったらわかりにくくなるっしょ?」

 

「ああ、なるほど。わかりました。なら4人共試してみなさい」

 

 あーしにも水見式やるように言ってきたけどあーしあんまり水見式って好きくないんだよね~。ま、弟子に説明するためなら1回くらいやってもいいかなって思ったけどウイングちゃんがいるなら任せればいいし。

 そんで4人は順番に水見式を始めた。最初はゴンくん! 

 

「お! ゴンも強化系か」

 

「強化系は強いよー。戦闘面では一番バランスがいいからね~。ところでゴンくんが増やした水、買うから飲んでいい?」

 

「え? 普通の水なのに? 別にいいけど」

 

「いいわけねーだろ。許可出すなゴン」

 

 ゴンくんは強化系! 次はズシくん! 

 

「葉っぱが動いてるっす!!」

 

「葉が動くのは操作系の証です」

 

「操作系は工夫しがいあるよー。ところでズシくんが動かした葉っぱ貰っていい?」

 

「まだ水見式が残ってるのでダメです」

 

 ズシくんは操作系! 次はキルアくん! 

 

「次はオレか。……なんも変わんねーぞ。もしかしてオレって才能ねー?」

 

「いえいえ水を舐めてみてください」

 

「……!? 少し甘い……かな?」

 

「ほんとだ。これただの水じゃないの?」

 

「ごくごく……ぷはーっ。ほんとだキルア水うっっっっま。美味すぎん? 一杯10万ジェニーでどう?」

 

「普通に飲んでんじゃねーよ!! ほんと気持ち悪ーな!? そう言うんならガチで払えよ!!」

 

「今から振り込むね。口座教えて」

 

「……水の味が変わるのは変化系の証です」

 

 そしてキルアくんは変化系! 美味い! もういっぱい! 現金ないからキルアくんの口座に10万ジェニーを振り込むぜ! 

 

「よーし最後はオレだぜ! ……うおっ、水の色が変わった!? 何系だ?」

 

「水の色が変わるのは放出系です」

 

「……………………」

 

「オレにも何か言えよ!! 一応直弟子だよな!?」

 

 そしてレオリオくんは放出系だった。あーね。まああーしと同じなら一番教えやすいかな。

 

「これで4人のオーラがどの系統に属するかわかりましたね。これから4週間はこの修行に専念し、今の変化が顕著になるよう鍛錬を続けなさい」

 

「レオリオくんも帰ったらやるようにね。──はい振り込んだから確認して」

 

「お、おう」

 

「マジで振り込まれてやがる……(ちょっろ。これで10万……水くらいならやってもいいかもな)」

 

 ってことで今日からは発の修行。なのでここからが本番じゃん。基本の四大行ってマジで大事だからな~。あーしも今でもちゃんとやってるし。応用技や系統別修行と一緒に日課として取り入れるだけでず~~~~っとお肌ぴちぴちで体型も維持できるし強くなれるし良いことしかない。

 

 ──ただこれだけじゃなくウイングちゃんにちょっとだけ見てあげるよう頼まれてるからかる~く講師になってあげないとね。レオリオくんが勉強してる時は他の仕事もあるけど暇な時も多いし。

 

「あんたに聞くのは癪だけど……変化系ってたとえばヒソカとかあのサダソって奴以外にどんなことできんの?」

 

「ん~やりたいことをやるのがいいよ」

 

「いやそういうことじゃなくてさ。将来能力を作る時の参考までにどんなのがあるのかって聞いてんだけど」

 

「あんま他の人の能力を教えるのもな~。それにね。系統に沿った能力にした方が強いって聞いた後に言うのもなんだけど系統に縛られすぎんのもどうかな~ってあーしは思うわけ」

 

「どういう意味?」

 

「うん。たとえばね、ゴンくん。ゴンくんの好きな食べ物ってなに?」

 

「え? なんでも好きだけど……そうだなぁ、魚とか?」

 

「へぇ、お魚か~。じゃあお魚を好きなだけ食べたいと思ったらお魚を効率良く手に入れられる能力がほしいと思わない?」

 

「……たとえば釣り竿とか?」

 

「そうだね~。お魚が食べたいから魚を手に入る能力がほしい。そうなったら実際に釣り竿を買ってそれを操作して何らかの能力を付与する。あるいは特殊な能力を付与した釣り竿を具現化する。そういう方向性もありじゃん?」

 

「けど自分に合ってないと弱くなんだろ?」

 

「それも考え方次第。やりたいことがあってそのために欲しい能力があるならね。念はその個人が執着してたり好きなものの方が作りやすいし強くなりやすい。操作系なんかが顕著だけど自分にとって愛着のある道具を使うことで能力を強くしたり使い勝手が良くなったりが操作系あるあるってカンジ」

 

「愛着のあるもの……」

 

 修行の休憩中。ゴンくんとキルアくん、ズシくんたちに軽く話してあげる。ウイングちゃんが教える念においての基本とは少し違う考え方の話。あくまでそういうケースもあるという前提でね。ズシくんは操作系だからちょっと考えてるのがきゃわたんじゃん。ゴンくんも素直だしキルアくんもなんだかんだちゃんと聞いてくれる。推せる。あーしの周りに可愛い少年が3人。ここが天国かな……。

 

「まー効率を考えるなら自分の系統にあった能力にした方がいいけどねー。色々言いはしたけど結局その方が強いし」

 

 そう締めくくる。あんま一度に詰め込みすぎてもねー。制約と誓約も重要な要素だけどみんなまだ発の修行を始めたばっかりだし、今回の授業はこれくらいで。……あーし学校の先生になりたいな……それも小学校高学年の先生……尊敬されるし可愛い少年に囲まれて……絶対ないけどハンター廃業したらやってみるのもありかもね。

 

 ──ただそれ以上はちょっとねー。いやいいんだけどさ~。ちょうど念系統の話とか基本の話しなきゃいけないのは他にもいるし。あーしは天空闘技場にある個室で今度は2人に授業と実験をする。

 

「す、スピカさん。今日はたこ焼きを作って焼いてきました」

 

「おっつ~。結構売れた? 子供とかに大人気っしょ?」

 

「はい……見えない料理は物珍しいみたいで。それに一応200階闘士がやってる屋台ということでその意味でも人が結構いて疲れました……」

 

「あーねー。あーしの読み通り──あーむっ。んん……それにあーしのレシピだから焼き加減さえ間違えなきゃ味も間違いないじゃんね! 褒めてあげるよサダソっち」

 

「ありがとうございます(サダソっち……?)」

 

「つーかなんでこいつが一緒なんだよ!?」

 

 あーしの個室でサダソっちが焼いたたこ焼きを摘みながらあーしはレオリオくんがサダソっちに指を突きつけてるのと適当に見る。まーズシくん人質に取ったのはげきおこだしマジ許さんってカンジだけどそれはそれ。今はもうあーしの会社で雇った社員だし、ちゃんと人として扱ってあげんとね。

 

「まー雇っちゃったんだから仕方ないじゃん? あーしこう見えて社長やってる系のギャルだからちゃんとしてんだよね~。だから社員が念の基礎をあんまり知らないままは可哀想だし、ここのところ空き時間でレクチャーしてあげてたんよ」

 

「マジか……人質取るような奴と一緒に修行かよ……」

 

「す、すまなかった……」

 

「チッ。……ズシには謝ったのかよ」

 

「ああ……全員で謝らせてもらった」

 

「そうか。ならオレがぐちぐち引きずるのもちげーな。……だけどな! もう1回同じことをしたらオレはまたお前をぶっ飛ばすぜ! 肝に命じとけ!」

 

 おお~。レオリオくんはさすがはっきりしてんね~。あーしもそのタイプだから気持ちはわかる。サダソっち気まずそ~。あーしはもう散々こき使う予定だからおこじゃない。ってか本気で怒ることってあんまないからね、あーしは。

 

「そんじゃ和解したところで系統の話しよっか。そんじゃ答えてみて。──ちん◯ん、具現化できるか否か

 

「一発目でそれかよ!!」

 

「……出来る。なんなら普通の物体を具現化するより簡単って話だったな……」

 

「てめーも真面目に答えてんじゃねーよ!!」

 

「そう。人間の身体の一部を具現化する。これは具現化する中でも結構難易度は低い方なんだよね~。サダソっちは経験者だからわかると思うけど具現化系はイメージ修行が大変だから。ちん◯んとか腕みたいな毎日見て弄るものなら割と再現しやすい方ってワケ」

 

「わかるけどわからねーよ。チ◯コ具現化する奴なんて絶対いねー」

 

「そう? なら仮にチン◯ンちょん切れたりなくなったりしたらどうする?」

 

「…………具現化するかもしれねーな……」

 

 あ、納得した。サダソがレオリオの隣でくくって笑ってる。そんでレオリオが若干イラッとしてる。なかよぴじゃん。さて、説明を続けるぜー。

 

「でもレオリオくんは放出系だから仮にチン◯ンを具現化してもあんまり細部に拘ったり性能良くするのは難しくなる。まーチン◯ン切り離したり、チン◯ンから念弾飛ばしたりって能力にするなら強力になるけどね」

 

「どんな能力だよ!! いたら変質者待ったなしじゃねーか!!」

 

「くくっ……」

 

「ちな具現化系は念獣とかも生み出すの得意じゃんね。ただ具現化系の念獣は遠くまでパワーを維持するのが苦手だから近くで動かすタイプが多くて、逆に放出系の念獣はあんまり複雑なものは具現化できないし特殊なルールも作りにくいけど代わりに切り離してもパワーを維持できたり操作系の念獣だと複雑な動きができたり色々傾向があるんだよね~」

 

「そうなのか……」

 

「でも具現化系だとしてもあんまり強力すぎるのは無理だし効率悪かったりするんよ。──たとえば強力なゴリラを具現化するくらいなら本物のゴリラを飼った方が早いし」

 

「飼えねーよ。飼えたとしても諸々手続きかかるだろ。何が早いんだよ」

 

 ナイスツッコミじゃんレオリオくん。まーゴリラの例は冗談。実際はゴリラとかサルの具現化でも強い人はいっからね。動物を模した念獣はポピュラーだし作りやすいから人気なんよ。

 

「だからなくなった左腕を具現化するって発想は悪くないし。ただそれが自己流すぎて能力を勘違いしてたりそもそも制約が甘すぎて出力がめちゃくちゃ低かったりする。それはもう理解してる?」

 

「……はい……わかってます」

 

 そこで真面目にサダソっちに振る。念能力の師匠がおらず、そのせいで甘い能力になってしまったこと。そのことはここ最近の念能力の基本解説講座でよくわかってくれたっぽい。

 

「……確かにな。あの……絶にする腕だっけか。掴まれた時はヤバかったが思ったより簡単に抜け出せたからな」

 

「そう。あれじゃ一般人から少し毛が生えた程度の能力者しか拘束できない。その理由はしっかりと自分の能力をこういうものだと定義せず、曖昧なまま使ってたから。制約と誓約も甘いから。つまりサダソっちの能力は不完全で未完成だったってこと」

 

「……一応、こうしないと発動しない……程度には思ってました」

 

「だからそれが未完成なんだよね。レオリオくんもちゃんと聞いてね。能力は制約と誓約──ルールをちゃんと決めてしっかり守る。この条件を付けると能力は何倍にも強くなる。ただ守らないと能力がなくなったり酷いペナルティがあったりもするからね。だから制約はしっかりと定めておかないといけないってワケ」

 

「……なるほどな」

 

 と、そこまで言えばわかるっしょ。サダソっちと一緒に連れてきたのは反面教師にするためだって。

 サダソっちの“見えない左腕”はオーラを左腕の形にして具現化させること。これをサダソっちは偶然にも隠を習得したことで見えないものだと勘違いしてた。なので実は今は左腕を具現化させられる。でっかくて怪物の手だからヤバいけど。

 ただこれはあんま問題じゃないんよね。水見式をやらせてみたらサダソっちは変化系。変化系は具現化系も隣だし、オーラの形を変えて具現化させるってのは系統にあってる。だからシンプルだしそれだけならそんなに弱くならない。

 

 問題は次──“消失する相手の魂”の方。こっちは制約と誓約が甘く、そのため能力の強度がかなり低かった。

 具体的には相手を絶にする能力なのに、()()()()()()()()()()()()()()()

 理由は多分だけど自覚してない条件のせい。自己流だったり自然に発現した能力者にありがちなんだけどその能力を成立させるために無自覚な制約が付けられちゃうことがある。

 

 サダソっちの場合は見えない左腕を掴んだ相手を絶にするっていう強力な能力を成立させるために能力を発動する際にその場から動かないことや身体の半分以上を掴まなければならないとか1日に1回しか発動できないとか(左腕で掴むだけなら可能)そういう制約ができてそれを何となく守っていた。守らなければ発動しないから。つまりその程度の覚悟しかしていない。

 

 ゆえに能力の強度は著しく弱くなった。本来は掴んだ相手を条件なしに絶にする力。

 でもそうはなってない。絶にするには相手のオーラ量に異存する(多分AOPかな?)。おまけに見えない左腕の方の強度まで下がり、動きは遅くなり、操作性能も悪くなる。

 念をある程度鍛えた能力者には通じず、仮に通じても身体をそれなりに鍛えた相手なら素の力でも抜けられちゃう。

 

 つまり結果的に最初にサダソが想定した能力よりも大きく弱体化してしまった。絶対の能力を作ろうとしてむしろ穴だらけの能力になる──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「だから能力を作る時はよく考える必要がある。自分のやりたいことと系統を照らし合わせて制約をしっかり考える。中途半端な能力を作っちゃうと後悔するしね」

 

「……ああ。わかったぜ」

 

 真剣に口にすれば真剣に頷いてくれる。うんうん、良い子じゃん。レオリオくんは発の修行に入った時点で自分の中でどういうものを作るか悩んでたみたいだし、理解してくれたなら良かった。

 そしてあえて言わない。サダソっちには言ったけどね──発展途上の能力は進化することもあるって。

 

 あの巨大な伸びる腕を具現化する能力と相手を絶にする能力。それ自体は実現すれば強力なものだ。あーしの考えでは制約を増やして能力に改良を加えれば十分に使い物になるって思ってる。

 

 そうなれば──もしかしたら化けるかもしんないし。

 とはいえレオリオくんよりは可能性低そうだけど、とあーしは真剣な顔をやめて笑顔で手を叩く。

 

「さーて。そんじゃレオリオくんはこのまま発の修行。サダソっちはまた屋台頑張ってね~」

 

「ああ! ──おーしやったるぜー!」

 

「わかりました……(この人の元なら……オレは──)」

 

 やる気を出したレオリオくんと部屋から出ていくサダソっち。2人を見送り、あーしは一旦念の扉を出して“Ristorante G.A.L”の中に1人で入る。

 その念空間は誰かお客が来れば最高のレストランとして機能する。

 だけどあーし1人の時は誰にも見られることのない完全なプライベートな空間。

 

「ん~~~~~~……はぁ。最近働いてるなぁ」

 

 あーしはレストランの事務所部分に入るとソファに腰掛け、思いっきり伸びをする。

 ここでは完全に気を抜くことができる。そんな場所はここともう1つくらいしかない。

 

「水見式ねー」

 

 だからこそ何気なくテーブルに置いてるコップを見て思う。レオリオくんたちに水見式のために用意したそれに、ふと気が向いて水を入れて一応葉も浮かべる。あーしは放出系だから葉は必要ないけど様式美として。

 

 だけど最後にやったのは約5年前。だからちょっと……本当に何となくやってみたかった。

 コップに両手を向けて練を行う。ただそれだけ。それだけのことでコップの水は。

 

「ま、変わるわけないか」

 

 ──綺麗な緋色になっていた。

 

「ほんっとやな色」

 

 あーしはコップの水を捨てて流し場に置くとそのまま事務所にある“1番”のシールで転移する──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




スピカの豆知識
①スピカは最近出たアイチューベで配信してる。
②スピカは水見式があんまり好きじゃない。

ということで今回はここまで。次回は意外な人が出るかもしんない。お楽しみに。

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