うす汚ねェクルタ族の血を増やしてやるし!   作:黒岩

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良いハンターはショタに好かれる

 ──あーし自分語りってあんま好きくないんだけど自分の中で自分のことを振り返るのはセーフっしょ。ってことでこれまでのことを思い返してみよっかな。

 

 あーしはスピカ=アントルメ。クルタ族っていうルクソ地方にある少数民族の生まれ。1975年生まれで誕生日は10月10日。身長は165cmで3サイズは……ってそれはどうでもいいか。

 とにかくクルタ族の生まれなんだけどこれがマジ面倒でさ~。クルタ族って感情が昂ると緋の眼って言って目がバリ赤くなるんだけどこの時の目がすっごい綺麗で世界七大美色に数えられてんだよね。

 だから趣味が悪い人たちに狩られたりしちゃうってワケ。危険だから里から外に出ることも基本掟で禁止されてて。外に出るには外出試験をクリアしなきゃいけなかったりマジ面倒なんだよ。

 

 でもあーしは外に出たくて仕方なかったから10歳の時に外出試験をクリアして11歳の時にハンター試験に受験して合格してハンターになった。第271期なんだけどルーキーでクリアするのは珍しいし子供だったからマジであーしって天才じゃん! あーししか勝たんっしょ! 

 

 ……って思って調子に乗ってた時期もあったけどその後で出会った鬼ババ……じゃなくてリンネ=オードブルっていうハンター協会でもすっっっっごい高齢のお婆ちゃんのグルメハンターに弟子入りして念を教えてもらったんだよね。ほら、あーしって食べるの大好きだしグルメハンター志望だったから。ちょうど良さげじゃんってカンジで。

 

 あ、念ってのはすごい強いパワー。気みたいなカンジ? 誰もが持ってる生命エネルギー。オーラを使いこなす能力のことなんだけどハンターはこれの習得が必須でこれを会得するまでが本当のハンター試験って言われてる。結構意地悪じゃんね? 

 

 まあでもあーしは天才だからスパルタババ──じゃなくて師匠に指導されてしっかり念を覚えたし! ちなあーしは放出系なんだけどオーラを切り離して扱うのめちゃ得意だから。放出系ってめちゃ便利だからガチでおすすめ! いやまー系統ってほぼ生来のもので変わんないからおすすめしても意味ないけど。

 

 そんであーしってばその後も調理師免許取って料理人として一旗上げたり、貴重な食材を発見したり家畜化とか養殖化に取り組んだりたまーに密猟者捕まえたり犯罪者捕まえたりしてたワケ。マジしんどかったしたまに死にかけたけど充実はしてたかな。

 

 おかげであーしが二十歳になる頃には立派な一つ星のグルメハンター。料理人としても有名になったし、たまーに里に帰って美味しいものとかお土産に持って帰ったりして良いおねーさんしてたんだよね。長老にはバリ怒られたけど。

 

 ちなクルタ族ってマジで数少ないから。あーしと同年代も数名しかいないし、その時にいた子供も少なくてクラピーとパイロン──クラピカくんとパイロくんとか含めて子供も数名しかいなかったけどあーしが美味しいものとか持っていったり外の話とかしてあげるとテンション上がっててマジ天使だった。いつか外を旅したいとか言ってたから応援してあげた。

 

 で、それからはちょっと未知の食材を求めて世界各地を回ったり、たまーに危ない橋を渡って死にかけたりしてたんだけどさ。それもいつも通りだし楽しくすごしてた。

 

 それであーしが二十歳の時だったかな。その時に珍しく長老から電話がかかってきてクラピカが外に出ることになったから何かあったらよろしくって言われたんだよね。

 その時あーしは仕事だったしかなりの遠方だったからあーしの能力でもすぐには会いに行けないし、仕事が一段落したら1回クラピカくんの顔でも見に行こうかなーって考えてた。

 

 ──だけどそれから約6週間後にあーしは新聞でそれを知ったんだよね。()()()()()()()()()()

 

 村人128人が全員殺されてて純粋なクルタ族は全員眼が奪われた。あーしも後から確認しにいったけど嘘じゃなくて真実だったし。

 そんで里にはこんなメッセージが残ってた──我々は何ものも拒まない。だから我々から何も奪うな。

 

 これは流星街絡みの事件──流星街からの報復テロなんかで使われるのと共通のメッセージ。あーしはグルメハンターだけどこれくらいはハンターとしては常識。ただあーしは犯罪ハンターじゃないからそこまで詳しく調べたことはなかった。だから一応、調べてみた。

 

 ……それで調べた後に生き残ってるクラピカくんの居場所を突き止めて会いに行ったんだけど……ま~~~~色々言われた。あーし的にはクラピカくんが元気ならそれで良かったんだけどね。こっちも()()()()()()()()()()()()()()やっぱやめて励ましといた。「何か前向きな生きる目的でも見つけなよ」ってね。あーしを見るだけで緋の眼になるくらい感情の余裕がなかったし、なんか幻影旅団を捕らえるとか仲間の目を取り戻すとか言い出したけど「そんな無駄なことやめといた方がよくない?」って言ったらキレてた。まーそりゃキレるよね。

 何しろあーしに自分を鍛えてほしいとか言ってきたから断って軽くボコったんだよね。もちろん手加減して。旅団を狩るとか仲間の目を取り戻すとかは気が向いたらあーしがやっとくからさって言って連絡先とあーしの“マーク”を仕込んだお守りのペンダントを渡しておいた。クラピカくんのお母さんからもらったペンダントをね。実際嘘じゃない。あーしが昔旅に出る前にもらった物だし。ただそこにマークを仕込んだからこれで居場所は特定できるしその気になればいつでも会いに行ける。

 本当は付きっきりがいいのかもしんないけどあーしはクラピカくんに協力するつもりは全然ないし。これでいいっしょ。

 

 そっからはあーしはまたハンターとしての活動。遠洋であーしの弟子になったメンチちゃんや遺跡ハンターだけど元の生息地が暗黒大陸の可能性があるからって虹うなぎ産卵地や生態を調べるチームに参加してきたジンちゃんともマブになって一緒に仕事を完遂した。うなぎは美味しかったし産卵地の法則も特定したし、帰路の冗談もウケたし良いハントだった。

 

 その功績とメンチちゃんが一つ星ハンターになったことてあーしも二つ星ハンターになったしあーし個人はサイコーに順風満帆。

 ただクラピーことクラピカくんは相変わらず自分を鍛えてて更にはハンターになるつもりっぽくてあーし的にはちょっとな~ってカンジなんだよね。

 

 だってハンターになったらクラピカくんは幻影旅団狙ったり緋の眼を取り返しにいくワケじゃん? 

 そんなことするくらいならあーし的には彼女でも作ってどこかでひっそりと暮らしてくれた方がいいし。せっかく顔はお母さんに似て中性的でかっこいいんだから勿体ないって。

 

 それとあーしもあーしで昔よりちょっと変わった自覚があって……いやほら、ちょっと事情があって人体の勉強とか生命の勉強とかしてて紆余曲折があって……各地を回って色々楽しんでみた結果、あーしってば悟っちゃった。

 

「うへへ~……あのクラピーと一緒にいる黒髪の男の子ゴンくん……! やっぱめちゃかわなんですけど~……!! それに99番も……じゅるり」

 

 そう──大人よりも子供がイイって。

 

「……あの、スピカさん」

 

「うへぇ!? は、はい! サトツさん! あーしに何か用っすか!?」

 

「いえ、受験者たちの顔ぶれを見てよだれを垂らすのは如何なものかと。しかも見たところ少年ばかりに注目しているように見受けられるのですが……?」

 

「そ、そんなことないし! このよだれはステーキ定食を見てるからじゃんね!? それにほら、あーしは審査委員会の査問官として試験が公正に行われるかを目をビッカビカに光らせてるだけだし! あっ! ほら44番とか301番とか危険そう!」

 

「あなたが見るべきはどちらかというと私たち試験官の方だと思いますよ」

 

「ま、まあまあちょっとくらいいいじゃん! まだ試験も始まってないんだし、有望そうな若者を見定めるのも大事っしょ?」

 

「……それはそうですね。ですが、一応言っておきますがくれぐれも受験者にちょっかいをかけたりしないように。場合によっては聴問されますよ?」

 

「そんなことしないって! あーしのことなんだと思ってる!?」

 

「優秀なハンターです。ですが問題児でもあるかと……ほんとなぜあなたが査問官なのか甚だ疑問ですね」

 

「酷くない!?」

 

 第287期ハンター試験の開始前。別室であーしはモニターに映る受験者たちをステーキ定食を食べながら眺めていると隣の一次試験の試験官サトツさんに釘を差された。

 ……いや、幾らあーしでも受験者に手は出さないから! そしてあんな子供に手を出したりしないし! ただちょっと可愛がって一緒に住みたいだけで……養子になってくれたらなおいい。

 

 まああーしは脱落した受験者を送り返す役目があるから後ろからこっそりついていくつもりだけど……もうちょっと近くであの見どころのある子達を見てみたいなぁ。

 それとクラピーには落ちてほしいけど……そこはあーしが関与出来ることじゃないから祈るしかない。もしくは弟子のメンチちゃんや同じグルメハンターのブラハっちに厳しい試験を与えてもらうカンジで! 

 

「あ、あーそろそろ時間じゃない?」

 

「そうですね。では振り落とされた受験者のフォローはよろしくお願いします」

 

「もち! あーしに任せろし!」

 

 あーしが誤魔化すように時計を指していうとサトツさんも軽く息を吐いてから試験会場に向かう穴を通っていった。試験会場にも穴はあるんだよね……。

 少し遅れてあーしも穴を通ってついていくけど……ふぅ、バレなくてよかった。試験前から受験者に接触してたなんてバレたら怒られちゃうじゃんね。

 

 

 

 

 

 ──私は……絶対にハンターになってみせる。

 

 それを最初に目指したのはまだ私の年齢が一桁で故郷がまだあった頃の時だった。

 クルタ族では森の外に出ることは掟で厳しく禁じられている。

 外に出るには秘密を守れる大人だけ。

 そしてその秘密とは感情が昂ぶった時に赤くなる瞳──緋の眼のことだ。

 

 まだ純朴だった私はその価値を知らず、ただ友人のパイロと共に外の世界に対して純粋に思いを馳せていた。

 そしてそのきっかけとなったのは間違いなくスピカだろう。

 

「おっひさ~! クラピーにパイロんも元気してた~? お土産のお菓子いっぱい持ってきたから沢山食べな~」

 

 私と同じ金色の髪……だけでなくメッシュやインナーカラーでヘアアレンジを行い、外の世界の派手な格好で故郷の森に帰ってくるのは私やパイロより一回り上の大人スピカ=アントルメ。

 彼女はクルタ族の中でも異質で子供の時に外出試験を受けてからほぼずっと外の世界で暮らしている。話によればハンターになって料理人になって世界中を飛び回り、ふとした時に帰ってきては土産を沢山持って帰ってくる。

 その土産話を私もパイロも夢中になってせがんだものだ。土産のお菓子も美味だった。

 

 ……だが今では複雑な感情を抱いている。

 

 いや、言葉を選ばずにはっきり言えば軽蔑していると言ってもいい。

 

 そしてその理由はクルタ族が皆殺しにされた後の出来事に起因している。

 故郷が滅んでしばらくして私が外の世界で彼女に出会った時、彼女はいつもと変わらない様子だった。

 

「──クラピー生きてたんだ。良かった~!」

 

 私を見るなり、笑顔で生存を喜んで私のことを抱きしめる。

 その様子は今にして思えば、私を元気付けるために明るく振る舞ったものだろう。

 だが当時の私はそれを理解できずに彼女を見るなり瞳を緋く染めてしまっていた。

 

「スピカ……貴方は、どうしてそんな……」

 

「…………まー、命があっただけ儲けもんじゃん。あーし的にはクラピーが生きてただけでも良かったと思ってるよ」

 

「っ……何も、何も良くはない……! あなたは、何故……!」

 

 私はその言葉を吐きながら、続く言葉をどうにか押し留めた。

 なぜその時、そこにいなかったのか──それは自分にも降りかかる言葉だから。

 スピカは強い。長老や里の大人からはそう聞いていた。だから外の世界でもやっていけるのだと。

 だから私は里にスピカがいれば……と、そんなどうしようもない事を思い浮かべ、怒りを向けようとしてしまったがそれは間違いだ。罪があるとすれば里を襲い、同胞の目を奪ったものたちであるべきだ。

 だからこそ私はスピカに怒りをぶつけるのをやめ、自らの決心を口にした。

 

「まー辛いかもだけどさ。何か前向きな生きる目的でも見つけなよ。なんだったら外の世界で冒険でもしてみるとかいいカンジじゃん?」

 

「……いや、スピカ。私は……同胞の無念を晴らしたい」

 

「……それってどういう意味かな?」

 

 スピカにしては冷たく低い声だった。

 だがそれに怯むこともなく私は口にする。

 

「私なりに事件の首謀者を調べた……犯人は幻影旅団。おそらく間違いない」

 

「…………それで?」

 

「ああ。私は幻影旅団を狩る……! そして散らばったであろう仲間の眼を取り戻す……!」

 

 そう、それが偽らざる私の本心。私のやりたいこと。

 あのような惨たらしい殺し方をした者達を許してはおけない。

 奴らを捕らえる。眼を取り戻す。そのために──ハンターになる。私は既に自らの道筋をつけていた。

 

「だからスピカ……お願いがある。私のことを鍛えてほしい!」

 

「……………………」

 

「あなたは強い。現役のプロハンターで外の世界で生きてきた経験もある。頼む……! 私は力を付けなければならない……! そのための最短の道はあなたに教えを請うことなんだ……!」

 

 私は頭を下げて縋るように頼み込んだ。

 その間、スピカがどんな表情で私を見ていたかは定かではない。

 だが私は心のどこかでスピカが協力してくれると信じ切っていた。スピカは外にいることが多かったが私たち里の子供にも優しく、誰とでも分け隔てなく仲良くしていたから。

 だから快諾してくれると思っていた。

 

──そんな無駄なことやめといた方がよくない?

 

「……え?」

 

 ──だがそうではなかった。

 

 スピカの返答は否定。しかもはっきりとした拒絶。

 いや、それよりももっとタチが悪いようにその時は感じた。なぜならスピカは苦笑混じりだったから。

 まるで子供の戯言に困っている大人のように。スピカは私の言葉をまともに取り合わなかった。

 

「っ……何故だ!? 理由を教えてくれ!!」

 

「無駄だからって言ったじゃん。それよりさ、外で暮らすんなら学校でも行ってみる? あーしの知り合いのハンターが関わってる私立学校なら差別とかもあんまなさそうだし行ってみなよ。危ないこともないだろうし──」

 

「あなたは悔しくないのか!? 同胞の……! 友達の命も尊厳も奪われて! それを取り返したいと思わないのか!?」

 

「思わなくもないけどあーし的にはナシかな」

 

「……! 私は! 私は、取り返したい! だから力を付けなければならない!」

 

「力を付けたところで無駄なんじゃない?」

 

「何故!? そんなことやってみなければ分かる筈が──」

 

「…………いやわかるっしょ。だってクラピーはあーしより弱いわけだし」

 

「それは──ぐっ!?」

 

 必死に言葉を紡いでいた私の腹に締め付けるような痛みが走る。鳩尾を殴打された。目の前のスピカが私を攻撃した。

 

「クラピーに才能はないよ。あーしにはわかる。だからそういうのは諦めて普通に彼女でも作って幸せに暮らしなって」

 

「う……くっ……そんなことできる筈が……っ!」

 

「いやできるできる。そんなに幻影旅団をムカつくなら気が向いた時にあーしが1人くらい仕事として狩っとくし。後は緋の眼も多分1人か2人分くらいなら回収できるだろうからそれで十分っしょ?」

 

「げほっ……そ、その程度で許せる筈がない……! 罪は等しく全員にある……!」

 

「…………全員かー。それはさすがにあーしでもキツイし、諦めた方が無難かなー」

 

「私は、諦めない……たとえ1人でも、全員を必ず捕らえてみせる……! 仲間の眼も取り戻す……!」

 

「……ふーん。ま、そういうことならあーしは手伝わないかな。生活費とかは最低限送ってあげるから好きに生きなよ」

 

「…………これは……?」

 

「あーしの連絡先と渡そうと思ってたクレジットカード。それと……クラピーのお母さんのペンダント」

 

「! 母の……!?」

 

「あーしが旅に出る時にもらったやつ。お守り代わりに持っときなよ」

 

 スピカに殴られ、蹴られ、床に伏せる私に対してそれらの物が投げ渡される。実際会いに来た時点で私の面倒を見るつもりではあったのだろう。

 だが私が幻影旅団を狩るつもりだと聞いてスピカは私に協力しないと。つまり私から離れるつもりのようだ。最低限の生活費や連絡先だけ渡してさよなら……ということだろう。

 私は顔を伏せたままよろよろと立ち上がり、それらを拾うと背を向ける。母から貰ったというペンダントを強く握りしめた。

 

「…………感謝は、しよう。だが私は諦めない……」

 

「はいはい。んじゃバイビー」

 

 互いに背を向けたまま。スピカは軽いノリで部屋から出ていった。

 

 ──それから私とスピカは唯一の同胞でありながらより疎遠となった。1年に1、2回ほど様子を見に来るが軽く近況を聞いて土産を置いて去っていく。

 

 私が鍛錬していることにも気づいているだろうがそのことにも口出ししてこない。好きに生きろと言ったのだから好きにさせているのだろう。そのことには感謝する。

 ……私としてもスピカが嫌いなわけじゃない。今となっては唯一の同胞であるのだから。

 だが同胞だからこそ、幻影旅団を捕らえることや緋の眼を取り戻すことを無駄なことだとあっさり切り捨てたスピカと私は相容れず、それゆえに複雑な感情を抱いていた。

 私には1人で戦い抜く覚悟がある。決して巻き込みたいわけではないが、想いはまた別だった。私より数段強いはずの彼女が両親や友人、里の皆を殺されて我慢している理由が私には理解できなかったから。

 

 だから私は1人で鍛え続け……そして十分な力を付けたと自分で自分の目標を達成した時、ハンター試験を受けることを決めて試験会場へと向かう船へと向かった。

 

 見送りはない。両親も友人もこの世にはいない。生き残った同胞はただ1人……だがその同胞のスピカとか道を違えてしまった。

 

 だがこれでいい。私は1人でもやり切る。

 その時までは誰の力を借りることも、スピカと会うこともおそらくないだろう──

 

「裏へ来なレオリオ。誇り高いクルタ族の血を増やしてやるし」

 

「うっひょー! おいクラピカ! このギャルお前の姉貴分なんだって? さ、誘われちまったけど……ほ、本当にいいのか?」

 

「よろしくスピカさん! でも裏で何するの?」

 

「こっちこそよろ~ゴンくん! なんだったらゴンくんも来る?」

 

「! そりゃマズいだろ!? 幾らなんでもゴンはガキだしよ! オレで! オレでお願いします!」

 

 ──私は船の上でレオリオやゴンを船内に誘うスピカとそのバカすぎる話の内容を聞いて即座に木刀でレオリオの後頭部を殴った。スピカも殴ろうとしたがスピカには躱された。そもそもなぜここにスピカがいる……! プロハンターだろう……! 

 

「? ねえ、どういうこと?」

 

「あーね。ゴンくんにはまだちょっと早いから代わりにあーしとデートしよっか。それとあーしのことはスピカお姉ちゃんって呼んでいいからね」

 

「わかった! スピカお姉さんだね!」

 

「素直で良い子~! うへへ……めっちゃ推せる……これはもうあーしが手取り足取り教えてあげるしか……」

 

「船長! 船の外に人間を1人投げ捨てる許可を! 身内の恥にも程がある!」

 

 私は全力でスピカをゴンから引き離すことにした。頼むからクルタ族の恥になるようなことをしないでくれ……! 

 

 そして引き離すことには成功したが、気がつけばスピカは船内からいなくなっていた。船内には書き置きで「間違えて船に乗っちゃったから帰るねー」と残して……一体どうやって船からいなくなったんだ……? まさか泳いで帰っていったのか……? くっ、これはこれで心配になるから困る……! まさかこれもハンター試験なのか……!? 

 

 そんな私の疑心暗鬼を嘲笑うかのように船はあっさりと試験会場最寄りの港に辿り着くのだった……。




スピカ=アントルメの豆知識:最近ショタコンになった。
次回はハンター試験編(試験官)です。お楽しみに。

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