うす汚ねェクルタ族の血を増やしてやるし!   作:黒岩

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ショタコン×ト×ブラコン

 三次試験参加者は40名で試験内容は72時間以内にトリックタワーの頂上から生きて下まで降りてくることだってさ~マジウケるよね。

 

 で、あーしは特別査問官とかいう今回から特別に設けられた役職だからハンター試験を見て査問しなきゃなんないんだよね~。具体的には試験官がどういう試験を作ってるのかとか試験官とか審査委員会のやり方が適切なのかとかそんな感じじゃんね。

 

 つまりある意味じゃエロジジイよりも偉いっていうか、エロジジイが横暴なことをしたら問題行動として異議を唱えたりできんだよね。

 まああーしはそんなことする気はないけどポーズだけは取んなきゃいけないし。これも政治なんだよね~。会長派だとか脱会長派とか改革推進派とか穏健保守派とかリベラルとかハンター十か条改定しろしろうっせー人とか一口にハンターと言っても色々あんだよねー。

 まああーしはノンポリと見せかけたリベラルっぽい中道右派っぽい政治もいけるギャルなんだけど興味があるワケじゃないから協会内のめんどーなアレコレはNG。

 ただ関わんなきゃこうしてハンター試験に関わることも出来なかったからしゃーないよね~。あーメンディーだけど一応仕事しよっかなー。

 

「リッポーさん、受刑者を試験に使うとか考えたよね~。マジさすがじゃ~ん」

 

「大したことはないよ。ここまでの試験はあまり対人を想定した内容ではなかったからね。兼ね合いで調整しただけさ」

 

 トリックタワー内部のモニター室でモニターを眺めながら三次試験と四次試験の試験官である賞金首ハンター兼この刑務所所長のリッポーさんをおだてる。そのついでにあるモニターを見ながら言う。

 

「あーね。でも幾らなんでも現役のプロハンターを試練官として受験者に当てるのはさすがにやりすぎじゃんね~? しかも私怨っしょ? それなしよりのなしじゃない?」

 

「……彼が試練官を務めるのは44番。使える受験者のみさ。新人や他の受験者に当てるわけじゃないよ」

 

「それって逆えこひいきじゃない? 試験は受験者をある程度平等に審査するべきじゃんね。それに44番だけに当てるって言ってももし他の道。たとえば多数決の道に44番が入ったら5人の中に……えーっと、トガリン? が入っちゃうし。流れで他の受験者に当たる可能性もあるしよくなくない?」

 

「その時はさすがに試練官は降りてもらうさ。今回は運がなかったということでね」

 

「あーねー。でも不平等なのは確かだし私怨で試練官を務めるプロハンターがいるのは問題じゃん。もう死んじゃったし結果問題なかったからいいけど一応備考には書いとくね~」

 

「……仕方ないね」

 

 リッポーさんが何とも言えない顔で了承してる。はぁーあ。これでケチ付けおわり~。なんであーしがこんなことしなくちゃって思うけど仕事だからしゃーないんよね。一応やってますポーズ取らないとその方がうっさいし。問題にするつもりも全然ないし、問題にもならないっしょ。報告書を受け取ったゲスゴミカスが更に鬱陶しくなるかもしんないけどその対処はエロジジイに丸投げでいいかな~って。

 

 そんでケチ付けたあとはちょっと試験を眺めたけど……ま、あんま言うことはないかな~。面白くはあっけどね。リッポーさんが言うように二次試験までは対人ってか強さが必要な試験じゃなかったから残った受験者40人がどういう強みを持ってるかがよくわかんだよね。あの301番は針が武器っぽいかな。全然本気出してないから違うかもだけど。もし闘りあうってなったら注意する必要があるじゃんね。

 

『──3つ忠告しよう。1つ、本当の旅団の証にはクモの中に団員メンバーが刻まれてる。2つ、やつらは殺した人間の数なんかいちいち数えない。3つ、二度と旅団の名を騙らぬことだ。さもないと私がお前を殺す』

 

「……ふーん」

 

「ふ、あの404番は確か君の親戚だったかな? 中々いい身体能力をしてるね」

 

「……身体能力だけじゃない? あと親戚じゃなくて同じ一族ってだけだから」

 

「それは悪かったね。さすがにデリケートだったか」

 

「全然。あーしはあんま気にしてないからねー。──それより405番! マジイケてない!? はぁぁ~~♡ 超推せるんですけど~♡ 早く99番の良いところも見せてほしい~♡」

 

「そ、そうだね」

 

 多数決の道を進んだ5人の受験者の戦いを見ながら感想を言い合う。……いやーリッポーさんはクラピーのこと褒めてるけどそんな大したことないっしょ。あのマジタニってウケる人全然大したことないし、緋の眼になってあの程度じゃまだまだ力不足かなー。

 それに緋の眼のコントロールが出来てないのもちょっとね。それくらいは仕込んでおくべきだったかもしんない。

 ただそれはあーし的には微妙なんだよね。中途半端に強くなるくらいなら弱いままの方が断然いいし。

 

 ……とまあクラピーの実力は知ってたからいいとして、やっぱキルアくん、レオリオさん、ゴンくんのポテンシャルは高くていいカンジ。そのあともキルアくんは大量殺人鬼のジョネスの心臓を一瞬で抜き取っててマジパない! 会話聞いてたら暗殺一家の生まれらしいけど……ってゾルディック家じゃん! 気づかなかったし! すご! ゴンくんがジンちゃんの息子なのはすぐに気づいたのに……うわージンちゃんの子供とゾルディック家の子が一緒にハンター試験受けてて仲がいいとかすっごい熱くない? やっぱ推せる~~……!! しばらくこのモニターをガン見するしかないっしょ! 

 

 

 

 

 

 ──あーしが多数決してる5人の日常を眺めたりして捗った72時間を過ごして第三次試験は無事終了~。通過者は25人だけどクリアしたあとで死んだ人がいたから24人。

 

 そんで4次試験はゼビル島で互いのナンバープレートを奪い合う試験なんだけどこれはかなりいい試験だとあーしは思うんだよね~。ハンターは何かを狩るものでありながら同時に狩られることもある仕事。無人島っていう野生の中で受験者同士で狩りあうってのはハンターの素質を見極めるのにかなり適してるじゃんね。これはかなり面白そう! 

 

 ただ期限が1週間か~……試験としてははなまるだけどちょっとね~。特別査問官としてこっそり無人島内で潜んで観戦するのは楽しいかもだけどあの小さな島でずっと監視ってのも多分退屈じゃん。

 まー移動すればいいんだけど──ん? 電話がかかってきて……げっ。

 

「………………………………切ろ」

 

 よし。あとは電源を切れば完璧──

 

「すみませんスピカさん! あの、スピカさん宛てにお電話が……」

 

「……はぁ~~~~……」

 

「……スピカさん?」

 

「あー……なんでもないから気にしないでいいし」

 

 と思ったら試験の案内をする予定の女の子が電話を持ってきた。

 こっからでも逃げられなくはないけどそれはそれでダルいし……逃げたところであんま意味ないし……しゃーないか。

 あーしは受け付けの女の子から電話を受け取って渋々電話を代わる。本当にダルいけど……出たくないけど……本当にしゃーなくね。

 

「……なに?」

 

『あぁー! やっと出てくれた! もしもし! スピカさんですか!』

 

「誰? あーしあんたみたいな激キモな知り合いいないんだけど」

 

『いやいや忘れたんですか? ボクですよ、パリストンですよ! あなたを特別査問官に、特別に! ねじ込んであげたパリストン=ヒルです!』

 

「あーそうだった。ごめんごめん。嫌いすぎて記憶から消してたし」

 

『そこまで覚えていてもらえるなんて光栄ですね!』

 

 受話器から聞こえてくる鬱陶しいほどに朗らかな声にあーしは溜息を吐きたくなるのを我慢する。あーしの携帯にかけてきた時点でこいつがかけてくることはわかってた。

 

 こいつはハンター協会の副会長のパリストン=ヒル。十二支んの1人であーしの嫌いな人の1人。

 そしてあーしがハンター試験に関わるために頼ってしまった人物。

 まあ正確にはそれだけじゃないんだけど……それはいい。今はこの鬱陶しいヤツをさっさと追い払う方が大事だし。

 

「……試験内容には一部を除いて問題なし。ほんのちょっとトラブルはあったけどそれも含めて後で報告しまーす」

 

『あっはっは、中間報告ありがとうございます! 最後にまとめて報告するんじゃなくて密に報告してくれるなんてさすがはスピカさんですね』

 

「じゃあもう切っていい? これから四次試験だから忙しいんだけど」

 

『それは困ります。ボクの用件を先回りして答えてくれたのはありがたいですがもうちょっと詳細な報告をしてもらわないと。査問の意味がないですからね!』

 

「じゃあ書面に残して送るし。口頭で聞くよりそっちの方がいいでしょ」

 

『もちろん終わったあとは報告書を提出していただきますよ。でもハンター試験は一年に一度しかない大事な試験ですし、何か問題があればすぐに対応する必要がありますから口頭でも何があったかは聞いておかないと』

 

 あ~~~~……やっぱキモすぎてメンディ~~~~。こいつ人を苛つかせるためだけに行動してるからダルいんよね。そんでこっちが露骨に嫌がるとちょづくから思う壺だし。あんまり嫌がらない方がいいし、やり返すのもちゃんと考えてやった方がいい。あーしが若い頃にやり返すためにめちゃくちゃ嫌がらせしたけど全部無駄だったんよ。はぁ、嫌なこと思い出した。でも今ならもっと巧妙に嫌がらせしたっていい。たとえば──

 

『あ、せっかくだし直接会って話しませんか? スピカさんの能力ならこれからハンター協会にくることも可能ですよね?』

 

「めんどいからヤなんだけど。行ったり来たりすることになるじゃん」

 

『そうですか。直接来た方が円滑に報告も済むと思ったんだけどそれなら仕方ないなぁ。──ああ、それとボクの机にエロ本を置くような地味かつ幼稚な嫌がらせはやめてくださいね?』

 

「それくらいで今更イメージ下がることなんてないし別にいいっしょ」

 

『確かに! ボクは信頼されていますからね! なら代わりに捨てておきますね!』

 

 既に最底辺だから下がらないって意味なんだけどこっちの言葉の裏も分かってて言ってるだろうパリストンはほんとダルい。あーし的にも副会長室をゴミ箱にしてるだけで大した嫌がらせしてるわけじゃない。

 

『さて、そろそろ話を戻しましょうか。試験に何か問題はありましたか?』

 

「二次試験試験官のメンチちゃんが冷静さを失って受験者全員落とそうとしたけど会長がやって来て別の試験内容でやり直し。三次試験でプロハンターが直接受験者と殺し合って死亡。しかも私怨。今のところこんくらいかなー」

 

『──なるほど! 問題だらけだ! 是正のしがいがありますね!』

 

「そりゃよかったねー。じゃ、切っていいよね?」

 

『あ、待ってください。もう1つ聞きたいことが』

 

「? なに?」

 

『いえ少し小耳に挟んだんですが──()()()()()()()()()()()()()()()が受験者にいるって聞いたんですけど本当ですか?』

 

「……あーね。いるけどそれが?」

 

『……いえ! ちょっとした興味本位なので他意はないですよ。知り合いなら受かるといいですね! それじゃ査問官のお仕事頑張ってください!』

 

 言いたいことだけ言って電話を切るアホアホ王国の王子。

 ……はぁ、そんな揺さぶりして何が楽しいかなー。こんなことであーしが本気で怒ろうが平気な顔をしてようが答えはわかってるくせに。

 だからこそ逆にストレートにぶん殴ろうかと思うけどパリストン相手にそれやっても嫌がらせにもなんないし。やるんなら殺すくらいしないと意味ない。

 もしくは向こうが大切にしてるものにこっちがちょっかいかけるとかだけどそこまでやるほどあーしは暇じゃない。

 それにあのボケ王子は使える時もあるし。蛇の道は蛇。覚悟さえしとけばあーし1人じゃ狩りきれない相手を狩ろうとする時に利用できるっしょ。

 

『それでは第三次試験の通過時間の早い人から順に下船していただきます!』

 

 おっと。もう4次試験始まるじゃん。あのボケ副会長のことは忘れてこっちに集中しよっと。ゴンくんとキルアくん、どっち尾行しようかな~。この島で過ごすのは1週間。つまりどっちかについていけば水浴びをしてる2人の裸──もといチ◯チンが見れる。うへへ……やばっ、興奮してきた。

 水浴びしない可能性もあるけどそれはいい。よーし、それじゃ尾行開始! 狩るものはあーし、狩られるのはショタ! くーっ! 最高! あーしのターゲットは99番と405番に決めた! 

 

「──スピカくん。少しいいかね? 君の師匠から連絡があってね。試験中に何か変態的なことをしないように見張っておいてくれと頼まれたんじゃ。ほれ、飛行船に乗るぞい。おぬしが受験者を見張る必要はないじゃろう?」

 

「あんのクソババアー!! それとメンチちゃん!! あーしのことチクったでしょ!!?」

 

「試験中まで趣味発揮する方がおかしいでしょこのアホ師匠!」

 

 ──と思ってたのにー!! くっそ止められたー!! さすがにバレてるのにエロジジイから逃げるのは問題があるから逃げられないし!! くっ……大人しくするしかない……覚えてろよー!! 

 

 

 

 

 

 ──と、いうわけで1週間。あーしは大人しく飛行船で過ごすことになった……第四次試験は無事に終わって通過者は9人。はぁーあ、せっかくのチャンスだったのに……。

 

 でもまあいっか。今後も推しに絡める機会は幾らでもあるっしょ。それにゴンくんにキルアくんも通過してるし最高の結果じゃんね。

 まあクラピーが通過したのがちょっと微妙だけど……これはもう合格は覚悟した方が良さげかも。二択かなー。あーしが自分で鍛えるか、他の適当な人に任せるか……最終試験終わるまでに考えとこっと。

 

「最終試験かー。エロ会長、どんな風に決めるん?」

 

「エロ会長言うでない。つーかもはやおぬしの方が色んな意味でエロいじゃろ」

 

「セクハラで報告っと……」

 

おぬしが言うな。──最終試験は一風変わった決闘をしてもらうつもりじゃ」

 

「?」

 

「?」

 

「一風変わった決闘……まさかバトルフ◯ック……」

 

「聞こえとるんじゃが。小声でとんでもないこと言うでない。──そのための準備としてまず9人それぞれと話がしたいのォ」

 

「あーしも査問官として同席していい? ってか試験に関係があるなら見届ける必要があるし」

 

「ならモニター越しに見ててもらおうかの」

 

「ぐぬぬ……合格した子達と話したかった……」

 

 ということで最終試験に関する面接が始まってそれを元に会長はすっごいトーナメント表を作ってた。

 どういうものかというと試験内容を元に勝ち抜け式で1勝でもすれば合格ってカンジ。これまでの試験の成績がいいほどチャンスが多く与えられる形式でね。これならあーしの推しもクラピーとか危ない2人とかも全員合格するかなー。あーしの見立てだと落ちるのはポックルかボドロ。もちろん戦いに絶対はないからわかんないけどねー。

 

「それでは最終試験を開始する!! 第一試合ハンゾー対ゴン!!」

 

 しかも相手に「まいった」って言わせないと勝てないのがきついっしょ。そう思ってメンチちゃんたちと観戦してたら──

 

「ぐぬぬ……あのハゲめ……!! ──でもすごいぞー! ゴンくん! よく頑張ったじゃんね! 気絶してて聞こえてないだろうけど!! でもゴンくんほんと頑張った!! あーしが控え室に連れていくね!!!」

 

「情緒どうなってんのよ……」

 

 ってことで第一試合はゴンくんの粘り勝ち!! やったー!! ハンゾーはまあ戦いの最中は終わったら殺そうと思ってたけど許す。ゴンくんの覚悟に泥を塗りたくないしね。ハンターならこれくらいしゃーないっしょ。

 

 でそのあとも試合はどんどん進行していった。あーしはゴンくんを控え室に速攻で運ぼうとしたけどメンチちゃんに妨害されたから仕方なく試合を見た。

 

 第2試合でクラピーが必死に戦ってたけどあの変態ヒソカがなんか耳打ちして負けを認めたことでクラピーは合格した。それも思うことがなくもないけど試験終了後でいいかな。

 

 ただ最終試験全体を通してあーしにとって印象深かったのは──

 

「無理だね。お前に友達なんて出来っこないよ」

 

 ──キルアくんとの試合が始まってすぐに正体を現した301番ギタラクル……キルアくんの兄だったイルミ=ゾルディック。このこじらせブラコンとキルアくんの会話は本当にムカついた。

 キルアくんのゴンくんと友達になりたいって願いを否定して好き勝手言って。弟を怯えさせて挙句の果てに「よしゴンを殺そう」だ。そんなことさせないけどね。やろうとしたら全然阻止する。クラピーとかレオリオさんとかハンゾーと同じようにね。

 

 ……ただそれでも何も言わなかったのは……ま、あーしもある意味で同じだったからかもね。

 

 ──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「まいった。オレの……負けだよ」

 

 まあどっちにしろ査問官だから向こうから仕掛けてくるならともかくここで割って入ることなんてできないし、したらダメじゃんね。

 

 何かするとしても終わってからかな。

 ……いや、やっぱなんもしなくていいや。そんな気分じゃないし。それよりも終わったら久し振りに真面目に話してあげよっかな。ハンターになったんならやっちゃうかもしんないし。これはあーしも気合い入れないと──

 

「キルアにあやまれ」

 

 ──なんて思ってたら。

 

「おまえに兄貴の資格ないよ」

 

「? 兄弟に資格がいるのか?」

 

「友達になるのにだって資格なんていらない!!」

 

 ──目覚めたゴンくんが針人間にすっごい詰め寄ってるのを見てまた改めて思い知ったね。さっきの最終試験でも思ったけどさ。

 

「もしも今まで望んでいないキルアに無理やり人殺しさせていたのなら──お前を許さない」

 

 やっぱジン=フリークスの血を感じるじゃんね。

 変な意味じゃなくてすごくいい。ハンターの素質を感じる。友達想いなのもいい。

 そしてそんな子がクラピカくんの友達になってくれてるのは素直に良いことだし、良い傾向だとも思う。

 もしかしたらゴンくんたちと一緒に居続ければもっと前向きになるかもね。

 

「──スピカ」

 

「──ああ、クラピー合格おめー!」

 

「……ああ」

 

 ──っと。試験が終わって考え事しながら歩いてたらクラピーに声をかけられた。合格後のセミナーが終わって廊下を歩いてる時にね。廊下の先にゴンくんとレオリオさんが見える。軽く手をあげて笑みで挨拶してきたのであーしも笑顔で手を振る。クラピーと一緒に挨拶しに来ないのはクラピーがあーしに何かデリケートな話があるって察したワケね。さすがゴンくん。

 

 ならクラピーの成長と良いお友達に免じて真面目に応じてあげよっか。

 

「──まだ旅団を追うつもり?」

 

「! ……当然だ。私の意思はあの時から変わっていない」

 

「ならこれからどうすんの?」

 

「まずは情報を集めるため、仕事を通じて資産家と繋がりを持つつもりだ」

 

「ふーん」

 

 久し振りに聞いた問いかけに対し、クラピーの答えは淀みない。ずっと前からそうするつもりだったんだろうね。

 ただ以前よりは落ち着いてる。──もっとも実際に旅団を見たら落ち着けないだろうけどね。

 

「……ま、いっか。がんばってね」

 

「……! ああ。私は同胞のために必ず目的を達成してみせる。その前に少しばかり寄り道するつもりだがな」

 

 軽く声をかけてあげるとクラピカは改めて意思表明をして、それから少しばかりの笑みをみせる。キルアくんを連れ戻すためにゴンくんとレオリオさんと一緒に行くつもりみたいだ。──ずっとそうしてくれたらいいんだけどね。

 

「いいじゃん。あーし的にも心配だし助けてあげなよ」

 

「もちろんだ。……それと感謝する」

 

 お礼。それと共にクラピーは懐から一枚のカードだ。

 それはあーしが昔渡したクレジットカード。今まで生活の支援をしてくれてありがとうってカンジ? 

 もしくは生きていてくれて……とかだったりして。それは自意識過剰? 

 

「では行ってくる」

 

「──うん。いってらー」

 

 あーしはそこで手を振る。そこだけを切り取ればまるで家族や姉弟みたいでちょっと笑ってしまう。

 これで憑き物が落ちてくれれば話は簡単なんだけどそうもいかないだろうねー。

 

 ──さーて。あーしは一度協会に戻って激キモ王子に報告してから仕事に戻ろっかな~。明日は確か予約のお客様が……。

 

「──へぇ。クルタ族だったんだ」

 

 と思って数分後。会場の建物を後にしようとしたら物陰から声をかけてくる不審者。……あーしに用事ある人多くなーい? こいつの相手したら逃げようかな。

 

「あーそうだけど。何か用?」

 

「安心していいよ。別にやる気はないし。ただあんたまでキルアを取り戻すとか言い出したら面倒だから忠告しとこうと思って」

 

「あーね。そっちこそ安心していいよー。あーしは忙しいから」

 

 言いながらあーしはポケットに手を入れてそこにあるものを何気なく弄びながら立ち止まる。あーしと針人間の距離は大体10メートルちょいってところかな。

 

「よかった。もし君まで来るっていうならクラピカだっけ? ──あの子を殺すよって脅迫しなきゃいけないところだったし

 

「──へぇ?」

 

 中々物騒なことを言ってくれるじゃん。そゆことねー。クラピーがあーしの弱みだとでも思ってちょっかいかけにきたカンジねー。

 でもそれは正しくもあり間違ってもいる。こういう時ってつけ上がらせない方がいいんよ。ちょづくとダルいかんね。上下関係ははっきりさせとかないと。

 

「それは確かにちょっと困る……けどあーしはほんとに全然やる気ないし、キルアくんに危害は加えないかなー。あんたが相手なら別だけどね」

 

「それは別にいいよ。仕事でかち合う可能性もあるわけだし。キルアに手を出さなきゃそれで」

 

「おけまる~。それじゃこれからは同業者としてよろ~☆」

 

「うん。よろしくすることがあるかわからないけど」

 

 笑顔でそう言うとイルミは別れる気配を見せる。

 だからあーしはポケットからイルミにいいものをプレゼントしてあげることにした。

 

「あ、そういやこれ!」

 

「? 何?」

 

「試験で使ったナンバープレート。記念に持って帰りな~。もう使わないし」

 

 そう言いながらプレートをイルミの足元に投げる。

 

「いやいらないし。そもそもオレのナンバーは──」

 

 イルミが足元に視線を向けた──()()()()あーしはイルミをぶん殴った。

 

「!?」

 

 一瞬で目の前に、あーしが現れたことにイルミは困惑する。

 コンマ数秒以下の遅れだが一発入れるには問題ない。あーしは念を纏った拳でイルミを殴ってぶっ飛ばした。

 本気で殴ってないとはいえガードが遅れたからさすがに痛いだろうね? でもこれでよし!! ()()()()()()()()()()()()()()()()、そして思いっきり中指を立てて不敵に笑いながら叫んでやった。

 

「あっはっは──ヴァーーーーーカ!! 調子乗んなブラコン!! ゴンくんやあの場の全員殺す~~~~~?? あはは、やれるわけないだろ死ね♡ 殺し屋だかなんだか知らんけど次またあーしの目の前で同じようなことしたらまずお前から殺すぞボケ♡ 試験中だから手出さなかっただけありがたく思え♡」

 

「……………………オレと本気で殺し合うつもり?」

 

「ふん、あんたがクラピーたちを殺すつもりならいつでも相手になってやるけど~~? 苛ついたなら今ここでかかってきてもいいよ」

 

 あーしは頬を拭い立ち上がりつつあるイルミと睨み合う。殺気とオーラがあーしに向けられてるけど別にやるならやるでそれでいい。こいつがあーしと戦うならそれだけキルアくんやゴンくんたちの助けになりそうだし。手を出したらタダじゃすまないってことを教えてあげないとじゃんね。

 

 だからあーしは油断せずに対峙し続ける。

 互いのオーラがゆらめき、周囲の空気を殺伐とさせる。さすがゾルディック。強そうじゃん。負けるつもりはないけどさ。

 

 だけどそうやって覚悟して睨み合うこと数秒。ややあってイルミは殺気とオーラを鎮めた。

 

「ちょっとやってみたいけど──あいにくこの後用事があるんだよね」

 

「あっそ。じゃあさっさと行けば?」

 

「そうするよ。一応君が言ったことは覚えておくけど……そっちもオレが言ったことは覚えといてよ」

 

「はいはい。りょー。じゃあーしはもう行くから。キルアくんによろ~。ばいび~」

 

「……………………」

 

 イルミがオーラを鎮めたところであーしも纏にしてその場を離れる。めっちゃ背中に視線を感じるけど無視無視。能力で離れてもよかったけどこれ以上能力を見せる気もない。苛立ちが溜まってたからつい使っちゃったけどね。

 

 ただこれでようやく第287期ハンター試験も終了。あーしも安心して仕事に戻れる──そう思っていた。

 

 

 

 

 

 ──()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……で、今度はあんたねー」

 

「ふふ……♥ 付き合ってくれるかい?」

 

 あーしの前に……ヒソカが現れて不気味に口にする。

 その提案にあーしは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ……ごめんなさい。あーし、変態は趣味じゃなくて……せめて10代になって出直してほしいかな」

 

そっちじゃない♦ ……人に言えない提案があるってことさ♠ ──()()()()()()()()()()()()()♥」

 

「!」

 

 ヒソカに告白されてそれをフった後……あーしはヒソカからある提案を受けた──()()()()()()()()()()()()()()()()()




スピカの豆知識
①親しい人にはショタコンであることがバレている。ただし本当に手を出したことはない。
②レオリオを30代だと思ってさん付けしている。スピカは人によるが割と礼儀はある。

ハンター試験編はこれで終了。プロハンター側の試験編は制限があるので自由度の高いこっからが本番です。次回は変態×変態です。そろそろ能力を軽く開示したいのと戦闘シーンも書けるかも。お楽しみに。

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